SSブログ

【お酒】95.浜福鶴 大吟醸 備前雄町 [28.兵庫県の酒]

219.JPG220.JPG
株式会社小山本家酒造 灘浜福鶴蔵
神戸市東灘区魚崎南町四丁目4番6号

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15度
精米歩合50%
岡山県産米雄町100%使用
300ml
(以上、ラベルより転記)


灘五郷の一つ、魚崎郷にある蔵元のお酒です。
浜福鶴さんは、さいたま市西区の指扇にある株式会社小山本家酒造のグループ会社の一つです。
かつては株式会社浜福鶴銘醸という名前でしたが、今年になって社名を上記に変更したようです。

この蔵元さんは製造ラインを公開されていて、営業時間中に訪問すれば自由に見学することができます。
工場には直営店が併設されていて、お酒の試飲をさせていただきながら、浜福鶴さんのお酒についてお話をうかがうことができます。
灘の酒蔵巡りをする際には、決してはずせない蔵元さんの一つです。


このお酒は、岡山県産の雄町(おまち)という酒米を100%使用しているとのことです。
そして、ラベルには「酒米の元祖「雄町」100%」と書いてあります。
221.JPG

雄町という品種は、酒米の中では比較的古い時代に完成されたもののようです。
岡山県の篤農家が、「安政6年(1859)頃に伯耆大山へ参拝した帰りに見つけた2本の穂を持ち帰り、選抜を重ねて、慶応2年(1866)年に育成したものといわれている」とのことです(※1)。
同じ酒米でも、山田錦の誕生が昭和11年(1936)、五百万石は昭和13年(1938)ですから、これらと比較しても、江戸時代にすでに酒米として育成されていた雄町は古い種であることがわかります。

雄町は「山田錦以前の鑑評会では群を抜いて強かった」とのことですが、「晩生で、耐倒伏性・耐病性が弱く栽培が困難で昭和40年代に激減した」そうです(※2)。

また、酒米の王様ともいわれている山田錦は、“山田穂”と、“短稈渡船(たんかんわたりぶね)”との2つの品種を交配して誕生したといわれています。
このうち“短稈渡船”について、ある文献では「「渡船」の中でも、草丈の短い短稈の品種で」あって、「農商務省農事試験場の加藤茂苞氏の報告によると、明治28年(1895)頃に福岡県で栽培されていた「雄町」を滋賀県が取り寄せ、品種名を「渡船」と命名したとあり、「雄町」と「渡船」はほぼ異名同種であるとされている。」と言われています(※3)。
これが正しければ、山田錦は雄町の子孫ということになります。

上記ラベルに書かれた「酒米の元祖」の文言は、きっとこういうことを意味しているのでしょう。


そんな雄町を全量使用した大吟醸酒を、冷蔵庫で冷やしていただきます。


口を切って盃に注ぐと、フワッと吟醸香がします。
空気とともにお酒を口に含んで、空気だけを鼻から抜くと、その香りを堪能することができます。
しかし、香りにしつこさはありません。
上品な吟醸香だと思います。
この香りは、お酒の温度が上がるにつれてはっきりしてきたようです。

うまみはしっかりしています。
このうまみは、酒臭い味とはちがって、お米本来の味のような気がします。
ほんの少しだけ苦味を感じますが、とてもまろやかなうまみです。

甘みはひかえめです。
しかし、うまみを補うにはちょうどよい甘みです。

酸味は感じませんね。
それがうまみをいっそう際立たせていると思います。
この点が、このお酒が吟味して醸造された成果なのかもしれません。


まろやかなうまみと、ほどよい甘み、そして香り豊かな、やや濃醇で旨口のお酒でした。
酸味が苦手な方にはちょうどよいと思います。
香りが豊かなため、食事に合わせるのではなくて、お酒の香りと味とを楽しみながらいただいたほうがよいと思います。

(※1)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.42(2000.3 養賢堂)
(※2)副島顕子『酒米ハンドブック』p.14~15(2011.7 文一総合出版)
(※3)兵庫酒米研究グループ編著『山田錦物語 人と風土が育てた日本一の酒米』p.60(2010.4 神戸新聞総合出版センター)
あ~酒臭かった!(27)  酒くさコメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

あ~酒臭かった! 27

酒くさコメント 2

newton

雄町米は大好物です(笑)。いろいろな造りがありますね。
by newton (2013-12-16 16:16) 

skekhtehuacso

newtonさん、コメントありがとうございます。
雄町にも、いろいろと種類があるようですね。
by skekhtehuacso (2013-12-16 22:55) 

酒くさコメント、書いちゃう!

お名前:[必須]
URL:
酒くさコメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0