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【お酒】513.石鎚 純米吟醸 緑ラベル 槽搾り カップ [38.愛媛県の酒]

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石鎚酒造株式会社
愛媛県西条市氷見丙402-3

〔原材料〕米(国産)・米麹(国産米)
〔使用原料米〕兵庫県産山田錦21% 愛媛県産松山三井79%
〔精米歩合〕山田錦50%(麹米)松山三井60%(掛米)
〔日本酒度〕+5.0
〔酸度〕1.6
〔使用酵母〕蔵内自家培養酵母KA-1
〔醸造年度〕平成26Y
アルコール分16.0度以上17.0度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)



比較的有名なお酒のようです。

ある雑誌では「山田錦と松山三井の酒造好適米で仕込んだ、さわやかでキレ味のよい一本初めシャープだが、徐々にフレーバーが豊かになってやわらかくなる。」と紹介されていました(※1)。


ところで、このお酒には、原料米として山田錦を21%、そして“松山三井”なるお米を79%使用しているとのこと。
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山田錦は有名なお米ですので、当然ながらその名を知っていました。
しかし、私は、この“松山三井”というお米の名を聞いたのは、今回が初めてでした。

文献にあたってみたところ、どうやらこの“松山三井(まつやまみい)”というお米は、もともとは食用米として育成されたものの、近年では敬遠されていたようです。
しかし、その後、酒米に適していることがわかり、最近では酒米としての需要が増えているらしいのです。

このことについて、私があたった文献では以下のように紹介していました。
松山三井’は1953年に愛媛県農業試験場で育成された伝統ある品種で、かつては‘日本晴’とともに本県の中心品種として、中予及び東予平坦部で広く栽培されていた
しかし、消費者の食味嗜好は粘りの強い米に変化したこと、流通業者から大粒で腹白粒や心白粒の多い品種は混米に不向きで敬遠されたことなどから、消費量ならびに作付面積が減少した。
現在は、‘松山三井’が大粒で玄米タンパク質含有率が低い特徴を有することから、流通量の大半が酒造用となっている。」(※2)


上記の文献では、酒米として優れている理由の一つとして、タンパク質含有率が低いことを挙げています。

お米に含まれるタンパク質が酒質に与える影響ついて、別の文献では「米にはたんぱく質や脂質、灰分が含まれている。これらの成分は酒造りに必要(たとえば、日本酒独特の旨みは、麹カビがたんぱく質を分解してつくるアミノ酸に由来する)だが、多すぎるとかえって、味や香りを損なってしまう。これらの成分の多くは米の表層部に含まれているため、酒造りでは必ず米を精白するわけだが、米の内部にも少ないほうが酒の質への影響がより小さくなるわけである。」と記されています(※3)。

また、先の文献では、山田錦の玄米蛋白質含有率を7.5%、雄町のそれを7.9%、五百万石を7.8%、美山錦を7.6%とそれぞれ示した上で、松山三井の玄米蛋白質含有率を6.8%と表示し、「‘松山三井’は蛋白質含有率の低いことがわかる。」と評しています(※4)。


松山三井が酒米に向いていることは、タンパク質が少ないことだけではないようです。
これについて先の文献では、以下のように紹介していました。

県農えひめでは、愛媛県および高知県の酒造組合と‘松山三井’の販売契約を交わしており、両県の造り酒屋からは‘松山三井’100%の酒も販売され、あっさりとした辛口で品質のよい酒に仕上がると好評である。
山田錦よりも精白米の吸水速度が遅いこと、米は硬いが精米に対しては柔軟性があり砕けにくく麹米には硬めに蒸してもやや柔らかく、出来上がりが早い特徴も報告されている。」(※5)


今日は、そんな松山三井を使って造られたこのお酒をいただきたいと思います。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。


吟醸香は、ほんの少し感じる程度です。
それもあまり華やかさのない、穏やかな風味です。

うまみはやや濃いめで、しっかりしています。
お米のうまみが凝縮されたようなうまみです。
それに、吟醸酒にありがちな苦みはそれほど感じません。

吟醸酒らしく、酸味はひかえめです。
ほんのわずかにさわやかさを感じる程度です。
刺激やピリピリ感はまったくありません。

甘みはかなりひかえめです。
というか、ほとんど感じないくらいです。


しっかりしたうまみを、さわやかな酸味が引き立てる、旨辛口のおいしいお酒でした。
うまみは濃いめですが、甘みがかなりひかえめですので、ややドライな口当たりに仕上がっています。
でも、そのおかげでうまみとわずかな酸味とが際立っているように思います。
最初に紹介した雑誌に書いてあったとおり、たしかにさわやかで切れ味よい、シャープな味わいでした。
甘みで味をごまかさない、繊細な辛口酒だと思います。



(※1)dancyu 2012年4月号 p.38(プレジデント社)
(※2)鳥生誠二『水稲品種‘松山三井’について』p.60(愛媛県農業試験場研究報告 第39号 2005.12)
(※3)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.97(2000.4 柴田書店)
(※4)(※2)p.61および表2
(※5)(※2)p.66
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あ~酒臭かった! 42

酒くさコメント 4

hanamura

伊予西条駅を思い出しました。
石鎚山系の水を「うちぬき」で飲みました。美味しかったです。
鉄道歴史パーク in SAIJO・・・なんで水曜日が休館なんだ?
by hanamura (2015-03-31 06:16) 

newton

これも美味しいお酒ですよね。ワンカップもあるのですね。見つけたら買いたいと思います。
by newton (2015-03-31 17:30) 

skekhtehuacso

hanamuraさん、私はまだ四国の地を踏んだことが一度もありません。
いつか行って酒集めをしてみたいと思っています。
鉄道歴史パークってのは、電気式DLのDF50が動態保存されているみたいですね。
by skekhtehuacso (2015-03-31 23:09) 

skekhtehuacso

newtonさん、私もこのお酒のカップ酒あるとは知らず、見つけたときは驚きました。
でも、こういうおいしいお酒のカップ酒をどんどんだして試飲感覚で買ってもらえば、おいしいってわかってもらえて宣伝になると思うのですけれどね。
ちなみにこのお酒は、豊洲のスーパーで見つけました。
by skekhtehuacso (2015-03-31 23:11) 

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