【お酒】949.いづみ橋 純米吟醸 恵 青ラベル 300ml [14.神奈川県の酒]
泉橋酒造株式会社
神奈川県海老名市下今泉5-5-1
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
アルコール分 16度
精米歩合 58%
300ml
(以上、ラベルより転記)
泉橋酒造さんのお酒は、かつていづみ橋の特別純米酒プレミアムカップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、純米吟醸酒です。
このお酒のラベルには、“袋しぼり”と書かれております。
これは私の推測ですが、この“袋しぼり”は、仕込みが終了したもろみからお酒と酒粕とを分離するための方法を示しているのではないかと思います。
お酒と酒粕とを分離する方法としては、槽(ふね)と呼ばれる長方形の箱の中に袋詰めしたもろみを並べてふたをし、上から圧力を掛けて搾り出す方法が一般的のようです。
また、普通酒や大量生産されたお酒などは、自動圧搾機というアコーディオンの化け物みたいな機械にもろみを(袋に入れずにそのまま)入れて、横から圧力を掛けて搾り出す方法も採られています。
一方、「吟醸酒などの高級酒を搾る場合は、もろみを詰めた酒袋を容器(主に用いられる容器の容量が一斗なので「斗瓶(とびん)」と呼ばれる)の上に吊るし、自然にしたたらせる方法がとられることもある。この搾りの方法を「首吊り」または「袋吊り」といい、このようにして搾った酒は「斗瓶取り」とか「斗瓶囲い」「雫取り」などと呼ばれる。」(※1)とのこと。
要するに、袋からポタポタと垂れてくるお酒をひたすら下で受け続けて集めるという方法ですね。
この首吊り・袋吊りの方法は「人手がかかり、大量の酒をしぼったり、あるいは短時間でしぼり切ったりするには不向きな手法だ。しかし、無理に圧力を加えないため、よりきれいで、なめらかな酒質を得ることができる。」(※2)のだとか。
ところが、槽や袋吊りよりも、もっとも近代的で大量処理が可能な自動圧搾機による搾りの利点を積極的に肯定する見解もあるみたいです。
ある雑誌では、酒造りの現場の声として、以下のような記述を紹介しておりました。
「 今も、伝統的な搾りとして知られるのが、「槽搾り」「袋吊り」だ。いずれも重いもろみを手作業で酒袋に入れて、積んだり、吊したり、上から圧をかけたりする。時間、体力の消耗であるばありか、その間、もろみや搾った酒が空気に触れて酸化する。
(中略)自動圧搾機、ヤブタの登場は、省力化や時間短縮だけでなく、酸化を抑えて搾れる点でも画期的だった」」(※3)
はたしてこのお酒のラベルに書かれている“袋しぼり”は、上記の袋吊りの手法と同一のものなのでしょうか。
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、かすかに着いているのがわかる程度でした。
吟香はかすかにあるみたいですが、あまり目立ちません。
ああ、こりゃすっぱいな。
一口目で酸味を感じました。
すっぱさがけっこう豊かです。
刺激やピリピリ感はありません。
うまみはやや濃いめです。
お米のうまみが凝縮されているようなうまみです。
それに、吟醸酒らしい苦みもちょっとあるみたいです。
しかし、雑味らしきものはありません。
甘みはややはっきりしています。
さらっとした甘みをほんのりと感じます。
しっかりしたうまみに酸味の効いた、やや濃醇ですっぱやや甘口のお酒でした。
味わいがかなりしっかりした純米吟醸酒でした。
吟醸酒らしい苦みがちょっとだけありましたが、他に雑味や刺激がないところが、吟味して醸造した成果でしょうか。
この味わいから判断するに、もしかしたら“袋しぼり”は袋吊りと同義なのかもしれません。
でも、私としては、吟醸造りのお酒にしてはすっぱさがちょっと気になるところではないかと感じました。
(※1)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.171(2000.4 柴田書店)
(※2)松崎晴雄『日本酒をまるごと楽しむ!』p.44(2007.1 新風舎)
(※3)dancyu 2015年3月号 p.57(柴田香織『搾り×風の森-油長酒造 山本嘉彦社長』p.55-58中)(プレジデント社)
神奈川って、日本酒のイメージがありません。
by johncomeback (2016-08-06 22:03)
johncomebackさん、いわゆる酒処ではないかもしれませんが、個々の蔵元さんは頑張っていい酒を造っていらっしゃるようです。
これまでにもいくつか紹介しております。
by skekhtehuacso (2016-08-07 22:26)