SSブログ

【お酒】1276.阿蘇の酒れいざん 本醸造 カップ [43.熊本県の酒]

5563.JPG5564.JPG
山村酒造合名会社
熊本県阿蘇郡高森町高森1645

原材料 米(国産)・米麹(国産米)醸造アルコール
アルコール分 15度
精米歩合 70%
180ml詰




阿蘇山の麓、高森町。
南阿蘇鉄道の高森駅の近くに蔵を構える蔵元さんのお酒でした。


南阿蘇鉄道は去年発生した地震で被害を受けて、今でも一部が不通となっています。
しかもJR豊肥本線と接続できず、その線路は陸の孤島と化しておりますね。
観光利用を見込むには非常に不利な状態が続いておりますが、高千穂鉄道の二の舞だけはなんとか避けてもらって、全線復旧まで持ちこたえてもらいたいものです。


その高森町に蔵を置く山村酒造さん。
“れいざん”という酒銘は“霊山阿蘇”に由来するのだとか。

その山村酒造さんの由来について、手元にあった文献に以下の記述を見つけました。
 豊後屋、山村酒造は創業宝暦一二年(一七六二)というから、もう二〇〇年以上もこの南郷谷で酒造りに携わってきたのである。現在の酒蔵は万延元年(一八六〇)に建てられたもので、それから数えてさえ一三八年も経つ。しかも、山村家そのものは、酒造りを始めるずっと以前に高森に根づいたのである。天正年間(一五七三~一五九二)、薩摩の島津氏と豊後の大友氏が高森城をめぐって激しく争った折り、豊後の国東半島の山村荘から武士団が大友氏の援軍として駆けつけた。そして土着したのだという。だから、以前はここには豊後から杜氏さんが来ていたそうである。」(※1)


では、そんな大友氏ゆかりの蔵元さんが造った阿蘇の酒をいただきます。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。
5565.JPG

お酒の色は、ほとんど目立ちませんでした。
少し透き通った感じがしました。
5566.JPG


色のイメージとは異なって、うまみは濃いめです。
かなり酒臭くて(←ほめ言葉です)、ちょっとくどいかな(ほめてないじゃないか!)。
それに、苦味を少し感じます。
でもキレはよく、透明感すら感じます。

酸味はややひかえめです。
すっぱさに鋭さを感じるものの、弱めです。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはかなりはっきりしています。
とろみのような舌触りはないものの、カップに口を付けたときに唇にべとつきを感じます。


しっかりしてい甘めではあるものの、キレよく透明感を感じる、濃醇ちょい苦キレ甘口のお酒でした。
ずっしりとしていてかなり甘いものの、キレがよいので飲みにくさはそれほど感じませんでした。
これは私の予想ですが、特定名称酒の上限いっぱいまでアル添をしているのかもしれませんね。

それにしても、かなり甘めでしたよ。
でも、とある雑誌には、別の蔵元さんを紹介する記事で「「ここは熊本。辛口の酒が呑みたい時は、焼酎がありますから」」(※2)という言葉が紹介されておりましたように、たしかに熊本には球磨焼酎がありますから、清酒に辛口酒の役割は求められていないのでしょう。

むしろ熊本では、清酒の普及が図られた明治末期~大正期までは「加藤清正が朝鮮半島から伝えたという伝説があり、古くから「肥後の赤酒」として知られている。甘味が強く粘稠性を帯びた酒」(※3)が愛飲されていたようですから、甘口酒を受け容れる伝統が根づいているのかもしれませんね。


(※1)前山光則・江口司『山里の酒―九州蔵元紀行』p.161-162(1999.12 葦書房)
(※2)古典酒場特別編集『熊本酒援酒場 VOL.1』p.30(2016.12 三栄書房)
(※3)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.178(2000.4 柴田書店)
あ~酒臭かった!(39)  酒くさコメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

あ~酒臭かった! 39

酒くさコメント 0

酒くさコメント、書いちゃう!

お名前:[必須]
URL:
酒くさコメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。