《焼酎》39.いいちこパーソン宇佐 30度 300ml【二日目追記あり】【三日目追記あり】 [9944.大分県の焼酎]
(大分県宇佐市四日市にて)
三和酒類株式会社
大分県宇佐市山本2231-1
原材料名 大麦、大麦麹
内容量 300ml
アルコール分30度
(以上、ラベルより転記)
三和酒類さんのお酒や焼酎は、これまでに以下のものをいただいております。
【お酒】989.本醸造 わかぼたん ぼたんカップ (2回目はこちら)
《焼酎》3.いいちこ 25度 200ml
《焼酎》18.西の星 200ml
【お酒】1300.わかぼたん 福貴野 300ml
《焼酎》28.いいちこ 日田全麹 225ml
今日は、大分県宇佐市で入手した麦焼酎“いいちこパーソン宇佐”をいただきます。
アルコール度数25度のいいちこパーソンは拙宅の近所でもコンビニなどで見かけます。
一方、今日いただくこの“いいちこパーソン宇佐”は30度で、しかも「大分宇佐虚空蔵寺丁の「酒の杜」で醸し、熟成の時を重ねた本格焼酎です。」とのことでした(蔵元さんのWebsiteより)。
“USA”と書かれておりますが、アメリカ合衆国とは無関係であることを念のため申し添えておきますよ。
ところで、今日いただくこのいいちこパーソンですが、変わったかたちのボトルに詰められておりました。
このボトルは、河北秀也さんというデザイナーが手掛けたもので、「三〇〇ミリの「パーソン」は、先述したように「世界で最も美しいポケットボトルをつくりたい」という河北秀也の強い気持ちから生まれた。」(※1)のだとか。
そのデザインについて、文献では以下のように紹介されておりました。
「河北秀也が考えたのが、表面は凸型で、裏面が凹型になっているボトルだった。世界に二つとないものだった。これは製造面で幾多の困難があったが、河北秀也が粘り強く折衝した結果、東洋硝子(現東洋佐々木ガラス)の協力で完成する。しかもイメージどおりアルミのシンプルなキャップを伴って。その姿は「パーソン」の広告で見るように実に均整が取れ、純美である。河北秀也がボトルが完成した日に、嬉しくて抱いて寝たというのもわからなくないでき栄えだ。」(※2)
ところで、なぜ河北秀也さんというデザイナーがこのボトルを手掛けたのでしょうか?
これは私の予想ですが、どうやら三和酒類さんではいいちこの広告を河北秀也さんに任せているそうで、その一環として制作されたのではないでしょうか。
この河北秀也さんですが、「河北さんは、チャプリンの映画をもじった「独占者」(一九七六年)など営団地下鉄(現東京メトロ)のマナーポスターシリーズで脚光を浴びていた異才。お姉さん夫婦がわが社に勤めていたうえ、宇佐高校の後輩にもあたり、まんざら知らない仲でもなかったのです。」(※3)とあるとおり、三和酒類さんとの縁あって招聘されたのだとか。
才能のある人との縁があったなんで、これは三和酒類さんの運の強さの一例ではないでしょうか。
その河北秀也さんがいいちこの広告を引き受けるに当たっては、広告に関する全ての権限を自分に任せることを条件にし、それを三和酒類さんは承諾したのだとか。
そして結果として、それがいいちこの躍進につながったのだそうです。
このことについて、以下のような記述がありました。
「「引き受ける以上、すべてを任せてほしい。口出しは受けない」という条件で、数々の苦い経験から「デザイナーと広告主は対等でなければ、よいデザインは生まれない」というのが河北さんの持論。異存はありません。私は河北さんに広告のすべてを委ねる決心をしました。」(※4)
「 河北秀也が『いいちこ』のイメージづくりに当たって、自由な表現ができたのは、広告・プロモーションにおけるすべての権限を委譲されたからである。
(中略)
河北秀也は彼を一躍有名にした「地下鉄マナーポスター」において、自分の企画が思いどおりに行かず、担当者の恣意でしばしば変更されることに苛立ちを感じていた。いかに広告をつくる側に実権を獲得するかが成功への必須条件だったと感じていた。だから『いいちこ』の仕事をするに当たって強硬に自分にすべてを任せてくれるように要請した。それはクリエイターとしての自己実現にとどまらず、クライアントのせいにはできないという逃げ道を自ら断つことによって、絶対成功させるという強い意志の表明であった。それほど彼は不退転の気持ちでこの仕事に向かった。結果として河北秀也に全権を委譲したことが、他には見られない持続したブランドイメージづくりを可能にした。
(中略)
河北秀也がポスター中心のプロモーション戦略を実行して以来二〇年、『いいちこ』の売上げが落ちたのは、増税により前年度に大幅な駆け込み需要があった一九九八年だけであり、毎年大きく売上げが伸びているのだ。この実績がなかったら、河北秀也の地位も危うかったに違いない。が、確かな結果を残すことで、『いいちこ』のブランドイメージは確実に向上していったのである。時間の蓄積は、どんなに金をつぎ込んでも覆すことはできないことを示唆している。」(※5)
今でも駅でいいちこのポスターを見かけることがありますが、あの斬新な中にもゆったりした雰囲気のあるポスターは、一目でいいちこのそれだとわかりますね。
それでは、このいいちこパーソン宇佐をいただいてみたいと思います。
といっても、30度の焼酎ですからね、一日で全量をいただくなんてことは到底出来ませんよ。
そこで一日に100mlずついただきつつ、三日間にわたって異なった飲み方を試すことで、この記事を引っぱりますよ。
★☆一日目★☆
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
30度ですからね、やっぱりアルコール香がはっきりしております。
麦焼酎らしい、穀物っぽいふっくらした香ばしさをふわっと感じますが、それとともに熟成感も穏やかながらありますね。
また、軽い苦みも少しあるみたいです。
それにいいちこらしい酸味やさわやかさありますね。
でもね、それぞれの風味がバラバラに働いているような気がいたしました。
ここで、ロックにしてみましたよ。
香りがでてきましたよ。
洋酒のような香りをほんのりと感じます。
苦みと香ばしさ(ふっくら)とがちょっと立ってきましたね。
でもね、ロックだと甘みも出てきましたよ。
酸味やさわやかさは生(き)と同様に働いているみたいです。
しかもロックだと、これらがうまく合って、味わいに深みが出てきたようですよ。
それはまるで洋酒のような深みでした。
それでいて、酸味やさわやかさがあるためかしつこさはなく、後味はさわやかでした。
あたしゃ生(き)よりも、ロックのほうが好みでした。
★☆二日目★☆
今日はね、ソーダ割りでいただきますよ。(←土井善晴さんで)
香りがとってもいいですね。
洋酒っぽい香りが口から鼻へと抜けていきますが、香りにしつこさがなくてちょうどよい感じです。
アルコール香は引いて、かなり飲みやすくなりますね。
それに苦みや甘みも引いて、キリッと引き締まっているものの飲みやすく感じます。
香りが豊かなのに、さわやかでとても飲みやすいソーダ割りでした。
風味が若干薄まるものの、香りがあるので物足りなさはありません。
この香りは、熟成の成果でしょうか?
これ、うまいね!
これはあくまでも私の感想ですが、白州のハイボールに似ているかも。
むしろ軽めで、クセがなくて飲みやすいと思いますよ。
★☆三日目★☆
一日目のロックでは深い味わいを、そして二日目のソーダ割りでは香りを、それぞれ楽しむことが出来ました。
三日目は、深い味わいとともに香りをも同時に楽しめるようにするにはどうしたらいいか、私なりに考えて試してみましたよ。
それは、焼酎を瓶ごと冷蔵庫で冷やして、それをストレートでいただきつつ、かつ炭酸ソーダをチェイサーとしていただくという手法です。
まず、冷やした焼酎を口に含みます。
あれ?
トロッとした口当たりとともに、ふわっとした香ばしさや甘みを感じます。
ですが、ロックで感じたような深みはないですね。
そこへ炭酸ソーダを含んでみました。
香りが鼻へ抜けるかと思ったのですが、残念ながらほとんど感じませんでしたよ。
むしろ、炭酸のシュワシュワ感ばかりが目立つようです。
下手の考え、休むに似たり。
これは完全に私の判断ミスでした。
やっぱりロックでいただくか、あるいはソーダで割ったほうがおいしいわ。
(※1)平林千春『奇蹟のブランド「いいちこ」』p.124(2005.6 ダイヤモンド社)
(※2)(※1)p.124-125
(※3)本山友彦『西太一郎聞書 グッド・スピリッツ 「いいちこ」と歩む』p.147-148(2006.10 西日本新聞社)
(※4)(※3)p.150
(※5)(※1)p.97-99
あらら、記事は下書き中ですか?
そのステキなボトルのお披露目は
次の記事かしら。
いいちこのポスター、素敵ですよね。
美しい風景・景色の中に佇むボトル。
とても印象的でした。
焼酎の宣伝ポスターと知るのは
暫く経ってからだったのですが。
by あとりえSAKANA (2017-12-23 12:15)
あとりえSAKANAさん、お待たせいたしました。
下書き段階で誤って公開してしまいましたが、今回、写真付きで完成させました。
by skekhtehuacso (2018-01-07 20:21)
いいちこフラスコは持っていますが、飲んでいません!
明日は小田原までロマンスカーLSEに往復乗ってきます(^^)
小田原ではかまぼこ買って来ます!
by ma2ma2 (2018-01-07 21:18)
ma2ma2さん、いいちこフラスコボトルは全麹仕込でしょうから、甘みと深みとがあっておいしいと思いますよ。
小田急の旅、ご報告を楽しみにしてまっせ。
by skekhtehuacso (2018-01-08 20:15)
いいちこのボトルって、魅力的ですよね〜!
by caveruna (2018-01-08 20:51)
caverunaさん、普通のいいちこの瓶はそうでもないようですが、このパーソンやフラスコボトルなんかはかなり魅力的ですね。
やはりデザイナーさんが関与して制作されたものは一味ちがいますね。
by skekhtehuacso (2018-01-09 21:33)