SSブログ

【お酒】1427.山内杜氏 特別本醸造 180ml [05.秋田県の酒]

7071.JPG7072.JPG
備前酒造本店 備前雄一
秋田県横手市大森町大森169

アルコール分/15度
原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)醸造アルコール
精米歩合60%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




備前酒造本店さんのお酒は、かつて大納川(だいながわ)の精撰カップ(普通酒)と、大納川 あきた酒こまちで造った純米酒カップとをいただいております。
7073.JPG

今日いただくこのお酒は、“山内杜氏”という酒銘の特別本醸造でした。
7074.JPG7075.JPG


ところで、かつてこちらで触れてはおりますが、ここでもう一度“杜氏”という言葉の意味を確認しておきたいと思います。

“杜氏”(とうじ/とじ)という言葉は、単独で用いる場合と、前に地名をつける場合とで意味が異なります。

単独で用いる場合には「酒造工の長として杜氏補佐以下を総括、蔵内の管理全般」(※1)を職務とする人、すなわち酒造りのリーダーのことを指します。

しかし一方で、「その出身地別に出身地名を冠して、杜氏個人またはその集団を「〇〇杜氏」とも呼ぶ。」(※2)とのこと。
すなわち、“山内杜氏”は後者の意味で、秋田県の旧山内村(現;横手市山内)を拠点とする杜氏と、その杜氏によって統率された酒造りの集団のことを指すわけです。



 古くから優れた杜氏を輩出した秋田県の山内村は、岩手県との県境にある豪雪地帯の山村である。」(※3)で、しかも「山内村は総面積の九〇パーセントが山林原野、田畑がわずか四パーセントという谷間の村」(※4)であったそうです。
それ故、この地の農家たちは冬期には農業で生活を支えることが難しく、「農家の若者たちが冬場、造り酒屋へ出稼ぎにいって家計を支えたのが山内杜氏のはじまりである。」(※4)とのこと。

この“出稼ぎ”が由来である旨の記述は、かつて丹波杜氏についてまとめた際に出会った文献にも、同じ趣旨の記述がありました。

今でこそ酒造りは四季醸造(「機械化と蔵全体を冷房することによって夏季でも造れるようにする」(※5)方法)が、特に大手蔵では広く普及しております。
しかし昭和中期くらいまでは“寒造り”、すなわち「冬の寒い時期に仕込んだほうがもろみの品温を管理しやすく、空気中から侵入する雑菌の繁殖も抑えやすい。」(※6)ことから酒造りは冬の間だけの仕事とされておりました。

要するに、各地における杜氏集団の形成は、冬期に農業をなし得ない豪雪地帯の農家が冬期にも収入を確保したいという生活上の必要と、冬期だけ労働力を確保したいという蔵元さんの要請とが見事に合致したことに因るわけですね。


気が済んだところで、そろそろいただいてみたいと思います。
特別本醸造には香りを特徴とするものもありましたので、まずは冷や(常温)でいただきます。
と言いたいところですが、今日は気温が40度近くまで達して室内の温度も上昇していたことから、冷蔵庫で30分間ほど軽く冷やしたものをいただきますよ。

お酒の色は、ごくかすかに着いていることがわかる程度でした。
7076.JPG


香りはごくかすかに上立つ程度です。
でも口に含むとほとんど感じませんね。

うまみはやや淡めです。
米のうまみがふんわりと広がります。
軽い苦みをごくかすかに感じますが、気にはなりません。
また熟成感や重さはないみたいです。
キレはよく、スッと引きます。

酸味ははっきりしています。
すっぱさが少し強めで、鋭さを感じます。
それにけっこうピリッときますね。

甘みはややひかえめです。
かなり弱めですが、弱いなりに厚みを感じます。


米のうまみがふわっと広がって、酸味が引き締める、やや淡麗でピり旨やや辛口のお酒でした。
味わいにクセがなく、キレがよいですね。
それでいて酸味が鋭くて、しかもピリッときますね。


ここで、残っているものをぬる燗にしてみましたよ。
7077.JPG

あれ?
酸味の質が変わるよ!

すっぱさが少し引いて、ピリピリ感も気にならない程度になりますね。
それでいて、アルコール由来と思われるさわやかさが少し立ってきましたよ。
そのせいか、キレのよさもよりはっきりしてきたようですわ。


燗にすると、やや淡麗でやや辛口のおいしいお酒になりました。
燗にすることで、角がとれて飲みやすくなったようでした。
ただ、冷めるにつれてピリピリ感が徐々に復活してくるようでしたよ。

これはあくまでも私の好みによる評価ですが、このお酒は燗のほうがおいしいと思いますよ。
食事といっしょにいただくことで、食べ物の味を引き立ててくれそうでした。


(※1)灘酒研究会編『改訂 灘の酒 用語集』p.295(1997.10 灘酒研究会)
(※2)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.184(2000.4 柴田書店)
(※3)青木健作『「刈穂」という酒蔵を訪ねて』p.13(2003.12 無明舎出版)
(※4)(※3)p.16
(※5)神戸新聞社会部編『生一本 灘五郷-人と酒と』p.232(1982.11 神戸新聞出版センター)
(※6)(※2)p.19
あ~酒臭かった!(32)  酒くさコメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

あ~酒臭かった! 32

酒くさコメント 2

ちゅんちゅんちゅん

こんばんは!
この◎のお猪口(でいいのでしょうか)
好きなんです ふふふ✿
by ちゅんちゅんちゅん (2018-08-05 22:08) 

skekhtehuacso

ちゅんちゅんちゅんさん、“蛇の目”だと、思うよ。(←秋山森乃進)
by skekhtehuacso (2018-08-06 21:22) 

酒くさコメント、書いちゃう!

お名前:[必須]
URL:
酒くさコメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。