《連休特別企画》木曽のカップ酒飲み比べ:七笑と中乗さん [やってみた]
木曽福島駅(JR中央本線)。
長野県は木曽地方の中心地である木曽福島(長野県木曽郡木曽町福島)の玄関口にして、霊峰木曽御嶽山への登山口でもある駅です。
またかつては中山道の宿場町(福島宿)が近くにありました。
木曽福島の市街地は、山に挟まれた狭い場所に位置しております。
木曽福島駅は高台に位置していることから、市街地へ向かうためには長い坂を下りて行かねばなりません。(この写真のみ、夏に撮影したものでした。)
その坂を下りた場所にある市街地の中心には、清流木曽川が流れているのです。
街中に川が流れていて、しかもそれがきれいな川だと、街全体が清々しく感じますね。
冬の木曽福島には、“すんき”という塩をいっさい使わずに乳酸菌だけで発酵させた冬季限定のお漬物があるのです。
そのすんきを乗せた“すんきそば”は、かけつゆにすんきの酸味が効いた味がワタクシを魅了してやまないのですよ。
今日は、そんな木曽福島に蔵を置く蔵元さんの紙カップ酒を飲み比べてみたいと思います。
いずれも既出ですが(七笑/中乗さん)、一興を案じて飲み比べてみた次第でございました。
双方ともアル添普通酒(糖類添加なし)です。
しかし七笑(左)はアルコール度数が15度台なのに対して、中乗さん(右)は14-15度台でした。
木曽福島の街中にあるイオンでは、双方とも同じ値段で販売されておりましたよ。
それでは、飲み比べてみたいと思います。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
まずは、“七笑(ななわらい)”。
七笑酒造株式会社
長野県木曽郡木曽町福島5135番地
内容量:180ml
アルコール分:15度
原材料名:米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
(以上、ラベルより転記)
七笑酒造さんの蔵は、行政施設や商店が集まる街の中心地にあります。
“七笑”という酒銘については、手元の文献では「銘酒「七笑」は、木曽駒高原入口にある七笑の地名にちなんで名付けられた。その地は、戦国の昔、朝日将軍木曽義仲が若き日を過ごした場所でもある。」(※1)とか、あるいは「『七笑』の由来は蔵にある古い絵だという。描かれているのは酒を飲みながら歌い踊っている七福神。その絵のように、酒を飲んで楽しくなって欲しいという願いをこめて命名した。」(※2)とありました。
普通酒ですので、ぬる燗でいただきます。
お酒の色は、透明でした。
燗をつけると、お酒の甘い香りがかすかに立ってまいりました。
うまみはやや淡めでしょうか。
米のうまみが淡めなりにしっかりしておりますね。
苦みが少しあって、軽めではあるものの鋭さを感じます。
熟成感はなく、雑味も感じません。
キレはよいみたいです。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさは弱めながらも、鋭さを少し感じます。
スースーも少しあるみたいです。
またちょいピリですね。
甘みはややひかえめです。
ゼロではなく、その存在はわかって幅を感じるものの、どうやら前には出てこないみたいです。
米のうまみを軽い苦みと酸味とが引き締める、やや淡麗でちょい苦ちょいピリ旨やや辛口のおいしいお酒でした。
苦みもピリも感じたものの、それらはけっして雑味ではなくて味を引き締めるためにいい感じに働いているようでした。
それでいてキレがよく、かなりキリッと引き締まっているようでした。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
そして次は、“中乗さん(なかのりさん)”。
株式会社中善酒造店
長野県木曽郡木曽町福島599
原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分:十四度以上十五度未満
180ml詰
(以上、カップの印刷事項より転記)
中乗さんを造る中善酒造店さんの蔵は、木曽川のほとりの静かな場所にあります(煙突があるところです)。
カップには、酒銘の“中乗さん”が登場する民謡“木曽節”の一節が紹介されておりましたよ。
手元にあった文献では「中乗りさんとは、木材運送の時のいかだ流しの中乗り説と、御嶽信仰による御嶽行者の中乗り(中座)説など諸説あるが、これを酒名にしたのも、木曽谷の酒を多くの人に親しんでほしいという蔵元の願いからだろう。」(※3)とありましたが、蔵元さんのWebsiteではむしろ前者、すなわち木曽で採れた杉や檜などの木材を木曽川へ流して運ぶ際に、その木材の筏(あるいは木材一本のままとも)に乗って操った人に由来すると紹介されておりました。
それではいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、ぬる燗でいただきます。
お酒の色は、これも透明でした。
こちらは香りはしませんね。
うまみは淡めです。
米のうまみが淡めなりにふんわりと広がる感じがします。
軽い苦みをわずかに感じますが、気にはならない程度です。
熟成感はなく、雑味も感じません。
キレはよいですね。
酸味はややひかえめでしょう。
すっぱさは最初はほとんど感じませんでしたが、冷めるとわずかに出てくるみたいです。
スースー感があって、かすかにピリっと感じます。
甘みは、あれ?
ややひかえめかな。
弱めえはあるものの、冷めるにつれてべとつかない甘みがわかるようになってくるみたいです。
淡めではあるもののうまみをふんわりと感じる、淡麗旨口のおいしいお酒でした。
全体的に淡めというか、薄めのように感じました。
それも14度台だからでしょうか?
また苦みやピリがあったものの目立たなかったのも、淡めであるが故のことでしょうか?
甘みもまた然りでしょう。
そんな中で、うまみはしっかりと頑張って主張しているようでした。
それ故けっしてうすっぺらくはなく、旨口の淡麗酒であると感じました。。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
【まとめ】
双方とも味わいに角や雑味がなく、おいしくいただくことができました。
七笑はやや淡めながらもはっきりした味わいでした。
一方、中乗さんのほうは淡めというか、いささか薄めでした。
これというのも、七笑が15度台なのに対して、中乗さんは14度台とやや低めだからでしょうか?
七笑には14度台のカップ酒もあることから(ただし200ml)、むしろそちらと飲み比べたほうがよかったのかもしれません。
実はワタクシ、この企画を立案した際には“七笑は辛口/中乗さんは甘口”という結論で締めくくることを意図しておりました。
というのも、中乗さんの上撰(普通酒;アルコール度数15度台)はたしかに甘口だったからなのです。
ところが今回は、七笑はたしかに辛口傾向であったものの、中乗さんには甘口と言えるほど甘みをはっきりとは感じることができませんでした。
後者はやはり、度数の低さが影響しているのでしょうか?
まあでも、双方ともおいしかったからいいんですけれどね。
(※1)川崎史郎:文・小林敬一:写真『酒蔵で訪ねる信州』p.152(2008.5 信濃毎日新聞社)
(※2)『ようこそ日本酒の國へ』p.185(2014.5改訂 合同会社デザインファームアンドリゾート)
(※3)(※1)p.164
2024/02/13
三たび飲んでみました。
長野県は木曽地方の中心地である木曽福島(長野県木曽郡木曽町福島)の玄関口にして、霊峰木曽御嶽山への登山口でもある駅です。
またかつては中山道の宿場町(福島宿)が近くにありました。
木曽福島の市街地は、山に挟まれた狭い場所に位置しております。
木曽福島駅は高台に位置していることから、市街地へ向かうためには長い坂を下りて行かねばなりません。(この写真のみ、夏に撮影したものでした。)
その坂を下りた場所にある市街地の中心には、清流木曽川が流れているのです。
街中に川が流れていて、しかもそれがきれいな川だと、街全体が清々しく感じますね。
冬の木曽福島には、“すんき”という塩をいっさい使わずに乳酸菌だけで発酵させた冬季限定のお漬物があるのです。
そのすんきを乗せた“すんきそば”は、かけつゆにすんきの酸味が効いた味がワタクシを魅了してやまないのですよ。
今日は、そんな木曽福島に蔵を置く蔵元さんの紙カップ酒を飲み比べてみたいと思います。
いずれも既出ですが(七笑/中乗さん)、一興を案じて飲み比べてみた次第でございました。
双方ともアル添普通酒(糖類添加なし)です。
しかし七笑(左)はアルコール度数が15度台なのに対して、中乗さん(右)は14-15度台でした。
木曽福島の街中にあるイオンでは、双方とも同じ値段で販売されておりましたよ。
それでは、飲み比べてみたいと思います。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
まずは、“七笑(ななわらい)”。
七笑酒造株式会社
長野県木曽郡木曽町福島5135番地
内容量:180ml
アルコール分:15度
原材料名:米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
(以上、ラベルより転記)
七笑酒造さんの蔵は、行政施設や商店が集まる街の中心地にあります。
“七笑”という酒銘については、手元の文献では「銘酒「七笑」は、木曽駒高原入口にある七笑の地名にちなんで名付けられた。その地は、戦国の昔、朝日将軍木曽義仲が若き日を過ごした場所でもある。」(※1)とか、あるいは「『七笑』の由来は蔵にある古い絵だという。描かれているのは酒を飲みながら歌い踊っている七福神。その絵のように、酒を飲んで楽しくなって欲しいという願いをこめて命名した。」(※2)とありました。
普通酒ですので、ぬる燗でいただきます。
お酒の色は、透明でした。
燗をつけると、お酒の甘い香りがかすかに立ってまいりました。
うまみはやや淡めでしょうか。
米のうまみが淡めなりにしっかりしておりますね。
苦みが少しあって、軽めではあるものの鋭さを感じます。
熟成感はなく、雑味も感じません。
キレはよいみたいです。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさは弱めながらも、鋭さを少し感じます。
スースーも少しあるみたいです。
またちょいピリですね。
甘みはややひかえめです。
ゼロではなく、その存在はわかって幅を感じるものの、どうやら前には出てこないみたいです。
米のうまみを軽い苦みと酸味とが引き締める、やや淡麗でちょい苦ちょいピリ旨やや辛口のおいしいお酒でした。
苦みもピリも感じたものの、それらはけっして雑味ではなくて味を引き締めるためにいい感じに働いているようでした。
それでいてキレがよく、かなりキリッと引き締まっているようでした。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
そして次は、“中乗さん(なかのりさん)”。
株式会社中善酒造店
長野県木曽郡木曽町福島599
原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分:十四度以上十五度未満
180ml詰
(以上、カップの印刷事項より転記)
中乗さんを造る中善酒造店さんの蔵は、木曽川のほとりの静かな場所にあります(煙突があるところです)。
カップには、酒銘の“中乗さん”が登場する民謡“木曽節”の一節が紹介されておりましたよ。
手元にあった文献では「中乗りさんとは、木材運送の時のいかだ流しの中乗り説と、御嶽信仰による御嶽行者の中乗り(中座)説など諸説あるが、これを酒名にしたのも、木曽谷の酒を多くの人に親しんでほしいという蔵元の願いからだろう。」(※3)とありましたが、蔵元さんのWebsiteではむしろ前者、すなわち木曽で採れた杉や檜などの木材を木曽川へ流して運ぶ際に、その木材の筏(あるいは木材一本のままとも)に乗って操った人に由来すると紹介されておりました。
それではいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、ぬる燗でいただきます。
お酒の色は、これも透明でした。
こちらは香りはしませんね。
うまみは淡めです。
米のうまみが淡めなりにふんわりと広がる感じがします。
軽い苦みをわずかに感じますが、気にはならない程度です。
熟成感はなく、雑味も感じません。
キレはよいですね。
酸味はややひかえめでしょう。
すっぱさは最初はほとんど感じませんでしたが、冷めるとわずかに出てくるみたいです。
スースー感があって、かすかにピリっと感じます。
甘みは、あれ?
ややひかえめかな。
弱めえはあるものの、冷めるにつれてべとつかない甘みがわかるようになってくるみたいです。
淡めではあるもののうまみをふんわりと感じる、淡麗旨口のおいしいお酒でした。
全体的に淡めというか、薄めのように感じました。
それも14度台だからでしょうか?
また苦みやピリがあったものの目立たなかったのも、淡めであるが故のことでしょうか?
甘みもまた然りでしょう。
そんな中で、うまみはしっかりと頑張って主張しているようでした。
それ故けっしてうすっぺらくはなく、旨口の淡麗酒であると感じました。。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
【まとめ】
双方とも味わいに角や雑味がなく、おいしくいただくことができました。
七笑はやや淡めながらもはっきりした味わいでした。
一方、中乗さんのほうは淡めというか、いささか薄めでした。
これというのも、七笑が15度台なのに対して、中乗さんは14度台とやや低めだからでしょうか?
七笑には14度台のカップ酒もあることから(ただし200ml)、むしろそちらと飲み比べたほうがよかったのかもしれません。
実はワタクシ、この企画を立案した際には“七笑は辛口/中乗さんは甘口”という結論で締めくくることを意図しておりました。
というのも、中乗さんの上撰(普通酒;アルコール度数15度台)はたしかに甘口だったからなのです。
ところが今回は、七笑はたしかに辛口傾向であったものの、中乗さんには甘口と言えるほど甘みをはっきりとは感じることができませんでした。
後者はやはり、度数の低さが影響しているのでしょうか?
まあでも、双方ともおいしかったからいいんですけれどね。
(※1)川崎史郎:文・小林敬一:写真『酒蔵で訪ねる信州』p.152(2008.5 信濃毎日新聞社)
(※2)『ようこそ日本酒の國へ』p.185(2014.5改訂 合同会社デザインファームアンドリゾート)
(※3)(※1)p.164
2024/02/13
三たび飲んでみました。
2019-02-09 20:28
あ~酒臭かった!(35)
酒くさコメント(2)
おはようございます。
長野の酒を飲むから野沢菜漬をアテにしたんですね^^
by タンタン (2019-02-10 07:08)
タンタンさん、ごめんなさ~い!(めざましテレビの占いより)。
これ、小松菜のおひたしでしたとさ。
by skekhtehuacso (2019-02-10 18:43)