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【お酒】1600.宗玄 剣山 カップ [17.石川県の酒]

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宗玄酒造株式会社
石川県珠洲市宝立町宗玄24-22

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15.0度
内容量 180ml
(以上、フタとカップの印刷事項とより転記)




昨日いただいた宗玄上撰カップに引き続き、今日も宗玄酒造さんのお酒をいただきます。

今日いただくこのカップ酒には“剣山(けんざん)”という小印が付されておりました。
それでも品質表示は同一で、共に普通酒のようですね。
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お値段は、上撰カップが260円だったのに対して、この剣山カップは210円と50円もお安く設定されておりましたよ。
ということは、こちらの剣山はかつての級別制度下における二級酒相当のお酒ということでしょうか?
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ですがね、この剣山という小印は、宗玄酒造さんにとってはどうやらとても大事な名称みたいですよ。

宗玄酒造さんは江戸時代中期の明和五年(1768年)に初代宗玄忠五郎さんが創業なさったそうですが、その後四代目の忠五郎さんは酒質の改良を図るべく天保一五年(1844年)に珠洲を離れ、当時の酒造先進地域であった知多半島(愛知県)や伊丹(兵庫県)へ赴いて美酒醸造の妙を習得なさったそうです。

四代目忠五郎さんは弘化四年(1847年)に帰郷したそうですが、その後修得した技法を活用して純良の清酒を醸し、これに“剣山”と名付けて販売なさったとのこと。
このことは、かつて宗玄本醸造上撰お燗瓶をいただいた際に文献を引用して紹介しておりますので、適宜ご参照ください。

その剣山の味は評判を呼び、「海の向こうから黒船が来航した1853(嘉永6)年、加賀藩十三代藩主前田斉泰公が、海防巡検のため奥能登を訪れた際、宗玄家を本陣として一泊した。宗玄家主人から「剣山」を献上され、賞味して大いに称賛し、藩庫への納入を命ぜられたと伝わる。加えて、斉泰公は見山(歴代ご当主が称した号か?:ブログ筆者注記)当主の酒造の努力を称え、しばしば賞を贈ることもあって、吟醸「剣山」の名声は藩内に着実に広まった。」(※1)のだとか。

“剣山”はそんな宗玄酒造さんの歴史そのものを表していると言っても過言ではないほどの銘であるわけですが、今日ではそれを二級酒相当のお酒の小印として用いていらっしゃるわけですよ。
ということは、この剣山の小印には、たとえ安いお酒であっても、決して手を抜くことなく精いっぱいの努力のたまものとして自信を持って世に送り出しているという意味が込められているのでしょうか?


語り尽くして気が済んだところで、いただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、上撰と変わらないみたいでした。
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ああ、そうか!

うまみは淡めです。上撰よりも淡いかも。
ですが、やわらかさとともに、酒臭さ(ほめ言葉です)もかすかに感じます。
苦みもありますがごくかすかで、しかも鋭さを感じません。
キレはよく、透明感はあるもののかすかです。

酸味はややひかえめでしょうか。
すっぱさがあって、これもやはりかすかですが、効いていることがわかります。
スースーはややはっきりかな。
ピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりかな。
これも弱めでしつこさがないものの、弱めなりに幅を感じます。
ただ、ちょっとだけべとつくかな。


淡麗旨口のおいしいお酒でした。
上撰よりも淡めで透明感をかすかに感じたということは、こちらの方がアル添量が多めなのでしょうか。
しかしこちらのほうが味の要素(苦・酸・甘・スー)が複雑で、どれも弱めではあるものの顕かでうまく働いていたためか、上撰よりも飲み応えを感じました。
というか、これらの要素がこれ以上強いと、クドさや飲みにくさが出てしまうのではないでしょうか。

飲みやすさは上撰のほうが勝っていると思いますが、私としてはこちらの剣山のほうが好みでした。
二級クラスの定番酒ながらも、四代目ご当主の名をけっして汚すことのないおいしいお酒だと思いましたとさ。


(※1)北國新聞社出版局編集『宗玄の挑戦 能登杜氏を生んだ250年酒蔵』p.163-164(2019.2 北國新聞社)
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あ~酒臭かった! 27

酒くさコメント 4

よしころん

“剣山(けんざん)”
四国出身のわたしは(つるぎさん)で愛媛のお酒?と思ったら石川の歴史あるお酒なのですねぇ。

>生きている額縁!
先日はコメントありがとうございました^^
まさにぴったりの形容だと思いました\(^o^)/
リョウブの花芽はすいぶん大きくなってきました♪
by よしころん (2019-06-19 08:53) 

skekhtehuacso

よしころんさん、四国の剣山ってたしか徳島県だっけ?
貞光駅へ行ったときに登山口の看板があったような。

お宅の窓から木々の様子がうかがえて、それが時季が過ぎるにつれて姿を変えていくなんて、素敵ではないですか。
by skekhtehuacso (2019-06-19 21:34) 

よしころん

あらやだ、そうそう徳島!
石鎚山とごっちゃになってました( ̄▽ ̄)
by よしころん (2019-06-20 01:01) 

skekhtehuacso

アハハ、よしころんさん。
そういうまちがいはよくあることですよ。
私なんか、真野響子と真野あずさとの区別が未だに付きませんわ。
by skekhtehuacso (2019-06-20 21:28) 

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