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【お酒】1612.宗玄 剣山 のトロ 隧道蔵 カップ [17.石川県の酒]

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宗玄酒造株式会社
石川県珠洲市宝立町宗玄24-22

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15.0度
内容量 180ml
(以上、フタより転記)




宗玄酒造さんのお酒は、これまでに宗玄の上撰カップと、宗玄の剣山カップ(二級酒相当か?)とをいただいております。

今日いただくこのお酒にも、“剣山”の小印が付けられておりました。
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ですがこのカップ酒には、“奥のとトロッコ鉄道”のマスコットキャラクター“のトロ”とともに、“隧道蔵”のイメージが描かれておりましたよ。
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なんでも宗玄酒造さんでは、のと鉄道能登線(2005(平成17)年廃線)の廃線跡のうち、恋路駅-鵜島駅間の廃線跡のうち500mほどを先代の社長が買い取っていたのだとか。
11代社長の徳力暁さんはこの廃線跡に再び線路を敷き、2013(平成25)年に“奥のとトロッコ鉄道”と銘打って8人乗りの足こぎトロッコを走らせるとともに、途中にあった旧宗玄トンネルを熟成酒を保存する“隧道蔵”として活用しているのだそうです。

というのも、宗玄酒造さんとしては、鉄道無き後に能登半島の先端近くに位置する珠洲へ観光客を誘致するためには、珠洲に“奥能登の新名物”を作る必要があると考え、その試みが能登線の廃線跡を活用した“奥のとトロッコ鉄道”と“隧道蔵”とだったのだそうです。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。

 社長となって間もなく、徳力はあるプロジェクトに取り組んだ。
 前任の大井からの引き継ぎ事項の一つに「酒蔵への観光客誘致」があった。とはいえ、具体的にはほとんど何も示されていない。徳力は、入社前の金沢コンベンションビューロー時代に、観光誘客ほど仕掛けの巧拙が成否を左右するものはないことをよく知っていた。
 就任してすぐ手掛けたのは、明和蔵の生産効率を念頭に置いた改造だった。(中略)それで気付いたことがあった。宗玄酒造裏手のやや高台に遺された、のと鉄道旧能登線(穴水-蛸島間)跡。レールは外され、鉄道敷に雑草は伸び放題だ。調べてみると、前社長の時、近傍の恋路駅から鵜島駅に至る約500メートルの廃線跡が、停車駅もろとも約200万円とそんなに高くはない価格で購入されていたのである。「これは上手に活用すれば、ひょっとして大化けする」。自蔵ひいては奥能登への誘客はまぎれもない地域貢献、と徳力は独自アイデアを膨らませた。(以下略)」(※1)

 もっとも、恋路海岸や見附島、旬も魚介類を盛った「能登丼」など、「『さいはて』に行ってみたい」との願望も依然、根強いはずである。そうしたニーズを観光客誘致につなげるには、珠洲に奥能登の新名所を創ることだ、と徳力は考えた。
 そこで編み出したのが、のと鉄道能登線の廃線跡を再利用したミニ鉄道である。走らせるのは電車でなく8人定員のトロッコ。足でこいで動かす人力車両だ。「恋路駅」の看板のある無人停車駅もそのまま活かせば、「ロマンの里」を演出してくれる。
 もうひとつ大事なのは「旧宗玄トンネル」だろう。ただ、トンネルを出入りするだけでは芸がない。これは「宗玄酒造としても利用すべきだ」。トンネルは四季を通じて冷暗な空間。酒造会社で活かすとするならこのクール感。そうだ!とひらめいたのが清酒の貯蔵庫だった。(以下略)」(※2)


そんな宗玄酒造さんの思いが込められた“奥のとトロッコ鉄道”のマスコットキャラクター“のトロ”をラベル(?)にいただくこのお酒をいただきますよ。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色はかすかに着いている程度でしたが、透き通った感じはしませんでした。
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ああ!
これは剣山カップと同じだ。
淡麗旨口ですが、いろいろな味の要素(苦・酸・甘・スー)が弱めながらにうまく働いているおいしいお酒でしたとさ。

これはいつか珠洲を訪れて宗玄酒造さんを訪問し、奥のとトロッコ鉄道を楽しんだり隧道蔵を見学したりしてみたくなってまいりましたよ。

(※1)北國新聞社出版局編集『宗玄の挑戦 能登杜氏を生んだ250年酒蔵』p.72-73(2019.2 北國新聞社)
(※2)(※1)p.74-75