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【お酒】1748.魯山人 特別純米原酒 180ml [26.京都府の酒]

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東山酒造有限会社S
京都市伏見区塩屋町223

180ml詰
アルコール分/18度
原材料名/米・米麹
精米歩合60%
祝100%使用
※国産米100%使用
(以上、ラベルより転記)



東山酒造さんのお酒は、かつて坤滴 純米酒 特別栽培米「山田錦」 180mlをいただいております。

今日いただくこのお酒は、特別純米原酒でした。
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“祝100%使用”と書いてありますね。
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“祝(いわい)”はどうやら、戦前に京都府で育成された古い酒米のようでした。
手元にあった文献では、以下のように紹介されておりましたよ。
京都府農事試丹後分場が「野条穂」から純系分離混系のなかから優れた個体を選抜して新品種を育成する方法(※1))(昭和8),奨励品種には昭和8~21,30~48,平成4~の3回採用.(※2)」

昭和48年から平成4年まで間隔が開いているのは、「分けつ(稲の根元からの枝分かれ:ブログ筆者追記)が少ない上、長稈で耐倒伏性に弱いため収量性に問題があり、栽培されなくなっていた。」(※3)とのこと。
しかしその後、京都府のオリジナル米として平成4年度から再度栽培され始めたのだそうです。

米としての性質は、「大粒で心白発現率が高い。腹白は少ないが、心白が大きくて割れやすく、精白は50%程度が限度。軟らかく溶けやすい米で、味のある酒ができる。」(※3)のだとか。
これは私の推測ですが、再び栽培され始めたということは、栽培上の問題はきっと改善されつつあるのかもしれませんね。


それでは、いただいてみたいと思います。
特別純米酒には香りを特徴とするものもありましたので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、透明でした。
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香りはないですね。

うまみはやや濃いめかな?
米のうまみに厚みがって、どっしりと舌の上に乗っかってくるみたいです。
苦みがあって、強くはないものの鋭さを感じます。
熟成感はなく、他に雑味はありません。
キレはそれほどでもないみたいです。

酸味はややひかえめです。
すっぱさは弱めで角がありません。
でもちょいスーで、しかもちょいピリです。

甘みはひかえめです。
かなり弱めですね。


やや濃醇でちょい苦ちょいスーちょいピリ荒辛口のお酒でした。
ちょい苦とちょいピリとによって、荒々しさを感じました。
でも他に雑味はなく、きれいな味わいでした。
しかも米のうまみがどっしりとしていて飲み応えがありました。


ここで、燗にしてみましたよ。
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ありゃ!
お酒の甘い香りがフワッと漂ってまいりました。
スーは残るものの、苦みやピリが消えたことから、荒々しさがなくなってまろやかになりましたよ。
それとともにキレがよくなり、後味はスッキリしてまいりました。
さらに甘みが少しはっきりして、コクを添えてくれました。

燗だと、やや濃醇でスッキリ旨やや辛口のおいしいお酒になりました。
これは燗のほうが、まちがいなくおいしいな!

な~んて大発見をしたと思っていい気になりながらもう一度瓶を手に取ってみたところ、瓶には“お燗の適温”がちゃ~んと表示されておりましたとさ。
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そのお酒に合わせた今日のエサ。

出汁巻き玉子(ねぎ入り)。
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冷蔵庫の残り物の煮物。
細いにんじんがやわらかくてまいう~♪
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ごちそうさまでした。
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(※1)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.49(2000.3 養賢堂)
(※2)(※1)p.148
(※3)副島顕子『酒米ハンドブック 改訂版』p.13(2017.7 文一総合出版)





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dancyuは、3月号はいつも日本酒特集ですね。
さっそく2020年3月号を読んでみましたよ。
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《感想》

・dancyu常連蔵(あえてどことは言いますまい)が消えて、初見(たぶん)の蔵元さんばかり紹介されていたことから、新鮮さを感じた。

・奈良酒特集では、三諸杉(今西酒造)と大神神社との関係や、菩提酛保存の取組を風の森(油長酒造)を中心に展開していたところが面白かった。

”なら泉勇斎”さんが紹介されており、写真ではご店主の笑顔をうまくとらえていて好感が持てた。

・群馬泉(島岡酒造)の紹介では、生酛よりも山廃酛のほうが管理が難しいことが解説されており、とても参考になった。

・低アル原酒(度数の低い原酒)の特集では、その製造方法(発酵の上限を低くする方法)が具体的に紹介されており、これも参考になった。

・“小笹屋竹鶴はアツアツ燗にすると◆◆◆に合う。”との記述から、◆◆◆に合う酒が存在すること自体に驚いた(ネタバレ防止のため、◆◆◆は伏せました)。

・広告記事ではあったが、沖縄の芋酒(イムゲー;泡盛が普及する以前に庶民が飲んでいた芋焼酎)が紹介されていた記事が興味深くて面白かった。