【お酒】1807.仁井田米でつくった純米酒 300ml [39.高知県の酒]
文本酒造株式会社
高知県高岡郡四万十町本町4-23
アルコール分16%
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
原料米:四万十町産特別栽培米「にこまる」100%使用
精米歩合:70%
内容量:300ml
(以上、ラベルより転記)
今日は、“仁井田米でつくった純米酒”なるお酒をいただきます。
この“仁井田米”ですが、、JA高知県のWebsiteでは、「土佐藩の初代藩主である山内一豊公が土佐を巡回した記録の中に、四万十町(旧窪川町)一帯が「仁井田郷」と呼ばれていたことから、当地区で栽培された米を総称して「仁井田米」と呼び、地元ブランド米として古くから高知県内では親しまれてきました。」と紹介されておりましたよ。
また同じWebsiteでは、「仁井田米は当地区で栽培された米の総称であるため、全ての品種でそのブランド名を冠する事が出来き、現在の主な品種は「ヒノヒカリ」、「にこまる」です。」とありました。
今日いただくこのお酒には“にこまる”の特別栽培米が使用されているのだとか。
“にこまる”は、「1996年8月に九州農業試験場(独立行政法人九州沖縄農業研究センター)において,多収、良食味品種の育種を目標に,人工交配を行った組合せから育成された.」(※1)という食用米のようでした。
1990年頃まで、西日本では食用米として主に“ヒノヒカリ”が栽培されていたそうです。
しかし、「近年、九州を初めとする西日本では温暖化の影響により、主力品種「ヒノヒカリ」(全国作付3位)では良質米の収穫が難しくなってきており、問題となっていました。」(※2)とのこと。
そこでヒノヒカリに変わる食用米の新しい品種として、にこまるが育成されたのだとか。
その特徴として、以下のように紹介されておりました。
「●西日本向けに開発された温暖化に強い米
「●成熟期が「ヒノヒカリ」よりやや遅い「中生種」
「●高温年でも安定した品質と収穫量が得られる
「●食味は光沢がよく、粘りが強い
「●精米時の歩留り(搗精歩合)が高い」(※2)
そのにこまる、高知県でも「2008年から」(※3)栽培試験が開始され、「‘にこまる’は、‘ヒノヒカリ’に比べ、収量生が高く、玄米千粒重は重く、白未熟粒割合が低いことから、温暖化に対応できる有望な品種として期待される。」(※3)と評価されたそうです。
では、ここで問題です。
Q:食用米であるにこまるは、はたして清酒の醸造米としても向いているのでしょうか?
Q:向いているとすれば、どのような性質がどう作用するのでしょうか?
Q:にこまるを使って造られた清酒には、どのような特徴があるのでしょうか?
すみません。
わかりませんでした。
言い訳を言わせていただければ、これらのことを知るために必要な資料を入手することができなくなってしまったもので。
ワタクシは、このブログの記事を書くにあたって疑問点がみつかったら、とりあえず手元にある文献を当たり、それでもわからないときは雑誌や専門誌の記事を入手することにしております。
その記事ですが、もちろんWeb上に公開されているものも利用いたします。
しかしその多くは国立国会図書館のサイトで検索し、ネタとして使えそうなものを“遠隔複写サービス”を利用して郵送で取り寄せていたのです。
ところが、その遠隔複写サービスが、今年の4月15日から受付を休止してしまったのでした。
国会図書館の発表によれば、「新型コロナウイルス感染症が急激に拡大している状況の中、これまで継続してきた遠隔複写サービスの作業体制が維持できなくなったため」なんだってさ。
それ故、今回“にこまる”について報告するために入手することができた文献は、いずれもWeb上で公開されているものでした。
これは私の偏見かもしれませんが、Web上で入手できる文献だけではなかなか「かゆいところに手が届く」ようなものに出会うことが難しいように思います。
それ故に、今回もにこまるの育成過程に関する一般的なことがらしか紹介することができませんでした。
あーあ、
出かけられなくなったのみならず、こんなところにまでも新型コロナの輩が邪魔してきやがるの。
誰のせいだか知らないけれどさ、よくもまあこんなとんでもないものを垂れ流しやがったもんだぜ。
いかんいかん!
話がお酒からそれてしまいました。
このお酒、Web上では、取り扱っていらっしゃる酒屋さんをいくつか見つけました。
その多くでは、“冷やしてもよし、燗でもよし”と紹介されておりました。
そこで今日は、純米酒ですが、まずは冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、かすかに着いていることがわかる程度でした。
上立ち香はないですね。
含むと、フレッシュな風味みたいなものをかすかに感じます。
(“みたいなもの”ってなんだよ?)
うまみはやや淡めですが、しっかりしています。
米のうまみがふんわりと広がって、厚みを少し感じます。
苦みがあって、弱めですが鋭さを感じます。
酒臭さはなく、熟成感もありません。
キレはよいですね。
酸味はややはっきりかな。
すっぱさが強くはないものの、これも鋭さを感じます。
スースー感はなく、ピリピリ感もありません。
甘みはひかえめです。
米由来と思われる甘みをわずかに感じる程度です。
やや淡麗でちょい苦ちょいすっぱスッキリ旨辛口のおいしいお酒でした。
これは米のうまみそのものでしょう。
ふんわりと広がるのが、にこまるの特長なのでしょうか?
ちょい苦でちょいすっぱでしたが、突出することなくいい感じに引き締めておりました。
しかも辛口で、キリッと引き締まっておりました。
これ、たしかにうまいね。
土佐酒らしい淡麗辛口なのに、けっしてペラペラじゃないですよ。
ここで、燗にしてみましたよ。
泡立ってきたことがおわかりでしょうか?
あー!
うまみの広がりが弱まって、シャープになりましたよ。
一方でちょい苦が消え、ちょいすっぱが幾分引いて、味に角がなくなりました。
しかし依然として辛口で、キリッと引き締まっておりました。
燗にすると、淡麗サッパリ旨辛口のおいしいお酒になりました。
燗のほうが角がなく、しかもサッパリしていて飲みやすいと思います。
“仁井田米でつくった純米酒”は、冷やしても燗でも、食事と合うおいしいお酒でした。
辛口がお好みの御仁には、きっとたまらない味かと存じ奉ります。
宮こうじを使い切った拙宅。
今日からしばらくは、愛媛の麦味噌と付き合うことになりました。
麦味噌ですからね、胚芽(黒いスジ)が残されておりますよ。
その麦味噌を使って、九条ねぎとちくわとで“ぬた”を作りました。
麦の風味が香ばしくてまいう~!
米味噌とはちがう風味ですね。
九条ねぎは、出汁巻きにも入れてみました。
そしてこれは、しいたけのにんにくバターしょうゆ炒め。
ごちそうさまでした。
この直後、↑この湯飲みを流し台で手を滑らせて割ってしまったのでした。
やれやれ、
気軽に買いに行けないこんなときに限ってだぜ。
(※1)水口聡 秋山勉 三好大介 山口憲一『水稲奨励品種‘にこまる’の特性』p.5( 愛媛県農林水産研究所企画環境部・農業研究部研究報告 第6号 p.5-9 愛媛県農林水産研究所 2014.3)
(※2)パンフレット『高温に強い新しいお米 にこまる』より(九州沖縄農業研究センター)
(※3)王恵子・高田聖・溝渕正晃・坂田雅正(高知県農業研究センター)『高知県における水稲品種‘にこまる’の地域適応性』p.4(日本作物学会四国支部会報 48号 p.4-5 日本作物学会四国支部 2011.12)