【お酒】1287.家久長 カップ [08.茨城県の酒]
株式会社家久長本店
茨城県大子町大子248-1
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
アルコール分15度以上16度未満
180ml
(以上、フタより転記)
家久長本店さんのお酒は、一昨日に冷用(生貯?)普通酒と思われる家久長 霊水八溝 300mlをいただいております。
今日いただくこのお酒は、普通酒のカップ酒です。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、かすかに着いていることがわかる程度でした。
うまみはやや濃いめです。
酒臭さよりも、ウィスキーのような風味のクドさが少しはっきりしているようです。
苦味は強くはないものの、鋭くて重いですね。
それでもキレはよく、透明感すら感じます。
酸味はややひかえめです。
すっぱさは弱めですが、弱いなりに鋭さを感じます。
それに、わずかにピリッと感じます。
甘みはややはっきりしています。
さらっとしてはいるものの、その存在はよくわかります。
やや濃醇でちょい苦やや甘口のお酒でした。
クドさとちょい苦と酸味の鋭さとを、キレのよさが和らげてくれているように感じました。
これはあくまでも私の予想ですが、多めのアル添が粗めの味わいを緩和してくれているのではないでしょうか。
しかし、それでも粗さは残っているようでした。
【お酒】1286.家久長 霊水八溝 300ml [08.茨城県の酒]
株式会社家久長本店
茨城県久慈郡大子町大子248-1
原材料名/米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
アルコール分15度以上16度未満
300ml詰
(以上、ラベルより転記)
「社名の家久長(かくちょう:ブログ筆者追記)は、1827(文政10)年ころ、北西の左貫地区で材木商を営んでいたときの屋号にちなむ。」(※1)という家久長本店さん。
酒銘の“霊水八溝”は、「仕込み水は坂東二十一番札所の霊山・八溝山の湧水群の水系からくむ。」(※2)という記述にあるとおり、茨城、福島、栃木の三県にまたがる茨城県最高峰の八溝山におそらく由来するのでしょう。
このお酒ですが、コンビニで他社の冷用酒といっしょに冷やして販売されておりました。
しかし、品質表示は普通酒のそれそのもので、冷用酒(生酒や生貯蔵酒)である旨や要冷蔵たる旨の表示はどこにもありませんでした。
アルコール度数は角度かよ!
普通酒であっても、生酒(「製成後、一切加熱処理をしない清酒」(※3))の場合には要冷蔵である旨の表示義務がありますので(※4)、それが表示されていないこのお酒はおそらく生酒ではないのでしょう(ただし、生酒である旨の表示自体は任意です(※3))。
ということは、もしかしたら生貯蔵酒(「製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した清酒」(※5))で、任意記載事項である生貯蔵酒である旨の表示をしていないお酒なのでしょうか?
酒がまずくなりそうなどうてもいいことをあれやこれやと詮索するのはこのくらいにして、そろそろいただいてみたいと思います。
冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、無色透明でした。
たしかに生貯蔵酒らしいフレッシュな風味がありますね。
はっきりしてはおりますが、クドくはないみたいです。
うまみは濃くはないものの、しっかりしています。
米のうまみが広がります。
苦味は軽めではあるものの、軽いなりにはっきりしています。
キレはよいですね。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさは強くはないものの、鋭さを感じます。
甘みはややはっきりしています。
さらっとしてはいるものの、甘みに厚みを感じます。
米のうまみを軽い苦みと酸味とが引き締め、甘みが整える、爽快ちょい苦ちょいすっぱやや甘口のお酒でした。
生貯のような風味がクドくならない程度に効いています。
それにやや甘めかと思いますが、苦味や酸味が効いているせいか、甘ったるさはないみたいです。
苦味や酸味が気になってスイスイとはいけないものの、爽やかでかつ食事と合う冷用酒だと思いました。
(※1)『茨城の酒と蔵』p.19(2002.10 茨城新聞社)
(※2)(※1)p.16
(※3)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(5)
(※4)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)3(3)、酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達第86条の6 酒類の表示の基準 2(3)ハ
(※5)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(6)
【お酒】1279.来福 純米吟醸 カップ [08.茨城県の酒]
来福酒造株式会社
茨城県筑西市村田1626
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合50%
アルコール分15度
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
来福酒造さんのお酒は、かつて来福の純米酒純米カップと、来福の純米吟醸 好適米愛山使用300mlとをいただいております。
今日いただくこのお酒は、純米吟醸のカップ酒です。
あたしゃかつて、来福酒造さんの酒蔵までお酒を買いに行ったことがありました。
でもその際には、このカップ酒にお目にかかることはできなかったのでした。
ところが先日、銀座一丁目にある茨城県のアンテナショップ“茨城マルシェ”を物色してみたところ、なんとこのカップ酒が山積みされていたじゃありませんか!
これはあくまでも私の予想ですが、もしかしたらこのカップ酒は地元で飲んでもらうためのものではなくて、来福酒造さんが自社のお酒を広く試飲してもらうためにアンテナショップや百貨店での販促活動の際に頒布することを目的として世に送り出したものなのかもしれませんね。
もしそうだとしたら、それはそれはさぞや美味しいお酒が詰められていることでしょう。
だって、おいしくなかったら、販促の意味がありませんからね。
きっと美味しいお酒であろうことを期待しつつ、そろそろいただいてみたいと思います。
純米吟醸ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、濃くはないもののきれいな金色をしておりました。
香りはそれほど強くはないですね。
花っぽい香りをかすかに感じます。
うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを穏やかに感じます。
それに、熟成感も少しあるみたいです。
また、軽い苦味がほんのかすかにありますね。
純米ですが、キレはよいみたいです。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさは強くはないものの、鋭さが少しあって、深みを少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはややひかえめです。
かなりさらっとした甘味をかすかに感じます。
香りが穏やかでうまみしっかりの、やや濃醇でちょいすっぱやや辛口のおいしいお酒でした。
香りが強くはないので、食事と合わせやすいと思います。
酸味がちょっとはっきりしていますが、酸味自体に深みもあって、うまみとともに飲み応えを感じました。
なかなかいけるのではないでしょうか。
この味わいでしたら、試しに一個買ってもらうことで、来福酒造さんが造ったお酒のおいしさをきっとわかってもらえることでしょう。
【お酒】1274.白鹿 カップ [08.茨城県の酒]
石岡酒造株式会社
茨城県石岡市東大橋2972
アルコール分15度以上16度未満
米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール・糖類・酸味料
180ml詰
(以上、フタより転記)
“白鹿”といっても、灘の辰馬本家酒造さんが造ったお酒ではありません。
茨城県は石岡市に蔵を置く蔵元さんのお酒でした。
この酒銘について、手元にあった文献では以下のように紹介されておりました。
「 江戸時代から続く蔵元4社が1972(昭和47)年に合併、石岡酒造が誕生した。
(中略)
代表ブランドの「白鹿」は、合併4社のうちの1社が江戸時代から使用している銘柄で、鹿島神宮の白鹿に由来している。」(※1)
鹿島神宮というだけあって、鹿が神様の使いなのでしょうか。
それに、鹿といったらなかんずく奈良の鹿でしょうが、その奈良の鹿は、どうやら元々はこの鹿島神宮に由来するみたいですね。
そんな鹿島神宮に由来するという由緒正しき酒銘をいただくこのお酒ですが、まことに残念ながら糖類酸味料フル添加の三増酒でした。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、少し着いていることがわかる程度でした。
うまみはやや濃いめです。
最初に渋みがやってきます。
うまみにクドさがありますが、酒臭さ(←ほめ言葉です)もちょっと感じます。
キレはよく、透明感すら感じます。
酸味はひかえめです。
ほとんど感じないくらいです。
甘みはややはっきりしています。
糖添三増酒にありがちなとろみのような舌触りはありますが、甘みにクドさはないですね。
やや濃醇で渋やや甘口のお酒でした。
渋みが鋭くて気になります。
甘味にも、とろみのような舌触りがありますね。
でもキレがよいせいか、それらが緩和されている感じがいたしました。
これはきっとアル添の効果でしょう。
(※1)『茨城の酒と蔵』p.119(2002.10 茨城新聞社)
【お酒】1143.男女川(みなのがわ) お燗瓶 180ml [08.茨城県の酒]
稲葉酒造場
茨城県つくば市沼田1485
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール・糖類・酸味料
アルコール分 15.0度
正180ml詰
(以上、瓶の印刷事項より転記)
稲葉酒造場さんのお酒は、かつて男女川(みなのがわ)の純米吟醸をいただいております。
今日いただくこのお酒は、まことに残念ながら、糖類酸味料フル添加の三増酒でした。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ほぼ無色透明でした。
最初に酸味を感じました。
けっこうはっきりした酸味です。
すっぱさがやや強めで、鋭さを感じます。
でも刺激やピリピリ感はありません。
うまみはやや淡めです。
酒臭さ(←ほめ言葉です)をかすかに感じますが、それでも深みがなくて画一的なうまみです。
また、軽い苦みをちょっとだけ感じます。
キレはよいみたいです。
甘みはややはっきりしています。
三増酒にしてはそれほど強くはなく、べとついた感じもしませんが、それでもとろみのような舌触りは感じます。
すっぱやや甘口のお酒でした。
これはあくまでも私の感想ですが、糖類や酸味料を添加したことで生じたクセを加水で整えているように感じました。
雑味が比較的少ないことから、飲みやすいかもしれません。
でも、やっぱりすっぱいね。
そういえば、男女川は純米吟醸もすっぱいお酒でしたよ。
【お酒】1133.花の井 お燗瓶 180ml [08.茨城県の酒]
株式会社西岡本店
茨城県桜川市真壁町田6番地の1
アルコール分 15度
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)醸造アルコール 糖類
正180ml詰
(以上、瓶の印刷事項より転記)
このお酒は蔵元さんの直営店で入手したのですが、店員さんの話によれば、昨日いただいた花の井ハナノイカップと同じ中身なのだそうです。
たしかに品質表示も同じ(糖類添加・酸味料添加なし)でした。
値段もまったく同じでした。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、あれ?
花の井ハナノイカップよりも薄いような気がします。
ああ。
やっぱり、ややすっぱやや甘口のお酒でした。
でもね、昨日いただいた花の井ハナノイカップにはクドさがありましたが、こっちでは感じませんね。
そういえば、同じお酒のはずなのに、カップ酒にあった雑味がお燗瓶では感じなかったという例は、これまでに十旭日(じゅうじあさひ)のお燗瓶とカップ酒とで経験したことがありましたよ。
カップ酒とお燗瓶とでは、お酒が空気と接触している面積がちがいますね。
もしかしたら、花の井ハナノイカップで感じた着色と味わいのクドさとは、酸化に起因するものだったのでしょうか?
【お酒】1132.花の井 ハナノイカップ [08.茨城県の酒]
株式会社西岡本店
茨城県桜川市真壁町田6番地の1
アルコール分 15度
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)醸造アルコール 糖類
正180ml詰
(以上、カップの印刷事項より転記)
西岡本店さんのお酒は、かつて正真正銘の真壁の地酒であった花の井ふるさとさくら純米吟醸酒をいただいております。
今日いただくこのお酒ですが、まことに残念ながら糖類添加の三増酒でした。
ただし、酸味料は添加されていないみたいです。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ややはっきりしておりました。
うまみは濃くはないものの、淡くもないみたいです。
というか、ちょっとクドさを感じます。
これって、糖類の添加だけで出る味かな?
でも、キレはよいみたいです。
酸味ははっきりしています。
すっぱさがあって、鋭さも少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはややはっきりしています。
糖添三増酒にありがちなとろみのような舌触りを感じますが、甘ったるさはそれほどでもないみたいです。
ちょいクドすっぱやや甘口のお酒でした。
うまみはしっかりしているものの、画一的で深みを感じませんでした。
すっぱさが目立っていたのは、そのためかもしれません。
【お酒】1127.来福 純米吟醸 好適米愛山使用 300ml [08.茨城県の酒]
【2017/03/12追記】:種子親/花粉親について書いた部分を、文献の引用を追加して書き換えました。
来福酒造株式会社
茨城県筑西市村田1626
アルコール分15度
原材料名 米・米こうじ
精米歩合 50%
原料米 兵庫県産愛山100%使用
300ml詰
(以上、ラベルより転記)
「 江戸時代から連綿と続く伝統に甘えず、新たな酒造りに挑戦する―。来福酒造には、そんな若い情熱があふれている。ナデシコから採取した酵母を使った吟醸酒造り。新品種の酒造好適米による試験醸造など、いずれも本県初の取り組みに率先して名乗りを挙げた。」(※1)という来福酒造さんのお酒は、三日前に来福の純米酒純米カップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、愛山(あいやま)という酒造好適米を使用した純米吟醸酒です。
愛山は、愛船117と山雄67とを両親とし、「両親品酒銘から1字ずつを採り命名。」(※2)されたのだとか。
また山雄67の両親は山田錦と雄町とであることから、愛山は「山田錦と雄町とを祖父母と」(※2)する酒米なのだそうです。
その愛山について、文献では以下のように解説されておりました。
「 「愛山」は育成野帳によると、1941年に酒造米試験地で「愛船117」を種子親に、「山雄67」を花粉親に用いて交配された。翌1942年にF1個体が養成された。その後の育成経過は野帳などの資料が残っていないため不明である。1949年~1951年の福田原種圃の生産力検定試験には「愛山11号」の系統名で試験に供試されている。収量性は高いが品質がやや悪いとの理由で、1951年で試験は終了した。」(※3)
「 「愛山11号」の育成試験は1951年に打ち切られたが、酒米試験地の地元である加東郡社町では一部の農家や集落で栽培が続けられてきた。「愛山」の名称は、「愛山11号」の系統名が正式名であるが、現地で「愛山」として略して呼ばれていたことによると考えられる。その後、酒米試験地では1968年に品種保存栽培に供試するため、社町山国の農家から苗を譲り受け、場内栽培を行い特性調査をしている。そして、現地からの要望もあり純系淘汰を行い、1972年には種子を増殖して現地に提供し、現地では1973年からこの種子を用いての栽培が行われるようになった。その後も隔年で酒米試験地から現地に種子が供給された。さらに1985年からは酒米試験地で原々種栽培が行われ、3年毎にみのり農業協同組合に有償で提供され、表8に示すように、現在も加東郡社町で30ha以上の作付けが行われている。「愛山」は1980年に醸造用玄米の産地品種銘柄に指定されている。」(※3)
戦時中から育成が開始されていて、その育成がいったん止められてしまったにも関わらず復活し、育成から40年後になってようやく酒造好適米として認められるようになったお米だったのですね。
ところで、上記の記述には「「愛船117」を種子親に、「山雄67」を花粉親に用いて交配された。」とありました。
酒米の由来を紹介する文章では、たとえば「「山田錦」に用いた育種法は、人工交配による系統育種法である。交配は大正12年(1923)に行い、母親は「山田穂」、父親は「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」である。」(※4)というように、かけ合わせた品種の母と父とを区別して紹介している記述に出会うことが少なからずありますね。
この区別は、要するに“母親=種子親”/“父親=花粉親”という意味なのでしょうね。
生物学、特に植物学に詳しい御仁であればおそらく至極当然のことなのでしょうが、純然たる文系人間である私としては、目からウロコが落ちるがごとくの発見でしたよ、
ひとつおりこうになったところで、そろそろいただいてみたいと思います。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、かすかに茶色がかっておりました。
吟醸香ありますね。
けっこうはっきりしていますが、キツさはないみたいです。
花っぽいかおりですが、もしかしたらこのお酒にも花酵母が使われているのでしょうか?
うまみはやや淡めです。
お米のうまみを穏やかに感じます。
山田錦ほどではないものの、少し広がりがあるみたいです。
苦みや雑味はまったくありませんが、キレはそれほどでもないみたいです。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさは強くはないものの、鋭さを少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはひかえめです。
しかしゼロではなく、わずかに存在することがわかります。
吟香とお米のうまみとを酸味が引き締め、かすかな甘みがコクを添える、やや淡麗でやや辛口のおいしいお酒でした。
香りははっきりしているもののキツくはないことから、食事とも合わせやすいと思います。
それに吟醸酒だけあって苦みや雑味がまったくなく、上品な味わいに仕上がっておりましたが、きっとこの点が吟味して醸造された成果なのでしょう。
おいしいお酒ですが、私としては、純米酒の深みのある味わいのほうが好みでした。
(※1)『茨城の酒と蔵』p.136(2002.10 茨城新聞社)
(※2)副島顕子『酒米ハンドブック』p.6(2011.7 文一総合出版)
(※3)池上勝『酒米試験地の設立と初期品種系統「兵庫雄町」,「山雄67号」および「愛山」の育成経過』p.40(兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告〔農業編〕第54号 p.33-41 2006.3)
(※4)兵庫酒米研究グループ編著『山田錦物語 人と風土が育てた日本一の酒米』p.45(2010.4 神戸新聞総合出版センター)
来福酒造株式会社
茨城県筑西市村田1626
アルコール分15度
原材料名 米・米こうじ
精米歩合 50%
原料米 兵庫県産愛山100%使用
300ml詰
(以上、ラベルより転記)
「 江戸時代から連綿と続く伝統に甘えず、新たな酒造りに挑戦する―。来福酒造には、そんな若い情熱があふれている。ナデシコから採取した酵母を使った吟醸酒造り。新品種の酒造好適米による試験醸造など、いずれも本県初の取り組みに率先して名乗りを挙げた。」(※1)という来福酒造さんのお酒は、三日前に来福の純米酒純米カップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、愛山(あいやま)という酒造好適米を使用した純米吟醸酒です。
愛山は、愛船117と山雄67とを両親とし、「両親品酒銘から1字ずつを採り命名。」(※2)されたのだとか。
また山雄67の両親は山田錦と雄町とであることから、愛山は「山田錦と雄町とを祖父母と」(※2)する酒米なのだそうです。
その愛山について、文献では以下のように解説されておりました。
「 「愛山」は育成野帳によると、1941年に酒造米試験地で「愛船117」を種子親に、「山雄67」を花粉親に用いて交配された。翌1942年にF1個体が養成された。その後の育成経過は野帳などの資料が残っていないため不明である。1949年~1951年の福田原種圃の生産力検定試験には「愛山11号」の系統名で試験に供試されている。収量性は高いが品質がやや悪いとの理由で、1951年で試験は終了した。」(※3)
「 「愛山11号」の育成試験は1951年に打ち切られたが、酒米試験地の地元である加東郡社町では一部の農家や集落で栽培が続けられてきた。「愛山」の名称は、「愛山11号」の系統名が正式名であるが、現地で「愛山」として略して呼ばれていたことによると考えられる。その後、酒米試験地では1968年に品種保存栽培に供試するため、社町山国の農家から苗を譲り受け、場内栽培を行い特性調査をしている。そして、現地からの要望もあり純系淘汰を行い、1972年には種子を増殖して現地に提供し、現地では1973年からこの種子を用いての栽培が行われるようになった。その後も隔年で酒米試験地から現地に種子が供給された。さらに1985年からは酒米試験地で原々種栽培が行われ、3年毎にみのり農業協同組合に有償で提供され、表8に示すように、現在も加東郡社町で30ha以上の作付けが行われている。「愛山」は1980年に醸造用玄米の産地品種銘柄に指定されている。」(※3)
戦時中から育成が開始されていて、その育成がいったん止められてしまったにも関わらず復活し、育成から40年後になってようやく酒造好適米として認められるようになったお米だったのですね。
ところで、上記の記述には「「愛船117」を種子親に、「山雄67」を花粉親に用いて交配された。」とありました。
酒米の由来を紹介する文章では、たとえば「「山田錦」に用いた育種法は、人工交配による系統育種法である。交配は大正12年(1923)に行い、母親は「山田穂」、父親は「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」である。」(※4)というように、かけ合わせた品種の母と父とを区別して紹介している記述に出会うことが少なからずありますね。
この区別は、要するに“母親=種子親”/“父親=花粉親”という意味なのでしょうね。
生物学、特に植物学に詳しい御仁であればおそらく至極当然のことなのでしょうが、純然たる文系人間である私としては、目からウロコが落ちるがごとくの発見でしたよ、
ひとつおりこうになったところで、そろそろいただいてみたいと思います。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、かすかに茶色がかっておりました。
吟醸香ありますね。
けっこうはっきりしていますが、キツさはないみたいです。
花っぽいかおりですが、もしかしたらこのお酒にも花酵母が使われているのでしょうか?
うまみはやや淡めです。
お米のうまみを穏やかに感じます。
山田錦ほどではないものの、少し広がりがあるみたいです。
苦みや雑味はまったくありませんが、キレはそれほどでもないみたいです。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさは強くはないものの、鋭さを少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはひかえめです。
しかしゼロではなく、わずかに存在することがわかります。
吟香とお米のうまみとを酸味が引き締め、かすかな甘みがコクを添える、やや淡麗でやや辛口のおいしいお酒でした。
香りははっきりしているもののキツくはないことから、食事とも合わせやすいと思います。
それに吟醸酒だけあって苦みや雑味がまったくなく、上品な味わいに仕上がっておりましたが、きっとこの点が吟味して醸造された成果なのでしょう。
おいしいお酒ですが、私としては、純米酒の深みのある味わいのほうが好みでした。
(※1)『茨城の酒と蔵』p.136(2002.10 茨城新聞社)
(※2)副島顕子『酒米ハンドブック』p.6(2011.7 文一総合出版)
(※3)池上勝『酒米試験地の設立と初期品種系統「兵庫雄町」,「山雄67号」および「愛山」の育成経過』p.40(兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告〔農業編〕第54号 p.33-41 2006.3)
(※4)兵庫酒米研究グループ編著『山田錦物語 人と風土が育てた日本一の酒米』p.45(2010.4 神戸新聞総合出版センター)
【お酒】1124.来福 純米酒 純米カップ [08.茨城県の酒]
来福酒造株式会社
茨城県筑西市村田1626
アルコール分15度
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合 60%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
“来福”というお酒は、茨城県のお酒の中でも比較的有名な銘柄ではないでしょうか?
これは私の感想ですが、雑誌の日本酒特集でもよく紹介されているようですし、居酒屋でも見かけることが少なからずあるように思います。
そんな来福酒造さんの由来と酒銘とについて、文献には以下のように記されておりました。
「 江戸時代中期の1716(享保元)年に現在地で創業。一族はもともと近江(現滋賀県)の出身で、8代目までは日野を本拠としていた。社名・主銘柄の「来福」は、「福や来む 笑う上戸の 門の松」という俳句からとったもので、創業当初からのものという。」
そういえば、筑西市の隣の桜川市に蔵を置く村井醸造さん(公明)も、たしか近江国に由来する蔵元さんでしたよ。
もしかしたら、両社にはなにか関係があるのでしょうか?
話のネタが尽きたところで、そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ややはっきりした黄色でした。
一口含んでみて、まず酸味を感じました。
けっこうはっきりしています。
すっぱさがやや強めですが、角がなく、それに深みを感じました。
刺激やピリピリ感はありません。
うまみは濃くはないものの、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともに、お米のうまみをちょっと感じます。
香ばしさもちょっとだけあるようです。
苦みや雑味はありませんが、キレはそれほどでもないみたいです。
甘みはややひかえめです。
かなりさらっとした甘みをわずかに感じる程度です。
深みのある酸味が効いている、深旨やや辛口のおいしいお酒でした。
これは酸味の深みを味わうお酒でしょう。
すっぱさがちょっとはっきりしているものの、角がなく、しかも苦みや雑味がなくてきれいな味わいだと思います。
ただ、燗が冷めるにつれて酸味に角が少し出てきたみたいでした。
これ、うまいね。
あたしゃこういう味、大好きですわ。
(※1)『茨城の酒と蔵』p.139(2002.10 茨城新聞社)
【お酒】1121.こうめいカップ [08.茨城県の酒]
村井醸造株式会社
茨城県桜川市真壁町真壁72
アルコール分 15度
原材料名 米(国産) 米こうじ(国産米) 醸造アルコール 糖類
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
昨日いただいた公明(コーメー)のお燗瓶に引き続き、今日も村井醸造さんのお酒をいただきます。
今日いただくこのカップ酒は、お燗瓶の“公明(コーメー)”とは異なって、ひらがな表記の“こうめい”でした。
“米 こめ こうめい”って、なんか米米クラブみたい。
KOME WAR!
KOMEKOME WAR!
(オマエただそれが言いたかっただけだろ!)
でもね、やっぱり残念ながらこのお酒も、コーメーと同じ糖類添加の三増酒でした。
ということは、中身は同じお酒なのでしょうか?
それをたしかめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、やっぱりかすかに着いていることがわかる程度でした。
ああ、やっぱり。
ズバリ同じ中身でしょう!(←丸尾君で)
ちょい苦ちょいすっぱやや甘口のお酒でした。
でもね、なんとなくこっちのほうがちょっと濃いような気もするんだな。
まあでも、それはきっと個体差でしょう。
(じゃなくてオマエの舌がおかしいからじゃないのか。)