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99947.沖縄県のイムゲー ブログトップ

〈芋酒〉5.TARAGAWA IMUGE. 宮古島芋酒 25度 100ml [99947.沖縄県のイムゲー]

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製造者 株式会社多良川
沖縄県宮古島市城辺字砂川85

品目:スピリッツ
原材料名 紅芋(沖縄県産)・米こうじ(タイ産米)・粉黒糖(沖縄県産)
アルコール分25%
内容量100ml
(以上、ラベルより転記)




今週は、イムゲー3種セットを一つずついただきます。
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(国際通りにて)

最後の一本は、宮古島に蔵を置く多良川さんのイムゲー。
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ちょい水足しの水割りでいただきます。
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上立ち香はないですね。
でも含むと華やかな香りがふんわりと広がります。

芋の風味はふっくらで、重さもちょっと感じます。
黒糖の風味も分かります。
黒麹の香ばしさはひかえめかな。
甘みがしっかり、厚みを感じるほどです。


芋の風味と甘みとがしっかりの、おいしいイムゲーでした。

3本の中で、風味が一番しっかりしているようでした。
それでもクセなくて、飲みやすいね。
しかも甘みしっかりでマイルド。

これもうまいね!
イムゲー、もっともっと広まって、いろいろと飲み比べられるようになってほしいなぁ。
そのときには、また沖縄へ行きたいなぁ。

〈芋酒〉4.IMUGE. 請福酒造 イムゲー 25度 100ml [99947.沖縄県のイムゲー]

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製造者
請福酒造有限会社
沖縄県石垣市宮良959

品目 スピリッツ
商品名 イムゲー
アルコール分25度
原材料名 甘藷(沖縄県産)、米こうじ(タイ産米)、粉黒糖
内容量 100ml
(以上、ラベルより転記)




今週は、イムゲー3種セットを一つずついただきます。
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(国際通りにて)

請福酒造さんのイムゲーは、かつて〈芋酒〉2.IMUGE. 12度 200ml(請福イムゲー)をいただいております。

今日いただくこのイムゲーは、25度でした。
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ちょい水足しの水割りでいただきます。
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上立ち香は、華やかさをほんのりと感じます。
含むとそれが口の中でふんわりと広がります。

芋の風味はクセや重さがまったくなく、穏やかです。
黒糖の風味も穏やかに感じます。
甘みもしっかりしていますね。


風味が穏やかに効いていて甘みを感じる、おいしいイムゲーでした。

芋の風味だけではなく、黒糖の風味もわかりましたよ。
それでいて角やクセ、重さがまったくなくて飲みやすく感じました。

これもうまいね!

〈芋酒〉3.久米島の久米仙 「IMUGE.(イムゲー)」 25度 100ml [99947.沖縄県のイムゲー]

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製造者 株式会社久米島の久米仙
沖縄県島尻郡久米島町字宇江城2157

品目 スピリッツ
アルコール分 25度
内容量 100ml
原材料名 紅芋(久米島産)米こうじ(タイ産米)・粉黒糖





今週は、イムゲー3種セットを一つずついただいてみたいと思います。
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(国際通りにて)

イムゲーについてはかつてこちらで解説しておりますので、適宜ご参照下さい。


今日いただくこのイムゲーは、久米島の久米仙さんが造られたもの。
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度数は25度でした。
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それではいただきます。
ちょい水足しの水割りでいただきます。
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上立ち香は、鼻を近づけるとかすかに華やか。
含むとそれがふんわりと広がります。

芋の風味は重さやクセがまったくなくて、穏やかです。
でも風味にしっかりした感じがありますね。
黒麹由来と思われる香ばしさもほんのり。
甘みや苦みも然りです。


上品なのに風味しっかりのおいしいイムゲーでした。

クセがなくて、飲みやすい!
でも香りや風味、甘みが穏やかに効いておりました。

洗練されてはいるものの、飲み応えを感じました。
苦みすらいい感じに引き締めているようでした。

これはうまいね!
発掘された沖縄の酒文化、もっと広まっていろいろと試してみたいものです。

〈芋酒〉2.IMUGE. 12度 200ml(請福イムゲー) [99947.沖縄県のイムゲー]

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製造者 請福酒造有限会社
沖縄県石垣市宮良959

品目:スピリッツ
商品名:請福イムゲー
原材料名:甘藷(沖縄県産)、米こうじ(タイ産米)、粉黒糖
内容量:200ml
アルコール分:12度
(以上、ラベルより転記)




今日はイムゲーをいただきます。
イムゲーの何たるかについては〈芋酒〉1.IMUGE. カップ(久米島の久米仙)にて紹介しておりますほか、このイムゲーのラベルにも記載がありました。
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今日いただくこのイムゲーは、石垣島の請福酒造さんのもの。
度数は12度。前割りですね。
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まずは冷やしたものをいただきます。
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上立ち香はかすかに華やか。
含むとそれが口の中でふんわりと広がります。
芋の風味はこれもふんわりかな。
軽い苦みがかすかにあります。
甘みは弱め。
黒麹の香ばしさはわからず、黒糖の風味も感じませんでした。

さっぱりしているものの、風味ふんわりのおいしいイムゲーでした。

久米島の久米仙よりもさっぱりしていて、かつ風味は弱めでした。
それでも風味ふんわりでおいしくいただけました。


ここで、燗にしてみましたよ。
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芋の風味が際立ちますね。
ふんわりではあるものの、幅が出てまいりました。
甘みも少しはっきりしてきましたよ。
香りは引くかな。

燗だと風味に幅が出て、甘みが少しはっきりしたおいしいイムゲーになりました。

燗のほうがいいね。
久米島の久米仙と逆みたい。
逆にな!」(←ごきブラの赤井英和より)

〈芋酒〉1.IMUGE. カップ(久米島の久米仙) [99947.沖縄県のイムゲー]

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製造者 株式会社久米島の久米仙
沖縄県島尻郡久米島町字宇江城2157

品目 スピリッツ
アルコール分・12度
内容量・200ml
原材料名 紅芋(久米島産)米こうじ(タイ産米)・粉黒糖
(以上、カップの印刷事項より転記)




今日は、
イムゲー(芋酒)
をいただきます。


え?
なんだって?
「イムゲーって、どんなお酒なのか?」ってか。

その素性を知るためには、
前提として“泡盛”について押さえておかなければならないことがあるのです。



沖縄のお酒と言えば、泡盛でしょう。

しかしこの泡盛は、もともとは琉球王家の許可を得て製造・上納されていた貴重なもので、庶民が手を出すことはけっしてかなわなかったのだそうです。
このことについて、文献に以下のような記述がありました。

 琉球王府時代、泡盛の製造は首里三箇(しゅりさんか)と呼ばれる3町の焼酎職にのみ許され、王家の御用酒をつくる傍ら営業を行っていた。原料は王家から下賜され、それからできる一定量の泡盛を上納していた。
 米9斗に対し泡盛4斗を上納したというから、トンあたり収量300~400リットル、泡盛の度数を40%として計算すると、できた泡盛の50~70%を上納していたことになる。残りが製造人のものになる。
 もし、ごまかしがあれば家財没収、あるいは島流しになり、焼酎職という製造免許を持たずに密造するものがあれば斬刑に処せられたので、泡盛造りは命がけの作業だった。
 泡盛は王府の貴重な献上品であり、また焼酎職が営業用に回す泡盛も当然高価な酒になる。とても庶民が気軽に飲める代物ではない。」(※1)



では、琉球王朝時代の庶民は、いったいどのような酒を飲んでいたのでしょうか?

それが、“イムゲー(芋酒)”、すなわち芋焼酎だったのだとか。
このことについて、手書きの古い文献には以下のような記述がありました。

一旦芋酒ノ醸造ガ本県二行ハレテカラハ泡盛ニ求メ得ザル味・香ト原料ヲ安価ニ得ラルル事ト、醸造方法ノ簡便ナルコトナドわうシテ(原文ママ)、久シカラズシテ本酒ハ全国ヲ風靡シテシマッタ.芋酒ヨリ古ク本県ニ製造サレテヰタ泡盛ヲ圧倒スルノ観ガアッタ.カクシテ、芋酒ハ維新逅ハ芋酒ハ本県ノ日常酒精飲料トシテノ唯一ノ権威者トナツテヰタノデアル。泡盛ガ上流階級一部人士ノ飲料デアレバ、芋酒ハ中流以下殆ンド全般庶民ノ飲料トナツテヰタ。」(※2)

しかしイムゲーは自家醸造であったため、明治末期になって酒税法でお酒の自家醸造が禁止されてからは次第にすたれていったのだそうです。

斯クノ如ク上下一般ニ広ク愛好サレテ来タ酒モ明治四十一年一月県内消費ノ酒ニモ一様ニ酒税法ノ適用ヲ見ル様ニナツタ結果自由醸造ハ厳禁セラレ農家所有ノ蒸留器ハ全部撤去サレテシマツタ。當町官吏ガ各戸ニ厳密ニ点検シ器具ノ凡ベテヲ没収或ハ破壊シタ為メニ今デハ芋酒ハ勿論之ニ用ヒラレタ器具ノ片影ダニモ見ル事ガ出来ナイ。
 カクシテ永年ノ間沖縄一般ニ常用サレテ居タ芋酒ハ全ク廃滅シテ終ヘタノデアル」(※3)

このことについて、ある文献では「沖縄の芋焼酎とは異なり、薩摩の芋焼酎が壊滅することはなかった。琉球芋焼酎の廃滅は、沖縄に正当な酒、泡盛があったことによる悲劇といえるかもしれない。」(※4)と評しておりました。

察するに、明治に入って琉球王家の支配が解けたことで泡盛製造の制約が解禁され、“焼酎”としての免許があれば泡盛を自由かつ簡単に製造できることになったが故に、泡盛が広く普及したのでしょう。
一方でイムゲーは、先述のとおり自家醸造だったため、密造酒として扱われて製造が禁止されて衰退していったのでしょうね。

なお、カップにも、イムゲーについての解説がありましたので、紹介しておきます。
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ところが平成後期になって、沖縄でイムゲーを復活させる動きが始まったそうです。
ただ、「芋酒は一般庶民の酒であり、味噌などと同様、一家の主婦が自家用に作る酒であった。そのため、さまざまなバリエーションがあったはずであるが、文献としてほどんど残っていない。製造法に関して、当時の新聞や政府関連資料などさまざまな資料を当たったが製造法に関する文献は数例ほどしかかなかった。」(※5)とあるとおり、自家醸造だったが故に製法に関する資料が少なくて苦労なさったのだとか。

それでもどうやら、芋焼酎と同じく二次仕込みをした後に、最後に黒糖を添加する三次仕込みで製造することになったみたいですね。
(多良川さんWebsiteと久米島の久米仙さんWebsiteとで確認しました。)

今日いただくこのIMUGE.カップの品質表示にも、さつま芋(紅芋)とともに黒糖が表示されておりましたよ。
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かくして、沖縄で泡盛を製造する3社の協力の下、「平成30年11月 約100年ぶりに芋酒の復活にこぎつけた。」(※6)とのこと。。
この3社は、

・石垣島の請福酒造有限会社
・宮古島の株式会社多良川
・久米島の株式会社久米島の久米仙

偶然かもしれませんが、いずれも離島に蔵を置く蔵元さんというところが面白いですね。
那覇にあるわしたショップ((株)沖縄県物産公社)では、この3社のセット商品が販売されておりましたよ。
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それではいただきます。
12度と低めですから、まずは冷やしたものをそのままいただきます。
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色は無色透明でした。
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華やかな香りを上立ち香として感じます。
含むとそれが口の中で広がって、鼻へ抜けて行きます。

芋の風味は穏やかながらにはっきりとしています。
重さはゼロで、かつさっぱりしています。
香ばしさを少し感じますが、これはきっと黒麹とともに黒糖にも由来するものでしょう。
甘みも弱めながらにわかります。


IMUGE.カップは、さっぱりしているものの風味豊かでおいしくいただけました。

香りがはっきりで、芋の風味は穏やか。
香ばしさは黒麹由来のものだけではなく、奄美大島の黒糖焼酎に似たものも感じましたよ。

これ、おいしいね!
ただ、12度はちょっと薄めかな?
それ故にさっぱりしていたのかもしれません。



ここで、あらかじめ取り分けておいたものを燗にしてみました。
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より一層さっぱり!
苦みがちょっとでるみたい。
香りや風味は引きました。

これは燗よりも冷やしたほうがいいかも。


以上、
わが家でいただく、初めてのイムゲーでした。
(実は那覇の居酒屋でいただいておりました。)


(※1)鮫島吉廣『焼酎の履歴書』p.178(2020.6 イカロス出版)
(※2)田中愛穂『調査研究 琉球泡盛ニ就イテ-焼酎麴の原点-』p.559-561(限定復刻版 1978.8 ㈱出版ビジネス永田社)
(※3)(※2)p.569
(※4)(※1)p.181
(※5)豊川哲也『地方発バイオイノベーションの進展と機能性食素材開発 沖縄県発フードイノベーション(2) 琉球庶民の酒「芋酒(ンムザキ)の復活」』p.21(Food Style 21 23巻2号 p.20-22中 2019.2 食品化学新聞社)
(※6)(※5)p.22
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