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【お酒】379.鯉川 純米吟醸 DEWA33 180ml [06.山形県の酒]

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鯉川酒造株式会社
山形県東田川郡庄内町余目字興野42

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
山形県庄内地方産米「出羽燦々」100%使用
精米歩合50%
アルコール分15.0度以上16.0度未満(15.3%)
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日本酒度 +4
総酸度 1.3
アミノ酸度 0.7
180ML詰
(以上、ラベルより転記)


“DEWA33”という銘柄は、一定の基準に適合したお酒に、山形県酒造組合が名乗ることを許している銘柄のようです。
山形県酒造組合のWebsiteによれば、申請があったお酒が以下の条件を満たしているかどうかを審査するとのこと。
 ●「出羽燦々」を100%使用していること
 ●純米吟醸酒であること
 ●精米歩合55%以下であること
 ●山形酵母を使用していること
 ●山形オリジナル麹菌「オリーゼ山形」使用のこと


これら条件のうち、“出羽燦々”というのは、山形県で育成された酒造好適米の名称なのだとか。

山形県における酒造好適米の栽培は、かつては美山錦の作付けが奨励されていたそうです。
美山錦については、簡単にではありますがかつてこちらでふれておりますのでご覧ください。
これについてある文献では、以下のように紹介しています。
(以下、西暦は文献に記載されているものをそのまま転載しました。)

1987年には長野県育成の「美山錦」が優良品種に編入され、普及と一体となって作付け拡大と品質向上など生産体制の強化に取り組んできた。その結果、1994年に「美山錦」が作付けの9割以上を占め、県内需要の6割程度を確保できた。」(※1)

しかし、「「美山錦」は、長稈のため倒伏しやすく、心白の発現も不安定なため、作付面積は1991年に206haまで拡大したが、1994年には143haまで減少し、1996年には170haとなっている。」とのこと。(※1)

一方、山形県では「1984年から本格的に酒米育種を開始した。栽培面からは地域適応性を備えた短稈、耐倒伏性、安定収量などをねらいとした。醸造面からは大粒、心白の発現、低タンパク質などを目標に掲げた。」とのこと。
その結果、「1994年に好適米として「出羽燦々」が奨励品種に採用された」そうです(※2)。

出羽燦々の性質について、最初に紹介した文献では「稈が短いため倒れにくい。しかも、心白発現率が安定して高く、精米粗蛋白質含有率が低いなど玄米品質が優れている。」と紹介しています(※3)。
ということは、出羽燦々の完成によって、山形県の酒米育種の目標は達成できたということでしょうか。


ここからは、私の意見です。
山田錦のように、一般的に優秀であると言われている酒米は、その性質が優秀であるのみならず、長年にわたって多くの酒造家に使用された結果、酒造りの各工程においてその酒米のよさを最大限に活かす方法が広く知られてれているのだと思います。
たとえば、精米時の管理、浸水の時間や温度、お米の蒸し方、製麹工程の管理、酒母の造り方、そして仕込み時における醪の管理など、それぞれの工程において最適な管理方法があって、それが長年の経験の蓄積によってわかっているのでしょう。

一方、新しく育成された酒米は、たとえ酒米としての性質が優れていたとしても、その性質を最大限に活かすことができる酒造りの方法は、これから時間をかけて発見していかなければならないのではないかと思います。
それ故、新しく育成された酒米を使って酒造りを始めても、おいしいお酒を造ることはできないかもしれません。
逆に言えば、もしかして10年後には、その酒米が山田錦を超えるほど優秀であると賞賛されている可能性もゼロではないと思います。



あー、また悪い癖が出てしまいました。
理屈をこねるのはこのくらいにしておきます。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。


吟醸香は、それほど目立ちません。
ほんのわずかに存在していて、口から鼻へと抜けていきます。

うまみはやや淡めですが、しっかりしています。
お米の味が凝縮されているようなうまみです。
また、なぜか苦みをけっこうはっきりと感じます。

酸味はひかえめですが、その存在はわかります。
スッキリしていて、さわやかな酸味です。
すっぱさはほとんど感じません。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめで、ほとんど感じません。


お米のうまみとさわやかな酸味とを、苦みがうまくまとめているような、やや淡麗で辛口のお酒でした。
苦みがはっきりしているので、飲みやすくはないと思います。
ですが、お米のうまみをはっきりと感じ取ることができるお酒でした。
もしかしたら、10年後にはもっとおいしいお酒に化けているかもしれませんね。


(※1)長谷川正俊・加藤賢一・武田正宏『酒米新品種「出羽燦々」における高品質米生産のための栽培技術の確立』p.1(山形県立農業試験場研究報告 第31号 1997.3)
(※2)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.76(2000.3 養賢堂)
(※3)(※1)p.2

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