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【お酒】386.大関 超特撰 大坂屋長兵衛 大吟醸 180ml [28.兵庫県の酒]

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大関株式会社
兵庫県西宮市今津出在家町4-9

アルコール分15度以上16度未満
原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
精米歩合50%
180ml
(以上、瓶に巻かれたフィルムより転記)


大関さんのお酒は、かつてオダキュー天下の険上撰カップ(ワンカップ大関上撰と同じ中身か)をいただいております。
今日いただくこのお酒は、“超特撰”と銘打たれた大吟醸酒です。


このお酒には、“大坂屋長兵衛”という名前が付けられています。
この名前は、大関の創始者と、その子孫の何人かが名乗ったもののようです。

昭和43年に出版された文献には、大関の当主について以下のように記載されています。
大坂屋(長部家)の創業は、今から約二百六十年前の正徳元年(一七一一)、酒銘は「万両」といった。
初代は長兵衛をとなえ、二代、三代と襲名、明和二年(一七六五)四代目は文次良を名乗った。
五代目は再び長兵衛と称したが、この代に至って名字帯刀を許され長部姓を名乗り、六代目は長部文次郎、七代目から文治郎となって現在の十一代目に至るまで代々、文治郎を襲名してきている。」(※1)

なお、上記文献には「五代目は再び長兵衛と称したが…」と書いてありますが、この五代目長兵衛は、西宮の今津港にある“今津灯台”を文化七年(1810年)に自費で建てたことで有名です。

しかし、大関株式会社の現在の社長は、長部さんではないみたいです。
もしかして、会社をよりいっそう発展させるために、所有と経営の分離を決めたのかもしれませんね。

いずれにせよ、初代からしばらく襲名した名を超特撰のこのお酒につけたということは、きっと大関さんの酒造りについてのこだわりと自信とがこのお酒に込められているのでしょう。


ところで、上記でもふれましたが、このお酒の瓶には「始祖清酒大関 創業正徳元年」と記載されています。
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正徳元年(1711年)といえば、儒学者であった新井白石が、江戸幕府六代将軍徳川家宣と、その側用人間部詮房との三人でゴールデントリオを結成して、“正徳の治”をガンガン進めていた時期ですよ。
きっと白石は、「銅くずも同然の小判なんて、ありがたくもなんともねぇよ!」とか、「将軍ってのはさ、“大君”じゃなくって、“国王”なんだよ!!」とか言いながら、江戸城中を肩で風を切って歩いていたことでしょう。

すみません、言葉が過ぎました。
思慮深い新井白石が、そんなことをするはずがありません。
では、なぜここでわざわざ新井白石のことに触れたのでしょうか。
じつは、ちゃんとした理由があるのです。

新井白石は、八代将軍徳川吉宗から「お前、もう来なくていいから!」って言われて隠居したのちに、『折たく柴の記(おりたくしばのき)』という回顧録を書いています。
私のこのブログの“飲みたくなってシマッタの記”という名前は、この新井白石の『折たく柴の記』からもらったのなのです。
もらったんじゃなくて、パクったんだろ!


それでは、新井白石、じゃなくて大関さんの今日の発展の礎を築いた大坂屋長兵衛の功績に思いを馳せながら、このお酒をいただいてみたいと思います。
大吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。


お酒の色は、ほぼ無色透明ですね。
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吟醸香は、ほんのわずかに感じますね。

淡麗な口当たりのうまみですが、とてもしっかりしています。
お米のうまみ、しかもお米のおいしいところだけを抽出したようなうまみです。
しかも、雑味をまったく感じません。

酸味はかなり弱めです。
酛由来のものでしょうか、わずかにすっぱさを感じる程度です。
当然ながら、刺激やピリピリ感はまったくありません。

甘みは少しあって、お酒にコクを添えています。


お米のおいしいところだけを抽出したようなうまみを楽しめる、やや淡麗で旨口のおいしいお酒でした。
このうまみを阻害する酒臭さや雑味、それに酸味を最大限に抑えてあることがわかります。
しかも、うまみと酸味、甘み、それに吟醸香をも含んだすべてがバランスよく調和しているようです。
そのせいか、角がなくてまろやかで、そしてきれいな味わいに仕上がっています。
十分に吟味して造ってあることを感じとることができるお酒でした。
さすが大関、恐れ入りました。


(※1)大関酒造株式会社編『酒・さけ・酒』p.301-302(1968.4 毎日新聞社)
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あ~酒臭かった! 31

酒くさコメント 6

hanamura

(吟醸香は・・・バナナ、リンゴ、酢酸エチル、高級アルコール)
私の最近の嗜好は、麹の甘い香(袋残り香)です。
・・・というワケで、26BY「搾り立て」に、もうすぐ会えます。
「大吟醸」に分類される「搾り立て」は、年明けになりますがぁ・・・。
by hanamura (2014-11-14 00:01) 

toshi

大坂屋長兵衛、良い名前ですね。
コメント、ありがとうございました。
by toshi (2014-11-14 06:38) 

skekhtehuacso

hanamuraさん、吟醸香って、専門書では酢酸イソアミルやらカプロン酸エチルやらといわれていますが、文系の私にはさっぱりわかりませんわ。
かといって、バナナやらりんごやらセメダインやらというたとえもされていますが、吟醸香の区別ができるほど私の鼻はよくないみたいです。
お酒はやっぱり、酒臭いのが一番好きです。
by skekhtehuacso (2014-11-14 22:55) 

skekhtehuacso

toshiさん、コメントありがとうございます。
冷えてきたので、私もどこかの温泉に行ってみたくなってきました。

by skekhtehuacso (2014-11-14 22:57) 

ojioji

折りたく柴の記からのタイトルだったとは。
高尚さに気づけませんでした。
懐かしい書名を思い出させていただき、岩波文庫版をたぶん30年あまりぶりに書棚から取り出して拾い読みしてみます。
by ojioji (2014-11-17 07:49) 

skekhtehuacso

ojiojiさん、真似た名前は高尚かもしれませんが、このブログは酔っ払いが書いただけのものですから、内容はぜんぜん高尚ではありません。
確か折たく柴の記は、後鳥羽天皇の歌からその名をつけたとか。
ますます私は罰当たりですな。
ですが、新井白石の博学さと、物事に対する冷静さとには、大いに見習いたいところです。
by skekhtehuacso (2014-11-17 22:50) 

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