【お酒】398.鮎正宗 あゆカップ [15.新潟県の酒]
鮎正宗酒造株式会社
新潟県妙高市大字猿橋636
アルコール分15度
原材料名 米（国産）・米こうじ（国産米）・醸造アルコール
180ml詰
（以上、フタより転記）
灘の桜正宗さんを発祥とする“〇〇正宗”という名称は、どのような字句に続けても、お酒の名前としてそれなりの格好がつきますね。
これまでにいただいたお酒にも、由利正宗、大黒正宗や、丸眞正宗ってのがありました。
あそうそう、アルプス正宗に分福正宗、さらにはスキー正宗なんてのもありました。
今日いただくこのお酒の“鮎正宗”という名前について、文献には以下のような記述がありました。
「この鮎正宗というさわやかな酒名は、昭和の初め、赤倉に滞在された京都伏見の若宮博義殿下ご夫妻から、この地で鮎つりをされた折にいただいたものだが、まさしく香魚と呼ばれる鮎の名にふさわしい気品と芳純な香りをもつ酒である。」(※1)
また、蔵元さんのWebsiteでは、これと同じ内容の記述が紹介されています。
そりゃ、いかにも鮎釣りをしているときに思いつきそうな名前ですね。
（不敬な！）
いやいや、きっと殿下も、この名こそこの酒にふさわしいとお考えになったのでしょう。
ところで、私はこの“若宮博義殿下”なるお方について、まったく知りませんでした。
調べてみたところ、昭和の初めには、若宮という名前の宮家は存在していません。
ですが、伏見宮家に、“博義王”（明治30(1897)年－昭和13(1938)年）という方がいらしゃったようです。
他に博義というお名前の皇族はいらっしゃらなかったみたいですので、おそらくこの方が、鮎正宗と命名なさった若宮博義殿下ではないかと思います。
この博義殿下については、「伏見宮家は、博義王が父より先に昭和十三年に薨去し、」(※2)という記述が文献にありました。
また、“若宮”という言葉について辞書を引いてみたところ、「皇族の子」という意味がありました(※3)。
博義殿下が薨去なさった際、伏見宮家のご当主は、博義殿下の父である伏見宮博恭王でした。
そして博義殿下は、伏見宮家に属しながらも、その家を継承しないまま薨去されました。
それ故、これは私の推測ですが、最初に紹介した鮎正宗の由来を示す文献の“若宮博義殿下”という記述は、博義殿下のことを伏見宮家の若宮（＝皇族の子）として紹介しているのではないでしょうか。
そんな若宮博義殿下がその名をお付けになったこのお酒を、ありがたくいただきたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
一口いただくと、まず最初に甘みを感じます。
かなりはっきりした甘みです。
うまみは淡めです。
淡いせいか、あるいは甘みに隠れているせいか、酒臭さはひかえめです。
同様に、苦みや雑味は感じません。
酸味はややはっきりしています。
ちょっとピリッと感じますが、気にはなりません。
すっぱさはそれほど感じません。
甘みがはっきりしているものの、酸味との調和がほどよい、甘口のおいしいお酒でした。
甘いだけでなく、酸味とのバランスの上に成り立っている味だと思います。
やはり甘みには酸味ですね。
上越地方のお酒には甘口のものが多いように思いましたが、中でもこのお酒は甘みがはっきりしているほうだと思います（ただし糖添を除く）。
(※1)『にいがた地酒王国』p.134（1998.10 新潟日報事業社）
(※2)佐藤朝泰『伏見宮家』p.42（歴史と旅 平成12年9月号 秋田書店）
(※3)広辞苑 第五版
この蔵元のお酒は、新潟（上越市）の知り合いの方が持ってきてくれて飲んだのですが、とっても美味しかったです。カップの絵柄も鮎らしさがあっていいですね。ウチはいま愛媛のゆるきゃらバリィさんの絵柄のカップをコップとして使っている状態です。
by 遠霞（とおがすみ） (2014-11-26 21:53)
遠霞さん、コメントありがとうございます。
これまでにいただいた上越のお酒はほどよい甘口のものが多いものの、それでいてクドさがないのでおいしかったと思います。
ブログを拝読していていつも思っていたのですが、やはり遠霞さんは日本のお酒にかなり通じていらっしゃいますね。
これからも勉強させていただきます。
by skekhtehuacso (2014-11-26 23:15)
おはようございます！
イラストが清々しいですね✿
今回もいろいろ勉強になりました(^^)
by ちゅんちゅんちゅん (2014-11-28 07:13)
ちゅんちゅんちゅんさん、私はどうでもいいことを調べるのが好きで、こまかいことばかり書いてしまっております。
役にたたないことばかりですので、適当に読み流してやってください。
by skekhtehuacso (2014-11-28 23:30)