《焼酎》44.黒伊佐錦 200ml【追記あり】 [9946.鹿児島県の焼酎]
大口酒造株式会社
鹿児島県伊佐市大口原田643
本格焼酎
原材料/さつまいも 米麹(黒麹・国産米)
アルコール分/25度
内容量/200ml
(以上、ラベルより転記)
今日は、鹿児島県の北部、伊佐市で焼酎を造っていらっしゃる大口酒造さんの芋焼酎をいただきます。
大口酒造さんは「1970年、伊佐郡のメーカー13社中11社が集って設立した。」(※1)という大口酒造協業組合を前身とし、平成19年に株式会社化なさったのだそうです。
今日いただくこの黒伊佐錦は、黒麹を使用した芋焼酎なのだとか。
黒麹についてはかつてこちらで触れておりますが、その黒麹が見直されるきっかけを作ったのは、まさにこの黒伊佐錦だったのだそうです。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。
「 各社が黒麹を見直すきっかけを作ったのが、大口酒造協業組合だった。同社は1970年に設立。大口・菱刈にあった13社中11社が参加するという大型の合同である。(中略)
大口酒造が黒麹を使った銘柄「黒伊佐錦」を発売したのは87年。前述したように黒麹は作業性は悪いが、コクがあってまろやかな甘口の酒質が得られる。芋はコガネセンガンがメインだ。黒伊佐錦は初年度に1升ビン3万本を発売したが、わずか1ヵ月で売り切れ。翌年は10万本、翌々年は30万本と右肩上がりに生産量を増やしていった。この大ヒットにより、他社も黒麹を使った焼酎造りに取り組み始めた。」(※1)
「 この黒麹菌NKを使って開発され、1987年に大口酒造協業組合から発売されたのが「黒伊佐錦」である。甘さ・うまさが違う黒伊佐錦は、グングン売上げを伸ばし、本場鹿児島の定番商品の地位を築いた。
その後、黒伊佐錦が売れることによって、もう一度黒麹を使ってみようという機運が生まれたのが1998~2000年。どの焼酎蔵でも、黒麹を使った銘柄は好調に売れている。これが今の芋焼酎ブームの大きな要因になった。飲んでみてうまい。それから香りも黒特有のものがある。これまで敬遠されていた芋焼酎の芋臭さがあまり感じられず、煮た芋や焼き芋の好まれる香りとなった。」(※2)
これほど売れた芋焼酎であれば、さぞやおいしいことでしょう。
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
25度の焼酎ですので、今日は半分だけいただきます。
残りは明日、別の飲み方で試すことにいたします。
(その感想は、明日この記事に追記します。)
まずは生(き)、すなわちストレートで。
25度ですが、アルコールの香りはほとんど感じません。
たしかに黒麹らしい香ばしさはありますが、それほど強くはないですね。
むしろ、華やかな香りがあって、すこしはっきりしています。
芋っぽい風味は弱めで、甘みも弱めです。
苦みや雑味はありません。
次に、お湯割りで。
おお!
これはいい!!
華やかな香りが豊かになりました。
かなりフワッと感じますよ。
それに、華やかさの影にどっしりした重さをちょっとだけ感じ、それが後味のように残ります。
また、香ばしさに深みが出てくるようですね。
酸味は最初はそれほどでもないものの、冷めてくるにつれて徐々にはっきりしてきます。
苦みや雑味はありません。
翌日
残りをロックでいただきます。
トロッとした口当たりとともに、甘みをほんのりと感じます。
黒麹っぽい香ばしさ(かびっぽさ?)は少しはっきりしてきましたが、しつこさはありません。
香りは、華やかさは少し引きますが、その分、どっしりとした重さや深みが前に出て来るようです。
また、苦みがちょっと出て、弱めながらも鋭さを少し感じます。
私としては、香りが華やかで深みを感じたお湯割りが好みでした。
でも、やわらかさを感じる生(き)や、どっしり感がはっきりしていたロックも美味しいと思います。
どの飲み方でも黒麹の風味は感じるものの、しつこさがなくて飲みやすいのではないでしょうか。
それでいて飲み応えを感じる、おいしい焼酎でした。
この味わいならば、この焼酎の発売が黒麹が再認識される契機となったことも頷けると思いましたとさ。
(※1)株式会社フード・ビジネス発行『薩摩焼酎・奄美黒糖焼酎』p.24(2001.5 柴田書店MOOK)
(※2))立山雅夫『やっぱり芋焼酎』p.100(2005.2 同友館)
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