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【お酒】662.酉与右衛門(よえもん) 純米酒 [03.岩手県の酒]

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合資会社川村酒造店
岩手県花巻市石鳥谷町好地12-132

原材料名:米・米麹
原料米:徳島県産山田錦100%使用
精米歩合:70%
アルコール分:15.0度以上16.0度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)



今回は、あらかじめおことわりしておきたいことがございます。

このお酒の名前は、“よえもん”というらしいのです。
そしてその酒銘の“よ”に相当する漢字は、“酉(とりへん)”“与”と書くのだとか。
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ですが、私のPCにはこの漢字が登録されておりませんでした。
そこで、へんとつくりとを、敢えてそれぞれ単体の漢字で表示しておきました。

以下、“酉与”と表記している場合は、“よ”と読む一つの漢字であると判断していただきたく存じます。


そんな難しい酒銘ですが、ちゃんと意味がありましたよ。
これについて、文献では以下のとおり紹介しておりました。

川村酒造店は大正十一年に創業した。戦時下の昭和十七年には、企業合同により設立された花巻酒造に参加。終戦後間もない二十一年に独立し、再び川村酒造店として醸造を始めた。
創業者の川村酉与右衛門は名杜氏として知られ、二十四歳の若さで杜氏をつとめたという。そして一関・胆沢の造り酒屋を経て、町内の照源酒造店(現・宝峰)の杜氏となった。
照源酒造店で初めて仕込んだ酒は東北六県酒造鑑評会で優秀賞を受賞。翌年には全国清酒品評会で壱等賞金牌の栄誉に輝くなど、杜氏としての腕は高く評価された。」(※1)

要するに、創業者にして名杜氏であった人の名前を酒銘にしたということですね。


そんなこのお酒ですが、徳島県産山田錦を100%使用しているのだとか。
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岩手のお酒であれば岩手のお米を使ってこそ正真正銘の岩手の地酒ではなかろうかと、私なんかは思うのですよ。
しかし、これについて文献では、杜氏さんの話として以下のように紹介していました。

肝心の米は、兵庫の山田錦や滋賀の玉栄など本場の酒造好適米を仕入れている。「酒の味は米によって左右される。その年の出来よりも品種の違いのほうが大きい」と、素材にこだわる理由を語ってくれた。」(※2)

なるほど、米については、年ごとの出来ばえよりも、酒造好適米の品種や血統を重要視なさるのですね。
そういえば、「好適米が好適であるのは皆が好適であると思うからである。」(※3)として、酒造好適米の優位性を否定する文献を、かつて紹介したことがありました。

申し訳ございません。
どちらが正しいのかは、私にはわかりません。
私にわかるのは、そのお酒がおいしいかどうかだけです。


いずれにせよ、蔵元さんがこだわって造っていらっしゃるわけですから、さぞやおいしいことでしょう。
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

遮光性を高めるための方策でしょうか、カップには色が着いています。
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このままではお酒の色がわかりませんので、盃に注いでみました。
その結果、少しだけ色が着いているのがわかりましたよ。
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おお、これは!

まず最初に、酸味を感じました。
すっぱさは強くはないですが、酸味自体に深みがありました。
これは私の好きなやつですぞ!
刺激やピリピリ感はありませんでした。

うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみの中に、お米のうまみがピンと筋を通しているようです。
それでいてキレがよく、スッと引いていきます。
苦みや雑味はまったくないですね。

甘みはひかえめでした。
よく味わうと、ほんのわずかには存在するみたいです。
ですが、コクには影響しない程度でした。


深みのある酸味とキレのよいうまみとの、やや濃醇で旨やや辛口のおいしいお酒でした。
この深みのある酸味に、私は弱いんですよ。
これが徳島県産山田錦を使用した成果なのでしょうか?
正確なことはわかりませんが、少なくともこういう味は、三増酒じゃ絶対に出せません罠。



(※1)岩渕公二『岩手の酒蔵』p.98(1998.10 岩手日報社出版部)
(※2)(※1)p.100
(※3野白喜久雄『酒造好適米 その過去、現在、将来』p.16(日本醸造協会誌第59巻第7号 1964) )
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あ~酒臭かった! 56

酒くさコメント 6

エクスプロイダー

ネットのどこ見ても「酉」と「与」の合体させてますね。ネット泣かせな字ですが、ここ数年来ているんですよね。
行き着けの酒屋に売っているけど、何か買わなくて・・・いつか買おうと思っております。
by エクスプロイダー (2015-09-09 22:24) 

skekhtehuacso

エクスプロイダーさん、行き着けの酒屋に売っていたのですか。
私は大概はお酒を買った店のことは覚えているのですが、このお酒だけはどこで買ったのか全く覚えていませんでした。
そのことを本文中に書こうかと思ったのですが、他にネタがあったので止めました。
by skekhtehuacso (2015-09-09 23:33) 

こいこい

口に合うお酒に出会うと嬉しくなりますね。徳利とかもいいのに出会うとついお酒が進みます。
by こいこい (2015-09-10 16:05) 

newton

酉与右衛門にもワンカップがあるのですね。このお酒はたまにいただきますが、美味しいお酒ですね。
by newton (2015-09-10 17:10) 

skekhtehuacso

こいこいさん、そういうことがあるからこそ、この趣味はやめられませんのですよ。
徳利もですが、私はふと入ったせともの屋で気に入った盃に出会うと、うれしくなってつい連れて帰ってきてしまいます。
by skekhtehuacso (2015-09-10 22:29) 

skekhtehuacso

おお、お酒通のnewtonさんがおいしいとおっしゃるのだから、こりゃ本物ですね。
このカップ酒なんですが、どこで入手したのかさっぱり覚えていないんです。
人形町だったかな?
by skekhtehuacso (2015-09-10 22:30) 

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