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《焼酎》73.スーパーライトかんろ 20度 200ml [9945.宮崎県の焼酎]

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京屋酒造有限会社T
宮崎県日南市油津二丁目3番2号

本格焼酎
200ml詰
アルコール分20%
原材料 甘藷、米麹(国産米)、米(国産)
(以上、ラベルより転記)




昨日いただいた松の露は宮崎県日南市の地焼酎でしたが、その蔵元さんは山間部にある飫肥(おび)の街に蔵を置いておりました。

一方、この“スーパーライトかんろ”なる芋焼酎を造る京屋酒造さんが蔵を置く場所も日南市ですが、それは日向灘に面した油津(あぶらつ)でした。
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飫肥と油津とはもともとは別の街(飫肥町/油津町)でしたが、それが昭和25年に合併して日南市となったそうです。
両街は飫肥杉の産出を通じて古くからつながりがあったそうで、「車はやがて日南市に入る。昔の飫尾(原文ママ:飫肥の誤りか)町・油津町が市の中心部だが、山間部の飫尾(ママ)は伊東氏の城下町として栄えていたところである。海に面した油津の方は鰐塚山脈から産する飫尾杉(ママ)の積み出し港であったし、現在ではカツオ・マグロの漁業基地でもある。」(※1)とあるとおり、飫肥やその奥に位置する山々で産出した飫肥杉は、油津の港に集積された後、各地へと出荷されていったのだとか。

飫肥杉についてはかつて“飫肥杉 爽(さわやか) 20度”をいただいた際に触れておりますので、こちらをご参照下さい。

また、油津の港には、もともとは飫肥から川がつながっていなかったそうです。
しかし、飫肥杉の売上を重要財源とする飫肥藩は飫肥から流れる広渡川と油津港との間に堀川運河を開削して飫肥杉の積み出しを容易にしたのだとか。
そのことについて、文献では以下のように触れておりました。
 また、天和三年(一六八三年)には、藩主祐実は飫肥杉の船積みを容易にするため、二ヵ年余をかけて油津港に通じる堀川運河を開いた。
 それまで飫肥杉は、筏に組んで広渡川口まで流し、そこからさらに海に出て「尾伏の鼻」を廻って油津港から船積みしていた、これを、広渡川口から「堀」を開削して直接油津港へ運送するのが堀川運河である。
 この運河は延長十五町(約一四〇〇メートル)、幅十二、三間(約二二メートル)、深さ二尋ないし四尋(約三~六メートル)のもので、岩盤を砕く難工事であった。当時としては思い切った大事業であり、その後の飫肥林業と油津港の発展に大きく貢献したのである。」(※2)

前提知識ゼロでの素人的な感想ですけれど、1.5km弱の距離を開削するのに2年以上もかかったということは、かなりの難工事だったのではないでしょうか。

下記地図の中央を北から南へと流れる川が、その堀川運河です。



この堀川運河の河口は、かつて映画『男はつらいよ 第45作 寅次郎の青春』の舞台となったことで知られておりますね。
河口に架かる堀川橋の近くで床屋を営む蝶子(風吹ジュン)が寅さんを散髪する姿には、あたしゃ色っぽさを感じましたよ。


飫肥と油津との関係に触れるのはこのくらいにしておいて、話を焼酎へ戻しましょう。
天保5年(1834年)の創業。180年以上の歴史をもつ老舗焼酎蔵。」(※3)という京屋酒造さんのこの芋焼酎をいただきますよ。

この芋焼酎ですが、主原料に米を併用しているようでした。
このことは、米麹とは別に“米”の単独表示があることからわかります。
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主原料に米を併用している芋焼酎は、かつて明月ハイカップで経験しております。
それによれば、米の併用は「香りを和らげ、ほんのりとした香りと口当たりのよい本格焼酎」(明石酒造さんのWebsite)に仕上げるためでした。
ということは、今日いただくこのスーパーライトかんろも、香りが和らいでいて、口当たりがよいのでしょうか?
それを確かめるべく、いただいてみたいと思います。



まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
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ピリピリ感はありません。
一口含むと、芋のふっくらした風味がフワッと漂いますよ。
華やかさもちょっと感じます。
米の風味は、言われないとわからないかもしれません。
それに、甘みがけっこうしっかりしておりますよ。
重さはなく、苦みもありません。



次に、お湯割りで。
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これは軽いね!

米のふっくらした風味が少し引きますが、米の風味がちょっと出てきたみたいです。
酸味と軽い苦みとがちょっと出て、引き締まった感じがします。
ですが甘みはちゃんと残っていて、味わいを和らげてくれておりますよ。



最後は、残ったものをロックで。
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ロックだと、トロッとした口当たりになりますね。
一方で風味が立たずに引いて、どっしりとした感じになりました。
軽い苦みも少し出ております。
ですがここでも甘みがちゃんと残っていて、味わいを和らげてくれております。



さっぱりしていて軽いのに、風味しっかりのおいしい芋焼酎でした。
味わいに重さがないところが、“スーパーライト”たる所以なのでしょう。
ですがそれでいて芋のふっくら感がちゃんとあったことから、けっして薄っぺらさは感じませんでしたよ。
それにこの芋焼酎は、甘みがいい塩梅に味わいを和らげてくれているようでした。

お湯割りだとスイスイ行けて、ロックだとクセがないもののどっしりとした味わいを感じることができました。
なかなかいけるのではないでしょうか。


(※1)前山光則・江口司『山里の酒―九州蔵元紀行』p.261-262(1999.12 葦書房)
(※2)吉田常政『城下町 飫肥ガイド-九州の小京都-』p.77(1978.12 2001.7改訂5版 日南市観光協会)
(※3)『焼酎一個人 vol.1 今、最高においしい焼酎(BEST MOOK SERIES 47)』p.17(2017.7 KKベストセラーズ)
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