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【お酒】1436.花羽陽 吟醸酒 300ml [06.山形県の酒]

(2018/08/19:文章を修正しました)

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株式会社小屋酒造
山形県最上郡大蔵村大字清水2591番地

原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合/55%
アルコール分/14度
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




最上地方で唯一の蔵元さんである小屋酒造さん。
かつて精撰 最上川 300mlと、花羽陽カップ、そして最上川カップをいただいております。
いずれも普通酒でしたが、今日いただくこのお酒はアル添吟醸酒です。
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“最上地方で唯一の蔵元さん”と書きましたが、これが意味するところをちょっと触れてみたいと思います。

山形県は、歴史や文化、風土、気候などから、
日本海に面する庄内地方
内陸部の最北部に位置して秋田県と県境を構える最上(もがみ)地方
県庁所在地である山形市を抱える村山地方
県南部に位置していて福島県や新潟県と県境を構える置賜(おきたま・おいたま)地方
の4つに分けることができます。
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また、“吟醸王国”を自認する山形県には50もの蔵元さんがあるのですが、なぜか不思議なことに最上地方には蔵元さんが1軒しかないのです。
その1軒が、今日いただくこの“花羽陽”を造る小屋酒造さんなのです。

昭和の中期に発行された古い文献(※1)によれば、かつては最上地方にも小屋酒造さんのほかに“此君(このきみ)”(佐藤酒造店:最上郡最上町大字瀬見)や、“最上川”(新庄酒造:新庄市十日町)、“柳満喜(やなぎまき)”(古口酒造:最上郡戸沢村)などの蔵元さんがあったそうです。
もしかしたらこれらは全てではなくて抜粋して紹介されたものかもしれませんが、それでも、置賜・村山・庄内の各地方と比べると最上地方の紹介数が少ない(全57軒中、4軒)ことが、この文献からわかります。
ということは、おそらく昭和中期においても、最上地方の蔵元数は少なかったのでしょう。

どうして最上地方だけ、昔から蔵元さんの数が少なかったのでしょうか?
以下は、あくまでも私の仮説です。
山形県の内陸部の最北部に位置する最上地方は県境で秋田県と接していて、しかも東北屈指の銘醸地である湯沢(秋田県湯沢市)に近い場所にあるわけですよ。
それ故、もしかしたら湯沢の酒(両関、美酒爛漫、福小町、一滴千両、小野之里、金時、銀嶺白山)が古くから雄勝峠を越えて入ってきていて、それらが最上地方での酒造りを圧迫していたのではないでしょうか?

この仮説を検証すべく、酒集めの成果を度外視して、いつか最上地方のスーパーや酒屋さんを回ってみたいものですわ。


気が済んだところで、いただいてみたいと思います。
このお酒は吟醸酒ですが、あたしゃラベルに“要冷蔵”の文字があったことを今日の今日まで完全に見落としておりましたよ。
もしかしたら、これって生酒だったのかな?
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なお、生酒や生貯蔵酒である旨の表示はあくまでも任意ですが(※2)、生酒のように「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」にであれば、「「要冷蔵」、「冷蔵庫に保管して下さい。」、「冷やしてお早めにお飲みください。」」等の「消費者及び流通業者の注意を喚起するための表示」を「保存若しくは飲用上の注意事項」として表示する必要があります(※3)。


常温保存でしばらく放置してしまったことから劣化が心配ですが、いまさら嘆いても仕方がありません。
そこで、冷蔵庫で冷やしたものをいただいてみたいと思います。

お酒の色は、ほぼ透明でした。
これだったら、劣化はないかな。
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盃に注ぐと、花のような香りがふわっと漂います。
そして一口含むと、その香りが鼻へと抜けて行きますよ。
でも、香り自体にしつこさはないですね。
またフレッシュな風味も少しあるみたいです。

うまみは淡めです。
米のうまみが広がらず、舌の上をピンと突いてくるみたいです。
苦みや雑味はゼロ!
キレもよく、味わいがスッと消えていきます。

酸味はややはっきりかな。
すっぱさが弱めであるものの、弱めなりに鋭さを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはこれもややはっきりでしょう。
かなりさらっとしているものの、穏やかに効いておりますよ。


香りがふんわりで淡めのうまみを酸味が引き締める、淡麗爽快やや甘口のおいしいお酒でした。
吟香もフレッシュさもしつこくなくてちょうどよい感じでした。
劣化した感じはなく、一方でフレッシュさをちょっと感じたことから、もしかしたら生貯蔵酒だったのでしょうか?
かなりさわやかで、しかも雑味がゼロできれいな味わいでした。

小屋酒造さんのお酒は普通酒もきれいな味わいでしたが、吟醸酒ではそのきれいな味わいがよりいっそううまく働いているように思いましたとさ。

(※1)武田好吉『山形の酒』“附録 山形県優良銘酒案内”(1956.1 三省堂出版部)
(※1)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(5)(6)
(※2)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)3(3)、酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達第86条の6 酒類の表示の基準 2(3)ハ

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