SSブログ
08.茨城県の酒 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

【お酒】1120.公明(コーメー) お燗瓶 [08.茨城県の酒]

4757.JPG4758.JPG4759.JPG
村井醸造株式会社
茨城県桜川市真壁町真壁72

原材料名/米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール・糖類
アルコール度数/15度
正180ml詰
(以上、瓶の印刷事項より転記)




江戸時代前期の延宝年間(1673~80年)に、現在地で創業したと伝えられる。初代は近江(現滋賀県)の出身。この地は、江戸時代に笠間藩の陣屋があり、商業地として栄えた。」(※1)という村井酒造さん。

その公明(コーメー)という酒銘について、文献に以下の記述を見つけました。
 村井社長によると、もともとは『公明正宗』という銘柄を使用していたが、戦後から現在の『公明』とした。公明の命名にはいくつかの由来があり、一つはつつましく清廉潔白に生きたいという願いを込めた「公明正大」からの引用。そして、公明(コーメー)は『米(コメ)』に通じるとして名付けたと伝えられているという。」(※2)


そんな米に通じるという公明ですが、残念ながら糖類添加の三増酒でした。
ただし、酸味料は添加されていないみたいです。
4760.JPG

普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、かすかに着いていることがわかる程度でした。
4761.JPG


うまみはやや淡めです。
酒臭さ(←ほめ言葉です)はかすかに感じますが、いささか画一的な味わいにも思います。
軽い苦みもややはっきりしています。
しかしキレはよいみたいです。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさは強くはないものの、それに鋭さを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
とろみのような舌触りは少しあるものの、べとついた感じはしませんね。


やや淡麗でちょい苦ちょいすっぱやや甘口のお酒でした。
軽い苦みやとろみのような舌触りはあるものの、クドくはないせいか、飲みにくさはないと思いました。
でもやはり三増酒だからでしょうか、うまみに深みを感じることはできませんでした。

(※1)『茨城の酒と蔵』p.131(2002.10 茨城新聞社)
(※2)(※1)p.129-130

【お酒】1118.上撰 十大 ミニカップジューダイ [08.茨城県の酒]

4746.JPG4747.JPG4748.JPG
青木酒造株式会社
茨城県古河市本町2-15-11

原材料名 米・米こうじ・醸造アルコール
アルコール分15.0度以上16.0度未満
180ml
(以上、フタとカップとの印刷事項より転記)
(米の産地表示なし)




昨日いただいた御慶事ミニカップゴケイジに引き続き、今日も青木酒造さんのお酒をいただきます。
今日いただくこのお酒は、“十大”と銘打たれ、上撰の小印が付けられた普通酒です。
4749.JPG

十大という酒銘については、文献に以下の記述がありました。
もう一つの「十大」は、6代目が酒の品質では「十大メーカー」であるという自負と、紙に書いて裏からも十大と読め「商いには表裏がない」ということから名付けた。」(※1)

御慶事には小印が付けられていなかったことから推察するに、御慶事は佳撰クラス(二級酒相当)のお酒なのでしょうか?
ということは、青木酒造さんでは上撰と佳撰とで酒銘が異なるわけですね。


カップには、こんな絵が描かれておりました。
4750.JPG


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色はそれほど目立ちませんが、御慶事よりははっきりしているようでした。
4751.JPG


うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを感じます。
香ばしさと軽い苦みともかすかにあるみたいです。
ですがキレがよく、しかも透明感を感じます。

酸味はややひかえめです。
さわやかさを少し感じる程度です。
すっぱさはほとんど感じません。
ですが、ほんのかすかにピリッと感じるようです。

甘みはややはっきりしています。
とろみのような舌触りをちょっとだけ感じます。


うまみがはっきりしているもののキレのよい、やや濃醇でやや甘口のお酒でした。
御慶事よりも濃いめですね。
これはあくまでも私の推測ですが、キレがよくて透明感があることから推察するに、しっかりと造ったお酒を多めのアルコールでのばしているのではないでしょうか。
でも、けっして雑な造りではないようでした。

(※1)『茨城の酒と蔵』p.163(2002.10 茨城新聞社)

【お酒】1117.御慶事 ミニカップゴケイジ [08.茨城県の酒]

4741.JPG4742.JPG
青木酒造株式会社
茨城県古河市本町二丁目15-11

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分 16度
180ml詰
(以上、フタとカップとの印刷事項より転記)




dancyuの今月号(2017年3月号)を読んでいたところ、青木酒造さんが紹介されていることを見つけました。
4743.JPG
sck64.JPG
それによれば、会津若松で修行した杜氏さんを含む3名(4名?)で酒造りをしているものの、全国新酒鑑評会では3年連続で金賞を射止めるなど、他にも数々の栄誉を獲得しているという実力派なのだとか。

そういえば、昨年末に青木酒造さんを訪れてお酒を入手していたことを思い出し、今回いただいてみることにいたしました。


このお酒の酒銘ですが、“御慶事”と書いて、“ごけいじ”と読むのだとか。
4744.JPG
なんでも、「主銘柄の「御慶事(ごけいじ)」は、3代目が大正天皇ご成婚の折、皇室の繁栄と日本の国のますますの隆盛の願いを込めて、「最高のよろこびこと」という意味で命名し、商標登録している。」(※1)のだとか。
戦前から続く銘柄なのですね。


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほぼ透明でした。
4745.JPG


うまみは淡めです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみをかすかに感じる程度です。
香ばしさもあるみたいですが、これもほんのかすかです。
切れはよく、しかも透明感を感じます。
苦みや雑味はありません。

酸味はややひかえめです。
すっぱさは弱めですが、弱いなりに鋭さがちょっとだけあるみたいです。
さわやかさも少しありますが、これはアルコール由来でしょうか。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
かなりさらっとした甘みをほんのりと感じます。


キレよく透明感のある、淡麗やや甘口のお酒でした。
これは私の推測ですが、この透明感は、アルコールの添加量が多めであることに由来するのではないでしょうか?
こういう透明感があるお酒にはもとの味が雑なもの(のように思われるもの)が少なからずありましたが、このお酒に関してはそういった感じはなく、むしろ丁寧に造ってあるのではないかと思いました。

冒頭で言及したdancyuでは、青木酒造さんの杜氏さんが目指すお酒の味について「「飲んでいる人がやわらかい表情になる酒ですね」という、禅問答のような答えが返ってきた。味で表現するなら、穏やかで、澄んだ明るさがあって、さらりと力みのない酒ということになるだろうか。」(※2)と書かれておりましたが、さもありなんといったところでしょうか。

(※1)『茨城の酒と蔵』p.163(2002.10 茨城新聞社)
(※2)dancyu 2017年3月号 p.78(堀越典子『杜氏として生きる。』p.76-79中)(プレジデント社)

【お酒】1115.男女川(みなのがわ) 純米吟醸 300ml [08.茨城県の酒]

4732.JPG4733.JPG
稲葉酒造場
茨城県つくば市沼田1485番地

原材料…米(国産)・米麹(国産米)・筑波山の湧き水
精米歩合50%(酒造好適米100%使用)
アルコール分…15度
容量…300ml
(以上、ラベルより転記)




筑波山の麓に蔵を置く蔵元さんのお酒です。
sck44.JPG
sck45.JPG


このお酒ですが、“男女川“と書いて、“みなのがわ”と読むそうです。
4734.JPG
この酒銘について、文献には以下のような記述がありました。
 「つくばねの 峰より落つる男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」(万葉集・陽成院作)。男女川(みなのがわ)は筑波山中を流れる小さな川だが、古歌の枕詞としてたびたび引用されてきた。そんな由緒ある川の名を主銘柄とする老舗蔵(中略)伝統の造り「袋づり」で手間を掛けて醸された純米吟醸酒の評判は上々という。」(※1)

袋吊りは造りではなくて搾りだろ!というツッコミは止めておきまして(やってんじゃないか!)、きょういただくこのお酒も純米吟醸酒ですが、はたしてこれも上々のお味なのでしょうか?

純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、かすかに着いていることがわかる程度でした。
4735.JPG


こりゃすっぱいな!
最初に酸味を感じました。
すっぱさがはっきりしていて、耳の下辺りを突いてくるようです。
でも、酸味自体に深みもあるみたいです。
刺激やピリピリ感はありません。

吟醸香はかすかにあるみたいです。
フルーティーな香りをほんの少しだけ感じます。
それよりも、酒臭い(←ほめ言葉です)香りのほうがはっきりしているようです。

うまみはやや淡めです。
米のうまみのようですが、添加されたような(あくまでも感想です)均一感もちょっとだけあるみたいです。
また、吟醸酒らしい軽い苦みも少しだけ感じます。

甘みはひかえめです。
かなりさらっとした甘みをほんのちょっとだけ感じます。


酸味が効いた、すっぱ辛口のお酒でした。
吟醸造りのお酒にしては香りが酒臭くて(←あくまでもほめ言葉です)、しかもけっこうすっぱく感じました。
それに、うまみがこの酸味に隠されているように思いました。
これはあっさりした食べ物よりも、むしろ脂っぽい食べ物のほうが合うのではないでしょうか。

そういえば、私が大学生だった頃、大学の近くにあった食堂に“豚筑波焼”なる濃いめに味付けされた肉野菜炒めのような料理があったのですが、そういう食べ物には合うのではないかと思いました。

(※1)『茨城の酒と蔵』p.140(2002.10 茨城新聞社)

【お酒】1100.常陸花霞 カップ [08.茨城県の酒]

4659.JPG
野村醸造株式会社
茨城県常総市本石下2052

アルコール度15度以上16度未満
原材料 米・米麹・醸造アルコール
茨城産千代錦70%精米
茨城ひたち酵母
筑波山系「岩内湧水」使用
日本酒度+4
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




おとといいただいた純米吟醸の筑波鷺カップに引き続き、今日も野村醸造さんのお酒をいただきます。
今日いただくこのお酒には特定名称が付されておりませんでしたが、純米吟醸と同じく純茨城産のお酒なのだとか。
4660.JPG
4661.JPG


普通酒ですのでいつもならばぬる燗でいただくところですが、純米吟醸と味を比較するために、今日は冷や(常温)でいただいてみようと思います。

お酒の色は、ちょっと着いている程度でした。
それでも、純米吟醸よりははっきりしているようです。
4662.JPG


うまみは淡めです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみをかすかに感じる程度です。
軽い渋みがほんのかすかにあるみたいですが、かなりきれいで澄んだ感じです。

酸味はややひかえめです。
すっぱさはかなり弱めですが、それでも鋭さがありますね。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
ラベルには辛口と書かれておりましたが、私には甘みが少しあるように感じました。
でもけっしてべとつかない、かなりさらっとした甘みです。


淡めできれいな味わいの、淡麗中口のお酒でした。
とてもすっきりしていますね。
ただ、純米吟醸よりも酸味がちょっとあるので、こっちのほうが飲み応えがあるみたいでした。
もしかしたら、燗でもいけるのではないでしょうか。

【お酒】1098.純米吟醸 筑波鷺(つくばしらさぎ) カップ [08.茨城県の酒]

4651.JPG
野村醸造株式会社
茨城県常総市石下2052

原材料名 米、米麹
原料米 山田錦
(茨城県つくばみらい市本多農園生産)
精米歩合 60%
仕込水 筑波山湧水
使用酵母 M310酵母
アルコール分 15度~16度
日本酒度 +2
酸度 1.5
アミノ酸度 1.0
内容量 180ml詰
杜氏 梅沢努
(以上、ラベルより転記)




このお酒は、鬼怒川の東岸に蔵を置く、茨城県常総市の蔵元さんが造ったものです。



この地図をご覧になって、ピンときた御仁も少なからずいらっしゃることでしょう。
ここは、2015(平成27)年9月に発生した鬼怒川の決壊で浸水した場所なのです。

この浸水によって、野村醸造さんの蔵も大きな被害を蒙ったそうです。
それでも、こうしてお酒を世に出すことができるまで復活なさったわけですが、ここまで回復させるために蔵元さんが払った努力の大きさは、私のような酔っぱらいなんかには到底想像できないほどだったことでしょう。
そんな蔵元さんのご努力に対して、私は頭を下げずにはいられません。


ところで、このお酒ですが、茨城県産の山田錦を使い、筑波の湧水と、茨城県で開発された”M310酵母”なるものとを使用したという、正真正銘の茨城の地酒でした。
4652.JPG
4653.JPG
ここで紹介されている“M310酵母”について、手元の文献には、茨城県では「最近になって香りの高い酒を生む「M-310」という酵母も開発され、県下の蔵だけでなく、全国でも使用する蔵が増えてきています。」(※1)という記述がありました。


ということは、このお酒も香り高い純米吟醸酒なのでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、ほとんどわからない程度でした。
4654.JPG


あれ?
吟醸香はしませんね。
でも、お酒の甘い香りはかすかに感じます。

うまみは淡めですが、淡いなりにしっかりしています。
これまでにいただいた山田錦使用酒で感じたように、お米のうまみが口の中全体にファッと広がります。
軽い苦みがかすかにあるみたいですが、まったく気にはなりません。

酸味はひかえめです。
ほとんど感じないくらいです。

甘みはひかえめです。
これもほとんど感じないくらいで、むしろややドライな感じがします。


米のうまみだけを感じ取ることができる、淡麗旨辛口のおいしいお酒でした。
淡いものの、山田錦らしいうまみが豊で、決して物足りなくはありません。
でもこのお酒は、今みたいな寒い時期にいただくよりも、むしろ夏の暑い日に冷蔵庫でキンキンに冷やしたものをクイッといただいたほうがよりおいしく感じることができたのではないかと思います。

(※1)松崎晴雄『日本酒のテキスト 2 産地の特徴と造り手たち』p.49(2003.11 同友館)

【お酒】1097.武勇 辛口純米酒 カップ [08.茨城県の酒]

4646.JPG4647.JPG
株式会社武勇
茨城県結城市大字結城144

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
アルコール分 15度以上16度未満
原料米:全量酒造好適米
精米歩合:63%
使用酵母:K-10-B、K-9-B
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




かつていただいた武勇の本醸造生酒と、昨日いただいた武勇の本醸造カップとに引き続き、今日も武勇さんのお酒をいただきます。
今日いただくこのお酒は、辛口と銘打たれた純米酒です。


このお酒のラベルには、使用しているお米の全量が酒造好適米であることとともに、使用している酵母についても表示されておりました。
4648.JPG
“K-”ってのは、きっときょうかい酵母であることを示しているのでしょうね。
でも、“-B”ってのは、どういう意味なのでしょうか?


純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、けっこう深い色でした。
4649.JPG
どうやら、濾過をしていないみたいです。
4650.JPG


うまみは濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともに、熟成感を少し感じます。
軽い渋みをほんのわずかに感じますが、ほとんど気にはなりません。
しかもキレがとてもよく、スッと切れていきます。

酸味はややひかえめです。
すっぱさをわずかに感じますが、飲んでいるうちに少しずつ目立ってくるようです。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめです。
かなり弱いものの、ゼロではなくてほんのりと感じます。


濃いめではあるものの雑味がなくてキレがよい、濃醇旨やや辛口のおいしいお酒でした。
純米で、しかも15~16度と決して薄くはないはずなのに、雑味がなくてキレがよい純米酒でした。
この雑味のなさやキレのよさは、昨日いただいたアル添本醸造よりもむしろこっちの純米酒のほうが上回っているように感じました。
これは全量好適米使用の効果でしょうか?、それとも造りの成果でしょうか?
なかなかいけると思います。

【お酒】1096.武勇 本醸造 カップ [08.茨城県の酒]

4643.JPG4644.JPG
株式会社武勇
茨城県結城市結城144

原材料名 米・米こうじ・醸造アルコール
全量国産米使用
アルコール分15.0度以上16.0度未満
精米歩合 65%
内容量 180ml
(以上、カップの印刷事項とフタとより転記)




武勇さんのお酒は、かつて武勇の本醸造生酒をいただいております。
今日いただくこのお酒は、どうやら火入れされた本醸造のカップ酒のようです。


本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、少しはっきりしておりました。
4645.JPG


うまみはやや濃いめで、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともに、香ばしさや熟成感も少し感じます。
苦みがちょっとだけあって、強くはないものの重みを感じます。
それでいてキレがよく、スッと引いていきます。

酸味はややひかえめです。
すっぱさはほとんどなく、さわやかさをちょっと感じます。
ですが、ちょいピリですね。

甘みはややはっきりしています。
けっしてべとつかない、さらっとした甘みをほんのりと感じます。


しっかりしたうまみを、重みのある苦みが味を引き締めて、甘みがコクを添える、やや濃醇でちょいピリちょい苦いやや甘口のおいしいお酒でした。
味がやや濃いめで、しかもちょいピリで苦みに重みがありましたが、キレがよくて後味はすっきりしていました。
なんとなくではありますが、奈良のお酒、それも普通酒や本醸造の味わいに似ているように感じました。
けっして飲みやすくはないですが、飲み応えのある旨酒だと思います。

【お酒】1095.花の井 ふるさとさくら 純米吟醸酒 [08.茨城県の酒]

4638.JPG4639.JPG4640.JPG
株式会社西岡本店
茨城県桜川市真壁町田6-1

原材料:米・米麹(真壁高校産コシヒカリ100%使用)
精米歩合:60%(原料米はすべて茨城県産です)
使用酵母:桜酵母(桜川市の山桜より採取)
仕込水:筑波山系地下水
アルコール分:14%
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




江戸時代中期の1782(天明2)年に現在地で創業。(中略)主銘柄の「花の井」は創業期から用い、仕込み水用の井戸とそのそばにあったサクラの大樹にちなんだと伝えられる。」(※1)という西岡本店さんの花の井をいただきます。


このお酒ですが、真壁産の米や水を使い、しかも地元の山桜から採取した酵母で仕込んだという、正真正銘の真壁の地酒でした。
4641.JPG
地方の蔵元さんであっても、やれ吉川の特A地区産山田錦だとか、やれ備前赤磐の雄町だとかを使いたがる風潮が見られる昨今ですが、地元で育った食用米のコシヒカリを使って造ってやろうだなんて、その心意気が潔いじゃありませんか!

ところで、高校生が造ったとのことですが、ちゃんと味見もしたのでしょうか?
するか!


純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色ですが、意外にもけっこうはっきりしておりました。
4642.JPG


吟醸香ありますね。
花っぽい香りを少し感じますが、それほどしつこくはありません。

最初に酸味がきますね。
すっぱさは強くはないものの、けっこう鋭く感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

うまみは淡めです。
米のうまみとともに、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみ、それに香ばしさをかすかに感じます。
軽いにがみもかすかにあるみたいです。
それらが淡いなりにはっきりしていますが、広がるような感じはないみたいです。

甘みはややはっきりしています。
かなりさらっとした甘みを感じますが、酸味の陰に隠れているみたいです。


淡めではあるものの複雑で酸味の効いた、やや淡麗ですっぱやや甘口のお酒でした。
うまみが複雑なのは、もしかしたら熟成の成果でしょうか?
それでもやっぱり際立つのは酸味ですね。
しかし、すっぱさが鋭いものの強くはないので、それが食べ物の油っぽさや臭みなんかを流してくれそうです。
ただ、私としては、この酸味につり合うくらいのコクや深みがほしいところでした。
私は一度に全部飲んでしまいましたが、うまみが複雑であることから、もしかしたら口を切ってしばらく置けばコクや深みが出てくるのかもしれません。

(※1)『茨城の酒と蔵』p.135(2002.10 茨城新聞社)

【お酒】1094.霧筑波 特別本醸造 300ml [08.茨城県の酒]

4634.JPG4635.JPG4636.JPG
合資会社浦里酒造店
茨城県つくば市吉沼982

原材料…米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
精米歩合60%
アルコール分…15度
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




「霧筑波」の名は、研究学園都市の地元の酒にふさわしい銘柄として考案。86年に商品登録した。」(※1)という浦里酒造店さんのこのお酒。
なんでも浦里酒造店さんは、「 1877(明治10)年、結城酒造(結城市)を経営する浦里家から分家して創業。昭和に入って創業地からほど近い現在地に移転した。」(※1)とのこと。

その浦里酒造店さんは、“小川酵母”なるものにこだわっていらっしゃるのだとか。

その小川酵母ですが、文献には以下のように紹介されておりました。
 小川酵母は、河童(かっぱ)の絵で知られる小川芋銭の三男、故小川知可良博士が一九五一年語呂分離培養し、水戸の酒蔵から世に送り出した醸造用酵母。酸が少なく、香りもほのかでさらっとした酒ができるのが特徴で、低温でよく発酵するため高級酒に適した酵母として全国でもてはやされた。」(※2)のだとか。

なお、上記の記述にあった「水戸の酒蔵」とは、どうやら明利酒類さんのようでした。
このことについて、別の文献には以下のように記載がありました。
 また日本醸造協会から頒布される「10号」とは別に、同タイプの酵母を明利酒類も全国各地の酒蔵に供給しており、これらは「10号」と区別するために「小川酵母」「明利酵母」などと呼ばれています。」(※3)

そんな小川酵母にこだわる浦里酒造店さんのこのお酒にも、きっと小川酵母が使われているのでしょう。


このお酒は桜川市真壁にあった酒店で購入したのですが、その際に、表示はされていないものの生貯蔵酒だと言われました(生貯蔵酒である旨を表示するかどうかは任意ですので、表示しなくても違反ではありません(※4))。
また、特別純米酒や特別本醸造には、香りを特徴とするものも少なからずありました。
そこで、今日は冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、ほぼ無色透明でした。
4637.JPG


ああ、
たしかに生貯蔵酒らしいフレッシュな風味がかすかにありますね。
それに、吟醸香のような香りも感じます。
フルーティーというよりは、花っぽいかな。

うまみは淡めですが、淡いなりにしっかりしています。
これは米のうまみでしょう。
口の中にうっすらと広がって、スッと引いていきます。
また、苦みがあって、強くはないものの、重みを感じます。

酸味はややひかえめです。
口を切った直後はほとんど感じなかったのですが、飲んでいるうちにだんだんと出てきました。

甘みはややはっきりしています。
かなりさらっとした甘みです。
強くはないものの、その存在はわかります。


香りと米のうまみとが広がり、重みのある苦みが味を引き締めて、甘みがコクを添える、淡麗ちょい苦旨口のおいしいお酒でした。
淡めではあるものの、しっかりした味わいで飲み応えを感じます。
香りが少しありますが、しつこくないので食事とも合わせやすいと思います。
それに苦みがズッシリと効いているものの、嫌味なく味を引き締めているようでした。
この味わいが、小川酵母のなせる業なのでしょうか?


(※1)『茨城の酒と蔵』p.147(2002.10 茨城新聞社)
(※2)(※1)p.145
(※3)松崎晴雄『日本酒のテキスト 2 産地の特徴と造り手たち』p.49(2003.11 同友館)
(※4)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(6)
前の10件 | 次の10件 08.茨城県の酒 ブログトップ