【お酒】337.338.篠峯 純米山カップ&純米吟醸十字カップ 飲み比べ [29.奈良県の酒]
千代酒造株式会社
奈良県御所市櫛羅621番地
今日は、奈良の御所（ごせ）にある蔵元さんのお酒を飲み比べてみたいと思います。
ところで、千代酒造さんの所在地ですが、なかなかの難読地名だと思います。
御所市（ごせし）というのも知らないと読めませんが、その後の大字に相当する部分のほうが難しいでしょう。
この大字部分は、「櫛羅」と書いて“クジラ”と読むそうです。
これについて、奈良のお酒に関するある文献では、以下のように紹介されていました。
「『角川 日本地名大辞典29 奈良県』の「櫛羅」の項の冒頭には、「クシは奇、つまり霊異の力を表す古語で、ラは接尾語とみると、霊異の神ということになる。」という説明が記載されている。」」
「「奇し」「等(ら)」イコール「霊異の神」という解釈は、いかにもこの地に相応しい謎めいた神秘性を感じさせる。櫛羅周辺には、神社や遺跡などが数多く点在しているのだ。」(※1)
また、今日いただくお酒の名前である「篠峯（しのみね）」は「葛城山の別称」なのだとか。(※1)
そしてこの葛城山は、「修験道の霊場」なのだそうです(※2)。
蔵元さんの地名といい、お酒の名前といい、
ということは、もしこのお酒をいいかげんに味わったり、けなしたりしたら、神罰が当たってしまうかもしれません。
私には、飲みたいお酒がまだまだいっぱいありますので、神罰だけは御免こうむりたいものです。
神妙な気持ちでいただいてみたいと思います。
篠峯 純米 山カップ
原材料名 米（国産）、米麹（国産米）
精米歩合 70%
アルコール分 15度以上16度未満
180ml詰
（以上、ラベルより転記）
蔵元さんのWebsiteでは、このカップ酒を“山カップ”と紹介していました。
きっと、ラベルが山のかたちをしているからなのでしょう。
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
一口いただいただけで、酸味が豊かであることがわかります。
かなり深みのある酸味です。
すっぱさを少し感じます。
それに、少しピリッとしています。
ラベルに表示はありませんでしたが、もしかしてこのお酒って、生酛か、あるいは山廃酛なのでしょうか。
うまみはやや濃くて、しっかりしています。
純米酒らしい、醸し出された酒臭い（←ほめ言葉です）うまみです。
キレはそれほどないみたいで、口の中にうまみが広がったあとで、しばらく残る感じがします。
甘みはひかえめですが、その存在を感じとることはできます。
酸味とうまみとの背後に隠れているように思います。
豊かな酸味としっかりしたうまみとの、やや濃醇で辛口のお酒でした。
うまみはしっかりしていますが、むしろこれは酸味を味わうお酒だと思います。
篠峯 純米吟醸 十字カップ
原材料名 米・米麹
精米歩合 60%
アルコール分15度以上16度未満
180ml詰
（以上、ラベルより転記）
蔵元さんのWebsiteでは、このカップ酒を“十字カップ”と紹介していました。
きっと、ラベルが十字型をしているからなのでしょう。
（補足：お米の産地がゴム印で追記されているのを見落としていました。お詫びして訂正させていただきます。）
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
ほんのわずかですが、吟醸香がします。
この吟醸香ですが、フルーティーな香りではなくて、例えが悪いかもしれませんが、上等な接着剤のような香りがします。
（そんな失礼な例え方をしたら、神罰が当たるぞ！）
吟醸酒だけあって、酸味は抑えられています。
でもピリピリ感だけを抑えてあって、酸味の深みが前面に出てきているようです。
うまみはやや淡めですが、しっかりしています。
でも、酒臭さは感じません。
お米のうまみがかすかにします。
甘みはほとんど感じません。
酸味の深みだけを味わえるように設計されたような、やや淡麗で辛口のお酒でした。
この酸味は、上等な接着剤のような吟醸香と不思議と合います。
（ていうか、上等な接着剤のニオイを嗅いだことがあるのかよ！）
(※1)山田二良『奈良の銘酒』p.83（2011.2 京阪奈情報教育出版）
(※2)広辞苑第五版（岩波書店）
(※3)米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律（平成21年4月24日法律第26号）8条1項
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