【お酒】680.雲乃井 純米酒 ひやおろし カップ【追記あり】 [18.福井県の酒]
【2015/09/30追記】
この記事は、“生詰には“要冷蔵”の表示をしなければならない”という、私の誤った認識に基づくものでした。
しかしその後、生詰については、「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」には該当しないということに気づきました。
それ故、このお酒のラベルに記載されていた“加熱処理済み”の文字は、もしかしたら生詰で実施される上槽後の火入れ(いわゆる一回目の火入れ)のことを指している可能性も出てきました。
こう判断するに至った理由については、この記事のコメント欄におけるやりとりをご覧ください。
株式会社吉田金右衛門商店
福井県福井市佐野町21-81
アルコール分 17度
原材料名 米(国産)米麹(国産米)
精米歩合 68%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
先日いただいた関西の本醸造ひやおろしカップとともに、福井県のアンテナショップ“食の國 福井館”で入手したものです。
このお酒のカップは、ちょっと変わった形をしています。
このカップには、かつて越の寒中梅をいただいた際に出会ておりました。
なんでも、“TGカップ”なる名前なのだとか。
どういう意味なのかわからなかったのですが、“TGカップ”というのは、どうやら容器のメーカーさんがつけた、このカップの製品名だったようです。
ところで、このカップ酒には、ひやおろしと銘打たれています。
ひやおろしの意味については、先日、関西の本醸造ひやおろしカップをいただいた際に、文献の記述をもとに検討いたしました。
その結果、以下の条件を満たしたお酒が、ひやおろしと名乗ることができるのだと結論づけました。
(1)冬に仕込んで春にしぼり(寒造りであること)、ひと夏のあいだ貯蔵していること
(2)秋の、それも貯蔵している酒の温度と外気温とが同じになった頃に出荷すること
(3)生詰(出荷前に火入れをせずに瓶詰めすること)であること
ところが、このお酒のラベルには、“加熱処理済み”の表示がなされていたのです。
加熱処理済みということは、上記(3)の条件を満たしていないということですよね。
そのようなお酒がひやおろしと名乗ることは、はたして許されるのでしょうか?
ここからは、完全に私の推測です。
ひやおろしの本質的特徴は、春に搾ったお酒をひと夏越して秋まで貯蔵することで、いわゆる“秋上がり”や“秋晴れ”といったまろやかさを楽しむことができることにあると思います。
一方、上記(3)の生詰については、なんらかの目的をもって敢えて生詰にしているのではなくて、涼しくなった頃に製品化することから製成後に火入れをしなくても保存が可能であるという便宜的理由によるのではないかと思うのです。
それ故、上記(1)(2)の条件を満たしていればひやおろしの特徴を出すことが出来るのであって、(3)は結果として生詰のものが多いという程度のことに過ぎないのではないでしょうか。
よって、たとえ出荷前に火入れ(加熱処理)をしてあっても、秋上がりの味わいがそのお酒に現れていれば、ひやおろしを名乗ってもかまわないのではないかと考えます。
実際のところ、今の時期、酒屋さんの店頭では、多くのひやおろしのお酒が冷蔵保存することなくそのまま陳列されていますよね。
これらはきっと、生詰ではなくて、火入れしてあるものなのでしょう。
(その理由については、こちらで触れております。)
この結論は文献等の根拠に基づくものではなく、完全に私の推測です。
それ故、これが正しいかどうかはわかりません。
これについては、その当否について皆様のご意見をいただければ幸甚です。
そんなひやおろしについて考えさせてくれたこのお酒をいただきます。
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、なかなかよい色をしています。
うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみがしっかりしています。
それとともに、わずかですが熟成感を感じます。
一方で、苦みや雑味はないみたいです。
酸味はけっこうはっきりしています。
さわやかさとともに、すっぱさがちょっとあるようです。
それに、この酸味には深みを感じます。
しかし、刺激やピリピリ感はありませんでした。
甘みはひかえめでした。
酒臭い(←あくまでもほめ言葉です)うまみとともに、深みのある酸味を感じることができる、やや濃醇で旨辛口のおいしいお酒でした。
こんなに濃いのに、雑味がなく、しかも酸味にトゲトゲしさがありません。
これはまさに、ひと夏を越えて熟成されたことで生じた“秋上がり”、“秋晴れ”の味わいではないでしょうか。
この味わいは、たとえ生詰でなくても出せるのですね。
この記事は、“生詰には“要冷蔵”の表示をしなければならない”という、私の誤った認識に基づくものでした。
しかしその後、生詰については、「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」には該当しないということに気づきました。
それ故、このお酒のラベルに記載されていた“加熱処理済み”の文字は、もしかしたら生詰で実施される上槽後の火入れ(いわゆる一回目の火入れ)のことを指している可能性も出てきました。
こう判断するに至った理由については、この記事のコメント欄におけるやりとりをご覧ください。
株式会社吉田金右衛門商店
福井県福井市佐野町21-81
アルコール分 17度
原材料名 米(国産)米麹(国産米)
精米歩合 68%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
先日いただいた関西の本醸造ひやおろしカップとともに、福井県のアンテナショップ“食の國 福井館”で入手したものです。
このお酒のカップは、ちょっと変わった形をしています。
このカップには、かつて越の寒中梅をいただいた際に出会ておりました。
なんでも、“TGカップ”なる名前なのだとか。
どういう意味なのかわからなかったのですが、“TGカップ”というのは、どうやら容器のメーカーさんがつけた、このカップの製品名だったようです。
ところで、このカップ酒には、ひやおろしと銘打たれています。
ひやおろしの意味については、先日、関西の本醸造ひやおろしカップをいただいた際に、文献の記述をもとに検討いたしました。
その結果、以下の条件を満たしたお酒が、ひやおろしと名乗ることができるのだと結論づけました。
(1)冬に仕込んで春にしぼり(寒造りであること)、ひと夏のあいだ貯蔵していること
(2)秋の、それも貯蔵している酒の温度と外気温とが同じになった頃に出荷すること
(3)生詰(出荷前に火入れをせずに瓶詰めすること)であること
ところが、このお酒のラベルには、“加熱処理済み”の表示がなされていたのです。
加熱処理済みということは、上記(3)の条件を満たしていないということですよね。
そのようなお酒がひやおろしと名乗ることは、はたして許されるのでしょうか?
ここからは、完全に私の推測です。
ひやおろしの本質的特徴は、春に搾ったお酒をひと夏越して秋まで貯蔵することで、いわゆる“秋上がり”や“秋晴れ”といったまろやかさを楽しむことができることにあると思います。
一方、上記(3)の生詰については、なんらかの目的をもって敢えて生詰にしているのではなくて、涼しくなった頃に製品化することから製成後に火入れをしなくても保存が可能であるという便宜的理由によるのではないかと思うのです。
それ故、上記(1)(2)の条件を満たしていればひやおろしの特徴を出すことが出来るのであって、(3)は結果として生詰のものが多いという程度のことに過ぎないのではないでしょうか。
よって、たとえ出荷前に火入れ(加熱処理)をしてあっても、秋上がりの味わいがそのお酒に現れていれば、ひやおろしを名乗ってもかまわないのではないかと考えます。
実際のところ、今の時期、酒屋さんの店頭では、多くのひやおろしのお酒が冷蔵保存することなくそのまま陳列されていますよね。
これらはきっと、生詰ではなくて、火入れしてあるものなのでしょう。
(その理由については、こちらで触れております。)
この結論は文献等の根拠に基づくものではなく、完全に私の推測です。
それ故、これが正しいかどうかはわかりません。
これについては、その当否について皆様のご意見をいただければ幸甚です。
そんなひやおろしについて考えさせてくれたこのお酒をいただきます。
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、なかなかよい色をしています。
うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみがしっかりしています。
それとともに、わずかですが熟成感を感じます。
一方で、苦みや雑味はないみたいです。
酸味はけっこうはっきりしています。
さわやかさとともに、すっぱさがちょっとあるようです。
それに、この酸味には深みを感じます。
しかし、刺激やピリピリ感はありませんでした。
甘みはひかえめでした。
酒臭い(←あくまでもほめ言葉です)うまみとともに、深みのある酸味を感じることができる、やや濃醇で旨辛口のおいしいお酒でした。
こんなに濃いのに、雑味がなく、しかも酸味にトゲトゲしさがありません。
これはまさに、ひと夏を越えて熟成されたことで生じた“秋上がり”、“秋晴れ”の味わいではないでしょうか。
この味わいは、たとえ生詰でなくても出せるのですね。
以前、試飲販売会で生酒を冷やおろしとしていたので、
「火入れ後、ひと夏熟成させて秋に生詰めで出すのが
冷やおろしではないか」と聞いたところ、「うちはこれを冷やおろしとしている」と言われました。"冷やおろしは"は法令で
義務付けられた表記ではないので、蔵元によって独自の解釈が
あるのかも知れませんね。
または、今回の加熱処理済の表記は1回目の加熱処理の事を
指しているかもしれませんね?
by ときどき (2015-09-29 20:55)
ときどきさん、当を得たコメントを頂戴し、ありがとうございます。
それに、ときどきさんのご体験を披露していただことは、ひやおろしの意味を考える上でとても有意義だったと思います。
ひやおろしの意味の解釈については、まさにおっしゃるとおりだと思います。
かつて生一本の基準についてこのブログに書いたことがありましたが、今のひやおろしは、生一本の基準についてルールを策定する前の状態と同じで、混沌としているのだと思います。
なお、加熱処理済の表示がたとえ一回目の火入れのことを指していたとしても、二回目の火入れをしていない(生詰である)ならば、必ず“要冷蔵”などの“保存若しくは飲用上の注意事項”を表示しなければなりません。
蔵元さんがその表示を忘れたとは思いたくないですので(違反ですから)、私はこの加熱処理済の表示は二回目の火入れを指しているのだと思うことにいたします。
by skekhtehuacso (2015-09-29 22:08)
ご説明ありがとうございます。こちらのブログは大変勉強に
なり感謝しています。
ところで、“保存若しくは飲用上の注意事項” の表示義務がある
"製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒" に
関してです。
この "製成後" がどの時点を指すのか考えてみましたが、
生貯蔵酒の説明に "製成後、加熱処理をしないで貯蔵" という
記述がありますので、"製成後" は "上槽後" 辺りと考えるのが
適当ではないでしょうか?
(下名の見落しや理解不足があればお許し下さい。)
ただ、生詰の場合も要冷蔵と記されているのが殆んどだと
思いますが。
いずれにしても、火入れの有無は関係なく一夏熟成させて
秋に出すお酒を"ひやおろし"とする蔵はありそうですね。
by ときどき (2015-09-30 00:38)
ときどきさん、重要なご指摘ありがとうございます。
たしかに、表示基準の生貯蔵酒の定義に「製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した清酒」とありますね。
これから判断するに、製成後は完成後(私は勝手にそう思っていました。)ではなくて、上槽後ということですね。
ということは、生詰は製成後に一回火入れをしていることになりますから、「保存又は飲用上の注意事項」を表示すべき「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」には該当しませんね。
私の認識が誤っていました。
過去の生詰に関する記事は、全て順次訂正いたします。
ご指摘ありがとうございました。
by skekhtehuacso (2015-09-30 06:49)