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【お酒】1196.はつもみぢ 純米酒 西都の雫 お燗瓶 [35.山口県の酒]

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株式会社はつもみぢ
山口県周南市飯島町1-40

原材料 米(山口県産)米麹(山口県産米)
原料米 西都の雫
精米歩合 75%
アルコール分 16度
180ml詰




全量純米蔵であるはつもみぢさんのお酒は、かつて原田 特別純米酒 300mlをいただいております。
今日いただくこのお酒は、山口県産の“西都の雫”なるお米を使用して造られた純米酒なのだとか。
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西都の雫(さいとのしずく)は「穀良都の耐倒伏性の弱さを改良した山口県オリジナル品種。」(※1)で、「山口市が「西の京」といわれることにちなんだ「西都」に、淡麗でキレのよい酒をイメージさせる「雫」を加えて命名。」(※1)された酒米だそうです。
そしてこの西都の雫は「2005年から「地域特産品種」として県内で本格的に栽培が開始され」(※2)たという、比較的新しい酒米なのだとか。

その西都の雫を育成する契機となった穀良都(こくりょうみやこ)ですが、これについて手元にあった文献では「原品種は「都」で、幕末嘉永の頃、山口県玖珂郡高森村の内海五左衛門が参勤交代に随行し、兵庫県西宮近隣で発見、持ち帰り普及した。その後、吉敷郡小鯖村伊藤音市が1988年(明治22)「都」の中から早熟、大粒の「穀良都」を選抜した。」(※3)と紹介されておりました。

この穀良都は、「昭和20年代後半には栽培されなくなった」(※4)ものの、「大粒で心白の発現が良好で、玄米タンパク含有率も低いことが明らかとなった。」(※4)ことで酒造好適米としての性質が再評価されて復活し、1990年代に山口県内で再び広く栽培されるようになったそうです。

しかし、この穀良都には、「生産面では、稈長が長く、耐倒伏性が劣ること、収量性が劣ることが問題となった。また、実需面では低い収量性が価格の高騰につながること、心白が粒の中心部よりやや腹側に寄っているため高度精白が困難であること等が問題となった。」(※4)という欠点があったとのこと。

そこで、「1997年8月に「穀良都」を母本、九州農業試験場が育成した短稈酒造好適米系統「西海222号」を父本として交配を行い、」(※5)幾度かの系統選抜ののち、「耐倒伏性が優れ、収量性も比較的高く、「穀良都」や「山田錦」より栽培し易い品種であるといえる。また、実需面からみれば、収量性が高いことから「穀良都」や「山田錦」より低い価格設定が可能であること、大粒で心白が線状に粒の中心部に発生するため高度精白が可能であることから大吟醸酒、純米酒、一般酒等様々な清酒の原料として利用が期待できる品種といえる。」(※2)といった性質を有する酒造好適米として育成されのだそうです。
(ちなみに、かつて記事で紹介いたしましたが、“母本”というのは種子親で、“父本”というのは“花粉親”のことのようです。


肝腎の“お味”ですが、上記でさんざん引用してきた論文の末尾に、「玄米及び白米のタンパク含有率は「西海222号」より低く、「山田錦」並である。製成酒の官能評価は「山田錦」を原料としたものと同様に良好で、淡麗で切れがよい。」(※6)とありました。
だらだらと書かなくてもさ、味のことだけわかりゃいいんじゃないの?

果たして今日いただくこのお酒も、淡麗でキレのよい味わいなのでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですし、原田も燗がおいしいお酒でしたので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、けっこうはっきりしておりました。
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きき猪口に移しているところから、酒臭い(←ほめ言葉です)かおりが漂ってまいりました。

うまみはどちらかというと濃くはないものの、かなりしっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)とともに、米のうまみもかすかに感じます。
しかしそのうまみには鋭さがあって、広がることなくピンと舌を突いたあと、スッと引いていきます。
また、軽い苦みもかすかにあるみたいです。

酸味ははっきりしています。
すっぱさが強くはないものの、鋭さがあって、しかも深みも少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ほとんど感じないくらいです。


飲み応えがあって深いものの、キレがよくてキリッと引き締まった、ちょい濃醇でちょいすっぱ辛口のおいしいお酒でした。
うまみに濃さや幅はないものの、鋭くてキレのよいうまみがしっかりしておりました。
もしかしてこれが西都の雫特有の、淡麗で切れのよい味わいなのでしょうか?
また、甘みがなくてややドライでしたが、酸味に深みがあって、それがうまく効いているようでした。

原田のみならず、このお酒もなかなかいけるのではないでしょうか。


(※1)副島顕子『酒米ハンドブック』p.78(2011.7 文一総合出版)
(※2)金子和彦・羽島正恭『酒造好適米新品種「西都の雫」の育成』p.7(山口県農業試験場研究報告 56号 p.1-8 2007.3)
(※3)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.149(2000.3 養賢堂)
(※4)(※2)p.1
(※5)(※2)p.2
(※6)(※2)p.8
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あ~酒臭かった! 48

酒くさコメント 2

hanamura

あれれ?今回も?私(?)狙われてます?
山口県なので斟酌問題で突かれますよ!(シラケ笑)
でも、「斟酌」って、字面は、酒飲み的には美味しそう!(?)
by hanamura (2017-06-03 09:21) 

skekhtehuacso

hanamuraさん、あたしゃ斟酌よりも晩酌がいいね。
斟酌なんてさ、どうせ秀吉が信長の草履を暖めたみたいなことでしょ。
そんなことをして権力者に認めてもらおうなんて、ばかばかしいったらありゃしない。

でも、それができなかったから、出世もできなかったのかも。
by skekhtehuacso (2017-06-05 21:50) 

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