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【お酒】1593.のとほまれ 銀撰 本醸造 ノトカップ [17.石川県の酒]

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株式会社清水酒造店
石川県輪島市河井町1-18-1

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合65%
アルコール分15度
180ml
(以上、ラベルより転記)




文久二年(1862年)の創業という清水酒造店さん。
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 奥能登輪島の中心街・河井町の一角に幕末から150有余年、清酒を醸してきました。初代が杜氏であったという異色の蔵元で、「能登誉(のとほまれ)」の名は、「能登を代表する誉れ高い酒となるように」との願いを込めて命名されたそうです。」(※1)とのこと。
酒造りが始まる冬にさしかかると蔵元が杜氏を呼んで酒造りを始めるという、蔵元(資本家)と杜氏(農民の出稼ぎ)との分業が当たり前だった時代から、蔵元さんが自ら杜氏として酒造りを指揮なさっていたのですね。

そんな歴史からか、酒質にはこだわりがあるのだとか。
なんでも、「品質第一をモットーに、より高い質のお酒を常に目指している。普通酒でも本醸造規格であり、全製品が特定名称酒であることも、そのあらわれである。」(※2)のだそうです。

一方で、今日いただくこのお酒には“銀撰”の小印が付されておりましたが、それでも普通酒ではなくて本醸造でした。
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銀撰という小印は佳撰クラス(かつての級別制度下における二級酒相当のお酒)に付されることが多いように思います。
それでも普通酒ではなくて、本醸造の特定名称を堂々と名乗っているわけですよ。


さぞやおいしいお酒であろうと期待しつつ、いただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は金色でしたが、透き通った感じがいたしました。
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うまみは、どちらかというとやや淡めでしょうけれど、けっこうしっかりしています。
酒臭さ(ほめ言葉です)があって、熟成感もちょっとだけ感じます。
熟成感は弱めで、かつ角がありません。
軽い苦みがごくかすかにあるみたいです。
キレはとてもよく、透明感を少し感じます。

酸味はややはっきりでしょうか。
すっぱさは弱めですが、弱めなりに鋭さをはっきりと感じます。
一方で、スースー感ははっきりしています。
それにちょいピリですね。

甘みはややひかえめでしょうか。
べとついた感じがなく、かなりさらっとしていますが、その存在は弱めながらによくわかります。


ちょい淡めでスーちょいピリ旨口のおいしいお酒でした。
どちらかというと淡めでしょうけれど、味わいはかなりしっかりしておりました。
それに甘みも弱めながらに効いていて、コクを添えているようでした。
それでいてスースー感がはっきりしていることから、もしかしたら多め(本醸造の上限に近い量)の醸造アルコールが添加されているのでしょうか?
でもね、これは私の感想ですが、そのスースーとちょいピリとが、魚料理に合うと思いましたよ。

今日はさんまの蒲焼缶と合わせましたが、お酒が魚臭さをサッと流してくれましたとさ。
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な~んて、あたかも初めて飲んだかのように書いておりますが、実はこのお酒、初めてではなかったのでした。
能登半島で酒集めをした際に、七尾にあったお寿司屋さん(ちゃか寿司さん)でいただいていたのでした。
もちろん、能登の地魚とよく合うおいしいお酒でございました。

(※1)石川県酒造組合連合会監修 北國新聞社出版局編集『石川の地酒はうまい。』p.39(2016.6 北國新聞社)
(※2)北陸電力企画『北陸酒紀行』p.67(2002.3 橋本確文堂)