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【お酒】617.618.千代むすび 鬼太郎純吟カップ&ねずみ男純吟カップ 飲み比べ [31.鳥取県の酒]

(2015/07/20追記:引用した文献の表示が誤っていたので訂正しました。)

2016.JPG
千代むすび酒造株式会社
鳥取県境港市大正町131



今日は、鳥取県の蔵元さんが造った純米吟醸酒のカップ酒2本を飲み比べてみたいと思います。


千代むすびという酒銘については、「創業は慶応元年。当初は『日本魂』『岡正宗』なる銘柄だったが、昭和に入って「千代に八千代に契りを結ぶめでたい酒」として『千代むすび』と命名された。」とのこと(※1)。


ネット上では、鬼太郎純吟カップのほうが山田錦を、ねずみ男純吟カップのほうが五百万石をそれぞれ使用しているとの情報を掲載するサイトもありました。
しかし、これらのお酒のラベルにはその旨の表示はなされておりませんし、蔵元さんのWebsiteでも酒造好適米の紹介はされていませんでした。

先入観を持っていただいたのでは、味を正確に理解することができない可能性があります。
それ故、酒造好適米のことはいったん忘れて、お酒の味そのものを味わってみたいと思います。



2017.JPG
鬼太郎純吟カップ
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
アルコール分 16度
精米歩合 50%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)



2018.JPG

純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、けっこうはっきりしています。
2019.JPG


吟醸香は、感じませんでした。

うまみはやや濃いめで、かなりしっかりしています。
やわらかいうまみに、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみもけっこう感じます。
それに、香ばしさも少しあるようです。
キレはそれほどでもなく、口の中にうまみが広がります。
わずかに苦みがあるものの、雑味は感じませんでした。

吟醸酒ですが、酸味はけっこうはっきりしていると思います。
すっぱさが豊かな酸味です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめですが、その存在はわずかにわかります。


しっかりしたうまみに、酸味が豊かな、やや濃醇で旨やや辛口のお酒でした。
酒臭さ(←あくまでもほめ言葉です)があるので、きれいな味わいではないと思います。
味がしっかりした純米吟醸酒でした。




2020.JPG
ねずみ男純吟カップ
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
精米歩合 55%
アルコール分 16度~17度
180ml詰
(以上、ラベルより転記)



2021.JPG
鬼太郎純吟カップと比べると、こちらのほうがアルコール度数がちょっとだけ高めのようですね。
ということは、こちらのほうが加水が少ないということでしょうか。

純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、こちらのほうがやや淡いようです。
2022.JPG


こちらも吟醸香はないみたいです。

こちらのうまみは淡めです。
やわらかいうまみに酒臭さ(←くどいようですが、ほめ言葉です)も感じますが、キレがよくてスッと消えていきます。
香ばしさをちょっと感じますが、苦みや雑味はありませんでした。

酸味もひかえめです。
すっぱさをほんのわずかに感じる程度です。

甘みはひかえめで、ほとんどわからないくらいです。


淡めでキリッと引き締まった、やや淡麗で辛口のシャープなお酒でした。
アルコール度数が高めで加水が少ないと思われるのですが、淡めでキレがよく、きれいな味わいでした。



そういえば、かつて、以下のような記述を紹介したことがありました。
「山田錦」で造った酒の味は、濃醇で幅があるとよく言われる。」とか、あるいは「「山田錦」の酒は味、香りに広がりが違い、口の中の広がりがふくよかである。」(※2)。
一方、五百万石で造ったお酒は、淡麗できれいな酒質」になり(※3)、しかも「味の線は細く、すっきりとした酒に仕上がる傾向がある」のだとか(※4)。

また、昭和五十年代に吟醸造りを復活させようとしたある蔵元さんのお話として「五百万石』という酒米を五十パーセント以下に磨いて造ったんですが、うすっぺらな味でとても吟醸酒と言えるものではなかった」という話を記載した文献をかつて紹介したこともありました。(※5)。

これらの記述をふまえると、この記事の冒頭でネット上の情報として紹介したことは、もしかしたら正しいのかもしれません。



(※1)米子今井書店企画出版室企画編集『とっとり酒蔵散歩』p.127(1998.7 米子今井書店)
(※2)兵庫酒米研究グループ編著『山田錦物語 人と風土が育てた日本一の酒米』p.27(2010.4 神戸新聞総合出版センター)
(※3)副島顕子『酒米ハンドブック』p.33(2011.7 文一総合出版)
(※4)松崎晴雄『日本酒をまるごと楽しむ!』p.57(2007.1 新風舎)
(※5)石原信一『会津地酒紀行』p.18(2004.7 歴史春秋出版)
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あ~酒臭かった! 44

酒くさコメント 6

エクスプロイダー

鬼太郎の方は呑んだ事は有ります。
ねずみ男はあるサイトだと「強力」と書いて有ったような・・・不確定だけど。
by エクスプロイダー (2015-07-19 21:42) 

オカジュン765

こんにちは。まいど訪問おおきにです。
無理して吟醸香をつける吟醸酒もありますが、かえって不自然でつけないほうがいいと私は常々思っています。
by オカジュン765 (2015-07-20 12:04) 

skekhtehuacso

エクスプロイダーさん、強力の意味するところはわかりませんが、シャープな味わいでした。
by skekhtehuacso (2015-07-20 20:04) 

skekhtehuacso

オカジュン765さん、吟醸香が少ないほうが、食事との相性もよくて飲みやすいと思います。

ムリして付けるというのは、ヤコマンでしょうか。
かつては流行ったみたいですが、今でも使用している例はあるのでしょうか?

by skekhtehuacso (2015-07-20 20:06) 

エクスプロイダー

「強力」とは大正時代に鳥取県で誕生した酒造好適米です。戦前まで栽培されてましたが例によってと言うか、栽培が難しいので消えましたが、最近に成って復活しました。
by エクスプロイダー (2015-07-20 20:53) 

skekhtehuacso

エクスプロイダーさん、手元の『酒米ハンドブック』を調べましたよ。
そういう酒米があるのですな。
いつか鳥取も攻めてみたいですが、私の当面の目標は東北ですわ。
by skekhtehuacso (2015-07-20 22:44) 

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