【お酒】1789.世嬉の一 本醸造 300ml [03.岩手県の酒]
世嬉の一酒造株式会社A
岩手県一関市田村町5番42号
アルコール分15.0度以上16.0度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合 65%
正300ml
(以上、瓶の印刷事項より転記)
『世嬉(せき)の一(いち)』という名前は、明治天皇の弟君・閑院の宮様に由来する。宮様のお宿を承ったとき、「世の中の人々が喜ぶようなよい酒を造りなさい」と命名されたといわれる。(※1)という世嬉の一酒造さん(岩手県一関市)。
大正七年に創業した世嬉の一酒造さんは「その後戦時下の統制により、一時は企業合同したものの、昭和三十二年には独立。三代目の晄僖さんが社長に就任した五十七年からは共同醸造にし、現在に至っている。」(※2)とありました。
蔵元さんから伺ったお話では奥州市前沢で共同醸造しているとのことでしたので、岩手銘醸さん(岩手誉)との共同醸造なのでしょうか?
その後、一関市にある蔵は“酒の民俗博物館”として公開されていたそうですが、1995年(平成7年)からは「いわて蔵ビール」なるクラフトビール(地ビール)の製造工場として使用されることになったのだとか。
しかもこの「いわて蔵ビールが生み出すビールは、国内のみならず多くの国際大会で輝かしい賞を受賞し、高い評価を獲得している。」(※3)とのこと。
一例を紹介すると、「福香は、樹齢360年を数えてなお咲き続ける岩手県民自慢の名花、石割桜から採取した酵母で醸造した、貴重なビールだ。」(※4)とあるとおり野生酵母を用いたビールを醸造し、しかもその野生酵母を使用した「自然発酵ビールを手がけるビール会社はほとんど存在せず、世界的にもベルギー以外の国ではほぼつくられていないのだという。」(※5)そうです。
また「ホップの代わりに、一関産の山椒の実を使用して醸造した「ジャパニーズハーブエール山椒」や、三陸広田湾産の牡蠣の身と殻を使って醸造した濃厚な黒ビール「三陸牡蠣のスタウト」などのオリジナルビールを開発。これらのビールは、ビールの世界大会で賞を獲得し国際的な評価をも高い。」(※5)とのことでした。
そんなクラフトビールに注力なさっている世嬉の一酒造さんですが、今日いただくのはビールではなくて共同醸造で造られているという清酒“世嬉の一”。
はたしてどのような味わいなのでしょうか?
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ほぼ無色透明でした。
燗をつけると、酒臭い(ほめ言葉です)香りがふわっと漂ってまいりました。
うまみは濃くはないものの、しっかりしています。
酒臭さ(あくまでもほめ言葉です)が最初に来て、厚みと共に香ばしさを感じます。
米のうまみもじんわりと感じます。
苦みや雑味はなく、キレはよいですね。
酸味はややはっきりかな。
すっぱさは弱めで、鋭さもほとんど感じません。
でもけっこうなスースーで、それにちょいピリです。
甘みはややはっきりかな。
べとつかないさらっとした甘みをわずかに感じますが、甘み自体に幅があることがわかります。
スースーちょいピリスッキリ旨ちょい甘口のおいしいお酒でした。
酒臭さ(くどいようですが、ほめ言葉です)が味の主軸でしょうけれど、角や雑味は感じませんでした。
それでいてキレがよく、けっこうなスースーでした。
このスースーがなければ、きっとやや濃いめに感じたのかもしれません。
こういう酒臭くてスースーなお酒、私としては好みの味です。
飲み応えがあるのにスッとキレて、しかも食べ物の臭みや脂っぽさをサッと流してくれますから。
おいしい食中酒でございましたとさ。
その世嬉の一に合わせた今日のエサはこちら。
油揚げと九条ねぎ。
双方とも刻みます。
さらには冷蔵庫の残り物野菜(にんじんとしいたけ)も刻んじゃいます。
全てをだしと淡口しょうゆとで煮て、きつね丼の上だけ(残り物野菜入り)。
そしてもう一品は、さんまざく(さんざく?)。
うざく(うなぎの蒲焼とキュウリとの酢の物)を食べたかったのですが、懐具合を勘案してさんまの蒲焼缶で代用したのでした。
ごちそうさまでした。
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今日はずっとおねむだったダンナ。
右前足の親指の爪だけを立てているのは、私に対する威嚇のため?
それとも高島忠夫(イェーイ)?
どうやら高島忠夫のほうでした。
(友情出演)
(※1)岩渕公二『岩手の酒蔵』p.77(1998.10 岩手日報社出版部)
(※2)(※1)p.76
(※3)牧内伸英『発酵に学ぶ(其の五)ビール 世嬉の一酒造のクラフトビールブランド「いわて蔵ビール」』p.36(産直コペル 2017年5月号 p.36-39)
(※4)(※3)p.37
(※5)(※3)p.38