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【お酒】983.玉乃光 純米吟醸 紙パック(純米大吟醸酒2%ブレンド) [26.京都府の酒]

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玉乃光酒造株式会社
京都市伏見区東堺町545番地-2

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合60%
アルコール分15度以上16度未満
450ml
(以上、パックの印刷事項より転記)




玉乃光は純米吟醸のアルミ缶や紙パックをよく見るので、ネタが尽きた際の保険としてとっておこうと思っておりました。
しかし、隣駅のエキナカにある成城石井でこのお酒を見つけ、思わず入手してしまいました。


“玉乃光”という酒銘の由来については、文献に以下のような記述がありました。

玉乃光酒造株式会社は初代、中屋六左衛門が、和歌山市寄合町にて、紀州国紀州藩の第二代藩主、徳川三貞(原文ママ:正しくは光貞か?)(家康の孫)の免許で延宝元年(1673年)に創業した。玉乃光の酒銘は、代々の六左衛門が紀州熊野の速玉(はやたま)神社に帰依しており、主神たる「イザナギノミコト、イザナミノミコトの御魂が映える」との意味を込めて命名されたと伝えられている。(以下略)」(※1)

玉乃光酒造さんが和歌山から京都伏見へ移ってこられたのは、どうやら戦後のことのようですね。


その玉乃光酒造さんですが、戦後のアル添酒・糖添三増酒の全盛期において、純米酒への回帰をいち早く進めた蔵元さんなのだとか。
そのことについて、文献では以下のように紹介されておりました。

純米酒や吟醸酒ブームが起きたのは、八〇年代末。それを二十年以上もさかのぼる六四年に同社では、米一〇〇%の酒を復活させた。
 「有史以来、清酒は米一〇〇%で造るものと決まっていた。それが、戦中・戦後の食料難で米が酒造りに回らなくなって以来、アルコールで増量して当然というおかしな状況になってしまったのです」と宏副社長は経緯を説明する。」(※2)

1964年(昭和39年)当時においては、右にならえのこの国では、醸造アルコールは増量目的でどんどん添加されていたことでしょう。
それ故、その添加を止めた純米酒を造ったことで、おそらくお上やら同業者やらといった各方面からさまざまな横槍が少なからず入ったのではないでしょうか?
それでも純米酒造りを諦めなかった玉乃光酒造さんには、頭が下がります。

でもね、醸造アルコールの添加が酒造りの一技法として確立しつつある今日においては、上記のような理由でアル添を否定することはできないでしょう。
だって、「有史以来、清酒は米一〇〇%で造るもの」(※2)であるならば、酒母(速醸酛)を仕込む際に乳酸を添加することも排斥されてしかるべきでしょう。
それに、そもそも酵母を添加するようになったのも明治以降のことですから、これも認められないことになってしまいますよね。


そんなへそ曲がりなことを言うのはこのくらいにして、話をこのお酒に戻します。
このお酒ですが、純米吟醸酒に、純米大吟醸酒を2%だけ混ぜているのだとか。
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もしかして、この混和はフルーティーな香りを付けるためでしょうか?


純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、かすかに茶色がかっているようでした。
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あれ?
フルーティーな香りはしませんね。
それよりも、酒臭い(←ほめ言葉です)香りのほうが豊かですよ。

うまみは濃くはないですが、けっこうしっかりしています。
お米のうまみを少し感じますが、むしろ醸し出された酒臭い(←あくまでもほめ言葉です)うまみのほうがはっきりしているようです。
香ばしさもかすかにあるみたいですが、これは熟成によるものでしょうか?
それでいてキレがよく、しかも他に苦みや雑味はありません。

酸味はややひかえめです。
角のないすっぱさをちょっと感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ちょっとドライな口当たりのようですが、ゼロではなくてかすかに感じます。


バランスがよくてキレがよい、旨辛口のおいしいお酒でした。
キレがよくてスッキリしているものの、うまみはしっかりしていて飲みごたえを感じます。
吟醸香は感じませんでしたが、そのためか食事との相性はよいと思います。
なかなかおいしいお酒だと思いますが、純米大吟醸を混ぜた意味はわかりませんでした。


(※1)田形睆作『“地域密着でキラリと光る企業”純米酒を復活させた『玉乃光酒造株式会社』』p.53(ニューフードインダストリー 56巻6号 p.53-66 2014.6 株式会社食品資材研究会)
(※2)鈴木一浩『直営居酒屋を口コミの核に本物の日本酒を知ってもらう 事例3 玉乃光酒造(株)』p.24(商工ジャーナル 32巻6号 p.24-26 2006.6 商工中金経済研究所)
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あ~酒臭かった! 39

酒くさコメント 6

green_blue_sky

玉乃光だ。
酒造会社の直営店で以前は昼食や夜、飲んでいました。
お酒がおいしいですね。
by green_blue_sky (2016-09-18 21:21) 

skekhtehuacso

green_blue_sky さん、もしかして八重洲地下街のお店でしょうか?
吟醸香プンプンのお酒よりも、こういう味わい深い吟醸酒のほうがおいしいですね。
by skekhtehuacso (2016-09-18 21:35) 

エクスプロイダー

成城石井に確かに売ってましたね。今年、東京に行った際にアキバの成城石井で見ました。買おうかなあと思いましたが潰れそうで止めましたが、来年行くので買ってみようかな?。流石にみぞれ酒はしませんでしたか。

玉乃光は値段が安いのも有るから良いですよね。
by エクスプロイダー (2016-09-18 22:49) 

hatumi30331

いつもありがとうございます。

昔の天王寺・・・・凄かったよね!^^;
知ってる人、少なくなってくるんやろうね。
今度大阪に来たら行って見て!
綺麗になり過ぎて・・・何処か分らへんで〜(笑)

by hatumi30331 (2016-09-18 23:24) 

skekhtehuacso

エクスプロイダーさん、紙容器はカバンに入れて運ぶときに潰れる心配があるので、他に荷物があるときは心配ですね。
私もガラスのカップ酒と一緒に紙カップを持ち帰るときはいつも心配しています。
by skekhtehuacso (2016-09-19 20:35) 

skekhtehuacso

hatumi30331さん、私が天王寺で野良カラオケを見たのは、たしか10年くらい前だったと思います。
まだあべのハルカスの影も形もない頃です。
まさかあんなところに、あんなものが建つとは思いませんでした。
by skekhtehuacso (2016-09-19 20:38) 

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