【お酒】801.浅茅生（あさぢを） カップ（大津絵）【補足とそれに伴う本文の変更あり】

有限会社平井商店
滋賀県大津市中央一丁目2番33号

アルコール分15度以上16度未満
原材料 米（国産）・米麹（国産米）・醸造アルコール
180ml
（以上、ラベルより転記）




今日は、大津の街の中心地、丸屋町商店街に蔵を構える蔵元さんのお酒をいただきます。
酒銘は、“浅茅生”と書いて“あさぢを”と読むそうです。



このお酒のラベルに描かれているこの絵は、おそらく大津の街に古くから伝わる“大津絵”の中の“鬼の寒念仏”という一題材をデフォルメしたものではないかと推察いたします。
このことは、実際の絵と比較するとよくわかります。

左のものは、京阪電車浜大津駅の構内に掲げられていた“鬼の寒念仏”の大津絵です。

そういえば、大津絵がラベルに描かれているお酒は、かつて神開の大津絵・雷公をいただいております。


そもそも、大津絵とはいったいどういうものなのでしょうか？
これについて、手元にあった辞書では以下のように解説されておりました。
「近世初期より近江国大津の追分・三井寺辺で売り出された民衆絵画。庶民の礼拝用の略体の仏画から始まり、元禄の頃から諷刺をまじえた明快な戯画風のものが登場し、道中土産として世に迎えられた。代表的な画題は鬼の念仏・槍持奴・藤娘・瓢箪鯰・座頭と犬など。」(※1)

そして、大津絵について解説なさっているこちらのWebsiteによれば、鬼の寒念仏は、「慈悲ある姿とは裏腹な偽善者を諷刺したもの」なのだとか。
（補足：“寒念仏”とは「寒中30日の間、山野に出て声高く念仏を唱えること。後には、寒夜に鉦(かね)をうちたたいて仏寺に詣で、または有縁(うえん)の家や付近の地を巡行することとなった。」(※1)とのこと。
要するにこの絵は、“鬼が寒念仏のような行をしても、偽善としか思えない”ということを意味しているのではないでしょうか。）

なーんだ！
本当はド素人のくせに酒通を気取っていいかげんなことばかり書いている奴にピッタリじゃん！
（たしかにオマエがド素人だってことは、どうみてもバレバレだからな！）


大津絵についてのネタが切れたところで、そろそろいただいてみたいと思います。
品質表示を見る限り普通酒でしょうから、今日もぬる燗でいただきます。


お酒の色は、ほとんどわからないくらいでした。



うまみはかなり淡めです。
やわらかさをわずかに感じますが、表にほとんど出てこないくらいの淡さです。
そんな中に、軽い苦みをややはっきりと感じます。

うまみとは逆に、酸味ははっきりしています。
すっぱさがけっこう豊かで、わずかにピリッと感じます。

甘みはひかえめです。
わずかにあってとろみをほんの少し感じますが、酸味に隠されてしまっているようです。


酸味と軽い苦みとがはっきりした、淡麗ピリ辛口のお酒でした。
これは完全に食中酒でしょう。
けっして飲みやすくなく、また味わい深くもないですが、食べ物の臭みや油っぽさなんかをさらっと流してくれそうです。
鮒寿司とあわせたりすると、おいしくいただけるのかもしれません。


(※1)広辞苑 第五版

酒くさコメント 4

鬼さんがかわいいですね。
いいラベル(^_^;)
by green_blue_sky (2016-02-17 22:30) 

green_blue_skyさん、ラベルはかわいらしいですが、お酒の味はそうもいきませんでしたよ。
まさに鬼の寒念仏の意図するところかもしれません。
by skekhtehuacso (2016-02-17 22:41) 

♪ エェ？なにコレぇ？カァワァ～イイィ～！（ラベル）
これは、知りませんでした！こういう展開なんだぁ。
鮒寿司ですかぁ・・・。今の「大河」みたいにビュン！
～っと来た！是非味わいたいです。
by hanamura (2016-02-17 22:52) 

hanamuraさん、このお酒は蔵元さんで入手しました。
酸味と軽い苦みとがはっきりしているので、お酒だけをいただくのはなかなかつらいものがありますが、クセのある食事とは合いそうに思います。
それ故、鮒寿司とは合うのではないかと書いた次第です。
by skekhtehuacso (2016-02-17 23:10)