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【お酒】1840.菊の司 純米酒 吟ぎんが仕込 カップ [03.岩手県の酒]

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製造者 菊の司酒造株式会社
岩手県盛岡市紺屋町4番20号

アルコール分15度
原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合60%
内容量 180ml
(以上、ラベルより転記)




盛岡市の中心地に蔵を構える菊の司酒造さん。
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そのお酒は、かつて以下のものをいただいております。
90.菊の司 粋然 カップ
378.七福神 粋然 カップ
405.七福神 純米酒 カップ
1023.七福神 大吟醸 てづくり 300ml

今日いただくこのお酒は、“吟ぎんが”なる酒造好適米を使用した純米酒なんだってさ。
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吟ぎんがは、「岩手県立農業試験場県南分場(現在の岩手県農業研究センター農産部銘柄米開発研究室)において1991年「山形酒49号(後の出羽燦々)」を母とし,「秋田酒49号」を父として人工交配をした雑種後代から選抜された品種で,1999年岩手県において奨励品種として採用された。」(※1)という酒造好適米でした。
母(出羽燦々)は花(めしべ)のことで、それに父(秋田酒49号)の花粉を受粉させて育成したということでしょうね。

岩手県では、他の東北各県と同様に酒造好適米として“美山錦”を奨励品種にしていたのだそうです。
しかし美山錦は「岩手県の栽培条件では心白発現率が悪く,収量も不安定」(※2)であって、また「県内酒造業界からも県産のオリジナル品種の開発が強く要請されていた。」(※1)そうです。

その要請を受けて育成された吟ぎんがは、「美山錦よりも千粒重が大きく,心白の発現率もより良い。中性の晩で耐冷性が強い。」(※2)のだとか。


では、その吟ぎんがは、酒造りに向いているのでしょうか?
これについては、以下のような記述がありました。

「吟ぎんが」は,70%精米の吸水が「美山錦」よりも早く,蒸米吸水率も高い(表5)。また,粗タンパク質含量,精米時の無効精米率+砕米率の値も「美山錦」より低く(表5),醸造特性は「美山錦」にやや優る。」(※3)
タンパク質が少なければ雑味が出にくく、無効精米率+砕米率が低ければ歩留まりがよいということでしょうか?

肝腎の味については、以下の記述がありました。
「吟ぎんが」を原料に使った清酒は、全国の清酒に比べて味が濃いという共通した特徴があること、アル添吟醸酒は、純米吟醸酒よりも味が軽快であることを味覚センサで表すことができた。また、「吟ぎんが」使用酒の酒質の差は、旨さ、甘さ、軽快さに対応する3つのセンサを用いることによりグラフ上に表すことができた。今回、有効性が確認された「軽快さ」、「味の濃さ」、「旨さ」、「甘さ」に反応するセンサを使って、「吟ぎんが」を原料とする清酒の特徴を消費者に示し、商品のピーアールに役立てたい。」(※4)
要するに、吟ぎんがを使ったお酒は、味が濃くてうまみや甘さがしっかりしているものの、アル添だと軽快さが際立つということでしょうか?


一方で、今日いただくこのお酒はアル添なしの純米酒です。
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ということは、アル添時の特徴である軽快さはともかく、“味の濃さ”、“旨さ”、“甘さ”を特徴とするお酒に仕上がっているということでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。

純米酒ですのでいつもならばぬる燗でいただくとことですが、蔵元さんの販売サイトでは冷やして飲むことを勧めていらっしゃいましたので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色はほんのり金色で、透き通ってはいないみたいでした。
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上立ち香はないですね。
一口含むと、フレッシュな風味が口の中に広がります。

うまみはやや濃いめでしょう。
熟成感があって、枯れておりますが穏やかで角がありません。
米のうまみも両立していて、厚みを少し感じます。
苦みはかすかに感じます。
キレはよく、スッと引いて行きますよ。

酸味ははっきりです。
すっぱさが少し強めで鋭さもあるものの、荒さは感じません。
スースー感はなく、ピリピリ感もありません。

甘みはひかえめでしょう。
かなり弱めですが、その存在とともに幅があることがわかります。


やや濃醇で爽快枯れすっぱスッキリ旨辛口のおいしいお酒でした。
熟成感と米のうまみとが両立しているのみならず、フレッシュな風味もいい感じにこれらと相俟っておりました。
その味わいを、酸味とわずかな苦みとが引き締めているようでした。
それでいてキレがよく、しかも辛口でキリッと引き締まっておりました。
ただ、辛口でも甘みはけっしてゼロではなく、わずかながらに存在してコクを添えているように感じました。

これはうまいね。
味の要素が見事なほどにバランスよくまとまっているように感じました。
吟ぎんがで造られたこの純米酒は、たしかに“味の濃さ”、“旨さ”、“甘さ”がそれぞれ強弱はあったもののうまく現れた味わいに仕上がっているように思いましたとさ。





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今朝からずっと、私の頭の中は“にら玉”に占領され続けていたのでした。
いつもは酒のことばかり考えているくせに。
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おいしゅうございました。
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(※1)小田中浩哉・扇良明・高橋亨・中野央子・佐藤喬・高橋正樹・照井儀明・神山芳典・櫻井廣『水稲新品種「吟ぎんが」の特性』p.7(東北農業研究 第52号 p7-8 1999.12 東北農業試験研究協議会)
(※2)副島顕子『酒米ハンドブック 改訂版』p.26(2017.7 文一総合出版)
(※3)(※1)p.8
(※4)中山繁喜・櫻井廣『「吟ぎんが」吟醸酒の酒質測定』p.161(岩手県工業技術センター研究報告 第9号 2002.8 岩手県工業技術センター)
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あ~酒臭かった! 32

酒くさコメント 2

あとりえSAKANA

ニラ玉、元気出そうですね☆
お酒とも合いそうですし(^^)
今日の献立候補にさせていただきます☆
by あとりえSAKANA (2020-07-30 08:41) 

skekhtehuacso

あとりえSAKANAさん、にら玉は材料が少なく、調理に要する時間が短いので、すぐに出来ておいしい料理だと思います。
by skekhtehuacso (2020-07-30 20:58) 

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