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【お酒】169.上撰 豪華生一本 カップ [16.富山県の酒]

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皇国晴酒造株式会社
富山県黒部市生地296

原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
アルコール分15%
180ml詰
(以上、フタに貼られたシールより転記)


“生一本(きいっぽん)”の名称は、純米酒しか名乗ることができないはずです。

このお酒の原材料名を見ると、醸造アルコールという表示がなされています。
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醸造アルコールを原料として使用したお酒が純米酒を名乗ることは出来ないはずです。

なお、生一本の意味については、最後にまとめておきましたので、ご覧ください。


野暮なことを言うのはこのくらいにしておいて、今日もぬる燗でいただきます。


一口いただくと、アルコールの香りと共に、甘みと酸味とを感じます。

甘みはやさしい甘みです。
甘ったるさはなくて、自然な感じがします。

酸味は少し強めです。
しかし、刺激やピリピリ感はありません。
スッキリした、さわやかな酸味です。

うまみは淡めです。
わずかに酒臭い(←ほめ言葉です。)風味がします。
しかし、クドさはなくて、むしろやわらかい感じがします。


甘みと酸味とのバランスがちょうどよい、やや淡麗でやや甘口のおいしいお酒でした。
このバランスが崩れると、辛かったり、甘すぎたりすると思います。
上手に仕上げてあるお酒だと思いました。





★☆「生一本」について★☆

(1)生一本を名乗るための条件

生一本”という名称は、「単一の製造場のみで醸造した純米酒」についてのみ使うことができます(※1)。

ここでいう”純米酒”とは、「白米、米こうじ及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの」を指します(※2)。

よって、白米、米こうじ、水以外の原料(醸造アルコールや糖類など)を使用したお酒は純米酒を名乗ることはできませんし、生一本を名乗ることもできないのです。


(2)なぜそんな条件があるのか

本来、生一本の名称は、「灘の生一本」として使用されていたそうです。
それは、「寒造りの酒を指す「生酒(きざけ)」に由来」し、「灘五郷で生まれ育った、混じりけのない酒を意味」する「灘の“専売特許”」の名称だったようです。

ところが、灘では酒の桶買いがなされるようになって、それが灘以外の他地域で造られたお酒も対象とするようになったそうです。
これに対して、混じりけのない酒という意味のはずなのに、他地域の酒が混じったものを生一本と称して販売することは、「不当表示、といきまく消費者運動にアンチ灘派の地酒グループが同調するように突き上げた。」とのこと。

その結果、公正取引委員会が、全国一律の基準として「「清酒の公正競争規約」を作成するよう、日本酒造組合中央会に指示を出す。受けて中央会は四十九年十月に会長協議会を開き、とりあえず自主規制を申し合わせた。(中略)その際、「生一本」の表示基準なるものが決められ」たそうです。

当初、日本酒造組合中央会は、生一本の基準を「米および米麹のみを原料とし、自醸酒(桶買いなしの自社製)であって、かつ原酒であるもの」とするつもりだったそうです。
しかし、「一般の市販酒は、もろみをしぼったあと、飲みやすくするために加水し、十五度前後にするのが普通だが、これではほとんどの清酒製品が不適格になってしまう」ことから、灘のメーカーはこの基準に反発したそうです。
そこで、最終的に「「原酒」という条件を「純米酒」という表現に改め、五十四年十月実施でケリがついた。」とのことです。
(以上、(2)の「」内は※3)


全国一律の規約が作られたことで、灘以外の地域のお酒であっても、基準さえ満たせば生一本を名乗ることができるようになりました。
そして現在、生一本の基準は組合の自主基準ではなくて、国の法的ルールに組み込まれています。


(※1)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(7)
(※2)同1
(※3)神戸新聞社会部編『生一本 灘五郷-人と酒と』p.15-16(1982.11 神戸新聞出版センター)

【お酒】75.若鶴 純米吟醸 カップ 200ml [16.富山県の酒]

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若鶴酒造株式会社
富山県砺波市三郎丸208

原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)
原料米名:富山県産雄山錦100%使用
アルコール分15.0度以上16.0度未満
200ml
(以上、ラベルとフタとから転記)

昨日に続いて、今日も純米吟醸酒をいただきます。

このお酒ですが、お米はすべて富山県産の雄山錦を使用していることをラベルでアピールしています。

雄山錦とは、いったいどういうお米なのでしょうか。
手元の文献によれば、主に富山県で栽培されている酒米で、「栽培しやすい吟醸酒向きの品種」であって「大粒で心白発現率が高く低タンパク質」であるとのこと(※1)。
低タンパク質ということは、アミノ酸の生成が少なくて雑味が出にくいということでしょうから、まさに吟醸酒向きの酒米なのだと思います。

また、この文献は「最上級の雄山錦がとれる砺波平野。(中略)広い水田に点在する散居村が美しい土地である。」と紹介しています(※1)。

おお!たしか、

砺波平野には、“散村”集落が形成されている。そして、米とチューリップとの二毛作が行われている。」
シャンソン(散村)を 歌うの誰や チューリップ(チューリップ)と波平や(砺波平野)

ということを、かつて、どうでしょうゼミナールの大泉校長の講義で習いました。
このお酒で使われている雄山錦の田んぼも、チューリップとの二毛作に使われているのかもしれません。


今日は燗を付けずに、冷蔵庫で冷やしていただくことにします。
昨日の教訓を活かすために、今後、吟醸酒は常温か、あるいは冷やしていただくことにします。


フルーティーな吟醸香はまったくしません。

最初にうまみを感じました。
存在ははっきりとわかりますが、とてもやわらかいうまみです。
このうまみは、お酒の温度が上がっていくにつれてだんだんと濃くなってきました

酸味もありますが、刺激のない、やさしい酸味です。
甘みは、冷たいときはうっすら感じる程度でしたが、お酒の温度が上がっていくにつれて少し甘くなってきたようです。

吟醸香はないものの、やわらかくて雑味のない、淡麗旨口のおいしいお酒でした。
雄山錦の良さが少しわかったような気がします。


(※1)副島顕子『酒米ハンドブック』p.16(2011.7 文一総合出版)
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