“情けなさを凌ぐ悦び”を求めて [旅]
あーあ、
仕事なんかしたくないよ・・・
あたしゃ先週、仕事を一日休んでしまいました。
理由は、通院のため。
通院と言っても内科や外科ではなく、精神科。
うちのボスは、仕事以外のことにはとにかく“だらしない”。
入口のドアを開けっぱなしで出かけてしまうこともしばしば。
レターパックをまとめてある紙の帯を破ったまま捨てずにその場に放置しっぱなし。
極めつけは、私が朝、トイレ掃除をしようとすると、トイレを流していないこと。
それらを処理しなければならないのは、雇われの身であるこの私。
でもさ、これって仕事じゃないよね。
お金をもらって働いている以上、こんなことまでもやらなければいけないのかよ?
それともオイラはいわゆる“負け組”だから、こんなこともやらされて当然なのか?
あたしゃこれらを処理するたびに、
“生活のために金で魂を売り渡しているな。”
って思って、自分がつくづくイヤになる。
そのことを先日、まだドアを開けっぱなしで出かけたボスに言ってやったんだ。
そうしたら、いちおう謝罪はあったものの、ものすごく遠回しに、
「イヤならやめていいよ。」
だってさ。
10年以上もアンタのために働いてやってきたのにさ、よくもそんなことを平気で言い放つことができるよね。
あたしゃこの時、
“辞めないで、死を以って抗議しよう!”
と、心の底からそう思いましたよ。
なぜならば、私が職を失うのと同じ打撃をボスに受けさせるためには、職員が自殺したという評判が流れて仕事の依頼が来なくなることこそがもっとも効果的でしょうからね。
自殺願望って、こういうときに不意に生じるのね。
その日の夕方、
黒猫のダンナは、いつもの場所でオイラの帰りを待っていてくれた。
背を向けて黙っているダンナに、
「今日、こんなことがあったんだよ。」
「オイラは死んじゃうけれど、ダンナは元気でね。」
って話してみた。
(友情出演)
もちろんダンナは何も言いませんでした。
でもその時、
“死んだら黒猫のダンナに会えなくなっちゃう。”
“オイラ、頭がかなりイッちゃっているな。”
って気がついたのでした。
というか、これはきっとダンナからの無言のアドバイスだったのだろうね。
だから私はその翌日に仕事を休み、普段から通院している精神科へ行って、お医者さんに一部始終を話してアドバイスをいただいたのでした。
お医者さんがおっしゃるには、
「辞めれば楽になれるが、時期的にも年齢的にも再就職は難しいから、今の職場環境を受け容れる方向に心を持っていったほうがよい。」
とのこと。
そのために、普段服用しているものに追加して薬を処方していただいたのでした。
追加の薬を服用したら、たしかに心が落ち着いて、自殺しようという気持ちは消えました。
精神科に助けを求めたことは正解で、それを示唆してくれた黒猫のダンナには感謝してもしきれないほどです。
でも、自分が生活のために金で魂を売っていることの情けなさは消えずに残ったまま。
この“情けなさ”は、薬で取り除くことはできないみたいでした。
情けないという思いを積極的に否定しようとも考えました。
「あくまでも仕事の一環なんだから、情けないなんて考えちゃだめだ。」と自分に言い聞かせて。
しかし、開けっ放しの扉を閉めたり、放置された紙の帯を捨てたり、流していないトイレを掃除したりすることはどう考えても仕事とは無関係で、それらをするたびに“情けなさ”が心の底からこみあげてくるのです。
それ故、“情けなさ”を否定することはできませんでした。
ということは、オイラはこれからもこの“情けなさ”と付き合い続けなければいけないみたい。
だったら、
「たとえ情けないことをしていても、魂を売って得た金で “情けなさを凌ぐ悦び” が得られるのだ。」
と、自分を納得させるしか策はないのかも。
ではどうすれば、
“情けなさを凌ぐ悦び”
を得ることができるのか?
そうだ!
山形へ行こう!!
山形へ行って、
とびきりおいしいものを
食べてこよう!!!
こうして私は、“情けなさを凌ぐ悦び”を求めて、山形へ行くことを決めたのでした。
でもでもでも!
今は新型コロナウィルス蔓延による緊急事態宣言が発せられている状況下。
そんなときに安易に山形を訪問することで、私自身がウィルスを山形へ運んでしまう恐れもあるわけですよ。
そこで私が決めたのが、PCR検査。
検体を採取して送付することで、メールで結果を知らせてくれるとのことでした。
その結果は、
ええ?
【低リスク】
だってさ。
陰性じゃないの?
箱をよく見てみたところ、
“陽性/陰性”じゃなくて、“高リスク/低リスク”で判定するんだってさ。
ということはほぼ陰性で、出かけても他の人にうつす可能性は低いってことでしょうね。
めでたしめでたし。
さあ!、山形へ行こう!
★☆2021年1月30日(土)★☆
千葉県民のワタクシが京葉線に乗ってやって来たのは、東京駅。
東京駅から乗ったのは、こちらひさびさの山形新幹線!
8:56発のつばさ129号山形行でした(福島まではやまびこ129号と併結)。
(  ̄っ ̄)怒っている顔のほう(E3系1000番台)でした。
ちなみに、(^―^)笑っている顔のほう(E3系2000番台)はこちら。
(2020年6月13日撮影:赤湯駅にて)
自由席の車内は、海外旅行かよ!と思うほどデカいキャリーバッグを引っ張ってきた若者グループが時節柄を弁えることなく大騒ぎ。
しかもこいつら、降りるときもタラタラ降りやがって、列車は結局遅延したのでした。
閑話休題。
埼玉県内からは、富士山を拝むことができましたよ。
あーダメ人間だダメ人間だ!
まだ朝の9時台だというのに新幹線に乗ると飲むクセがすっかりついたアル中ハイマー型ダメ人間だ!
飲んだら眠たくなるのがお約束。
目覚めたら、外は雪景色でした。
板谷峠(福島県と山形県との県境にある峠)は豪雪地帯と化しておりました。
その板谷峠を、つばさ129号は自慢のスノープラウで雪を跳ねのけながらぐんぐんと越えて行ったのでした。
板谷峠を越えて山形県内に入っても、一面の雪景色。
冬の東北へ来たなぁ!って感じだね。
カジョセンが見えてくると、そこはもう山形駅。
米沢駅や赤湯駅やらでキャリーバッグを引きずりながらタラタラと降りていやがった連中のせいで5分遅れでの到着となったのでした。
時刻はまもなく正午。
腹が減ってまいりました。
そこで、駅ビルの中にあるそば屋さんへ。
まずはビール。
付き出しは青菜(せいさい)のお漬物。
山形の郷土野菜です。
せいろそばをいただきました。
あたしゃおいしいそばをいただくときは、そばだけを食べたい派なのです。
噛み応えしっかり!
噛むたびにそばの香りがフワッと広がりました。
秋田はうどん文化ですが、山形はやっぱりそばだよね。
その山形駅からは、奥羽本線(山形線)に乗車。
12:50発の村山行普通1433Mでした。
1433Mに6駅乗って、天童南駅(山形県天童市)にて下車。
天童南駅から歩いてやってきたのは、イオンモール天童。
そのイオンモール天童で、初孫の酒王(普通酒)300ml瓶と霞城壽普通酒一合瓶とをGET!
カップ酒の取り揃えは豊富でしたが、どれも既出でしたよ(トホホ・・)。
雪道を歩いて、天童南駅へと戻りました。
その天童南駅からは、奥羽本線(山形線)の14:00発山形行普通1438Mに乗って、来た道を引き返しました。
標準軌の単線を100km/hでかっ飛ばす電車に乗ると、
山形へ来たなぁ!って実感するのって私だけ?
カジョセンが見えてくると、そこはもう山形駅再び。
山形駅の西口へやってまいりました。
目指したのは、金森酒店さん。
雅山流のスパークリング(なのに14度)を見つけてGET!
角打ちコーナーがあったので、山形正宗の純米吟醸雄町をいただきました。
これ、酒というよりも、ヨーグルトの上澄みみたいな味。
甘酸っぱくてスイスイ行けるけれど、これじゃ合わせる料理が限られるだろうな。
カジョセン(
なんか文句あるか?
24階の展望室へとやってまいりました。
山形城(
晴れていれば、月山がこちらに見えたのだとか。
がっさーん!〈月山〉
立て!ジョー!〈楯状火山〉
遊びでねえんだ!〈アスピーテ〉
(水曜どうでしょうより)
雪に覆われた山形駅も眼下に眺めることができました。
もっと眺めていたかったのですけれど、
“人の恋路を邪魔する奴は・・・・・、”
カジョセンの展望室から退散。
山形駅の駅ビルにある酒屋さんで、大吟醸2種(出羽桜/霞城壽)をGET!
外へ出たら、けっこう降っているわ積もっているわ!
スーパーで、霞城壽の本醸造300ml瓶をGET!
味マルジュウ(山形県民の皆さんが愛してやまないだし醤油)は、山形へ来たら必ず買おうと固く心に決めていたのでした。
この後ホテルにチェックイン。
いい時間になってまいりましたので、山形の夜の街へと繰り出したのでした。
目指すはもちろん、“居酒屋伝七”さんですよ。
ある!ある!ある!
お目当ての品がある!ある!ある!
晩酌コース(2,400円:税別)を頼んでおいたので、出されたものをいただくのみ。
まずはおひたし。
うるいとあかねほうれんそう、打豆が入っておりました。
塩漬けわらびの煮物。
わらびって塩漬け(塩蔵)にすることで、香ばしさが出るのね。
真子(マダラの卵)のしょうゆ漬け。
♪マコ、甘えてばかりで、ごめんね♪(古っ!)
真子、ものすごくまいう~!
臭みゼロ、うまみばっちり!
あたしゃイクラよりも、こっちのほうが好みだな。
あんきも。
きめが細かくて口の中でとろけました!
柚子が効いたあんかけダレもバッチリでしたよ。
これらに合わせたのは、羽前桜川の辛口。
居酒屋伝七さんでの最初の一杯はこの燗酒と決めておりますもので。
糖類酸味料フル添加なのになぜかおいしい不思議な酒なもので。
でも法人化されてからは口当たりが鋭くなり、かつセメダイン臭を少し纏うようになったかな。
本日のメインは、
寒鱈鍋。
(加熱前)
(加熱後)
岩ノリをかけていただくのが山形流なのだとか。
皮が付いている身がプルプル!
鱈ってさ、スーパーで買うと身がパッサパサで、しかもケミカルなニオイがするじゃないですか。
でも伝七さんでいただく鱈はぜんぜんちがう!
白子が口の中でうまみだけを残して行方不明に!
その鱈の出汁が出た汁もおいしいことこの上ない!
豆腐もねぎも、鱈の出汁が滲みてものすごくおいしいのでした。
その寒鱈鍋に合わせたのは、東北泉の雄町純米。
海の物には海の酒。
キリリと引き締まった辛口の東北泉が寒鱈とよく合うことよく合うこと!
さらに料理は続きます。
ローストビーフと生ほっき貝。
生ほっき貝は、ねっとりのコリコリでものすごくまいう~!
こんなのさ、たった2,400円(税別)のコースで出しちゃって大丈夫なの?
そして最後は、ホイル焼き。
宮城県産の牡蠣。
これも口の中でとろけましたよ。
鱈も入っておりました。
これはヒラタケ。
おいしいね!
これらに合わせたのは、黒魔斬(冷酒)。
初孫らしい透明感にキリッと引き締まった辛口で、海産物との相性ばっちりでした。
〆はスヰートポテト。
リンゴのコンポートが入っとりゃあしたがね。
(絶対に名古屋の人に刺されるわ。)
あー、
んめがった、んめがった!
私にとっては、
山形へ来て居酒屋伝七さんでおいしいものをいただくことこそ、
“情けなさを凌ぐ悦び”そのものである!
と実感した次第でございました。
お読みいただいている皆さまにおかれましては、新型コロナウィルスの蔓延が収束しているであろう来年の冬こそはぜひとも山形へお越しいただいて、絶品の寒鱈鍋をご賞味いただきたい!
山形が大好きなワタクシは、心の底からそう思う次第でございます。
こうして、山形の夜は更けて行ったのでした。
★☆2021年1月31日(日)★☆
早朝の山形駅。
この日は普通電車を乗り継いで、苦界へと帰るのみ。
山形駅からは6:30発の奥羽本線(山形線)福島行普通420Mに乗車。
♪さ~ら~ば山形よ、また来るま~で~は~♪
♪し~ば~し~別れの、涙がに~じ~む~♪
(これも古っ!)
420Mに終点の福島駅まで乗って、東北本線に乗りかえ。
8:12発の新白河行普通2132Mでした。
福島県まで来ると、空は晴れておりました。
2132Mに終点の新白河駅まで乗車。
そして、9:53発の黒磯行普通4130Mに乗りかえ。
4130Mの終点である黒磯駅で、10:23発宇都宮行普通640Mに乗りかえ。
あーダメ人間だダメ人間だ!
黒磯駅の売店がコロナ禍で休業中だと知っていて新白河駅で買いこんできたアル中ハイマー型ダメ人間だ!
640Mに終点まで乗って、宇都宮駅(栃木県宇都宮市)で下車。
お こ と わ り。
(♪ド・ミ・ソ・ド~♪)
ここからは、いつもどおりのパターンのやつが展開されます。
お読みいただいているみなさまにおかれましては、
またかよ!と思いつつも、
鼻でクスリと笑っていただければ幸甚です。
まずは、餃子像様に最敬礼!
<(_ _)>
バスに乗って、東武駅前を目指します。
お目当てはもちろん“三平食堂”さんですよ。
まずはビール。
(オマエさっき飲んだばっかりじゃないか!)
お通しは、春日井のうすピーかな?
そして注文したのは、野菜サラダ!
野菜がねぇ~、
どれもみんなおいしいのよぉ~
(なんでオネエやねん。)
もちろん餃子もいただきましたよ。
こちらは普通の餃子。
野菜たっぷりの餡が、肉よりも魚よりも野菜が大好きな私を魅了してやまないのです。
こちらはしそ餃子。
餡をしそで巻いてあることがおわかりでしょうか。
これらの餃子を、酢とこしょう、ラー油でいただきました。
野菜たっぷりの餃子には、やっぱり十一正宗でしょう!
きれいで甘口の十一正宗が、野菜たっぷりの餃子の味を引き立ててくれたのでした。
三平食堂さん、毎度のことながら堪能させていただきました。
東北からの帰りに立ち寄る宇都宮の三平食堂さんでいただく野菜サラダと餃子、それに十一正宗もまた、私にとっては“情けなさを凌ぐ悦び”でしたよ。
お腹も心も満たされたところで、酔っぱらいはオリオン通りを歩いて帰って、
途中、二荒山神社に参拝し、
95段の階段を駆け上がって酔いがいっそう回ってしまって、
拝殿にて二礼二拍手一礼。
今回の旅も、無事楽しませていただいてありがとうございました。
私にとっての“情けなさを凌ぐ悦び”に気づかせてくださってありがとうございました。
95段の石段を下りて宇都宮駅へと戻って、
宇都宮駅の駅ビルにあるスーパーで、旭興のカップ酒をGET!
悲しいかな、プリントから紙ラベルへと変わっちゃったのね。
上野東京ラインのグリーン車に乗って、
ビールを飲みながら帰ったとさ。
(まだ飲むのかよ。)
明るいうちに帰宅することができたので、黒猫のダンナには2日分をたっぷりと遊んでいただきましたとさ。
(友情出演)
今回の旅では、私には“情けなさを凌ぐ悦び”があることを確認させていただきました。
それはどれも、かけがえのないものばかり。
もちろん、黒猫のダンナもです!
これらのことを心の支えとしつつ、これからも金で魂を売り渡しつつも、それを甘受しながらなんとか生きていこうと思いましたとさ。
そしてまた生きることが辛くなったら、山形へ行こうと思います。
以上、
カップ酒1個
一合瓶1本
300ml瓶5本
の旅でした。