《焼酎》64.芋の達人 黒麹仕込み かめ貯蔵 100ml [9945.宮崎県の焼酎]
井上酒造株式会社
宮崎県日南市南郷町榎原甲1326
本格焼酎
内容量/100ml詰
アルコール分/25度
原材料/さつまいも・米こうじ
(以上、ラベルより転記)
井上酒造さんの焼酎は、これまでに以下のものをいただいております。
飫肥杉 爽(さわやか) 20度
飫肥杉 爽(さわやか) 25度
黒飫肥杉 25度 100ml
赤飫肥杉 25度 100ml
上記の飫肥杉シリーズはすべて宮崎駅に併設されていた土産物店で入手しましたが、今日いただくこの“芋の達人”は、福島県の磐越東線小野新町(おのにいまち)駅から2kmほど離れたスーパーで見つけたものでした。
ラベルの表示を見る限り、黒飫肥杉と差がないようです。
ということは、中身は同じ焼酎なのでしょうか?
今日はお湯割りの気分なので、最初から全量をお湯割りでいただきますよ。
黒麹らしい香ばしさがありますが、穏やかですね。
それに、華やかな香りがちょっとあるみたいです。
酸味は出るものの、ひかえめです。
ピリピリはなく、苦みや雑味も、それに重さや芋臭さもまったくありません。
かなり軽めですが、黒麹の風味や華やかさがわかるおいしい焼酎でした。
察するに、これは黒飫肥杉と同じ中身ではないでしょうか?
ちがったらどうしよう!
《焼酎》63.赤飫肥杉 25度 100ml [9945.宮崎県の焼酎]
井上酒造株式会社
宮崎県日南市南郷町榎原甲1326
本格焼酎
原材料/甘藷・米麹
アルコール分/25度
100ml詰
(以上、ラベルより転記)
おす・・・、
もういいや。
井上酒造さんの焼酎は、これまでに以下のものをいただいております。
飫肥杉 爽(さわやか) 20度
飫肥杉 爽(さわやか) 25度
黒飫肥杉 25度 100ml
今日いただくこの芋焼酎は、“赤芋使用”なのだとか。
赤芋ってのは、もしかしたら食用の芋でしょうか?
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
華やかな香りがありますが、かなり穏やかです。
一方で苦みや雑味はなく、重さや芋臭さもありません。
それどころか、芋のふっくらした感じもわかりませんでした。
ただ、ちょっとだけピリッと感じます。
ここで今日は、残ったものをロックでいただきます。
(写真を撮ることを忘れてしまいました。)
香りは引いて、かなりひかえめになりました。
ロックにありがちな軽い苦みは出るものの、かなり弱めです。
一方で、これも重さや芋臭さはありません。
かなり軽めの芋焼酎でした。
香りは弱めながらに感じましたが、それを除くと口当たりはあたかも甲類焼酎のようでした。
そういえば、かつて赤利右衛門をいただいたときにも軽さを感じましたが、焼酎の原料として一般的であるコガネセンガンを使わずに赤芋で造ると、こういう軽い味わいになるのでしょうか?
《焼酎》62.黒飫肥杉 25度 100ml [9945.宮崎県の焼酎]
井上酒造株式会社
宮崎県日南市南郷町榎原甲1326
本格焼酎
内容量/100ml詰
アルコール分/25度
原材料/甘藷・米麹
(以上、ラベルより転記)
おすぎです!
じゃなくて、今日は黒飫肥杉です。
(まだやるか。)
おとといは飫肥杉 爽 20度を、そして昨日は飫肥杉 爽の25度をいただきました。
今日いただくこのこの黒飫肥杉は“黒麹仕込み”の“かめ貯蔵”で、25度の芋焼酎なのだとか。
黒麹についてはかつてこちらで触れておりますので、適宜ご参照下さい。
それでは、いただいてみたいと思います。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
ちょっとだけピリッと感じますが、25度の爽ほどではないみたいです。
黒麹らしい香ばしさというか、かびっぽさがありますね。
でも、しつこさはありませんよ。
それに、芋のふっくらした風味もほんのりと感じます。
甘みは弱めならがにもわかります。
苦みや雑味はまったくなく、重さや芋臭さもありません。
ここで、残りをすべてお湯割りでいただきます。
黒麹らしい香ばしさが立ちますが、角がなくて穏やかです。
それに、生では感じなかった華やかさがちょっとだけ出てまいりましたよ。
酸味はやっぱり出ますが、これもちょっとだけです。
苦みや雑味、重さや臭さはまったくありません。
軽めではあるものの、黒麹らしい香ばしさが穏やかに効いている、おいしい焼酎でした。
重さや芋臭さがないところから推察するに、これも爽と同じく減圧蒸留なのでしょうか?
それでいて香ばしさや香りがあって、お湯割りにすることでそれらを穏やかに感じることができましたよ。
これはお湯割りがいいかな。
《焼酎》61.飫肥杉 爽(さわやか) 25度 [9945.宮崎県の焼酎]
井上酒造株式会社
宮崎県日南市南郷町榎原甲1326
本格焼酎
原材料 甘藷・米麹
内容量:100ml
アルコール分:25度
(以上、ラベルより転記)
おすぎです!
じゃなくて、飫肥杉(おびすぎ)です。
(それ昨日やったな。)
昨日いただいた飫肥杉 爽(さわやか)は、アルコール度数が20度でした。
今日いただくこの焼酎も同じく飫肥杉 爽ですが、こちらは25度でした。
度数がちがうと、味わいに変化が生じるのでしょうか?
あたしゃこれまでに、「20度の焼酎なんて薄くて飲めやしない!」と頭から否定する御仁に何度かお目にかかったことがありましたが、はたして本当にそのとおりなのでしょうか?
100mlしか入っておりませんので、大事にいただいてみたいと思います。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
これはピリッと来るね!
でも、芋のふっくらした風味が豊かですよ。
甘みも、厚みを少し感じます。
でも、逆に香りの華やかさはひかえめかも。
ピリピリ感を抑えるべく、残ったものをお湯割りでいただきます。
ピリピリ感は消えましたよ。
それに、ふっくらした風味が立ってまいりました。
甘みも薄まることなくよくわかります。
酸味は出るものの、ちょっとだけです。
芋のふっくらした風味がよくわかるおいしい焼酎でした。
20度のものほど香りに華やかさを感じなかったものの、芋の風味がはっきりしていて、甘みに厚みを感じました。
それでいて雑味や重さ、芋臭さはまったく感じませんでした。
ただピリッとくるので、お湯割りにしたほうが飲みやすいですし、むしろそのほうがふっくらした風味がはっきりして楽しめるのではないかと思いました。
25度のほうがたしかに濃く感じましたが、それでもけっして20度が薄いというわけではありませんでした。
むしろ20度は、生(き)やロックでもピリピリ感が出ることなく、しかも華やかな香りを楽しめると思いましたよ。
20度焼酎をろくに試しもせずに無下に否定することはいかがなものかと思わせてくれる、“飫肥杉 爽”はそんな焼酎でした。
《焼酎》60.飫肥杉 爽(さわやか) 20度 [9945.宮崎県の焼酎]
井上酒造株式会社
宮崎県日南市南郷町榎原甲1326
本格焼酎
内容量/200ml
アルコール分/20%
原材料/甘藷・米麹
(以上、ラベルより転記)
おすぎです!
じゃなくて、“飫肥杉(おびすぎ) 爽(さわやか)”という名の芋焼酎です。
“飫肥杉”というのは、どうやら飫肥(おび)地方、すなわち宮崎県日南市で採れる杉材のことらしいですね。
「 とくに飫肥杉の特長は、脂気とねばり気の強い木質で、水分をはじき浮力を大きくし、釘あともすぐ埋まり、強い衝撃にも耐える特質をもっている。
このため、四十年以上の大木は「弁甲(べんこう)材」と呼び古くから造船材として内外の需要が多かった。」(※1)とあるとおり、江戸時代から木造船が一般的だった頃までは珍重されたそうです。
蔵元さんのWebsiteでは、「井上酒造は西暦1894年(明治27年)創業以来、百有余年を経過した伝統の蔵です。 昭和58年独自の減圧蒸留技術を開発し、日本で初めての減圧蒸留100%の芋焼酎の製造を開始しました。」と紹介されておりました。
あれ?
常圧蒸留/減圧蒸留のちがいについてはかつてこちらで触れておりますが、そういえば、たしか「芋焼酎では減圧蒸留法はほとんど導入されていない。その理由として、酒質が常圧蒸留した焼酎と全く異なることと、もろみ粘度が麦焼酎と比べて30倍以上高いため熱伝導性が悪くもろみが焦げ付く可能性が高いためである。(中略)もろみのアルコール濃度が低下すると蒸留機の形状などにもよるが、一般的に蒸留歩合や原酒アルコール濃度は低下する。(中略)もろみに水を加えることで粘性は低下し減圧蒸留が可能となるが、上述の問題が生じることとなる。」(※2)という記述をかつて読んだことがありましたよ。
ということは、井上酒造さんはこの問題を解決なさったということでしょうね。
そのことについて詳しく書かれている文献を探してみたのですが、すみません、今回は出会うことがかないませんでした。
調査は継続し発見でき次第この記事に追記いたしますので、今日はどうか勘弁いただいて、私にこの焼酎を飲ませてやってくださいな。
減圧蒸留についてはかつてこちらで触れておりますが、「常圧蒸留では芳醇で豊かな風味を、減圧蒸留では軽快で端麗な飲み口を引き出せるという。」(※3)のだとか。
今日いただくこの「飫肥杉 爽(さわやか)」もどうやら減圧蒸留100%の芋焼酎のようですが、その名のとおり爽やかな口当たりなのでしょうか?
それを確認するために、そろそろいただいてみたいと思います。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
香りがありますね。
華やかなかおりですが、ひかえめで穏やかです。
芋のふっくらとした風味もかすかに感じます。
甘みもほんのりとありますね。
一方で、アルコール香は弱めです。
また、香りに芋臭さや重さはまったくありません。
苦みや雑味もないですね。
つぎに、お湯割りで。
香りが立ちますね。
まず、アルコール香が少し立ちますが、それが爽やかです。
それに華やかさが少しはっきりして、ふっくらした風味も立ってまいりました。
甘みは薄まることなくよくわかります。
酸味は出ますが、それほど目立ちません。
最後に、残ったものをロックで。
苦みは出るものの、かなりひかえめです。
また、とろっとした口当たりと甘みとを感じます。
香りはやや引くものの、消えることはありません。
淡め・軽めで、スッキリ爽やかなおいしい芋焼酎でした。
重さや芋臭さをまったく感じませんでしたが、これは減圧蒸留の成果でしょうか?
ただそれ故に、常圧蒸留で造られた一般的な芋焼酎と比べるとやや薄めに感じるかもしれません。
生だと甘みと香りとを感じ、お湯割りだと香り豊かでさわやかに、そしてロックだととろっとした口当たりを楽しめましたとさ。
(※1)吉田常政『城下町 飫肥ガイド-九州の小京都-』p.69-70(1978.12 2001.7改訂5版 日南市観光協会)
(※2)髙峯和則『本格焼酎製造技術』p.10(Foods & food ingredients journal of Japan 214巻1号 p.4-13〔『特集:本格焼酎 その歴史、技術、文化』(p.1-27)内〕2009 FFIジャーナル編集委員会)
(※3)鮫島吉廣監修 メディアファクトリー編集『ゼロから始める焼酎入門』p.94(2014.4 株式会社KADOKAWA)
《焼酎》58.黒麹仕込み みやこんじょ 180ml [9945.宮崎県の焼酎]
都城酒造株式会社
宮崎県都城市乙房町2887番地1
本格焼酎
原材料/さつまいも・米(国産)・米こうじ(タイ産・国産)
アルコール分/20%
内容量/180ml
(以上、ラベルより転記)
都城酒造さんの焼酎は、これまでに以下のものをいただいております。
あなたにひとめぼれ こめ 180ml
あなたにひとめぼれ いも 180ml
いも焼酎 あなたにひとめぼれ 黒 180ml
あなたにひとめぼれ むぎ 180ml
今日いただくこの焼酎は、コーンスターチを使用していない本格焼酎でした。
主原料には芋と共に米を併用しておりました。
これまでにいただいたあなたにひとめぼれシリーズは180mlで120円弱でしたが、このみやこんじょは150円弱と30円ほど高めでした。
それでも他の本格焼酎と比べたら、かなりお安めですけれどね。
それでは、いただいてみたいと思います。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
黒麹らしい香ばしさを感じますが、穏やかです。
芋の華やかな香りをフワッと感じますが、これも軽めで、重さや臭さがまったくありません。
それに、米焼酎のような風味も感じますよ。
甘みはないみたいです。
苦みや雑味はまったく感じません。
つづいて、お湯割りで。
(写真を撮ることを忘れてしまいました。)
これは軽いね!
黒麹の香ばしさや芋の華やかな香りは少し引くというか、薄まるみたいです。
でもそのせいか、米の風味が前に出てまいりましたよ。
酸味がちょっとだけ出るものの、それほど目立ちません。
甘みはなく、苦みや雑味も感じません。
最後は、残ったものをロックで。
やっぱり苦みが出ますね。
少し鋭さがあるものの、それほど強くはありません。
むしろこの苦みが黒麹の香ばしさとよく合うようですよ。
芋の香りや米の風味は生(き)よりもちょっと引く程度です。
クセがなくてかなり軽めではあるものの、焼酎の風味をちゃんと感じることができる、おいしい焼酎でした。
芋の風味はどちらかというと弱めでしたが、そのぶんクセがなく、しかも米の風味が補完しておりましたよ。
香りや風味は生(き)が一番はっきりしておりました。
お湯割りにすると、米の風味が前に出て、軽くてキリッと引き締まっておりましたよ。
ロックだと、軽い苦みと黒麹の香ばしさとがよく合って、飲み応えを少し感じました。
これさ、150円弱でこの味わいを楽しめるんだったら、もう大満足なんじゃないの。
本州(というか私が住んでいる関東)では大手蔵の三増カップや鬼ころし(←普通名詞として用いております。特定の銘柄を指すわけではございません。)の紙パックしか買えないような値段なのに、宮崎県の皆さんは同じ値段でこれだけ楽しめるのですから、うらやましいことこの上ないですよ!
《焼酎》55.明月 200mlハイカップ [9945.宮崎県の焼酎]
明石酒造株式会社
宮崎県えびの市大字栗下61番地1
本格焼酎
原材料名/さつまいも、米麹、米
アルコール分 20%
内容量 200ml
(以上、ラベルより転記)
今日は、宮崎県えびの市に蔵を置く蔵元さんが造った“芋焼酎”をいただきます。
ピンは外してありますが、下記地図の中心がえびの市です。
北隣には熊本県の人吉、すなわち球磨焼酎(米焼酎)で有名な球磨地方がありますね。
品質表示を見ると、度数が20度であることと共に、原材料名の末尾に“米”と表示されていることがわかります。
芋焼酎で米麹を使用することは一般的なことのようですが、ここには米麹と米とが各別の原材料として併記されております。
これはもしかしたら、米麹とは別に麹菌を植えつけていない米そのものを主原料として芋と併用しているということでしょうか?
このことについて蔵元さんのWebsite上にあった商品説明では「南九州産さつまいも「コガネセンガン」を主原料に、白麹で仕込んだ芋焼酎に、米焼酎をブレンドすることにより、芋の香りを和らげ、ほんのりとした香りと口当たりのよい本格焼酎に仕上がりました。」と紹介されておりました。
主原料に芋と米とを併用しているのではなくて、別途米焼酎を造ってそれを芋焼酎にブレンドしていることから、結果として米そのものを原材料として使用していることになるわけですね。
「なーんだ、それじゃ芋焼酎じゃなくて、芋と米とのブレンド焼酎じゃないか!」
と怒り心頭の御仁もいらっしゃるかと思います。
(いねぇよ!)
しかし、日本酒造組合中央会が定めた公正競争規約によれば、“芋焼酎”のような冠表示(特定の原材料の使用を強調する表示)は、その原材料が「イ 使用されている原材料の全部又は大部分(50%以上)を占めるとき」や、「ロ 使用比率が使用原材料のうち最大であるとき」、あるいは「ハ 原材料の使用比率を施行規則の定めるところにより冠表示に併記して表示するとき」のいずれかに該当する場合には可能なのだとか。(※1)
一方で品質表示は「使用量の多い順に表示する。」(※2)ことになっておりますので、この焼酎では、きっと“さつまいも”の使用量が50%以上、あるいは最大なのでしょう。
それ故、私はこの焼酎を芋焼酎と呼ぶことは適切であると判断いたします。
ところで、米焼酎をブレンドすれば、芋の香りはたしかに和らぐ(薄まる)ことでしょう。
しかし、蔵元さんのWebsite上にあった商品紹介の文言どおり、口当たりもよくなるのでしょうか?
一方で、手元にあった文献では、この焼酎の味わいを「力強いアタックとほんのりした香り、ほのかな苦みがクセになる。」(※2)と評されておりましたよ。
口あたりがよいのか、それとも力強いアタックがあるのか、いったいどっちなんでしょうね?
これは実際にいただいてみて、自分の舌で確かめるしかありません。
ということで、いただいてみたいと思います。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
盃に注ぐと、芋の香りがフワッと漂ってまいりました。
まずピリが来ますが、それほど鋭くはないみたいです。
アルコール香はあまり感じません。
芋の香りに重さはなく、穏やかです。
それに、米焼酎のようなキリッとした風味がありますよ。
甘みは少なめですが、かすかにあることがわかります。
次に、お湯割りで。
芋の香りがはっきりしてきました。
華やかではなくて、ふかし芋のようなふっくらした感じです。
それに、お湯割りにありがちな酸味も少し出てきました。
一方で、減圧蒸留の米焼酎みたいな米の風味がしっかりしてきました。
それに甘みが引くとともに、アルコール香が立ってきて、キリッと引き締まってまいりましたよ。
最後は、残ったものをロックでいただきます。
芋の香りに重さが出てまいりましたよ。
ズシリと来る重さです。
米の風味は引いて、むしろ芋っぽい風味が前に出てきたようです。
甘みと共に、軽い苦みもちょっとだけ出てきました。
生(き)ではピリピリ感があったものの、お湯割りやロックでは感じませんでした。
また、お湯割りだと米の風味がはっきりしておりましたが、ロックだと芋の風味や重さが前に出て来るようでした。
ロックの場合には「力強いアタック」(※3)という表現は適切かもしれませんが、それ以外ではむしろ蔵元さんがおっしゃるとおり「芋の香りを和らげ、ほんのりとした香りと口当たりのよい本格焼酎」だと感じました。
これはもう、芋焼酎と米焼酎とのおいしいハイブリットや~!
ああ、そうか!
これは完全に私の予想ですが、蔵元さんが蔵を置くえびの市は熊本県の球磨地方に近いことから、米焼酎(球磨焼酎)の味に慣れている熊本県の人にも芋焼酎を楽しんでもらうべく、米焼酎をブレンドして球磨焼酎の味わいに近づけているのではないでしょうか?
(※1)単式蒸留しようちゆう製造業の表示に関する公正競争規約4条(1)イロハ、同施行規則3条(不当景品類及び不当表示防止法31条1項)
(※2)同施行規則2条(2)イ
(※3)『焼酎一個人 vol.1 今、最高においしい焼酎(BEST MOOK SERIES 47)』p.11(2017.7 KKベストセラーズ)
《焼酎》43.天孫降臨 20度 200ml [9945.宮崎県の焼酎]
神楽酒造株式会社KK
宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸144-1
本格焼酎
原材料/さつまいも・米こうじ(国内産米)
アルコール分/20度
容量/200ml
(以上、ラベルより転記)
神楽酒造さんの焼酎は、かつて麦焼酎 ひむかのくろうま 25%をいただいております。
今日いただくこの焼酎は、アルコール度数20度の芋焼酎です。
宮崎県の焼酎に20度のものが多い理由についてはかつてこちらで触れておりますので、ご参照ください。
またこの芋焼酎は、「低温蒸留を施すことによりフルーティな華やかさを持った芋焼酎に仕上げました。」んだってさ。
低温で蒸留するということは、きっと減圧蒸留、すなわち低温でも沸騰可能なように蒸留器内を真空に近い状態にして沸点を下げて蒸留しているのでしょうね。
この減圧蒸留は、米焼酎や麦焼酎では、今日において広く用いられているようです。
でもね、 あたしゃかつて減圧蒸留について調べた際に、「芋焼酎では減圧蒸留法はほとんど導入されていない。その理由として、酒質が常圧蒸留した焼酎と全く異なることと、もろみ粘度が麦焼酎と比べて30倍以上高いため熱伝導性が悪くもろみが焦げ付く可能性が高いためである。(中略)もろみのアルコール濃度が低下すると蒸留機の形状などにもよるが、一般的に蒸留歩合や原酒アルコール濃度は低下する。(中略)もろみに水を加えることで粘性は低下し減圧蒸留が可能となるが、上述の問題が生じることとなる。」(※1)という記述に出会いましたよ。
神楽酒造さんがいも焼酎に低温蒸留(=減圧蒸留か?)を導入した際にこれらの点をどう克服なさったのか、とても興味深いところです。
ですが、誠に申し訳ございません。
今日はこのことについてまったく調べておりませんでした。
それよりも、あたしゃこの芋焼酎の原料である“黄金千貫(コガネセンガン)”について、ぜひとも触れておきたかったのです。
黄金千貫(コガネセンガン)というのは、芋の品種名です。
「黄金1000貫ほどの価値があるさつまいもということで「コガネセンガン(黄金千貫)」と名づけられた品種。でんぷん含有量が高く、収穫量も多い品種で、皮色は黄褐色、肉色は淡黄色。アルコール歩留まり(アルコールが生成される割合)が高いため、芋焼酎の原料として使う蔵が多い。」(※2)や、「市場に出回る芋焼酎原料の実に95%を占める、焼酎用品種の代名詞。」(※3)という記述にあるとおり、今日においては芋焼酎の原料として広く普及している品種なのだとか。
そのコガネセンガンですが、もともとは昭和41年(1966)にでん粉原料用として育成された品種だったそうです。
その背景には、戦後になってからでん粉を用いた工業を推進する政策が施され、その需要量が増加したことから、それに対応できる品種を育成する必要があったとのこと。
このことについて、以下のような記述がありました。
「昭和33年には食糧研究所にブドウ糖製造試験工場が建設され、ブドウ糖製造に関する研究が精力的に行われ、いも類のでん粉を原料とするブドウ糖やグルタミン酸などの工業化の発展と、でん粉工業の大きな伸展が期待されるようになった。
このようなでん粉工業の発展は、カンショやバレイショの需要を拡大し、かつ安定させて畑作振興上大きな役割を果たすことになるのであるが、しかしこれらのでん粉工業の発展をさまたげている最大の原因のひとつは、原料でん粉の価格の高いことであるとされた。でん粉の価格を引下げるには、原料いもの栽培法の改善やでん粉工場の合理化、操業期間の延長など各方面の対策が必要であったが、最も効果的で可能性の大きいのは、でん粉含量が高く、かつ多収性の品種を作出することであるとされた。」(※4)
独立行政法人農畜産業振興機構のWebsiteでは詳しく紹介されておりますが(←同サイトへ飛びます。)、でん粉は食用や醸造用のみならず、医薬品や化学調味料の製造、それにダンボールや紙の製造にも用いられているのですね。
そしてこの要請に対応すべく、でん粉収量の高い品種として育成されたのがコガネセンガンだったのだとか。
これについては、以下の記述がありました。
「ひるがえって「コガネセンガン」ではどうかというと、それは葉で光合成された炭水化物が転流し、塊根中にでん粉が蓄積されますが、その“でん粉貯蔵細胞が比較的に小さく揃っている”ことでした。これは細胞間隙への水分などの蓄積を最小限に止め、でん粉蓄積量を増やすのに好適な細胞形態であることが、後に理論として証明されました。この特性によって、高でん粉多収品種が完成したのです。」(※5)
「昭和41年に育成されたあとは、その収量性、でん粉歩留、食卓の卓越性から「農林2号」に替わり、「コガネセンガン」が急速に普及しています。」(※5)
そのでん粉収量ですが、「当時の最も高でん粉多収品種は、関東地方では‘農林1号’の22.5%,(10a当り生藷収量は)2.2t,九州地方では‘農林2号’の24.5%,(同)2.2t」(※6)であったのに対して(()内はブログ筆者追記)、コガネセンガンは「でん粉歩留りが30%、10a当り生藷収量は700貫(2.6t)」(※6)を目標に育成され、実際に「工場歩留りで30%近くを出したといわれている」(※7)とのことでした。
しかしその後、「しかし近年では、でん粉原料用にはより高でん粉多収の「シロユタカ」「シロサツマ」が当てられ」(※5)たり、あるいはでん粉の輸入自由化によってより安価なコーンスターチが主として用いられるようになったことから、コガネセンガンはでん粉の原料から焼酎の原料へと変貌を遂げたのだそうです。
そのコガネセンガンで造られた焼酎ですが、肝腎の味わいについては「“甘く、コク”がある美味しい焼酎ができるといわれています。」(※5)とか、あるいは「クセがなく、上品な甘さ。」(※3)になるのだとか。
今日いただくこの芋焼酎からも、はたしてそういった味わいを感じ取ることはできるのでしょうか?
以上のことを念頭に置きつつ、いただいてみたいと思います。
まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
一口含むと、華やかな香りがフワッと鼻へ抜けていきますよ。
それに、芋っぽいふっくらした風味がかなりはっきりしております。
その風味は、まるでふかし芋のようです。
甘みもしっかりしておりますね。
かなり軽めの苦みもほんのかすかに感じます。
一方、アルコールの香りはほとんど感じず、ピリピリ感もないですね。
次に、お湯割りで。
これは芋の風味が広がりますね。
ふっくらとしていて、ふかし芋そのものですよ。
甘みは残りますが、華やかさは少し引きますね。
酸味は、温かいうちはほとんど感じませんでしたが、冷めるにつれて出てくるようでした。
苦みは完全に引いて、後味スッキリです。
最後は、残ったものをロックで。
強くはないものの、苦みが少しはっきりしますね。
香りや風味、それに甘みは引くようです。
かなりキリッと引き締まってまいりました。
生(き)でふっくら、お湯割りで風味豊かでスッキリ、そしてロックでキリッと引き締まった、おいしい芋焼酎でした。
これまでにいただいた芋焼酎と比べて、ふかし芋のような風味が豊かでした。
それでいてけっして重くはなく、しかも臭みもありませんでした。
もしかしたら、これこそが低温蒸留(=減圧蒸留か?)の成果なのでしょうか?
そういえば、減圧蒸留の米焼酎は米の風味が、そして麦焼酎は穀物っぽいフワッとした香ばしさがそれぞれ豊かでしたが、芋焼酎を減圧蒸留で造るとふかし芋のような風味になるのかもしれませんね。
それともこの風味こそが、コガネセンガンの実力なのでしょうか?
これさ、かなりうまいんじゃないの!
私としては生(き)かロックが好みでしたが、アルコール香が少ないところから推察するに、割らずにそのまま燗にしてもいけるかもしれませんね。
次回いただく際には、神楽酒造さんが芋焼酎の低温蒸留(=減圧蒸留か?)での製造における問題点をどのように克服なさったのか、必ずや調べてみたいと思いましたとさ。
(※1)高峯和則『本格焼酎製造技術』p.10(Foods & food ingredients journal of Japan 214巻1号 p.4-13〔『特集:本格焼酎 その歴史、技術、文化』(p.1-27)内〕2009 FFIジャーナル編集委員会)
(※2)エイムック2089『焼酎の基本』p.036(2010.12 枻出版社)
(※3)鮫島吉廣監修 メディアファクトリー編集『ゼロから始める焼酎入門』p.36(2014.4 株式会社KADOKAWA)
(※4)坂井健吉『農業技術の源流を訪ねて(1)でん粉工場といも作農家に貢献したカンショ‘コガネセンガン’』p,47-48(農業水産技術研究ジャーナル 16巻5号 p.45-53 1993.5 農林水産技術情報協会)
(※5)樽本勲『でん粉のあれこれ さつまいもでん粉人列伝~3.坂井健吉とコガネセンガン~』p.23(でん粉情報 29号 p.20-24 2010.2 農畜産業振興機構調査情報部)
(※6)(※4)p.48
(※7)(※4)p.52
《焼酎》41.いいともBLUE 20度 200ml [9945.宮崎県の焼酎]
雲海酒造株式会社 綾蔵
宮崎県東諸県郡綾町大字南俣字豆新開1800番5
本格焼酎
原材料名 麦・麦麹
アルコール分 20%
内容量 200ml
(以上、ラベルより転記)
雲海酒造さんの焼酎は、これまでに芋焼酎の木挽BLUE 200mlと、同じく芋焼酎の日向木挽 黒 200ml、そしてそば焼酎 雲海 200mlとをいただいております。
今日いただくこの焼酎は、麦100%の麦焼酎です。
20度ですし、それに今日はもう本当に飲みたい気分なので、一度に全部飲んじゃいますよ!
まずは、生(き)、すなわちストレートで。
ちょっとだけピリッと感じます。
でも、穀物っぽいふっくらした風味をふんわりと感じますよ。
それに甘みもほんのりと感じます。
かすかな苦みもちょっとだけあるようです。
次に、お湯割りで。
(写真を撮ることを忘れてしまいました!)
酸味が少し出るようですが、割水のせいでしょうか?
風味は薄まるものの、それでもほんのりと感じます。
甘みと苦みとは引きますね。
かなりさっぱりした口当たりでした。
最後は、残ったものをロックで。
これは少し香りますね。
華やかな香りを弱めながらに感じます。
風味と甘みとは引くみたいです。
でも苦みは残って、けっこう引き締まった感じがします。
総じて淡めでしたが、生(き)でしっかり、お湯割りでさっぱり、そしてロックで香りふんわりでキリッとひきしまった感じを楽しめる、おいしい焼酎でした。
どの飲み方でもおいしくいただくことができました。
飲み方を変えることで、その日の気分に合わせて味わいを変えることができるので、面白いのではないでしょうか。
それにしても、お酒(焼酎)ってのは、それをいただいている間は日常で受けたイヤなことを忘れさせてくれる不思議な力を持っておりますね。
私にとっては、まさに“酒は憂いの玉箒”ですわ。
それがおいしければ、なおさら嬉しいところです。
《焼酎》35.そば焼酎 雲海 200ml【追記あり】 [9945.宮崎県の焼酎]
雲海酒造株式会社 綾蔵
宮崎県東諸県郡綾町大字南俣字豆新開1800番5
本格焼酎
原材料 そば・麦麹・米(国産)
アルコール分 20%
内容量 200ml
(以上、ラベルより転記)
雲海酒造さんの焼酎は、これまでに芋焼酎の木挽BLUE 200mlと日向木挽 黒 200mlとをいただいております。
今日いただくこの焼酎は、言わずと知れたそば焼酎雲海です。
ある文献では、社長の話として「「戦後の食糧難時代、農家でさえ米がなかった時代に母親が父の焼畑農業で作ったそば粉を使ってひいてくれたそばがきの味が何とも言えない香りで、美味しかったんですよ。そこでこの旨味を焼酎に出したいということと、そばが高血圧によく効き健康にも良いこと、また宮崎県産のそばを使うことで当時言われていたふるさと志向にも合うことから、そば焼酎と決めたんです」」(※1)と商品化の契機を紹介しておりましたよ。
今日は半分だけいただいて、残りは明日、別の飲み方で試してみることにいたします。
(その感想は、明日この記事に追記します。)
そば焼酎ですから、もしかしたらそばの香りを感じることができるかもしれませんね。
それ故、まずはロックでいただきます。
あれ?
香りはかなりかすかですよ。
というか、そばの風味はしないかも。
じっくりと味わうと、穀物っぽい香ばしさをほんのかすかに感じる程度ですわ。
酸味はちょっとだけありますね。
甘みはけっこうはっきりしていますよ。
さっぱりしていて、飲みやすい焼酎でした。
風味はかなり弱めで、むしろ甲類焼酎に近いかもしれません。
それ故に、クセがなくて飲みやすく感じました。
でも甘みがあって、まろやかさを感じることができましたよ。
翌日
お湯割りにしてみました。
あーやっぱり。
風味がさらに薄まりますね。
甘みも引いていくみたいです。
お湯割りらしい酸味(水由来か?)がちょっとだけ出ます。
残念ながら、ロックでもお湯割りでも、私はそばの風味を感じとることが出来ませんでした。
一方でクセがなくて穏やかなので、かなり飲みやすいと思います。
この風味ならば、何かで割っていただくのもありかもしれません。
そういえば、もう何十年も前のことですが、かつて雲海のCMで玉露割りってのを紹介していたことがあったっけ。
(※1)加藤公彦『企業訪問レポート 日夜たゆまぬ技術の研鑚 自然との調和・地域社会の活性化を図りつつ、高品質の焼酎づくりに取り組む 雲海酒造株式会社』p.37(中小企業金融公庫月報 39巻2号 p.34-41 中小企業金融公庫調査部 1992.2)