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【お酒】1923.龍力 特別純米酒 神力 300ml [28.兵庫県の酒]

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製造者 株式会社本田商店
兵庫県姫路市網干区高田361-1

原料米 神力100%
原料米栽培地 兵庫県たつの市御津町中島産
アルコール分 16度
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合 65%
内容量 300ml
(以上、ラベルより転記)




本田商店さんのお酒は、これまでに以下のものをいただいております。
173.龍力 特別本醸造 カップ
479.龍力 特別純米酒 昔の酒 180ml
722.龍力 大吟醸 米のささやき 300ml
1711.龍力 特別本醸造 播州秋祭り カップ

今日いただくこのお酒は、
兵庫県たつの市御津町中島産
“神力”(しんりき)
という酒造好適米を100%使用した特別純米酒でした。
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神力は、もともとは食用米で、明治から大正にかけて盛んに栽培されていた品種。
多収種で、大正期にはすべての米の作付面積の3分の1に至るほどになったそうです。

しかもその神力の発祥地は、まさにこのお酒で使われている神力の栽培地=兵庫県たつの市御津町中島なのだとか。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。

 明治6年に地租改正で農民は豊作,凶作に関係なく税金を納めなければならなくなり生活は苦しく,明治9年には地租改正反対の一揆が茨城,三重などの諸県で続発している。このような状況下で毎年安定した収穫を得るために多収,良質,強短桿,耐病,耐寒の新品種が常に早急に求められていた。
 当時の稲の品種改良の担い手は老農たちであり,第1表に明治時代に普及した代表的な品種と育成者を示した。「神力」は「愛国」「亀の尾」と共に日本三大品種の一つであり,兵庫県揖保郡御津村中島の丸尾重次郎氏が,明治10年程吉(ほどよし)と呼ばれた有芒の品種の中から収穫の折に程吉と異なる芒のない籾種の大きな穂3本が混在しているのを見つけ,これを採り貯蔵して翌年に試作して籾量2斗4升6合を収穫し「器量良(きりょうよし)」と名づけた。これが後の「神力」の原種である。翌12年に同村内に栽培したが収量は他品種に比べて2割5分をこす増収でしかも米質は良く粒は大きく光沢があり近隣の農家は種子の分譲をうけて栽培する者が毎年増えたとある。多くの人々の協力をうけて明治15年ごろには揖西,揖東の平坦部の大半に普及し19年に余部村(現在の姫路市)の岩村善六氏などと協議して「神力」と改称した。
 また岩村氏は中央の農商工広報に「神力」の多収性と沿革をのせて全国に紹介した。この後全国に普及し明治20年代に入って大阪,京都,兵庫県,徳島県,香川県,九州一円に,明治30年代の前半には神奈川県以西に,40年には栃木県以西にと広まった模様である。
 この広範囲の普及には大量の優良種子の供給が必要で,種子を改良して共同採取する水稲神力採取組合が揖西村に結成され周到な計画と努力を持って種子供給につとめ「神力」の急激な増加に対応した。
 大正8年の調査によると我が国の水稲品種で1万町歩以上のものは30種に過ぎないが,そのうち最も栽培面積の広いのは「神力」で50万町歩にも達している。この数字は水稲作付反別の約3分の1を占める。また各地で「神力」からの体系分離品種や「神力」を交配母体とした育成品種が作られた。
 JA熊本県経済連の資料によると,「神力」は熊本県には明治13年頃下益城郡に移入され,20年代には平坦部における主要品種となった。」(※1)

しかし、「このように明治から大正にかけて西日本稲作に君臨した神力も昭和に入り硫安が普及し窒素成分の多投の結果,いもち病や白葉枯病に弱い欠点があり,米質の問題もあり次第に「旭」に変わっていくこととなる。」(※2)とあるとおり、昭和に入ると衰退し、栽培されなくなったのだとか。


それが平成に入って、神力の酒造特性に着目し、その復活と酒造好適米指定の動きが出てきたそうです。

中でも、「美少年酒造(かつて熊本県にあった蔵元。2014年破産:ブログ筆者追記)からの要請で,経済連,県農研センター矢部試験地で1995年から検討し栽培基準を設定.1997年から生産開始」(※3)とあるとおり、主に熊本県での復活の動きが顕著であったみたいでした。

一方で別の文献では、神力を「熊本,兵庫,福井で独立に復活した復古米。」(※4)と紹介されておりました。

もしかしたら、この兵庫での神力復活に、今日いただく龍力の本田商店さんが関与なさっていたのかな?


ほな、その神力の酒造特性は?

これはけっして悪くはなかったみたいです。
上記と同じ文献には、以下のような記述がありました。

 明治20年代から西日本に広まった神力は,当時から酒造用としても使用されていたと推測されるが,明治22年の文献「日本酒改良実業問答」をはじめその他当時の文献では,他区別の原料米についての分析は 行われているが,品種についての研究データーはなく酒造原料米の品種名は出ていない。
 野白喜久雄先生によると,「神力」をはじめとして酒造用原料米の品種名が初めて文献に表れたのは,明治40年醸造試験所の調査と時であるという。
 その後,同所の酒造米の理化学的調査が始まり大正8年には熊本,愛媛の「神力」を調査して酒造用適品とし,次いで兵庫,佐賀,山口,広島,愛知,岡山,徳島などの「神力」について調査している。昭和に入り全国酒造米基本調査の中で,熊本県神力については「同地雄町と殆ど変わらざる優良米と認む。すなわち製麹中の香気風味,軟質度殆んど兄弟なしと云うも差し支えなし」とし,次いで酒母テストを実施して「熊本雄町に比し大なる遜色を認めず優良米としての貫緑を備うるものと請うべし」としている。」(※2)


神力の、“雄町と殆ど変わらざる優良米”としての性質や、“優良米としての貫緑”は、果たしてこのお酒から感じ取ることはできるのでしょうか?
それでは、65%精米された神力を使用した特別純米酒、いただいてみたいと思います。


まずは、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、無色透明でした。
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上立ち香はないですね。
含んでも、ごくかすかに花っぽさを感じる程度です。

意外にも、うまみは淡めです。
米のうまみうっすらで、広がらずに舌を鋭く突くみたいです。
熟成感はなく、酒臭さも感じません。
苦みがあって、重さを感じます。
キレはとてもよく、透明感をはっきりと感じます。

酸味はややはっきりでしょう。
すっぱさが強くはないものはっきりで、鋭さを感じます。
スースー感はなく、ピリピリ感もありません。

甘みはひかえめです。
その存在はわかるものの、かなり弱めです。


淡麗重ちょいすっぱスッキリ辛口のお酒でした。

かなり淡麗で、透明感がありました。
しかも辛口で、キリッと引き締まっておりました。
それでも米の風味は感じることができましたが、苦みの重さがそれを凌駕しておりました。
スッキリしてはおりましたが、飲みやすくはないみたいでした。



ここで、燗にしてみました。
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酸味が立ちました。
鋭さはそのままですが、酸味自体に深みが出ました。
また、うまみに酒臭さ(ほめ言葉です)がちょっと出ましたよ。
しかもちょいピリになりました。

燗にすると、淡麗重ちょい深ちょいピリスッキリ辛口のお酒になりました。

キレのよさと透明感とは冷やしたものと同じでした。
ですが酒臭さ(あくまでもほめ言葉です)と酸味の深みとで、飲み応えが出てまいりました。


これはあくまでも私の想像ですが、昨今の洗練された味わいのお酒が登場する前の“昔の淡麗酒”ってこんな感じだったのではないでしょうか?





その昔の淡麗酒?、に合わせた今日のエサはこちら。


豚ロース肉150g
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半分に切って、両面にこしょうと小麦粉とを振っておきます。
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しょうが。
要するに、豚肉のしょうが焼きを作ってやろうという魂胆なのです。
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ですが私は、しょうがをおろしません。
細かい賽の目に刻みます。
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その刻んだしょうがを、“みりん:淡口しょうゆ=2:1”のたれに浸しておきます。
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今日はしいたけと玉ねぎとを合わせました。
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火は弱火。
肉をけっして焦がさないことが重要なのです。
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まず肉の片面に火を通して、
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裏返したら、野菜を投入。
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肉に火が通ったら、野菜の上に乗せてしまいます。
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そこへ、たれを投入。
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たれを煮詰めて行きます。
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たれが煮詰まったら、“あっさり豚しょうが焼”の完成です。
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しょうがの粒を噛むたびに、しょうがの風味が口の中に広がったのでした。
また淡口しょうゆを使い焦げ目をつけずに仕上げた分、豚肉の風味をはっきりと感じることができたのでした。
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ごちそうさまでした。






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黒猫のダンナには、今日もいっぱい遊んでいただけましたとさ。
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(友情出演)

(※1)佐々木定『酒米「神力」の復活』p.222-223(日本醸造協会誌 第95巻第4号 p.222-226 2000)
(※2)(※1)223
(※3)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.149(2000.3 養賢堂)
(※4)副島顕子『酒米ハンドブック 改訂版』p.46(2017.7 文一総合出版)
あ~酒臭かった!(39)  酒くさコメント(2) 
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あ~酒臭かった! 39

酒くさコメント 2

タンタン

毎回ですけど酒との相性を考え工夫されてますね。凄いです^^
by タンタン (2021-02-22 05:53) 

skekhtehuacso

タンタンさん、独り者なので誰も作ってくれないものですから、しかたがないのです。
by skekhtehuacso (2021-02-23 20:12) 

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