【お酒】2000.松竹梅 上撰 たけペット [26.京都府の酒]
製造者 宝酒造株式会社+FC
京都市伏見区竹中町609
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
アルコール分:15度
180ml
(以上、包装フィルムより転記)
2000個目の記念すべきお酒は、松竹梅。
と言っても、何を血迷ったか、かつて一度だけ《番外編》なるものを設けておりますので、正確には2001個目ですけれど。
“たけペット”だってさ。
だから容器はペットボトルでした。
上撰の小印が付されたこのお酒。
品質表示を見る限り、どうやら普通酒のようでした(精米歩合の表示がない)。
でもね、大手蔵の上撰クラスって、本醸造の特定名称を名乗ることが少なからずありますよね。
菊正宗とか、
白鹿とか、
沢の鶴とか、
一本義とか、
司牡丹とか、
高清水とか。
それなのに、宝酒造さんの松竹梅は、上撰の小印を付していながら、どうして本醸造の特定名称を名乗らないのでしょうか?
ここからは完全にワタクシの推測ですけれど、どうやら宝酒造さんが得意としていらっしゃる”焙炒造り”に起因するのではないでしょうか?
焙炒造りについては、以下の記述が参考になります。
「これまでの原料処理は,白米に30%ほどの吸水をさせ蒸気で蒸すことが常識であったが、宝酒造(株)では蒸気で蒸す代わりに、吸水させた白米を熱風で加熱する「焙炒」という原料処理法を実用化し、新しい「焙炒清酒」を開発された。」(※1)
「 一方、「焙炒ばいしょう造り」とは、白米を蒸気で蒸す代わりに、高温の熱風で短時間加熱処理し(たとえば二九〇度C、四五秒間)、でんぷんをαアルファ化した「焙炒米」を掛米として用いる醸造法である。白米にはあらかじめ二八%程度の水分を含ませてあり、褐変したり酒に焦臭がつくことはない。通常の蒸米を使用するのに比べて、白米中のたんぱく質が熱変性するため麴のたんぱく質分解酵素の影響を受けにくく、酒中に含まれるアミノ酸が少なくなるとともに、脂質も大半が揮散してしまうので、淡麗な酒質になる特徴がある。」(※2)
焙炒造りは、お米に高温度の熱風を吹きかけてでんぷんをアルファ化(糊化:糖化しやすい状態)する技法だとわかりました。
ではなぜ、お米を蒸さずにこんなことをするのでしょうか?
その答えは、以下の記述が参考になります。
「粕歩合は,焙炒掛米の仕込みで,23.5%となり,対照の蒸し米仕込みの25.5%に比べて幾分低く,したがって,焙炒掛米の仕込みでは,アルコール収得量が白米1,000kg当たり371l(100%アルコール換算)得られ,対象の333lに比べて多くなっている、このことから、焙炒米を用いても米粒の消化,とくにデンプンの消化がよく進み,アルコールの生成も良好になっていることが確認できた。」(※3)
粕歩合が低いということは、同じお米でお酒を造ってもより多くのお酒を造ることができるということでしょう。
要するに、お米を蒸す方法よりもたくさんのお酒を造ることができて、それだけ儲かるのでしょうね。
また“デンプンの消化がよく進み”ということは、少ない麹米でより多くの米を糖化できるということでしょう。
それ故に、「特定名称の清酒は、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合をいう。以下同じ。)が、15%以上のものに限るものとする。」(※4)という特定名称酒の要件を満たしていないが故に、本醸造の特定名称を名乗ることができないのかもしれませんね。
あくまでも、ワタクシの推測ですけれどね。
それではその普通酒の松竹梅、いただいてみましょう。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、無色透明でした。
うわ!
甘っ!
最初に甘みが来ますね。
べとついてはいないものの、かなり強めです。
うまみは淡めです。
やわらかいうまみをふんわりと感じます。
渋みがあって、少しはっきりしております。
酒臭さはなく、熟成感もありません。
キレはよいですね。
酸味はひかえめです。
すっぱさはゼロです。
でも、ちょいスーでした。
ピリピリ感はありません。
淡麗ちょい渋ちょいスー甘口のお酒でした。
淡めながらにも、やわらかいうまみを一応感じました。
でもこの強烈な甘さには参りました。
渋みは弱めでしたが、淡めであるが故に目立つみたいでした。
甘口がお好きの諸兄におかれましては、ぜひとも松竹梅をお勧めいたします。
(※1)高山卓美『清酒「焙炒造り」について』p.849(日本醸造協会誌 87巻12号 p.849-857中 1992.12)
(※2)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.153(2000.4 柴田書店)
(※3)(※1)p.854
(※4)清酒の製法品質表示基準を定める件(平成元年11月22日国税庁告示第8号)1(3)
★☆2000個目に到達したことについて★☆
いつも“飲みたくなってシマッタの記”をお読みいただきましてありがとうございます。
2013年8月7日に書き始めて以来、本日、清酒だけで2000個目に達することができました。
もっとも、他に焼酎や泡盛にも手を出しておりますし、“また飲んでみました”のカテゴリーも開設しておりますので、飲んだお酒は2000個を超えております。
書き始めた当初は、まさかここまで自分の関心が酒に向き続けるとは思っておりませんでした。
それだけ酒が大好きで、また地方を徘徊することが大好きであったからこそ、続けられたのだと思います。
それに自分は仕事が大嫌いで、というかボスが大嫌いで、いやいや生粋の人嫌いで、必然的に人とかかわらなければならない仕事を辞めたくてしかたがないのに、辞めることなく生活の糧を得続けていられるのも、酒という楽しみを享受するために時間と魂とを切り売りしているのだと自分に言い聞かせているが故でございます。
もしこの世に酒がなかったら、人嫌いの私は社会に出られないひきこもりだったか、あるいは違法薬物に手を染めて社会から追放されてしまっていたかもしれません。
ただ、書き始めた頃と比べると、出かける気力が些か低下しつつあるように思います。
計画を立てて切符や宿を予約しても、直前になって行く気が失せて、すべてキャンセルしたことが何度かございました。
その原因は、きっと加齢でしょう。
アラフィフになってから、倦怠感をひどく感じるようになってしまいましたからね。
それに加齢は予防が不可能ですから、改善することはないでしょう。
それ故、もしかしたら今後、書くペースが落ちてしまうかもしれません。
今後、毎日更新はできなくなってしまうかもね。
この先どうなるかわかりませんが、気力が続くかぎり書き続けるつもりです。
お読みいただいている皆さまにおかれましては、また飲んだくれてくだらないことを書いてやがると呆れつつも、時々鼻でクスリとお笑いいただければ幸甚です。
こんばんは いつも楽しく拝見しています。
2000個目 おめでとうございます!
次は3000個目指して頑張ってください!
そしてカテゴリーが大阪府になってますよ^^
これからのご活躍も楽しみにしています。
by 丹醸 (2021-07-07 21:37)
恐れ多くも畏くも、酒ブログの大先輩であらせられます丹醸様よりお言葉を拝受いたしましたること、まことに以て恐悦至極に存じ奉ります。
最敬礼<(_ _)>
3000まで行けるかどうか、微妙なところでございます。
最近では、出かけても成果が乏しいことが続いておりますもので。
それに出かけることすら億劫になる始末。
歳はとりたくないですねぇ。
カテゴリーの件、完全にワタクシの不注意ならぬ“府”注意でした。
お詫びして、訂正させていただきます。
再び最敬礼<(_ _)>
by skekhtehuacso (2021-07-07 21:48)
2000個目 おめでとうございます^^
清酒って本当に種類が豊富にあるんですねぇ(°_°)
これからも楽しみにお待ちしております=(^.^)=
圭太へのコメント、ありがとうございます(_ _)
by ニッキー (2021-07-07 21:54)
ニッキーさん、まだまだ未知の清酒があるとは思いますが、どうやらそれらを網羅的に集めることは難しくなりつつあるように思います。
時節柄もそうですし、採り尽くした感もあるものでして。
今後は少しずつの収集になると思いますが、それでもなんとか書き続けて行きたいと思います。
圭太君は、術後の状態は良好でしょうか?
そのあたりのこともブログに書いていただければ安心です。
by skekhtehuacso (2021-07-07 22:05)
2000個、おめでとうございます。
足元にも及びませんが、私も精進しなくてはいけません。
廃業する蔵元もたくさんあったのですが、近年新しい日本酒も出てきていると聞きます。1個1個積み重ねていかれることを期待しています。
by やまびこ3 (2021-07-07 22:32)
2000個目、おめでとうございます。
それにしてもたくさんの種類があるのですね。どこに何のお酒が販売されているか、調べるのも大変そうですね。
毎日ブログ更新される方はいつも尊敬してます。
私はすぐにネタ切れとなってしまい、到底出来ません。。。
by yes_hama (2021-07-07 22:36)
やまびこ3様におかれましては、1000個達成の際にもお言葉を拝受いたしましたることを覚えております。
足元にも及ばないのは、むしろワタクシのほうでございます。
やまびこ3様のブログで紹介されている過去の鉄道写真、それも欧州のものまでも蓄積がおありなわけですから、たかが数年かけて2000個に達しただけのワタクシなど、足元にも及びません。
これからも、鉄道写真のご披露を楽しみにしております。
by skekhtehuacso (2021-07-07 22:38)
yes_hamaさん、酒が好きだからこそできているのだと思います。
酒の世界は、踏み込めば踏み込むほど奥が深いもので。
調べれば調べるほど、未知の情報に出くわすことができるもので。
アズさんの20歳、おめでとうございます。
猫で20歳ってのは、飼い主さんが人一倍気を配ってお育てになられた成果でしょうね。
ご長寿を、心より慶賀申し上げます。
by skekhtehuacso (2021-07-07 22:43)
こんにちは。
2000個目到達!!おめでとうございます。
探求し探究する姿を見習いたいです。
年を重ねて同じように行動は出来ませんが・・・
適度に変更?調整して・・・
楽しみながら3000個・4000個を目指して下さい。
既に2000個到達で名酒界(名球界)入りしています!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2021-07-07 23:48)
2000個目の記事、おめでとうございます!!
自分と違った視点の旅記事も楽しく、参考になりますm(__)m
お体には気を付けて、次回も楽しみにしています(^^)
by せとっこ (2021-07-08 00:03)
2,000個達成おめでとうございます。
酒蔵の中にはカップ酒や小瓶を作ってない所もあるでしょうから、上を目指すには基準の緩和が必要になってくるのではないかと思います。
by タンタン (2021-07-08 08:52)
おはようございます^^
2000個目に到達!おめでとうございます\(^o^)/
加齢により体調ベストなとき、年に数回程度しか酒類を楽しめなくなってしまったわたくしには羨ましいくらいの強靱な肝臓です(笑)
30代の頃は平日休みに昼間から500㎜ビール缶飲んで幸せを感じていた頃が懐かしい…^^;
今後も美味しくお酒を飲めるよう体調管理にお気を付けてくださいませ。
by よしころん (2021-07-08 10:22)
そうでしたか
2000もの清酒のご紹介ありがとうございます。
これからも是非、お続けください。
by 八犬伝 (2021-07-08 20:25)
Boss365さん、ペースは落ちるかもしれませんが、どうか長い目で見てやってくださいな。
名酒会どころか、迷酒会でしょう。
by skekhtehuacso (2021-07-08 20:53)
せとっこ様のように海外へ羽ばたいていければきっと楽しいのでしょうけれど、当方はそれがかないません。
せめて国内の地方を徘徊して楽しもうと思います。
by skekhtehuacso (2021-07-08 20:54)
タンタンさん、出かけた先で収集する方式を続けるかぎり、対象は今のままでないと持って帰ることができなくなってしまいます。
いつそうなるかはわかりませんけれど、近所を徘徊して酒屋を見つけてお酒を入手する方法に切り替えた際には、4合瓶にも手を出してみようかな。
by skekhtehuacso (2021-07-08 20:58)
よしころんさん、体のアルコール分解能力を高めるために、毎日帰宅後に筋トレを励行しております。
筋肉を付けると、体の水分量が増えて、アルコール分解能力が高まるのです。
それにしても、平日の昼間に500ml缶ビールは豪快ですね。
あたしゃせいぜい、スーパーで90円くらいで売っているちっちゃいやつを仕事で出かけた際に買ってこっそり飲む程度です。
by skekhtehuacso (2021-07-08 21:01)
八犬伝さん、あくまでも切りのいい通過点だと思いたいところです。
でも2000個も飲んだのだから、お酒の味を利きわける能力は、多少はついたかな?
by skekhtehuacso (2021-07-08 21:02)
継続は力なり
素晴しいです
>^_^<
by ロコときどきキナコ (2021-07-08 22:41)
2000個とは凄い数ですね。これから先も楽しみにしています。
by newton (2021-07-09 12:01)
ロコときどきキナコさん、惰性で書き続けているだけかも。
by skekhtehuacso (2021-07-09 21:49)
newtonさん、気力が続く限り書き続けようと思います。
by skekhtehuacso (2021-07-09 21:50)
2000個到達おめでとうございます!。
by エクスプロイダー (2021-07-09 23:00)
エクスプロイダーさん、まだまだ飲むでよ。
by skekhtehuacso (2021-07-10 19:57)