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【お酒】658.舞桜 チーバくん上撰カップ [12.千葉県の酒]

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守屋酒造株式会社
千葉県山武市蓮沼ハ2929

原材料/米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合/65%
アルコール分/15度
内容量/180ミリリットル
(以上、ラベルより転記)




このお酒のラベルには、千葉県のマスコットキャラクターである“チーバくん”が用いられています。
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こういうマスコットキャラクターを用いたラベルのお酒をいただく際には、私はいつも思うことがあります。
それは、もしこのお酒がまずかったら、一蔵元さんの責任だけでは済まされないということです。
ラベルに用いられたキャラクターの名誉にもかかわることなのです。

と思いつつラベルを見ていたところ、この蔵元さん、この問題をうまくかわしましたよ。
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チーバくんのマークはこの商品の品質を保証するものではありません。」ですと。
いやー、うまく逃げましたな。


ですが、詰められたお酒がおいしければ、こんな逃げ口上などいらないのです。
守屋酒造さんのお酒の味について、ある文献では以下のように紹介していました。
軽くて、濃い酒。尻が軽い酒」をめざしているという。飲みやすく、こくのある、しかもきれのよい酒ということだろう。」(※1)

今日いただくこのお酒は普通酒のようですが、カップ酒にするような普通酒にも、このめざす味は表現されているのでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ちょっとはっきりしているという程度でしょうか。
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うまみはやや濃いめで、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを感じます。
それに、苦みと香ばしさとも少しあるようです。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさがちょっとあって、またわずかにピリッと感じました。

このお酒ですが、甘みはひかえめです。


うまみと酸味とがしっかりした、旨辛口のおいしいお酒でした。
味わいはしっかりしていますが、甘みが少ないからでしょうか、ややドライで軽い感じがします。
このお酒も、たしかに「軽くて、濃い酒」でした。
この味わいならば、逃げ口上などいらないでしょう。


(※1)鈴木久仁直『ちばの酒 ものがたり』p.147(1997.6 青娥書房)

【お酒】657.仁勇カップ 浮世絵ラベル [12.千葉県の酒]

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鍋店株式会社
本社 千葉県成田市本町338
神崎酒造蔵 千葉県香取郡神崎町神崎本宿1916

アルコール分15度以上16度未満
原材料名/米・米こうじ・醸造アルコール
国産米100%使用
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




創業は元禄2年(1689)」であって、「明治年間には成田と神崎と灘にも蔵がありました」(※1)という鍋店(なべだな)さんのお酒は、かつて仁勇の山廃純米カップをいただいております。
品質表示から判断するに、今日いただくこのお酒は普通酒です。
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普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、それほど目立たない程度でした。
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うまみは淡めでした。
でも、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみをほんのりと感じました。
また、ほんのわずかではありますが、苦みを感じました。

酸味はややはっきりしているものの、おだやかです。
すっぱさとさわやかさとをちょっと感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ほんのわずかに感じる程度です。


全体的に淡めではあるものの、味の整った、やや淡麗で旨口のおいしいお酒でした。
淡めですが、味はしっかりしているので、物足りなさはないと思います。
私は山廃純米よりも、こちらの普通酒のほうがおいしいと思います。


(※1)安藤三佐夫編著『千葉の地酒とうまい肴』p.23(2013.4 彩流社)

【お酒】656.木戸泉 本醸造 大原はだか祭り カップ [12.千葉県の酒]

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木戸泉酒造株式会社
千葉県いすみ市大原7635-1

原材料名 米・米麹・醸造アルコール
国産米100%使用
アルコール分15%
精米歩合65%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




昨日いただいた特別純米 山田錦カップに続けて、今日は木戸泉の本醸造カップをいただきます。
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ここで一つ、お詫びがございます。
大原のはだか祭りについて、私はなにも知りません。
興味がおありの皆様におかれましては、どうかご自分で検索をしていただきたく存じます。
よそ者が生半可な知識で祭りを語るよりも、そのほうが正確な情報を得られると思います。
体のよい手抜きだな!


そろそろいただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、昨日の特別純米酒と同じくらいでしょうか。
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うまみはやっぱり濃くて、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみのカタマリが、口の中にぶつかってくるようです。
キレがそれほどよくはなく、口の中に残るように感じました。
そのせいか、微妙なところではありますが、昨日いただいた特別純米酒よりも濃いような気がします。
また、特別純米酒とちがって、香ばしさや苦みはないみたいです。

酸味もやっぱりはっきりしています。
ですが、うまみと反対にこちらは特別純米酒ほど強くはなく、しかもクセがないみたいです。
それでも、一般的なお酒と比べると、すっぱさがはっきりしていると思います。
しかし、刺激やピリピリ感はないですね。

甘みはひかえめですが、その存在はわずかにわかります。


しっかりしたうまみと酸味との、濃醇旨辛口のおいしいお酒でした。
特別純米酒よりも酸味のクセが少ないので、やや飲みやすいと思います。
これはアル添の効果でしょうか。
私はこっちのほうが好きですね。

【お酒】655.木戸泉 特別純米 山田錦 カップ【追記あり】 [12.千葉県の酒]

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木戸泉酒造株式会社
千葉県いすみ市大原7635-1

アルコール分/14度以上15度未満
原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)
原料米/山田錦
精米歩合/60%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




今からおよそ二年前に、私はこのブログをはじめました。
その際、ブログ開設の辞に続けて最初に書いたお酒の記事で、木戸泉さんの特別純米酒“醍醐”を紹介させていただきました。

顧みるに、当時はただ、“仕事中に(サボりで)立ち寄ったスーパーなんかで偶然に出会ったお酒を紹介して、その感想を適当に書いておけばいい。”という、気軽な気もちで書き始めたのでした。
しかし、書いているうちにお酒について知らないことや不思議なことがいろいろと出てきて、それを調べてまとめることが楽しくなり、ついついt調子に乗ってしまいました。
それに、新たな酒を求めて地方へ出かけ、酒代やら旅費やら飲み食いやらで、さんざん身銭を切りましたよ。
なくしたのは、金だけじゃないだろ。

はたして、こんな不健全な趣味が、いつまで続くことやら。
でも、ほかに楽しみがないから、きっとこれからも書き続けるんだろうなぁ。


今日いただくこのお酒も特別純米酒ですが、こちらはアルコール度数14-15度と、やや低めです。
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ということは、加水がやや多めということでしょうか。


上記初回記事でも紹介しましたが、木戸泉さんは、酒母(酛)の仕込みに“高温山廃仕込”なる手法を採用しているのだとか。

生酛系酒母の仕込みは通常、六~八度Cという低温で行われ」るようです。
これは「有用乳酸菌は七度C前後の低温でも生えるのに対して、悪玉乳酸菌は一〇度C以上でないと生えない」からとのこと(※1)。
(なお、速醸酛の場合は「仕込み温度は一八~二〇度Cが一般的だが、徐々に温度を下げていき三日目に一〇度C程度にする。」のだとか。(※2))

しかし、高温山廃仕込の場合には「酒母を55度で仕込み糖化を促した後、乳酸菌、酵母菌を植えつける」のだそうです。
この手法によると「失敗すれば雑菌だらけか、酢になってしまうでしょうが、そこが杜氏の腕なのです。コクと米の香りの生きた日本酒が出来るのですぞ!」(中略)「これは、かなりの型破りの醸造法です。発酵途中の甘酸っぱい原酒を口に含むと、それはもう自ずと目が細まる絶佳の醍醐味。」なのだとか(※3)。

そういえば、生酛の原型と言われるものに、室町時代に奈良で生まれた“菩提酛”という手法があるのですが、それを現代に再現なさった方の話には「正暦寺菩提酛は夏場に造る夏酒であることと、第1段階で蒸し米ではなく生米を使うことがポイント。菩提酛造りそのものは冬に行いましたが、酒母づくりの第1段階の温度は夏場と同じ30度に設定したので、腐らせることのないよう、交替で徹夜しながら管理にあたりました」とあったのを思い出しました(※4)。

高温山廃仕込と菩提酛とは直接には関係がないかもしれませんし、あくまでもこれは私の予想ですが、酒母の低温での仕込が普及したのは寒造りが確立した江戸後期からであって、それ以前は比較的高温で仕込まれていたのかもしれませんね。
もしこれが正しければ、この高温山廃仕込で仕込んだお酒は、古式で仕込んだものに近い味になっているのかもしれません。

【2019年11月4日追記】
高温山廃酛については「五五度の高温で仕込み、培養した乳酸菌を添加する。速醸モトは直接乳酸を投与する。乳酸を使用しないので、高温山廃酛と呼んで現在に至るが、正確には高温乳酸菌利用酒母という名が正しいように思う。」(※5)という記述を見つけましたので、ここに追記しておきます。


大変申し訳ございません。
またしても、ついつい調子に乗ってしまいました。
そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ややはっきりしているといった程度でしょうか。
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うまみは濃いめで、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみが豊かです。
それに、香ばしさがわずかにあるようです。
でも、キレがよくて、スッと引いていきます。
飲み始めは苦味を感じませんでしたが、ちょっとではあるものの次第に苦みが出てきました。

酸味はけっこう豊かです。
これが高温山廃仕込の特徴でしょうか?
すっぱさが豊かですが、角がなくてまろやかなすっぱさです。
刺激やピリピリ感はないですね。

甘みはひかえめですが、それでも少し感じます。
べとついた感じはなく、さらっとしています。


しっかりしているがキレのよいうまみと、まろやかな酸味とが豊かな、濃醇旨口のおいしいお酒でした。
上で“加水多めか?”と書きましたが、味としてはちょうどよいと思います。
私としては、16.5度の醍醐よりも、こちらのほうがおいしいと思います。


(※1)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.130(2000.4 柴田書店)
(※2)(※1)p.134-135
(※3)安藤三佐夫編著『千葉の地酒とうまい肴』p.50(2013.4 彩流社)
(※4)『酒処の亭主は菩提もと開発者 奈良の酒を知り尽くした男 山中信介さん』p.26(月刊大和路ならら 2012年11月号 地域情報ネットワーク株式会社)
(※5)鈴木久仁直『ちばの酒 ものがたり』p.139(1997.6 青娥書房)

2018/10/17
また飲んでみました。

【お酒】654.腰古井 淡麗辛口 300ml [12.千葉県の酒]

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吉野酒造株式会社
千葉県勝浦市植野571

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分14度以上15度未満
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




吉野酒造さんのお酒は、かつて腰古井の生貯蔵酒をいただいております。
今日いただくこのお酒は、“淡麗辛口”と銘打たれた普通酒です。
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アルコール度数がやや低いことから冷用かとも思ったのですが、そのような表示はありませんでした。
というわけで、普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほぼ無色のようでした。
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一口含むと、ちょっとだけですが、フレッシュな風味を感じました。

うまみはたしかに淡めでした。
淡いものの、やわらかいうまみの中に、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを少し感じました。
また、苦みと香ばしさとが少しあるようです。
特に香ばしさのほうは、いただいたあとも口の中に残りました。

酸味はけっこうはっきりしています。
すっぱさが豊かで、さわやかさも少し感じました。
刺激やピリピリ感はないみたいです。

甘みもやはりひかえめでしたが、その存在はわかりました。
わずかにあって、コクを添えています。


淡めのうまみに、酸味がしっかりした、淡麗やや辛口のお酒でした。
海のものと合わせるには、こういう味わいのほうがよいのでしょうか?
私としては、うまみがもう少ししっかりしていたほうがよいかな、と感じました。
“淡麗”って書いてあるんだからさ、だったら買うなよ!

【お酒】639.腰古井 生貯蔵酒 300ml [12.千葉県の酒]

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吉野酒造株式会社
千葉県勝浦市植野571

アルコール分14度以上15度未満
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
300ml詰
(以上、瓶の印刷事項より転記)




今日は、房総半島勝浦の地酒である腰古井(こしごい)の生貯蔵酒をいただきます。
生貯蔵酒の意味については、簡単にではありますがかつてこちらで触れておりますので、ご覧ください。


腰古井という酒銘について、文献では以下のように紹介していました。
銘柄は「腰古井」(こしごい)であるが、なかなか読めないのも特徴である。地名の「腰越」の「腰」と、古井戸を合わせたものである。この井戸は、蔵と道を隔てた山の崖に掘られていて、奥が深く数70~80メートルもあるそうだ。」(※1)

また、この古井戸から湧く水は、「軟水で、しかも1.6度とたいへん硬度が低い。」とのこと(※2)。

使用する水の性質(硬水/軟水)と、それによって造られたお酒の味との関係についてはかつてこちらでまとめておりますが、軟水を使用するということは、きっと味の穏やかな甘口のお酒になるのではないかと推察いたします。


そんなことを念頭におきつつ、そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですが生貯蔵酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、ほぼ無色ですね。
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うまみは淡めですが、しっかりしています。
やわらかいうまみがメインです。
それに、かもし出された酒臭さ(←ほめ言葉です)もわずかにあるみたいです。
苦みがけっこうはっきりしてますが、いやな苦みではないですね。

酸味は強くはないものの、はっきりしています。
すっぱさとさわやかさとをほどよく感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはけっこうはっきりしています。
さらっとしていて、おだやかな甘みです。


淡めではあるもののしっかりしたうまみに、酸味と甘み、それに苦みがほどよく合う、やや淡麗で旨口のお酒でした。
口当たりはよいですが、味わいはしっかりしています。
苦みがちょっと気になるかもしれませんが、それも味を引き締める要素かもしれません。
苦みがなければ、軟水仕込の甘口でやわらかい味わいだと思います。


(※1)安藤三佐夫編著『千葉の地酒とうまい肴』p.40(2013.4 彩流社)
(※2)鈴木久仁直『ちばの酒 ものがたり』p.130(1997.6 青娥書房)

【お酒】610.東薫 純米吟醸酒 300ml [12.千葉県の酒]

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東薫酒造株式会社
千葉県香取市佐原イ627

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
アルコール分 15度
精米歩合 55%
300ml
(以上、ラベルより転記)




千葉県の北部、利根川沿いに位置する佐原(サワラ)の東薫酒造さんのお酒は、かつて普通酒(糖添)の金紋あやめカップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、純米吟醸酒です。


今でこそ佐原の蔵元さんは2軒だけですが、江戸時代後期から明治初期にかけては、佐原は“関東灘”と称されるほど酒造りが盛んな場所だったそうです。
最盛期には35軒もの蔵元を抱えていて、江戸における灘酒の補完的な役割を果たしていたとのこと。
このことについて、文献では以下のように紹介していました。

天明七年(一七八七)、酒造人は三五人、酒造株高は三三一石、冥加金は二七両二分を納めている。天明七年は、佐原村の実醸造高は最高の年となり、一万三五四五石を記録する。」(※1)

江戸時代後期、灘酒が圧倒的に優位で、佐原の酒はその補完的な役割を果たした。伊能忠敬による天明四年(一七八四)の酒屋勘定帳によれば、地売酒代一三九三両三分八〇文、江戸酒代一七七両二分余とある。これは八対一の割合になり、江戸向けの酒代は一一パーセントに過ぎない。やはり地元での消費量が圧倒的に多く。それだけ佐原周辺が大きな市場であったということもできる。
海が時化で灘酒が江戸に入らないようなとき、佐原の酒が江戸に届けられたのであろう。佐原は補完的な役目であったが、江戸を市場をしていたのは事実である。佐原の酒は「関東灘」と称せられ、灘に次ぐ品質と評判であった。」(※2)


しかし、明治期に入ると佐原の酒造りは衰退してしまいます。
その要因について、上記と同じ文献では以下のように述べていました。

関東灘は死語となり、佐原の酒造業は衰退してしまう。過当競争と大増税のために、規模の拡大ができなかった。それは酒造業だけでなく、佐原市自体の地盤沈下といっしょである。佐原市の商工業者は、同時に大地主であるため、競争して規模を拡大するより、小規模に安定した経営を望んだのであろう。特に激動の明治初期に衰退が著しく、危険のともなう経営を嫌ったといえるだろう。交通手段の中心は舟運から鉄道に移り、物流の大動脈であった利根川水運も衰退し、佐原の地盤沈下に拍車をかけた。」(※3)


今日はそんな関東灘の伝統を受け継ぐ蔵元さんのお酒をいただきます。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、ほんの少し着いているのがわかります。
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吟醸香は、気をつけるとかすかに感じるくらいです。

うまみは濃くはないですが、しっかりしています。
お米のうまみが出ていて、それをほんの少しの醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみが支えているような感じがします。
苦みや雑味はありませんでした。

酸味は少しはっきりしています。
すっぱさがちょっとはっきりしている程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ほんのわずかに感じる程度です。


お米のうまみを酒臭さ(←あくまでもほめ言葉です)が支える、旨辛口のおいしいお酒でした。
吟香が少なく、しかも甘くないので、食事に合わせやすいと思います。
食中酒としてふさわしい純米吟醸酒でした。


(※1)鈴木久仁直『ちばの酒 ものがたり』p.17(1997.6 青娥書房)
(※2)(※1)p.19
(※3)(※1)p.44

【お酒】500.ツーカップ200 [12.千葉県の酒]

以前、“にゃんかっぷ”という静岡のお酒をいただいたことがありました。
とてもおいしいお酒だったのですが、その際に蔵元さんのWebsiteを紹介した上で、
要するに「ワンカップ大関があるんだから、にゃんかっぷだってあってもいいだろ!」ってことのようです。
と書きました。
これって、“カップ酒と言えばワンカップ大関”と言ってもよいくらい、ワンカップ大関が偉大な存在であることを示す事例だと思います。


ところが先日、千葉駅の構内にある駅弁屋の前を通ったところ、同じような名付けかたをしたと思われるお酒が並んでいるのを見つけてしまいましたよ。

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ツーカップ200
醸造元
株式会社飯沼本家
千葉県印旛郡酒々井町馬橋106番地
発売元
千葉県酒類販売株式会社
千葉県千葉市中央区要町5番7号

原材料名:米・米麹・醸造アルコール
国産米100%使用
アルコール分15.0度以上16.0度未満
200ml詰
(以上、フタとラベルとから転記)


“ツーカップ”ですよ!、ツーカップ!!
これもやはり、ワンカップ大関(One-Cup Ozeki)があるんだから、ツーカップ(Two-Cup)だってあったっていいだろ!という発想なのでしょうか?
どうみても、カップは一個なのに!!。


いやいや、ラベルに記載された横文字をみると、どうやらそうではないみたいです。
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ツーカップは、“Two-Cup”ではなくて、なんと“TSU-CUP”だったのです。


TSU-CUPって、いったいどういう意味なのでしょうか?

カップ酒をくれと言えば、これがサッと出てくるようになりたい」という意味で、“ツーカー”“ツー”なのでしょうか?
それとも、「駅のホームで飲むときは通過電車に気をつけろ」という意味で、“通過カップ”の省略なのでしょうか?
あるいは、「ワンカップ大関っつーか、ツーカップじゃね?」とか、「大盛り貝っつーか、東京ばな奈だジョ」などの………。
自滅するだけだからもうやめとけ!


実は、このお酒のフタに、TSU-CUPの意味を知るための手がかりになり得ることが書いてありました。
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“発売元 千葉県酒類販売株式会社”と書いてあるのです。
そういえば、このお酒と同じく飯沼本家さんが製造してこの会社が発売元となっているカップ酒を、かつていただいたことがありました。

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そうか!
これは私の推測ですが、”TSU-CUP”の“TSU”は、同じ会社が販売している“通酒”“通”なのではないでしょうか?

でも、そもそも“通酒”って、いったいどういう意味なのでしょうか?
“普通酒”、略して、“つうしゅー”(←ごきげんよう風に)ってことでしょうか?
それとも、“通好みの酒”って意味でしょうか?


もうこれ以上考えるのは止めて、それそろいただきたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。


うまみはやや濃いめで、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみです。
また、香ばしさというか、熟成感を感じます。
それに、少し苦みが目立ちます。

酸味はやや強めです。
スーッとさわやかで、少しすっぱさを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みは強くはないものの、その存在ははっきりしています。
そのためか、お酒にコクを感じます。


やや濃いめのうまみにさわやかな酸味、そして甘みがコクを添え、苦みが味を引き締める、やや濃醇で旨口のおいしいお酒でした。
250円なのに200ml詰で、しかもアルコール度数が15度以上なのですから、もう大満足でしょう。
そういえば、かつてちばの通酒をいただいたときは、否定的なコメントしかしていませんでした。
500個目に達したことで、もしかして私もようやくお酒の味を理解することができるようになってきたのかも!
屁理屈がうまくなっただけだろ!

【お酒】464.東薫(とうくん) 金紋 あやめカップ [12.千葉県の酒]

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東薫酒造株式会社
千葉県香取市佐原イの627

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール・糖類
アルコール分15.0度以上16.0度未満
180ml詰
(以上、フタより転記)



蔵元さんがある佐原(サワラ)は、利根川の水運で栄えた街です。
東薫酒造さんも「水利と良質の早場米を得て、酒造りの好適地として歴史と伝統を積み重ねてきた。」とのこと(※1)。

また、別の文献では、佐原の町と東薫酒造さんのこととを、以下のように紹介していました。
“お江戸見たけりゃ、佐原へおじゃれ、佐原本町江戸まさり”の唄が残る程、川を利用した交通の要衝として商人の町は繁栄していた。この町づくりの中心になったのが伊能家と永沢家と伝えられている。伊能家は“日本地図づくり”の伊能忠敬で有名だが、両家とも今で言う“総合商社”だった。佐原で最初に酒造りの株を持ったのが、この伊能家だった。寛文年間のことだった。
この伊能家の酒造りの株の流れをくんで、文政八年(1825年)に現在の旭市出身の日野家卯兵衛(石毛姓)が、東薫酒造を創業している。当時の酒は「日の出」名で売られ、講談“天保水滸伝”に登場する平手造酒も愛飲したものだと言い伝えられている。」(※2)


『大日本沿海輿地全図』を作り上げた偉人である伊能忠敬の一族が造り始めた酒を、千葉道場を破門されてやくざの用心棒になり下がった平手造酒(←音が出ます)が愛飲していたなんて、なかなか面白いと思います。
私もどちらかというと、西の空をまともに見ることができない身分ですので。


そんなこと、どうでもいいことです。
それよりもこのお酒ですが、残念ながら糖類添加の三増酒でした。
しかし、酸味料は添加されていないようです。
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私は三増酒でもいただくという方針ですので、ありがたくいただきたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
その前に、このお酒ですが、色はなかなかおいしそうな感じです。
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糖添だけあって、やはりうまみは淡めです。
しかし、弱いながらも、醸し出された酒臭さ(←ほめ言葉です)を感じることができます。
それに、苦みや雑味はありません。

酸味はけっこうはっきりしています。
スーッとしていて、かなりさわやかです。
ほんのわずかにピリっと感じます。

糖添であるにもかかわらず、甘みはひかえめです。
べとつかないさらっとした甘みをほんの少しだけ感じます。


さわやかな酸味の効いた、淡麗辛口のお酒でした。
酒臭さ(←あくまでもほめ言葉です)は感じるものの、やはり糖添酒らしい淡い味わいでした。
糖添なのに甘みが少ないのは、きっと添加した糖類がアルコール発酵しきっているからでしょう。
これは糖類の添加量が少ないからでしょうか。
それとも、蔵元さんがアルコール発酵の管理を徹底なさっているからでしょうか。


(※1)安藤三佐夫編著『千葉の地酒とうまい肴』p.20(2013.4 彩流社)
(※2)う沢喜久雄『房総酒蔵めぐり』p.101-102(2005.8 崙書房出版)

【お酒】287.仁勇 山廃純米 カップ [12.千葉県の酒]

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鍋店株式会社
本社 千葉県成田市本町338
神崎酒造蔵 千葉県香取郡神崎町神崎本宿1916

原材料名/米・米こうじ
精米歩合65%
アルコール分15度以上16度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)


このお酒は、千葉市内のイオンで入手しました。

ラベルには「濃醇なコクと酸味の調和」と書いてあります。
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コクは純米の、そして酸味は山廃酛の由来でしょうか。

何の由来であっても、おいしければそれでよいのです。
今日はあれこれと考えずに、今日もぬる燗でいただきます。
ただ書くネタがないだけだろ!


うまみはやや濃い目で、しっかりしています。
醸し出された、酒臭い(←ほめ言葉です)うまみです。
少し香ばしさを感じます。

酸味は強めです。
スーッとしていて、少しピリッとします。
山廃酛の影響でしょうか、少しすっぱさも感じます。

甘みはかなりひかえめです。


しっかりしたうまみと、強めの酸味との、やや濃醇で辛口のお酒でした。
うまみは濃いめですが、コクというか、深みはそれほど感じられませんでした。
そのせいか、うまみが酸味に負けてしまっているように思いました。
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