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【お酒】962.平勇(ひらいさみ) カップ [23.愛知県の酒]

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渡辺酒造株式会社
愛知県愛西市草平町道下83番地

原材料名 米・米麹・醸造アルコール
アルコール分 15度以上16度未満
容量 180ミリリットル
(以上、ラベルより転記)
米の産地表示なし




愛知県愛西市ってどこだよ!
オレはかつて愛知県に住んでいたことがあったけれども、そんな市は知らんぞ!
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って思ったのですが、どうやら佐屋町や佐織町などが合併してできた市のようでした。
その名のとおり愛知県の西側で、三重県との県境に位置しておりましたよ。





このお酒は、“平勇”と書いて、“ひらいさみ”と読むのだとか。
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これについて、ラベルには、伝説の力士の名をいただいた旨の以下のような説明がありました。
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なお、このお酒のラベルは、書家がプロデュースして制作されたのたとか。
私が知らないだけかもしれませんが、デザインではなくて“プロデュース”って、いったいどんなことをなさったのでしょうね?
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お酒を世に広めるためにラベルのデザインを工夫することは、これは大いにありかと思います。
かの有名なワンカップ大関も、若者に受け容れてもらうことを狙って、青地にアルファベット文字のラベルを考案したのだとか。

しかし、いくらラベルを工夫しても、中身がおいしくなければまったく意味がありません。
中身もラベルに負けないくらい、さぞやおいしいお酒であろうと予想しつつ、そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、少しはっきりしておりました。
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うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともに、香ばしさを少し感じます。
苦みもあって、軽めではあるものの少しはっきりしているようです。

酸味ははっきりしています。
すっぱさがけっこうはっきりしていますが、角はないみたいです。
それにちょいピリでした。

甘みはややはっきりしています。
クドくはないものの、とろみのような舌触りがすこしあるみたいです。


やや濃醇で苦すっぱ旨口のお酒でした。
軽い苦みと角のない酸味とが効いていました。
これはむしろ、濃い味の食事とあわせやすいのではないでしょうか。
みそカツやどで煮なんかと合うと思います。
ただね、けっして飲みやすくはないですね。

【お酒】884.國盛 大吟醸にごり酒 300ml [23.愛知県の酒]

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中埜酒造株式会社
愛知県半田市東本町二丁目24番地

アルコール分/14度
精米歩合50%
原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




江戸時代後期には、灘に次いで江戸への出荷量第二位を誇った中国酒
その流れを汲むと思われる尾州半田の中埜酒造さんのお酒は、かつて國盛の辛口カップ(普通酒)と、國盛の上撰御神酒180ml(これも普通酒)とをいただいております。
今日いただくこのお酒ですが、“大吟醸(しかも純米ではなくてアル添)のにごり酒”なのだとか。


大吟醸のにごり酒って、めずらしいのではないでしょうか?
少ない知識で恐縮ではございますが、私が知る限りでは、清龍酒造さん(埼玉県蓮田市)が冬期限定で出していらっしゃるものがあるくらいです。

そもそも、一般的に言って、大吟醸とはいったいどんな味わいがするお酒なのでしょうか?
これについて、文献には以下のような記述がありました。
 原料米の精白度を高めていくと、米に残っている成分はデンプン以外、きわめて少なくなる。精米歩合が60%以下の吟醸酒では、口当たりの優しい、柔らかな感触が生じ、全体的に軽妙で繊細な酒質になる。
 さらに50%以下の大吟醸酒に至ると、その傾向はよりはっきりとする。」(※1)

一方、にごり酒については、別の文献に「にごりの部分からくるとろりとしたなめらかな舌ざわりと、甘みのある濃密な味わいは、他の日本酒とは違う独特の魅力をたたえた酒といえるでしょう。」(※2)との記述がありました。

一概には言えないかもしれませんが、この両者の性質は、なんとなく相反するもののような気がします。
今日いただくこのお酒の蔵元さんは、これらをはたしてどのようにうまくまとめているのでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。

冷やして飲めとラベルに書いてありますので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
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おりの量は、全体の二割程度といった感じでしょうか?
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お酒の色は、ほぼ白色でした。
見た目では、それほど濃厚ではなさそうですね。
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吟醸香は、ほとんどないですね。
それに、おりのざらつきは全くなく、さっぱりした口当たりです。

うまみはやや淡めです。
お米のうまみをほんのりと感じる程度です。
一方で、苦みや雑味はまったくありません。

酸味はややはっきりしています。
乳酸菌飲料みたいなすっぱさを少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
さらっとした甘みを感じます。


甘さひかえめで濃いめのカルピスみたいな、やや甘口のお酒でした。
この甘みは、上撰御神酒に似ていますね。
おりのざらつきがまったくなく、苦みや雑味もありません。
しかも乳酸菌飲料みたいな酸味が効いていて、とてもさっぱりしています。
これは日本のお酒が苦手な人でも、きっとおいしくいただけることでしょう。

ただね、大吟醸の繊細さも、それににごり酒の味わい深さも、双方ともうまく活かされていないように思いました。
それに私のような安酒好みには、到底似合わないお酒だと思います。
蔵元さんだって、オマエなんかには飲んでもらいたくないだろうよ!

(※1)松崎晴雄『日本酒をまるごと楽しむ!』p.23(2007.1 新風舎)
(※2)松崎晴雄『日本酒のテキスト 1 香りや味わいとその造り方』p.54(2001.8 同友館)

【お酒】776.白老 本醸造生原酒 蔵人だけしか飲めぬ酒 200ml [23.愛知県の酒]

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澤田酒造株式会社
愛知県常滑市古場町四丁目10番地

アルコール分18度以上19度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合 65%
200ml詰
(以上、ラベルより転記)




澤田酒造さんのお酒は、かつて白老の上撰カップ(普通酒)と、本醸造のからから カップとをいただいております。
今日いただくこのお酒は、本醸造の生原酒です。
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原酒ですので、アルコール度数が高めです。
これは注意していただかなければならないみたいです。


要冷蔵の表示もあることですし、それに冷やして飲めとも書かれておりますので、冷蔵庫で冷やした者をいただきます。
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お酒の色は、ほんのわずかにわかる程度でした。
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口に含むと、とろっとした舌触りがちょっとあるのがわかります。
それとともに、生酒らしいフレッシュな風味を感じますが、クドさはないようです。
また、アルコールの香りを少し感じます。

うまみは濃くはないですね。
むしろ、やや淡めかもしれません。
お米のうまみをほんのりと感じます。
それでいて、苦みや雑味はありません。

酸味はややひかえめといったところでしょうか。
角のないすっぱさをちょっと感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みははっきりしています。
とろみは感じますが、クドさのないおだやかな甘みです。


フレッシュな風味と共に、お米のうまみと甘みとを感じることができる、甘口のお酒でした。
とろみを感じるところが原酒らしさなのかもしれません。
度数が高めであるものの、飲みやすいと思います。
しかし、回りはやっぱり早いみたいでした。
私としては、もっと飲み応えがほしいところでした。

【お酒】743.神鶴 本醸造 ドラゴンズカップ [23.愛知県の酒]

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鶴見酒造株式会社
愛知県津島市百町字旭46番地

アルコール分 15度以上16度未満
原材料名/米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール
精米歩合70%
180ml
(以上、ラベルより転記)




名古屋駅の西側にあるビックカメラの酒コーナーで見つけたカップ酒です。
というか、名古屋とその周辺地域以外での普及は、きっと狙っていないのでしょうね。


ラベルには、球団の許諾をとっていることが明示されています。
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もしかして、売上額の一部が球団側へ流れるしくみになっているのでしょうか?


なんでも、このお酒は“山廃D仕込”なのだとか。
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山廃仕込(山廃造り)とはどのようにちがうのだろうか?、なんて野暮なことは指摘しませんよ!
しているじゃねぇか!


そろそろいただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、濃くはないですがややはっきりしています。
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うまみは濃いめで、しっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみそのものです。
しかしキレはよく、スッと引いていきます。
それに、苦みや雑味はありません。

酸味はけっこうはっきりしています。
角のないまろやかなすっぱさが豊かです。
もしかして、これは山廃酛の効果でしょうか?
それでいて、刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめです。
わずかにあって、コクを添えています。


濃いめのうまみと角がない酸味との、濃醇旨やや辛口のおいしいお酒でした。
しっかりした味わいですが、味に角がありません。
それでいてキレがよく、キリッとしています。
派手な香りや味ではないですが、味わい深いお酒だと思います。
私はD党ではありませんが、このお酒のファンにはなりたいところです。

【お酒】688.國盛 上撰 御神酒 180ml [23.愛知県の酒]

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中埜酒造株式会社
愛知県半田市東本町2丁目24番地

原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15度
180ml詰
(以上、ラベルより転記)



中国酒の流れを汲む中埜酒造さんのお酒は、かつて國盛の辛口カップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、上撰の普通酒です。
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このお酒ですが、“御神酒”と銘打たれています。
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しかし、蔵元さんのWebsiteでは、この“御神酒”は紹介されておりませんでした。

かつて白鷹の神宮“御料酒”というものをいただいたことがありました。
この御料酒は、伊勢神宮の関与の下で、特別に造られたお酒でした。

これは私の予想ですが、今日いただくこの御神酒は、広く販売されている通常の上撰普通酒を、お供え物として扱いやすいように一合瓶にただ詰めただけのものではないかと思います。
だったらカップ酒じゃダメなのかとも思うのですが、カップ酒を神前にお供えするには抵抗がある方も少なからずいらっしゃるのかもしれません。


では、その御神酒とやらをいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ちょっとはっきりしているみたいです。
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うまみはやや淡めです。
酒臭さはなくて、やわらかいうまみを感じます。
それに、苦みや雑味は全くありません。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさをちょっと感じる酸味です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはけっこうはっきりしています。
しかし、べとつかない、さらっとした甘みです。


やわらかいうまみに、酸味と甘みとがよく合う、やや淡麗で甘口のおいしいお酒でした。
甘口ですが、甘みにくどさがなく、しかも酸味と合っていてよいと思います。
しかも雑味のない、きれいな味わいでした。

【お酒】651.國盛 辛口 カップ [23.愛知県の酒]

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中埜酒造株式会社
愛知県半田市東本町2丁目24番地

原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分13度
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




愛知県の知多半島一帯は、江戸時代中後期に“中国酒”を生産し、灘に次ぐ銘醸地として栄えた場所です。
特に半田には多くの醸造家が集中し、その中でも中野家(中埜家)は、小鈴谷村(現常滑市)の盛田家とともに中国酒醸造家の双璧をなしたようです。
なお、中国酒のことについてはかつてこちらでまとめておりますので、ご覧ください


ところで、上記リンク先で紹介した文献によれば、中国酒が江戸で珍重されたのは江戸中期以降とされています。
一方、中埜酒造さんのWebsiteによれば、中埜酒造さんの創業は弘化元年(1844年)の江戸末期とされています。
ということは、半田で酒造業を営んでいた中埜家と、今日いただく中埜酒造さんのルーツとは異なるのでしょうか?。
この点について明確に記述した文献にはまだ出会っておりませんが、以下の記述がヒントになりそうです。

半田村の中野又左衛門は文化八年に酒粕を原料とする製酢業(現在のミツカン酢:ブログ筆者注記)に進出した。天保九年分以降保存されている同家の勘定帳は酢屋・酒屋・利息金・田地の四項目に分かれているが、利益の大半が酢屋からのものである。」(中略)「しかし文久三年(1863年:ブログ筆者注記)には酒蔵を一族の者に売却してしまった。」(※1)

これは私の予想ですが、おそらくこの“売却後”に紆余曲折があって、酒造業が再び中埜家の下に落ち着いたのではないかと思います。
それをにおわせるWeb上の記事はあったのですが、私はまだその内容を裏付ける文献に出会うことができておりませんので、断定的なことを書くのは(創業年と売却年とのくいちがいを含めて)もっと詳しく調べてからにしたいと思います。


いずれにせよ、中国酒の流れを汲むと思われる中埜酒造さんのお酒を、今日はいただくこととします。
品質表示から判断するに普通酒ですが、アルコール度数が13度といささか低め(ということは加水多め=味は薄め?)であることが気になります。
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普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほとんどわからない程度です。
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やはりうまみは淡めでした。
でも、ややはっきりしているようです。
酒臭さはそれほどでもなく、むしろうまみ自体はやわらかい感じがします。
しかしこのお酒、苦みがけっこうはっきりしています。
でも、香ばしさを伴う苦みであって、決していやな苦みではないですね。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさと清涼感とを伴う酸味です。
それに、ほんのわずかですが、ピリッとしたものを感じました。

辛口と銘打たれてはおりますが、甘みは強くはないものの、けっこうはっきりしています。
べとついた感じのない、さらっとした甘みです。


苦みと酸味とがアクセントの、淡麗やや甘で苦口のお酒でした。
“辛口=甘くない”というよりも、甘みはけっこうあるけれども苦みと酸味とが辛さを感じさせているようです。
でも、くどいようですが、決していやな苦みではないと思います。
この甘さで“辛口”を名乗るということは、辛口と銘打たれていない普通のお酒はきっとかなり甘いのではないかと、私は予想しております。
ということは、それをもう買ってあるわけだな。


(※1)篠田壽夫『知多酒造業の盛衰』p.38-40(社会経済史学 第55巻第2号 1989.6 社会経済史学会)

【お酒】571.蓬莱泉 別撰 ほうらいせん 180ml [23.愛知県の酒]

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関谷醸造株式会社
愛知県北設楽郡設楽町田口字町浦22番地

原材料名 米(国産)、米こうじ(国産米)、焼酎(自社製)
精米歩合 60%
アルコール分 15度
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




精米歩合が60%のお酒です。
精米歩合だけをみれば、特別本醸造のそれに該当します。
しかし、特別本醸造の表示はなされておりません。
それに、特別本醸造の基準は、精米歩合だけではありません。
ということで、この記事では、このお酒を普通酒とみなしたいと思います。


このお酒ですが、原材料名に“焼酎(自社製)”と表示されています。
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このような表示法について、蔵元さんが意図なさっていることが瓶に記載されていました。
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要するに、“醸造アルコールなんていう何を原料にして造られたかわからないものは使わずに、米だけで造った焼酎を醸造アルコールの代わりに添加しているのだ”ということをアピールなさりたいのでしょう。


はたして、このような表示は許容されるのでしょうか?
あくまでもこれは私の意見ですが、結論から言うと、普通酒であれば、このような表示方法も許容されるのではないかと思います。


酒税法上、清酒は以下のように定義されています。
清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。
イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの(※1)

このうち、上記“ロ”の“その他政令で定める物品”については、以下のように定められています。
(清酒の原料)
第二条  法第三条第七号 ロに規定する清酒の原料として政令で定める物品は、アルコール(法第三条第九号 の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が三十六度以上四十五度以下のものを含む。以下同じ。)、しようちゆう(連続式蒸留しようちゆう又は単式蒸留しようちゆうをいい、水以外の物品を加えたものを除く。以下同じ。)、ぶどう糖その他財務省令で定める糖類、有機酸、アミノ酸塩又は清酒とする。 (※2)

要するに、酒税法上、清酒に焼酎(法令上は“しようちゆう”とひらがな表記)を添加することは認められているので、その旨を原材料名に表記することは可能かと思います。
(連続式か単式か、あるいは漢字でもよいのかという問題は残りますが。)


しかし、純米酒以外の特定名称酒(本醸造、吟醸酒、大吟醸酒)については、「白米、米こうじ、醸造アルコール及び水」だけしか原材料として使用することはできません(※3)。
それ故、特定名称酒に焼酎(これは醸造アルコールを含む広い概念か?)を添加することはできません。

また、これらの原料のうち、醸造アルコールについては「醸造アルコールとは、でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいうものとする。」と定められています(※4)。
そして、国税庁の解釈通達では「原材料名の表示は、原則として法に規定する原材料名により表示するものであり」と定められています(※5)。
(解釈通達の法的拘束力については、ここではありと考えます。)

ということは、特定名称酒の場合には、醸造アルコールは必ず“醸造アルコール”と表示すべきであると思います。



大変申し訳ございません。
どうでもよいことをだらだらと書いてしまいました。
表示方法がどうであれ、お酒がおいしければそれでよいのです。
蔵元さんがお米由来原料にこだわったこのお酒がおいしいお酒であることを願いつつ、そろそろいただきたいと思います。
普通酒でしょうから、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほんの少し着いている程度でしょうか。
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うまみはかなり淡めです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを感じますが、かなり淡いですね。
それでいて、苦味というか、ほろ苦さを少し感じます。
でも、決していやな苦みではありません。

酸味はひかえめです。
すっぱさをほんの少し感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みは弱めですが、弱いなりに感じます。


全体的に淡い味わいの、淡麗薄口のお酒でした。
そんな中でも、ほろ苦さがやや際立っているように感じました。
なんとなく、焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)に似ているかも。



(※1)酒税法3条7号イロハ
(※2)酒税法施行令2条
(※3)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)1
(※4)同1(4)
(※5)酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達第86条の6 酒類の表示の基準 2(3)イ(ロ)

【お酒】555.四海王 カップ [23.愛知県の酒]

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福井酒造株式会社
愛知県豊橋市中浜町214番地

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分 15度以上16度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




豊橋駅の改札内にある駅弁店で購入したお酒です。
豊橋の蔵元さんだけあって、ラベルには豊橋の路面電車(豊橋鉄道東田本線(市内線))の電車が描かれています。
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ところで、このお酒の蔵元さんでは、液化仕込みを全面的に取り入れているそうです。
液化仕込みにつきましては、かつてこちらで触れておりますので、ご覧ください

このことについて、文献では以下のように紹介していました。
1984年の冬の仕込みから工場内の機械を一新。液化システムへの完全移行を果たす。」(※1)

完全移行ということは、大吟醸も普通酒もみな液化仕込みで造るということだと思います。
福井酒造さんは、きっと自社のシステムにかなり自信をお持ちなのでしょう。
それを垣間見れるような一文が、上記と同じ文献に書かれていました。
ひと口に液化システムといってもさまざまなタイプがあるが、新酒鑑評会で金賞を受賞したのは福井酒造だけだ。」(※2)
あくまで“道具”として積極的に機械化を進めながら、きちんと管理したていねいな仕込みができる量を守ってゆく―。」(※3)

きっと、液化仕込みを大量生産のためのシステムと捉えるのではなくて、あくまでも省力化と一手段と考えて、その上で適量かつ丁寧な仕込を心がけるということでしょう。


ということは、今日いただくこのお酒も、液化仕込みで造られたお酒だと思います。
かつて私は“液化仕込みで作ったお酒は、雑味の原因となる麹の使用割合が少ないことから、お酒の味に雑味が少ない=比較的澄んだ味わいになりやすい”のではないかということを書きました。
その仮説は、はたしてこのお酒にも通用するのでしょうか?
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

このお酒ですが、色はなかなかおいしそうです。
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うまみはかなりしっかりしていますが、濃厚さはそれほど感じません。
酒臭さも感じますが、かなり弱めです。
むしろ、ほろ苦さと香ばしさとが豊かです。

酸味は弱めです。
少しさわやかさを感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ほとんど感じません。


ほろ苦さと香ばしさとが豊かなお酒でした。
これは私の推測ですが、酒臭さや酸味が弱めなのは、やはり麹の使用量が少ないのでしょうか?
それをほろ苦さと香ばしさとで補っているように思いましたが、もしかしてこれは熟成の成果でしょうか?
飲みやすいお酒ではないので、好みの分かれるところでしょう。


(※1)木村克己監修『幻の地酒尽くし きき酒師が選ぶ蔵元の美酒』p.46(2003.8 青春出版社)
(※2)(※1)p.47-18
(※3)(※1)p.49


☆★☆★☆★☆★☆★
2018/03/09
ラベルが異なったものを飲んでみました。

【お酒】452.ねのひ 尾張男山 大吟醸 300ml [23.愛知県の酒]

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盛田株式会社OT
名古屋市中区栄一丁目7番34号

原材料名 米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
精米歩合50%
アルコール分14度以上15度未満
300ml詰
(以上、ラベルより転記)



今日は、300mlで500円台という、とても安価な大吟醸をいただきます。


盛田さんは、もともとは寛文5年(1665年)に愛知県常滑市で創業した、中国酒の流れを汲む蔵元さんです。
中国酒の意味については、かつてこちらで紹介しておりますので、ご覧ください。


中国酒は明治以降衰退しますが、この常滑の盛田さんと、半田の中埜さん(国盛)とは、清酒以外の事業にも広く手を伸ばして多角経営に移行した結果、今日まで一大企業として事業を継続なさっているようです。

これについて文献では、以下のように紹介されておりました。
小鈴谷村(現常滑市内で主産地からは外れている)の盛田久左衛門は(中略)文化五年に肥料・穀物を商う店方を独立させた。嘉永三年には味噌店を独立させ、さらに油店も開設した。明治初期には味噌店の方が酒造方の数倍の利益を上げていた。」(※1)
一族の協力体制と新部門への積極的な投資による多角化が、激しい経済変動の波を乗り切る力になった。現在この両家系列の酒造会社が知多酒造業界の両雄となり、他社の低迷を他所に成長を続けている。」(※2)


また、盛田さんは、ソニーの共同創始者の一人である盛田昭夫氏の生家でもあります。
中国酒が衰退していったにもかかわらず生き残った盛田さんの精神は、はたしてソニーに受け継がれているでしょうか?


今日はそんな中国酒の流れを汲む蔵元さんの大吟醸酒をいただきます。
大吟醸ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。


一口含むと、吟醸香が鼻へ抜けていきます。
かなりはっきりしています。

うまみは淡めです。
お米のやわらかいうまみがします。
苦みや雑味は一切ありません。

大吟醸だけあって、酸味はひかえめです。
少しすっぱさを感じる程度です。
当然ながら、刺激やピリピリ感は全くありません。

甘みはひかえめです。
淡いうまみにちょうどよく合う程度に感じます。


華やかな吟醸香と淡いうまみとを味わうことができる、淡麗旨口のおいしいお酒でした。
酸味がひかえめで、苦みや雑味がまったくないのは、丁寧に造ってある証拠でしょう。
造りの定石を少しも外していない、アル添大吟醸の典型例のような味わいでした。
アル添大吟醸を味わいたいと思うときは、このお酒を選んでおけばまちがいないと思います。
その反面、味に面白みがあるかどうかについては、別問題だと思いますが…。
オマエのブログだって、面白みなんか少しもねぇじゃないか!

おっと、いかんいかん。
いつもよりもはやく酒が回ってしまいました。
大吟醸なんて飲み慣れていないからでしょうか。
昨日飲んだ酒がまだ残っているだけだろ!



(※1)篠田壽夫『知多酒造業の盛衰』p.38(社会経済史学 第55巻第2号 1989.6 社会経済史学会)
(※2)同p.40

【お酒】450.白老 本醸造 からから カップ [23.愛知県の酒]

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澤田酒造株式会社
愛知県常滑市古場町四丁目10番地

アルコール分15度以上16度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合 65%
日本酒度+10度
酸度1.4
(以上、ラベルより転記)



澤田酒造さんのお酒は、かつて普通酒の上撰白老カップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、「辛口通のための超辛口本醸造酒」なのだとか。
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お酒における“辛口”という言葉は、私は“甘くない”という意味が本義だと思っております。
菊正宗がよい例ですね。

しかし、中には、酸味が強くてピリピリする、本当に“辛い”お酒もありました。
もし後者を燗し過ぎると、酸味が立ってきて余計辛くなってしまいます。

今日いただくこのお酒が標榜する“超辛口”がどちらの意味なのかは、私にはわかりません。
もし後者だと大変ですので、今日はいつもよりもぬるめのぬる燗でいただきます。


たしかに酸味がはっきりしています。
少しピリッと感じます。
すっぱさはひかえめです。

うまみは淡めです。
でも、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを感じます。
香ばしさも少しあるみたいです。

超辛口とは言え、甘みは弱めですがはっきりとわかります。


ちょいピリの酸味に、淡いがしっかりしたうまみ、それに甘みがコクを添える、淡麗甘辛口のおいしいお酒でした。
淡麗なのにうまみがしっかりしているので、飲み応えがあります。
それに、弱いものの甘みがあるので、それが酸味とよく合っています。
やはり酸味には甘みですね。

ある文献には「愛知県の酒は(中略)比較的に味が濃くやや甘めに感じられる酒が多くなっていますが、(中略)それはたまり醤油や八丁味噌に代表される、この地方特産の濃厚な風味を特徴とする醸造食品と共通の風味を持ち合わせているということが言えます。」との記述がありました。(※1)
この傾向は、たとえ超辛口を標榜するお酒であってもあてはまるのだと感じました。
もしかしてこれは、中国酒の伝統なのでしょうか?


(※1)松崎晴雄『日本酒のテキスト 2 産地の特徴と造り手たち』p.82(2003.11 同友館)
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