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【お酒】2250.月桂冠カップ300(ファミリーマート限定オリジナルパッケージ) [26.京都府の酒]

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●製造者:月桂冠株式会社+F
京都市伏見区南浜町247

●アルコール分:13度以上14度未満
●原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
300ml
(以上、ラベルより転記)




日本屈指の銘醸地である京都伏見に蔵を置く月桂冠さん。
1637年(寛永14年)創業の月桂冠は、伏見で最も古い歴史を持つ蔵元だ。」(※1)とのこと。
かつては灘(西郷)「大倉酒造(株)灘支店 神戸市灘区新在家南町3丁目1番8号」(※2)にも蔵を置いていた時期がありました。
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そんな我が国における清酒の蔵元の代表格と評しても過言ではない月桂冠さんのお酒は、かつて以下の物をいただいております。
【お酒】388.389.月桂冠 上撰キャップエース&純米酒 お酒の中で、あいましょ。 
【お酒】1515.月桂冠 旨口200 カップ
【お酒】1562.月桂冠 THE SHOT 本醸造 艶めくリッチ 180ml
【お酒】1563.月桂冠 THE SHOT 大吟醸 華やぐドライ 180ml
【お酒】1564.月桂冠 山田錦 辛口 純米 カップ
【お酒】1769.月桂冠 THE SHOT 爽やかホワイト うすにごり 180ml

このほかに、ノンアル商品もいただいておりました。


今日いただくこのお酒は、
“Sake GEKKEIKAN Cup: The refined Japanese sake.”
なんでも“月桂冠カップ300”という300ml詰のカップ酒商品があって、それのファミリーマート限定のオリジナルパッケージなんだってさ。
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カップの大きさを、一合カップと比較してみました。
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飲み口がくびれているのは、一般的なカップ(月桂冠さんでは210mlカップが標準か?)とフタを共用できるようにするためでしょうか?
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ところで、300ml詰のこの商品ですが、
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度数は一般的な清酒(15度台)よりも低い、13度台
しかも特定名称の表示がなく、かつ精米歩合の表示もない、いわゆる普通酒ってやつです。
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お値段は税込254円と、他のカップ酒商品とそれほど変わらない設定でした。
むしろ、もっと高価な一合カップはけっして少なくはないと思いますよ。
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なぜ、300mlで254円という低価格で提供できるのか?

ここからは、完全に私独自の推測です。

キクマサピンをいただいた際に簡単に触れましたが、下記3点の全部または一部の採用を推測し得ると思います。

(一)使用しているお米が規格外のもの(くず米など)で、安く入手できるから。
(二)融米造り(液化仕込みの一種)を採用していて歩留りが高い(同じ量の米を原料としても、通常の仕込より製品量が多い)から。
(三)醸造アルコールの添加量が多め(搾る前の度数が高め)で、かつ13度台まで(多めに)加水しているから。


(一)について   

特定名称酒には、農産物検査法により格付けされた三等米以上の米を使用しなければなりません(※3)。
しかし普通酒(特定名称を表示しないお酒)には、その規制は適用されません。

その結果、普通酒では安価なお米(くず米など)を使用することができるわけです。
お米が安価ならば、製品を比較的安く提供できるということでしょう。


(二)について   

月桂冠さんは、液化仕込みの一種である“融米造り”発祥の蔵元さんです。

液化仕込みについてはかつてこちらで紹介しておりますが、要するに、「もろみの初期から物料の流動性が高いため、もろみ管理が容易であり、酒化率(出来た酒の使用原料に対する割合)が高いなどのメリットがあるため、比較的廉価な日本酒製造で普及し始めている。」(※4)と言われています。

すなわち、通常の仕込方法(蒸米による仕込)よりも、液化仕込みは歩留が高い(同じ量の米を原料としても、通常の仕込より製品量が多い)わけです。
歩留が高ければ、製品の単価を下げることが可能となるはずです。


(三)について   

このお酒、
アルコール度数は13度台。
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度数が低いということは、もしかしたら加水量が多めであるが故なのかもしれません。
しかも普通酒ですから、醸造アルコールの添加量を特定名称酒よりも多めに設定できるわけです。
多めのアル添で度数が高くなった醪を搾り、かつ加水によって13度台まで下げれば、製品量は通常のものよりも増えるわけです。

特定名称酒の場合は、醸造アルコールの添加量は「当該アルコールの重量(アルコール分95度換算の重量による。)が、白米の重量の10%を超えないものに限るものとする。」(※5)との制限があります。
一方で普通酒の場合は、アルコールを含めた米・米麹以外の添加物質(糖類など)の重量の合計が「米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。」(※6)という制限はあるものの、その範囲内であれば増やせるのです。

また蛇足かもしれませんが、このお酒の品質表示には、
“●原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール”
と書かれております。
一方で、清酒の品質表示基準では、普通酒であっても「使用した原材料を使用量の多い順に記載する。」(※7)こととされております。
それ故、このお酒の場合、醸造アルコールが米や米麹よりも多く使用されていることはないわけです。


とまあ、(一)(二)(三)の全部または一部を取り入れていることによって、製品の原価を下げていることが予想されます。
それゆえに、300mlの製品を254円(税込)で販売することができるのでしょう。

あくまでも、私の推測にすぎませんけれどね。

しかし、このようにして造られたお酒は米や麹の使用量が少なくなるわけですから、おそらく薄い味わいになるものと予想できます。
その薄さが、消費者を満足させることができるかどうかは、実際に飲んで試して見るしか術がございません。

それを確かめるべく、いただいてみたいと思います。


まずはひや(常温)でいただきます。

お酒の色は、無色透明でした。
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香りはなし。

うまみは淡めですが、淡めなりにしっかりしています。
米のうまみに、淡めなりに厚みを感じます。
軽い苦みがあって、強くはないですが鋭さを感じますよ。
酒臭さなし、熟成感もなし、重さやクセもゼロですね。
キレはそれほどでもないみたいで、アル添酒にありがちな透明感はありません。

酸味はややひかえめ。
すっぱさはゼロ。
でも、乳酸のような酸味を少し感じます。
スーはなく、ピリもなし。

甘みはややはっきり。
幅はないものの、じんわりと感じます。


ひや(常温)だと、淡麗ちょい苦旨やや甘口のおいしいお酒でした。

やはり淡めでしたが、けっしてペラペラではなく、むしろ米のうまみを淡めなりに感じました。
雑味なくてきれいな味わいは、良くも悪くも「いかにも」でした。
ちょい苦でしたが、突出することなく、むしろ味を引き締めているように感じました。
甘みはべとつくことはなく、程よい効き具合でした。

これさ、うまいんじゃないの?
13度とは思わせないほど、味はしっかりしておりましたよ。
またアル添酒にありがちなペラペラ感はありませんでした。


次に、燗にしてみました。
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米のうまみの厚みが消えて、さらに淡麗になりました。
苦みは消えて、甘みも引くみたいです。

一方で酸味は、乳酸のような酸味が前に出て来て、深みを軽く添えておりました。
さらにスース―が出てまいりました。
キレもよくなりました。


燗にすると、淡麗ちょい深ちょいスースッキリ旨口のお酒になりました。

燗のほうが淡く、かつキレがよくてスッキリしておりました。
一方で乳酸のような酸味が前に出て来て、淡めならがもちょい深になりました。

この乳酸のような酸味は、速醸酛を立てた際に添加されたものでしょうか?
量的にはそれほどでもないものの、うまみが淡めであるが故に目立ったのかもしれません。
もっとも、「発酵を助成促進し、又は製造上の不測の危険を防止する等専ら製造の健全を期する目的で、仕込水又は製造工程中に加える必要最低限の有機酸は、原材料に該当しないものとして差し支えない。」(※8)と定められているとおり、速醸酛を立てることを目的として添加する有機酸=乳酸は原材料として表示する義務がないので、品質表示上から乳酸添加の有無を判断することはできません。
(酸味料として添加された場合は、酸味料として表示する義務が生じます。)

(※1)らくたび文庫No.046『京都の地酒蔵』p.91(2011.11 株式会社コトコト)
(※2)『灘の酒博物館』巻末折込図より(1983.10 講談社)
(※3)清酒の製法品質基準(平成元年11月22日国税庁告示第8号)1(2)
(※4)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.153(2000.4 柴田書店)
(※5)(※3)1(5)
(※6)酒税法3条7号ロ、酒税法施行令2条
(※7)(※3)3(1)
(※8)酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達第86条の6 酒類の表示の基準 2(3)イ(ハ)後段






そのファミマ限定の月桂冠カップ300と合わせた今日のエサはこちら。


にんじんを食べたかったので、
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きゅうりとにんじんとのわさびドレッシング和え。
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わさびの香りが爽やか!
オリーブオイルを使うことで、わさびの辛みは飛んでしまったのでした。
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ピーマンを食べたかったので、
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豚こま肉と共に、淡口しょうゆとみりんとを使って炒めました。
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普通のしょうゆを使ったときよりもピーマンの青みがよくわかって、おいしゅうございました。
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ごちそうさまでした。
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