【お酒】880.隠岐誉 上撰 カップ [32.島根県の酒]
隠岐酒造株式会社
島根県隠岐郡隠岐の島町原田174
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15.0度以上16.0度未満
180ml詰
(以上、フタより転記)
隠岐島にある唯一の蔵元さんである隠岐酒造さんは、昭和の中期に5つの蔵元が合併して設立されたそうです。
このことについて、文献では以下のように紹介しておりました。
「かつて隠岐には、毛利酒造(旧西郷町)、長谷川酒造(同)、高宮酒造(旧都万村)、長谷川酒造場(旧五箇村)、安藤本店(西ノ島町)の5つの酒蔵があったが、近代化や合理化が求められる新時代への対応を目指し、昭和47(1972)年に合併。隠岐の島町原田に最新設備が整えられ、出雲当時を迎えて新たな酒造りがスタートした。」(※1)
隠岐はけっして小さい島ではないかもしれませんが、それでもかつて5つもの蔵元さんが隠岐にあったということには驚きました。
そういえば、戦後に近代化や合理化を狙って合併した例は、かつて一ノ蔵や六歌仙、それに静岡の臥龍梅などがありました。
このお酒のカップには、風景と思われる絵とともに、“国賀”の文字が印刷されております。
どうやらこの絵は、隠岐にある景勝地の一つである、国賀海岸(くにかかいがん)の風景を描いたもののようです。
それでは、そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ちょっと着いているのがわかる程度でした。
うまみは淡めです。
うまみよりも、香ばしさのほうがはっきりしています。
苦みもちょっとあるみたいです。
ですがキレはよく、スッと引きます。
それに透明感も感じます。
酸味はややひかえめです。
さわやかさをちょっと感じる程度です。
かすかにピリッとくるみたいです。
甘みはややはっきりしています。
クドさはないものの、とろみのような舌触りがちょっとあるような気がします。
香ばしさがあって透明感のある、淡麗やや甘口のお酒でした。
透明感と書きましたが、すなわちそれはうまみに厚みを感じられなかったということです。
これは完全に当てずっぽうですが、この味わいは醸造アルコールの添加量が多いことに因るものでしょうか?
あるいは、液化仕込みを採用していらっしゃるのでしょうか?
同じ島根のお酒では、月山の味わいに似ているように思いました。
(※1)石原美和『しまね酒楽探訪』p.106(2013.10 今井出版)
【お酒】879.天穏 ういらぶてんおん カップ [32.島根県の酒]
板倉酒造有限会社
島根県出雲市塩冶町468
アルコール分/14.0度以上15.0度未満
原材料名/米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
180ml
(以上、カップの印刷事項より転記)
今日は、出雲の地酒である天穏をいただきます。
アルコール度数が14-15度とやや低めです。
アル添普通酒でこの度数ということは、加水が多くて薄めの味わいに仕上がっているのでしょうか?
この手の普通酒には200ml詰のものが多いように思いますが、このお酒は一合でした。
ネタがないことをなんとかごまかしたところで、そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ややはっきりしていますね。
意外にも、うまみはやや濃いめでした。
やわらかいうまみに、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみもちょっと感じます。
それに、香ばしさもちょっとありますね。
軽い苦みもほんのわずかにあるみたいですが、気にはなりません。
酸味ははっきりしています。
すっぱさがありますが、角がなくておだやかです。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはややはっきりしています。
さらっとした甘みをほんのりと感じる程度です。
うまみがしっかりしているものの、角のない酸味と香ばしさとが味をまとめている、やや濃醇でやや甘口のおいしいお酒でした。
薄いかもとの予想とは正反対の、しっかりした味わいのお酒でした。
うまみに厚みがあり、飲みごたえを感じます。
天穏は複数種類を入手しましたが、こういう安いお酒がおいしいのですから、これからが楽しみです。
【お酒】875.玉櫻 純米酒 カップ [32.島根県の酒]
玉櫻酒造有限会社
島根県邑智郡邑南町原村148
原材料/米(国産)・米麹(国産米)
精米歩合/70%
アルコール度数/15度
容量/180ml
(以上、ラベルより転記)
玉櫻酒造さんのお酒は、かつて普通酒の玉櫻カップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、純米酒です。
この品質表示ですが、どうしてこんなに極端な右寄せなのでしょうか?
純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、かなりはっきりしていますね。
うまみはやや濃いめです。
熟成感がありますが、それほど強くはないみたいです。
苦みもちょっとだけあるみたいです。
それでいてキレはよく、スッと引きます。
酸味ははっきりしています。
すっぱさが豊かです。
それに、ちょっとだけピリッと感じます。
甘みはひかえめです。
まったく感じません。
酸味が豊かでドライな口当たりの、やや濃醇で辛口のおいしいお酒でした。
やや濃いめですが、キレがよくてドライなせいか、後味はすっきりしています。
これは濃い味の食べ物とあわせるべきでしょう。
普通酒とは正反対の味わいでしたが、どちらもおいしいと思います。
【お酒】874.誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 佐香錦 カップ [32.島根県の酒]
池月酒造株式会社
島根県邑智郡邑南町阿須那1ノ3
原料米 島根県酒造好適米 佐香錦 100%
原材料 酒米(島根県産)・米麹(島根県産)
アルコール度数 15度以上16度未満
精米歩合 麹米60% 掛米60%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
伝説の名馬“池月”からその名をいただく池月酒造さんのお酒は、これまでに以下のものをいただいております。
誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 山田錦 カップ
誉池月 本醸造 原酒 超辛口 カップ
誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 八反錦 カップ
誉池月 佳撰カップ(都内にある池月の出自を訪ねて)
今日いただくこのお酒は、島根県が独自に育成した酒米“佐香錦”を100%使用した純米酒です。
佐香錦は、2001年(平成13年)に島根県の奨励品種に採用された、かなり新しい酒米のようです。
なんでも「「佐香錦」の名前は、平田市にある松尾神社が佐香神社ともいわれ酒造りの神様として信仰を集めていることや、この地域での酒にまつわる記述が「出雲国風土記」にもあることなどにちなんで付けられた。」(※1)のだとか。
その育成の経緯については、島根県農業試験場の研究報告には、以下のような記述がありました。
「 近年、吟醸酒などの高級酒の生産割合が全国的に増加した。その原料には'山田錦’が多く使用されているが、'山田錦’は本県での栽培には適さなかった。一方、島根県の酒造好適米は2000年現在'幸玉’(飯島ら、1968)'五百万石’(杉谷ら、1957)'神の舞’(山本ら、1999)'改良雄町’の4品種があるが、高度搗精には適応性が低く、県内酒造業界から高級酒の醸造に適する独自品種の開発が要望されていた。
そこで、酒造適性に優れているが、長稈で倒伏に弱い旧奨励品種'改良八反流’の短稈化を目標に育種を進めてきた結果、'改良八反流’に'金紋錦’を交配した後代から、酒造適性及び収量性においては'五百万石’を上回り、きき酒の結果では'山田錦’と同程度の評価が得られる'島系酒49号’を育成した。本系統は、2001年2月に'佐香錦’と命名し種苗登録出願し、2004年1月に種苗登録された。また、2001年3月に島根県水稲奨励品種に採用された。」(※2)
これは山形県における出羽燦々や、秋田県における'秋田酒こまち’の育成と事情が似ていますね。
また、佐香錦で造られたお酒の味について、同じ文献では以下のように紹介しておりました。
「官能試験の評価は、'山田錦’に比べて、1997年5℃貯蔵条件ではやや優り、同年常温貯蔵ではやや劣った。1998年は、'山田錦’とほぼ同等であった。両年の結果から、'佐香錦’の酒の評価は搗精歩合が45%以上の場合'山田錦’とほぼ同等と思われた。パネラーのコメントは、全般的に'佐香錦’の酒の味は濃じゅん型で、味に幅があり、ソフトで、のどごしがよい等の評価を得た。」(※3)
今日いただくこのお酒も佐香錦100%使用ですが、はたして上記のとおり濃じゅん型で、味に幅があり、ソフトで、のどごしがよいのでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですが、蔵元さんのWebsiteでは、誉池月のシリーズはどれも冷やして飲むことを勧めていらっしゃるようでしたので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。
お酒の色は、ちょっと着いているのがわかる程度でした。
山田錦や八反錦の誉池月純米酒と同程度でしょうか。
うまみは濃くはないですね。
米のうまみはほんの少しで、むしろ軽い苦みがはっきりしているようです。
キレはそれほどでもないみたいです。
酸味はややひかえめです。
すっぱさをちょっと感じる程度ですが、ちょっとピリッと感じました。
甘みはややひかえめです。
少しあるみたいですが、それほどはっきりしていません。
軽い苦みとちょいピリとが味を引き締める、やや辛口のお酒でした。
やや濃いめなのかもしれませんが、軽い苦みとちょいピリとのせいか、それほど濃くは感じませんでした。
むしろ私は、やや角のある味わいのように感じました。
この味わいは、(※3)で引用した文献の記述とはちょっとちがうように思いました。
(※1)日高広樹『統一ブランド清酒「佐香錦」を発売 島根県酒造組合が新開発の地場産米使い』p.7(農林経済 2003年(平成15年)10月30日号(9567号)p.7 2003.10 時事通信社)
(※2)高橋眞二他14名『水稲新品種'佐香錦’の育成』p.1(島根県農業試験場研究報告 第35号 p.1-20 2004.3 島根県農業試験場)
(※3)(※2)p.15-16
【お酒】872.宗味 上撰 お燗瓶 180ml [32.島根県の酒]
株式会社右田本店
島根県益田市本町3-30
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15度
正180ml詰
(以上、瓶の印刷事項とラベルとより転記)
右田本店さんは、その創業が関ヶ原の戦いの二年後で、どうやら山陰地方で最も古い蔵元さんなのだとか。
このことについて文献では、以下のように紹介されておりました。
「 益田川のほとりに佇む右田本店。創業は慶長7(1602)年で、山陰で最も古くから酒造を営んでいる。益田川の伏流水を仕込み水とし、創業者の法号「恩誉宗味」から取った代表銘柄「宗味」は広く親しまれている。
山口の豪族、大内氏の末裔である右田右京亮隆正は、武士を目指して益田公に仕えるべく京都から益田に下った。しかし、関ヶ原の戦い後、衰退する町を目の当たりにし、益田の町の活性化のために酒造を始めた。」(※1)
ところで、今日いただくこのお酒ですが、瓶の肩に“上撰”であることを表示するラベルが貼られております。
このラベルって、たしか級別制度が廃止される前に、該当する級(特級・一級・二級)を表示するために一升瓶に貼られていたものと同じデザインではないでしょうか?
子どもの頃、母親に連れられて酒屋へ買い物に行った際に、店先に並んでいた月桂冠や白鶴の一升瓶にこのようなラベルが貼られていたのをなんとなく覚えています。
瓶には、こんな栓が用いられておりました。
このプラスチックのものの中に王冠が包まれているのかと思ったのですが、これ自体が栓でした。
そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ちょっと着いているのがわかりました。
最初に酸味を感じました。
すっぱさがかなりはっきりしています。
このすっぱさには、鋭さがちょっとあるみたいです。
ですが刺激やピリピリ感はありません。
うまみはやや濃いめかな。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともに、ちょっとだけ熟成感もあるみたいです。
それでいて苦みや雑味はなく、キレもよい感じです。
甘みはややひかえめです。
少しあるみたいですが、すっぱさに隠れています。
酸味が効いた、すっぱやや辛口のお酒でした。
けっこうすっぱくて酒臭い(←あくまでもほめ言葉です)ですが、苦みや雑味、それにピリピリ感はないですね。
それにキレがよく、味わいがしっかりしているのに軽快さすらあると思います。
きっと地元の食べ物と合うのでしょう。
(※1)石原美和『しまね酒楽探訪』p.88(2013.10 今井出版)
【お酒】869.菊弥栄(きくやさか) 陽気にいこうよ 陽気カップ芳醇 200ml [32.島根県の酒]
株式会社岡田屋本店
島根県益田市染羽町5-7
《原材料名》米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール・糖類・酸味料
アルコール分 15.0度以上16.0度未満
200ml詰
(以上、ラベルより転記)
菊弥栄と書いて“きくやさか”と読むそうです。
これについて、手元にあった文献には以下のような記述が紹介されておりました。
「ここで石見杜氏が醸す代表銘柄は「菊弥栄」。智子さんの祖父は蔵元であり、弁護士で歌人でもあったそうだ。当時酒が人々の生活に不幸な悲しみをもたらす様を前にして、「酒造業なるものが社会的存在意義があるのか。そうでなければ蔵を閉じようか」と悩んでいたところ、信心していた京都の高僧、足利浄円師から「人々の幸せを思い、弥栄の気持ちで造ればよいのではないか」という言葉をいただき、「菊弥栄」と名付け、地元に愛されるお酒を造り続けてきた。」(※1)
そんな人々の幸せ、弥栄の気もちを込めて造られたこのお酒ですが、まことに残念ながら糖類酸味料添加の三増酒でした。
せめておいしいお酒であることを願いつつ、そろそろいただいてみたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、かすかに着いているかどうかといった感じでした。
うまみは濃くはなく、また淡くもないみたいです。
やはり醸された味とはちょっとちがいますね。
味にクドさはないものの、深みも感じませんでした。
わずかに渋みがあるみたいです。
酸味ははっきりしています。
鋭いすっぱさが豊かです。
それに、わずかにピリッと感じます。
甘みはそれほどでもないみたいです。
というよりも、存在するものの酸味に負けているみたいです。
酸味の効いたすっぱ口のお酒でした。
三増酒にありがちなクドさや甘ったるさはないものの、酸味と添加された味とが前に出ているように思いました。
(※1)石原美和『しまね酒楽探訪』p.92(2013.0 今井出版)
【お酒】868.誉池月 佳撰 カップ(都内にある池月の出自を訪ねて) [32.島根県の酒]
池月酒造株式会社
島根県邑智郡邑南町阿須那1-3
アルコール分15.0度以上16.0度未満
原材料名 米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
180ml
(以上、カップの印刷事項より転記)
伝説の名馬“池月”よりその名をいただく池月酒造さんのお酒は、かつて以下のものをいただいております。
誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 山田錦 カップ
誉池月 本醸造 原酒 超辛口 カップ
誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 八反錦 カップ
今日いただくこのお酒は、普通酒のカップ酒です。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、透明でした。
最初に酸味を感じました。
すっぱさがけっこうはっきりしていますが、角はないみたいです。
刺激やピリピリ感はありません。
うまみは淡めです。
やわらかいうまみの中に、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみをほんのわずかに感じます。
苦みや雑味はありません。
甘みははっきりしています。
さらっとした甘みを感じます。
酸味の効いた、淡麗甘口のお酒でした。
これは酸味を味わうお酒でしょう。
甘みもはっきりしているものの、酸味のおかげで甘ったるさが消えているようでした。
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ところで、誉池月というこのお酒の酒銘は、伝説の名馬“池月”からその名をいただいているようです。
池月は、源頼朝方の範頼・義経と木曽義仲とが戦った宇治川の戦いで頼朝方の佐々木高綱が乗って先陣争いをし、(多少の駆け引きはあったらしいものの)見事に敵陣への一番乗りを果たしたそうです。
(このことは、かつて誉池月の木槽しぼり手造り純米酒山田錦カップをいただいた際に紹介しております。)
この“池月”ですが、活躍が伝説となっているだけあって、その出自についても、池月酒造さんがある山陰地方のみならず日本各地に伝説が残っているようです。
その中の一つが東京都区内にあるということで、今回、それを訪ねてみました。
まずは、東急電鉄蒲田駅から。
乗車した東急池上線の電車は、復刻塗装でした。
蒲田駅から8駅乗って、着いたのは洗足池駅。
駅の北側には、日蓮上人が足を洗ったとされる洗足池が広がっております。
池の東側には、勝海舟夫妻のお墓がありますよ。
勝海舟のお墓とは反対側の、池の西側のほとりを歩いて行きます。
すると、三連太鼓橋の向こうに、赤い鳥居が見えてきました。
おっと!
はからずも、この橋に池月の名を見つけてしまいました。
赤い鳥居は、千束八幡神社のものです。
まずは、拝殿にて一礼。
拝殿に向かって左側には、池月の絵が奉納されておりましたよ。
そして、池のほうを眺めてみると・・・・、
ありました!
池月の銅像です。
台座には、池月の出自に関する解説がありました。
池月は、青い馬だったのですね。
目的を果たしたところで洗足池を後にし、大岡山駅まで歩いてまいりました。
暑かったのでビールをと思ったのですが、メニューに“東北泉 本醸造”なんて文字を見つけてしまったので、そりゃ注文しないわけにはいきません罠。
普段なら燗でいただくところですが、今日は冷酒でいただきました。
燗ほど酸味が立っておりませんが、味わい深くておいしいお酒でしたよ。
蕎麦をいただいて、
駅前のスーパーで“大吟醸のにごり酒”なるものを見つけて、
東急大井町線に乗って帰ったとさ。
いかんいかん、
東北泉が回ってきたかも。
【お酒】867.誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 八反錦 カップ [32.島根県の酒]
池月酒造株式会社
島根県邑智郡邑南町阿須那1ノ3
原料米 広島県産酒造好適米 八反錦 100%
原材料 酒米(広島県産)・米麹(広島県産)
アルコール度数 16度以上17度未満
精米歩合 麹米55% 掛米55%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)
伝説の名馬からその名をいただく池月酒造さんのお酒は、かつて誉池月の木槽しぼり手造り純米酒 山田錦カップと、誉池月の本醸造原酒超辛口カップとをいただいております。
今日いただくこのお酒は、広島県産の八反錦を100%使用した純米酒です。
八反錦は、今日において広島を代表する酒米として位置づけられていると思います。
しかし、その育成は昭和58年(1983年)で、また広島県で奨励品種に採用されたのは翌昭和59年と、比較的新しい酒米のようです。
というのも、どうやら広島では、古くから八反系のお米を何種類も改良しつづけており、その集大成が八反錦であるようなのです。
元々広島では「江戸時代末期には、原料米の酒米品種「八反」のルーツ「八反草(はったんそう)」(明治8年、1875)を育種をした広島県入野村(賀茂郡河内町)の民間育種家(以下略)」(※1)がいたとのことです。
そして、この八反草から八反5号や八反10号などが改良育成され、「さらに「八反10号」へ「秀峰」のいもち耐病性を入れた「八反35号」(1962)が吉舎(きさ)支場(広島県立農業試験場の支所か?:ブログ筆者注記)で竹井孝行らによって育成され、37年間栽培されてきた。」(※2)とのこと。
この八反35号は優れた酒米ではあったものの、「倒伏しやすく、穂発芽性や脱粒性が易で、収量性は低く、需要者からはやや小粒であるとか、吸水性が劣るなどの指摘がある。」(※3)という課題があったそうです。
そこで、「「八反35号」の酒造好適性と早熟性及びいもち病耐病性などの優点を残し、「アキツホ」の耐倒伏性、多収性、大粒良質性、脱粒性難や穂発芽性難などの特性をとり入れること」(※3)を目標として、「昭和48年「八反35号」を母、「アキツホ」を父として人工交配し、以後、集団・系統育種法で選抜固定を図り、昭和59年に「八反錦1号」として広島県奨励品種に採用された。」(※4)そうです。
ただし、文献には「結果的には、いもち病耐病性を除くこれらの目標はほぼ達成された。」(※3)とあり、また「いもち病、紋枯病、赤枯症に弱い。」(※4)そうです。
この耐病性の問題を抱えていても、八反錦はきっと、酒造家の目からみても、そしてそれを育てる農家の目からみても、優秀なお米として認知されているのでしょう。
なお、八反錦には、“八反錦1号”と“八反錦2号”との、2種類の姉妹品種があるそうです。
八反錦2号は、「「八反錦1号」の育成過程で、栽培特性を若干異にする系統の選抜固定を図ったもので、育種計画の目標は「八反錦1号」に準じ、品種育成の系譜及び育成経過についても、(中略)「八反錦1号」と同様である。」(※5)とのこと。
しかし、「醸造特性も「八反錦1号」とほとんど同一であるが、草丈や成熟期等の栽培特性が異なり、本県にはその特性が良く発揮できる栽培適地が存在するため、昭和59年2月に「八反錦2号」として、「八反錦1号」と同様に広島県奨励品種に採用された。」(※5)そうです。
具体的には、八反錦2号は「「八反錦1号」よりも1週間程度早い早生品種で」あって「耐倒伏性は強で(中略)「八反錦1号」よりも強い。」(※6)そうです。
そして、八反錦1号の栽培適地が「標高200~400mの地帯に適応すると考えられ、広島県農業地帯区分からみると、中部盆地の全域、中部台地の一部、東北部山間地の一部に適する」(※7)のに対して、八反錦2号は「標高400m前後の地域に適応すると考えられる。広島県の地帯区分からみると、東北部山間地に属し、「八反錦1号」では成熟期がやや遅過ぎる地域である。」(※8)とのこと。
お待たせいたしました。
私の気が済んだところで、そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですが、蔵元さんのWebsiteでは、誉池月のシリーズはどれも冷やして飲むことを勧めていらっしゃるようでした。
そこで、いつもならばお燗するところですが、今日は冷蔵庫で冷やしたものをいただきます
お酒の色は、ちょっと着いているのがわかる程度でした。
山田錦の誉池月と同程度でしょうか。
うまみはやや淡めです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともにお米のうまみも感じますが、かなりさらっとしています。
それにキレがよく、スッと引きます。
かすかな苦みがあるみたいですが、まったく気にはなりません。
酸味はややはっきりしています。
強くはないですが、すっぱさに鋭さを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはひかえめです。
ほとんど感じません。
やや淡麗で辛口のおいしいお酒でした。
山田錦のような味わい深さはないものの、きれのよい淡めのうまみと鋭さのある酸味とで、かなりキリッと引き締まった感じに仕上がっていました。
これが八反錦の実力なのでしょうか?
(※1)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.35(2000.3 養賢堂)
(※2)(※1)p.36
(※3)前重道雅・鳥生久嘉・江戸義治・滝広徳男『酒造好適米新品種「八反錦1号」の育成について』p.1(広島県立農業試験場報告 第48号 p.1-6 1984.12)
(※4)(※3)p.5
(※5)前重道雅・鳥生久嘉・江戸義治・滝広徳男『酒造好適米新品種「八反錦2号」の育成について』p.9(広島県立農業試験場報告 第48号 p.9-15 1984.12)
(※6)(※5)p.10
(※7)(※3)p.4
(※8)(※5)p.11
【お酒】865.簸上正宗(ひかみまさむね) グリーンカップ [32.島根県の酒]
簸上清酒合名会社
島根県仁多郡奥出雲町横田1222番地
アルコール分/15.0度以上16.0度未満
原材料名/米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
180ml
(以上、カップの印刷事項より転記)
簸上清酒さんのお酒は、かつて純米酒の七冠馬カップと、200ml普通酒の七冠馬“グレードワン”カップとをいただいております。
今日いただくこのお酒も七冠馬“グレードワン”カップと同じ普通酒ですが、こちらは一合詰でした。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、かすかに着いているかどうかといった感じでした。
うまみはどちらかというと淡めですが、淡いなりにけっこうしっかりしています。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともに、やわらかさも少し感じます。
キレはよく、しかも苦みや雑味はありません。
酸味はややはっきりしています。
角のないすっぱさがあって、さわやかさもちょっとあるみたいです。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはかなり弱めですが、わずかにあるみたいです。
淡めだがしっかりしていてバランスの良い、やや淡麗で旨やや辛口のおいしいお酒でした。
淡いですがけっしって薄くはなく、しっかりしています。
それに酸味もすがすがしく感じます。
こういう味わいこそ、本当の“淡麗”というものではないでしょうか。
【お酒】863.十旭日(じゅうじあさひ) 上撰 お燗瓶 [32.島根県の酒]
旭日酒造有限会社
島根県出雲市今市町
180ml詰
(瓶より転記)
アルコール分15.0度以上16.0度未満
〈原材料名〉米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
(王冠より転記)
旭日酒造さんのお酒は、かつて十旭日の上撰カップ(普通酒)と、これも普通酒の十旭日ナイスデイアサヒカップとをいただいております。
今日いただくこのお酒も普通酒の上撰ですので、中身はおそらく上撰カップと同じではないかと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は・・・、
あれ?、上撰カップよりも淡いかな?
ありゃ?
なんかちがうぞ。
うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみのなかに、お米の味も感じます。
しかし苦みや雑味はまったくなく、むしろ深みすら感じます。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさはほとんどなく、さわやかさを少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みはひかえめです。
ほとんど感じないくらいです。
うまみに深みを感じる、やや濃醇で辛口のおいしいお酒でした。
上撰カップのときに感じた香ばしさや軽い苦みは、全く感じませんでしたよ。
それどころかきれいな味わいで、それでいて深みすら感じました。
上撰カップと中身は同じはずなのに、こっちのほうがうまいなぁ。
私が入手した上撰カップは、もしかしたら劣化していたのかもしれません。