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【お酒】867.誉池月 木槽しぼり手造り純米酒 八反錦 カップ [32.島根県の酒]

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池月酒造株式会社
島根県邑智郡邑南町阿須那1ノ3

原料米 広島県産酒造好適米 八反錦 100%
原材料 酒米(広島県産)・米麹(広島県産)
アルコール度数 16度以上17度未満
精米歩合 麹米55% 掛米55%
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




伝説の名馬からその名をいただく池月酒造さんのお酒は、かつて誉池月の木槽しぼり手造り純米酒 山田錦カップと、誉池月の本醸造原酒超辛口カップとをいただいております。
今日いただくこのお酒は、広島県産の八反錦を100%使用した純米酒です。
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八反錦は、今日において広島を代表する酒米として位置づけられていると思います。
しかし、その育成は昭和58年(1983年)で、また広島県で奨励品種に採用されたのは翌昭和59年と、比較的新しい酒米のようです。

というのも、どうやら広島では、古くから八反系のお米を何種類も改良しつづけており、その集大成が八反錦であるようなのです。


元々広島では「江戸時代末期には、原料米の酒米品種「八反」のルーツ「八反草(はったんそう)」(明治8年、1875)を育種をした広島県入野村(賀茂郡河内町)の民間育種家(以下略)」(※1)がいたとのことです。

そして、この八反草から八反5号や八反10号などが改良育成され、「さらに「八反10号」へ「秀峰」のいもち耐病性を入れた「八反35号」(1962)が吉舎(きさ)支場(広島県立農業試験場の支所か?:ブログ筆者注記)で竹井孝行らによって育成され、37年間栽培されてきた。」(※2)とのこと。

この八反35号は優れた酒米ではあったものの、「倒伏しやすく、穂発芽性や脱粒性が易で、収量性は低く、需要者からはやや小粒であるとか、吸水性が劣るなどの指摘がある。」(※3)という課題があったそうです。
そこで、「「八反35号」の酒造好適性と早熟性及びいもち病耐病性などの優点を残し、「アキツホ」の耐倒伏性、多収性、大粒良質性、脱粒性難や穂発芽性難などの特性をとり入れること」(※3)を目標として、「昭和48年「八反35号」を母、「アキツホ」を父として人工交配し、以後、集団・系統育種法で選抜固定を図り、昭和59年に「八反錦1号」として広島県奨励品種に採用された。」(※4)そうです。

ただし、文献には「結果的には、いもち病耐病性を除くこれらの目標はほぼ達成された。」(※3)とあり、また「いもち病、紋枯病、赤枯症に弱い。」(※4)そうです。
この耐病性の問題を抱えていても、八反錦はきっと、酒造家の目からみても、そしてそれを育てる農家の目からみても、優秀なお米として認知されているのでしょう。


なお、八反錦には、“八反錦1号”“八反錦2号”との、2種類の姉妹品種があるそうです。

八反錦2号は、「「八反錦1号」の育成過程で、栽培特性を若干異にする系統の選抜固定を図ったもので、育種計画の目標は「八反錦1号」に準じ、品種育成の系譜及び育成経過についても、(中略)「八反錦1号」と同様である。」(※5)とのこと。
しかし、「醸造特性も「八反錦1号」とほとんど同一であるが、草丈や成熟期等の栽培特性が異なり、本県にはその特性が良く発揮できる栽培適地が存在するため、昭和59年2月に「八反錦2号」として、「八反錦1号」と同様に広島県奨励品種に採用された。」(※5)そうです。

具体的には、八反錦2号は「「八反錦1号」よりも1週間程度早い早生品種」あって「耐倒伏性は強(中略)「八反錦1号」よりも強い。」(※6)そうです。
そして、八反錦1号の栽培適地が「標高200~400mの地帯に適応すると考えられ、広島県農業地帯区分からみると、中部盆地の全域、中部台地の一部、東北部山間地の一部に適する」(※7)のに対して、八反錦2号は「標高400m前後の地域に適応すると考えられる。広島県の地帯区分からみると、東北部山間地に属し、「八反錦1号」では成熟期がやや遅過ぎる地域である。」(※8)とのこと。


お待たせいたしました。
私の気が済んだところで、そろそろいただいてみたいと思います。
純米酒ですが、蔵元さんのWebsiteでは、誉池月のシリーズはどれも冷やして飲むことを勧めていらっしゃるようでした。
そこで、いつもならばお燗するところですが、今日は冷蔵庫で冷やしたものをいただきます

お酒の色は、ちょっと着いているのがわかる程度でした。
山田錦の誉池月と同程度でしょうか。
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うまみはやや淡めです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみとともにお米のうまみも感じますが、かなりさらっとしています。
それにキレがよく、スッと引きます。
かすかな苦みがあるみたいですが、まったく気にはなりません。

酸味はややはっきりしています。
強くはないですが、すっぱさに鋭さを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ほとんど感じません。


やや淡麗で辛口のおいしいお酒でした。
山田錦のような味わい深さはないものの、きれのよい淡めのうまみと鋭さのある酸味とで、かなりキリッと引き締まった感じに仕上がっていました。
これが八反錦の実力なのでしょうか?


(※1)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.35(2000.3 養賢堂)
(※2)(※1)p.36
(※3)前重道雅・鳥生久嘉・江戸義治・滝広徳男『酒造好適米新品種「八反錦1号」の育成について』p.1(広島県立農業試験場報告 第48号 p.1-6 1984.12)
(※4)(※3)p.5
(※5)前重道雅・鳥生久嘉・江戸義治・滝広徳男『酒造好適米新品種「八反錦2号」の育成について』p.9(広島県立農業試験場報告 第48号 p.9-15 1984.12)
(※6)(※5)p.10
(※7)(※3)p.4
(※8)(※5)p.11
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