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【お酒】43.神亀 カップ [11.埼玉県の酒]

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神亀酒造株式会社
埼玉県蓮田市馬込1978

原材料名 米・米麹
酒造好適米60%精白
アルコール分15.0度以上16.0度未満
容量180ml
(以上、フタより転記)

とうとうこのお酒に手を出してしまいました。
純米酒といえば神亀と言っても過言ではないくらい、お酒好きの皆様にとっては有名なお酒です。

神亀さんは、昭和62醸造年度(S62.7.1~S63.6.30)に製造するお酒をすべて純米酒に切り替えたとのこと。
当時は糖類添加の三増酒やフルーティーな吟醸酒が幅をきかせていた時期ですが、それでも純米酒にこだわったのは、オーナーが学生時代に恩師から「混ぜ物の多い日本酒は、正しい造りに戻らない限り、いつかワインに負けてしまうだろう」と言われて「日本酒の将来に危機感を覚えたから」だそうです(※1)。
以来、志ある蔵元さんたちと「全量純米蔵を目指す会」を結成し、その代表幹事として活動なさっているようです。

神亀さんは、純米酒の製造過程にもこだわっているようです。
そのこだわりは、たとえば以下のような点に現れています。

☆スタンダード純米酒であっても、酒造好適米の五百万石を使用する(※2)。

☆蒸米の出来は麹の出来具合、酒母の味、醪の香味に微妙に影響を与えるので、酒米の全体にむらなく強い蒸気を当てるため、甑に張り込む酒米の高さを45cm以下と決めている(※3)。

☆麹に目を行き届くようにするため、全ての麹作りに(最も手間のかかる)蓋麹法を採用する(※4)。

☆雑味防止のため、ヤブタ(アコーディオン型の搾り機に醪を流し入れて、横から一気に圧力をかけて搾るもの)を使わずに、全て(醪を詰めた小さな袋をたくさん積んで、上から少しずつ圧力をかける方法)で醪を搾る(※5)。

(以上、カッコ内はブログ主が追記)

しかし、これだけこだわっているにもかかわらず、酒母(酛)の造りについては、伝統的な生酛ではなく、あるいは山廃酛でもなく、速醸酛を採用しているようです。
これについては、「速醸酛でもしっかりと造れば味のしっかりした、いい酒ができる」(※6)とか、「ヘタな生もとより味わいが濃い」(※7)とのこと。
きっと、おいしいお酒を造るためには速醸酛を採用したほうがよいと判断なさったのでしょう。
伝統だけに縛られて純米酒を製造しているわけではないことが伺えます。

前置きが長くなってしまいました。
最後にひとつだけ、このお酒、本当によい色をしています。

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このお酒は2年間熟成させてあるとのことですので(※8)、きっとその間に醸し出された色なのでしょう。

それではお待たせいたしました。
こんなにこだわって造ってあるこのお酒を、今日もぬる燗でいただきます。


まず、酸味が舌にグッと迫ってきます。
この酸味が、辛味を生じさせているようです。

酸味とともに、お酒らしい香りも口の中に広がります。
決して吟醸香のような華やかな香りではありません。
むしろ、昔ながらの酒臭い香りです。

このお酒、うまみがとても濃厚です。
きっと、このうまみこそが、神亀さんが製造過程にこだわった成果なのでしょう。
お酒の香りとともに、このお酒を特徴づけています。
しかも、食事と一緒にいただくことで、このうまみがさらにはっきりするように思いました。

甘さはそれほど感じません。
しかし、うまみがとても濃厚なので、辛いとは感じません。
燗がさめてくると、少し甘くなってきたような気がしました。

食事と一緒にいただくことを目的として造られたお酒だと思います。
酢の物や煮物と一緒にいただきましたが、とてもよく合いました。
濃醇やや辛旨口の、とてもおいしいお酒でした。


しかし、一つだけ、これはどうかと思うことがあります。
このカップ酒、某デパ地下で購入したのですが、なんと一個431円もしたのです。
431円もあれば、3デシ瓶詰のけっこうよいお酒を買えてしまいます。

もちろん、このお酒は手間をかけて造っていらっしゃるわけですから、お金もかかっていることでしょう。それ故、たとえ431円であっても、神亀さんが得る利益は決して多くないと思います。
それでも、カップ酒に431円をかけることは、貧乏人の私としてはかなり懐が痛むことです。

むしろ、神亀さんのお酒をわずか431円でいただくことができたことに感謝すべきなのかもしれません。


(※1)上野敏彦『闘う純米酒 神亀ひこ孫物語』p.11(2006.12 平凡社)
(※2)同p.90
(※3)同p.95-96
(※4)同p.104-105
(※5)同p.107
(※6)古川修『世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒』p.143(2005.6 光文社新書)
(※7)友田晶子『全量純米蔵の神亀酒造を訪ねる』2/2(AllAbout記事 2011.1)
(※8)上記(※1)p.187
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あ~酒臭かった! 10

酒くさコメント 2

newton

神亀さんの酒造りへの思い入れに脱帽ですね。確かにお値段は高いけれども、これが日本酒という味ですすね。1升瓶のほうがお安いですが、量が…。
by newton (2013-10-17 18:36) 

skekhtehuacso

newtonさん、コメントありがとうございます。
確かにおいしかったのですが、お値段がちょっと…。
この味って、剣菱や菊正宗を濃くしたような味ではないかと思いました。
by skekhtehuacso (2013-10-17 22:45) 

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