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【お酒】349.350.南 特別純米カップ&純米吟醸カップ 飲み比べ【追記あり】 [39.高知県の酒]

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有限会社南酒造場
高知県安芸郡安田町安田1875


今日は、室戸岬の付け根の西側、高知県安田町にある南酒造場さんのお酒から、特別純米酒と純米吟醸酒とを飲み比べて見たいと思います。


高知県の安田町といえば、土佐鶴さんの酒蔵がある場所です。
土佐鶴さんは、日本全国にその名が知られている大きな蔵元さんですね。

一方、南酒造場さんは「地元高知県を中心に販売する500石規模の蔵」で、「すべて精米歩合60%以下の特定名称酒」なのだそうです(※1)。
500石ということは、一升瓶に換算すると5万本くらいです。
毎日200本ずつ売れたら、一年経たないうちになくなってしまう量ですね。


また、ある雑誌では、南酒造場さんのお酒のことを「高知の地酒のなかではもっとも取引困難とも言われている」と評しています(※2)。
そんな取引困難なお酒なのに、どうして私が今日いただくこれらのカップ酒を入手することができたのでしょうか。

銀座一丁目に、「まるごと高知」という高知県のアンテナショップがあります。
このお店の地下スペースでは高知県のお酒を販売しているのですが、ここがまた、カップ酒やお燗瓶、それに3デシ瓶のとり揃えがとても充実しているのです。
今日いただく南のカップ酒二種も、このお店で購入したものです。

そんなまるごと高知で入手したこのお酒を、さっそくいただいてみたいと思います。


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南 特別純米
原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合/60%
アルコール分15.0度以上16.0度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)


特別純米酒の意味については、かつてこちらでふれておりますのでご参照ください。
特別がついても純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。


うまみが濃くて、かなりしっかりしています。
酒臭さも少しあるものの、お米のうまみがガツンと迫ってくる感じです。
それでいて、苦みや雑味を感じません。

酸味は感じますが、それほど強くはありません。
すっぱさははっきりしているものの、刺激やピリピリ感はまったくありません。

甘みはひかえめですが、その存在はわかります。
お酒にコクを添えています。


濃いめのうまみだけがガツンと迫ってくる、濃醇でやや辛口のおいしいお酒でした。
これはひや(常温)でもいけるはずです。
こんなにうまみが濃いのに、刺激や雑味をほとんど感じません。
これは丁寧に造ってある証拠でしょう。


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南 純米吟醸
原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合/50%
アルコール分16.0度以上17.0度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)


ある文献では、このお酒のことを「無濾過原酒で、米の旨みを十二分にひきだした酒」と紹介していました(※3)。

生酒のような「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒には、保存若しくは飲用上の注意事項を表示する。」と定められています(※4)。
それ故、生酒や生詰のお酒のラベルには、「「要冷蔵」、「冷蔵庫に保管して下さい。」、「冷やしてお早めにお飲みください。」等の消費者及び流通業者の注意を喚起するための表示」をしなければなりません(※5)。
しかし、このお酒にはそれらの表示がありませんでしたので、おそらく生酒ではないのだと思います。

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【2015/09/30追記】
生詰について「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」に該当すると書きましたが、これは誤りでした。(これに該当するのは生酒のみでした。)
生詰の場合は、「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」に該当せず、よって「要冷蔵」などの「保存若しくは飲用上の注意事項」を表示する必要はないと考えます。

清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(6)の生貯蔵酒の定義には、「生貯蔵酒の用語は、製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した清酒である場合に表示できるものとする。」とあります。
これから判断するに、製成後とは完成後(私は勝手にそう思っていました。)ではなくて、上槽後(お酒をしぼった後)という意味であろうと考えられます。
ということは、生詰は製成後に一回火入れをしていますので、この「製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒」には該当しないことになります。

私の認識が誤っていたことをお詫びして、ここで訂正させていただきます。
申し訳ございませんでした。
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その一方で、このお酒のアルコール度数は16.0度以上17.0度未満と若干高めですので、原酒の可能性はあると思います。

屁理屈をこねるのはこのくらいにして、純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。


これもうまみが濃いめです。
特別純米酒から酒臭さを抜いて、お米のうまみを前面に出した感じです。
吟醸酒らしい苦みは少し感じますが、それ以外に雑味はまったく感じません。

酸味はほとんど感じません。
わずかにすっぱさを感じますが、刺激やピリピリ感はありません。
きっとこれが吟味して造った成果なのでしょう。

甘みはかなりひかえめです。


お米のうまみを直接に感じ取ることができる、やや濃醇で辛口のおいしいお酒でした。
特別純米酒ほどではありませんが、うまみが濃くてきれいなお酒でした。
このうまみから推察するに、原酒と紹介されていることにも頷けます。



(※1)山同敦子『愛と情熱の日本酒―魂をゆさぶる造り酒屋たち』p.320(2011.3 ちくま文庫)
(※2)pen 2013年12月1日号 p.63(阪急コミュニケーションズ)
(※3)『吉田類の土佐酒note』p.55(2012.3 高知新聞総合印刷)
(※4)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)3(3)
(※5)酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達第86条の6 酒類の表示の基準2(3)ハ
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酒くさコメント 4

toshi

銀座一丁目の「まるごと高知」
今度、気が向いたら行ってみます。
by toshi (2014-10-05 07:31) 

newton

南のワンカップがあるのですね。高知のアンテナショップ、要チェックですね。

by newton (2014-10-05 14:11) 

skekhtehuacso

toshiさん、ぜひ行ってみてください。
一杯150円で試飲できますし。
by skekhtehuacso (2014-10-05 19:57) 

skekhtehuacso

newtonさん、南のカップ酒なんて、そんなにお目にかかれないと思います。
高知県のアンテナショップだからこそでしょう。
こういうおいしいお酒のカップ酒って、消費者にとってみれば試飲のようなもので、お酒の宣伝にはピッタリだと思うのですが…。

by skekhtehuacso (2014-10-05 19:59) 

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