SSブログ

【お酒】1376.菊正宗 上撰 樽酒 カップ (普通酒) [28.兵庫県の酒]

6576.JPG
菊正宗酒造株式会社
神戸市東灘区御影本町一丁目7番15号

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分 14度以上15度未満
180ml詰
(以上、カップの印刷事項より転記)




菊正宗酒造さんのお酒は、これまでに以下のものをいただいております。
菊正宗 生貯蔵酒 300ml(普通酒)
菊正宗 上撰 生酛・本醸造 ハイグラス
菊正宗 特別純米酒 超特撰嘉宝蔵 雅(みやび)
菊正宗 生酛純米酒 特撰 嘉宝蔵 灘の生一本
菊正宗 超特撰 嘉宝蔵 生酛吟醸
菊正宗 超特撰 生酛大吟醸 300ml
菊正宗 樽酒 純金箔入カップ
菊正宗 上撰 本醸造 お燗瓶 (二回目はこちら
菊正宗 上撰 普通酒 紙カップ
菊正宗 純金箔入 しぼりたてカップ
菊正宗 スーパーカップ 上撰 生酛・本醸造

今日いただくこのカップ酒は、普通酒の樽酒です。
普通酒ですが、上撰の小印が付けられておりますね。
6577.JPG


かつて一度触れてはおりますが、ここで再度“樽酒”の意味を確認しておきましょう。

国が定めたルールでは「樽酒の用語は、木製の樽で貯蔵し、木香のついた清酒(びんその他の容器に詰め替えたものを含む。)である場合に表示できるものとする。」と定められております(※1)。
ということは、木香(杉の香り)がするお酒がみな樽酒を名乗ることができるわけではなくて、その木香を木製の樽で貯蔵してつけたお酒しか、樽酒を名乗ることができないのです。
すなわち、杉の木片を浸したり、あるいは杉の香料を添加したりして(そもそも清酒に香料を添加することはできないはずです)木香をつけたお酒は、樽酒を名乗ることはできないのです。

このお酒の容器にも、吉野杉の酒樽で貯蔵されたお酒である旨が書かれておりますね。
6578.JPG

また下記の写真は、かつて菊正宗酒造さんの蔵開き(2015年2月)で公開されていた、お酒に木香をつけている様子です。
ちゃんと樽に詰めて貯蔵されておりますね。
職員の方のお話では、樽酒は原酒のままで貯蔵すること、そして貯蔵期間は約2週間であるとのことでした。
201518.JPG

琺瑯タンクやガラス瓶が普及する前までは、樽はお酒の貯蔵や輸送のための一般的な容器でもあったわけですから、お酒に木香がつくことは当たり前だったのかもしれません。
しかし今日では貯蔵や輸送の際に樽を使用する機会がないことから、こうしてあえて木香をつけたお酒が珍重されるのでしょう。


しかし、樽酒を貯蔵する樽は、杉の樽であればどのようなものでもよいというわけではないみたいです。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。
 ただし、ひと口に木香といっても、香りのよし悪しはある。樽材には、最良とされる吉野杉のほか、肥後(現・熊本県)や秋田産などの杉材が用いられるが、産地によって材質に違いがあるだけでなく、杉材のどの部分を使うかで木香の性質やつき方が違ってくるからだ。杉丸太の外周部の白い部分を白太(しらた)といい、中心部に向かうにつれて色が赤みを帯びてくるが、樽材としては、白太の内側にわずかに赤みがついている「甲付(こうつき)」と呼ばれる部分が最適とされる。甲付で作った樽は外観は白く、内側の酒を接すると部分は淡紅色で、良質の木香がつくばかりでなく、酒が染み出たり漏れたりすること(「目越し(めごし)」という)もない。これに対して、丸太の中心部(「赤味(あかみ)」という)から取った赤みの濃い材料で作った樽は木香、着色とも強すぎ、樹脂成分の溶出も多く酒質を悪くしてしまうので、昔から上質の酒の樽としては用いられず、漬物樽に使用されることが多かったという。甲付で作った樽を「甲付樽」、赤味で作った樽を「赤味樽」と呼ぶ。」(※2)

すなわち、杉材のうち外側の白いところと内側の赤いところとの境目という希少部位のみを用いて作った樽だけしか、お酒を貯蔵するための樽としては使用することができないわけですよ。
ということは、樽酒はかなり贅沢なお酒なのではないでしょうか。


では、その樽酒をいただきたいと思います。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ごくかすかに茶色がかっていることがわかる程度でした。
6579.JPG


一口含むと、やはり木香を感じます。
もちろん木の香りですが、おだやかでしつこさがありませんよ。

味わいの基本は昨日いただいた菊正宗の上撰本醸造と同じく、キリッと引き締まった中に香りとうまみとがじんわりと広がる旨やや辛口のおいしいお酒でしたが、こちらのほうがやや淡麗でした。

これは私の予想ですが、この味わいから推察するに造りは本醸造と同じであるものの、やはり本醸造よりも醸造アルコールの添加量と加水量とが多いが故に淡めに仕上がっているのではないでしょうか?
でも、軽めであるためか、本醸造よりも飲みやすく感じましたよ。

軽くて、木香があって、しかも菊正宗の風味をちゃんと感じられるおいしいお酒でした。


(※1)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(8)
(※2)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.177(2000.4 柴田書店)
あ~酒臭かった!(39)  酒くさコメント(4) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

あ~酒臭かった! 39

酒くさコメント 4

ake_i

お酒好きにはたまらないブログですね。
とても楽しいです。私も、のん兵衛なので^^;
by ake_i (2018-04-17 22:54) 

エクスプロイダー

純米酒に変わってもカップ酒は普通酒のままなんですね。
by エクスプロイダー (2018-04-18 21:09) 

skekhtehuacso

ake_iさん、いい加減なことばかり書いているので、鼻でくすりと笑っていただければ幸甚です。
by skekhtehuacso (2018-04-18 21:21) 

skekhtehuacso

エクスプロイダーさん、純米樽酒のカップもあるでよ。
by skekhtehuacso (2018-04-18 21:24) 

酒くさコメント、書いちゃう!

お名前:[必須]
URL:
酒くさコメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。