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【お酒】159.宮泉 本醸造 一回火入れ生詰辛口 300ml【追記あり】 [07.福島県の酒]

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宮泉銘醸株式会社
福島県会津若松市東栄町817

アルコール分 15度
精米歩合 70%
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




会津若松の蔵元さんのお酒です。

宮泉銘醸さんは「会津酒造歴史館」という見学施設を運営なさっています。
そこで実際にお酒を造っていらっしゃって、その工程を見学することもできます。
それはそれで楽しいのですが、もっとすてきなことがあります。
なんと、この蔵元さんも、試飲がセルフサービスなのです。
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セルフサービスの試飲は危険ですから、訪問なさった際には十分に気をつけてください。
それと、見学と試飲をさせていただいたあとは、何か一品、購入するのが礼儀だと思います。


このお酒には、“生詰”と書いてあります。
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これはどういう意味なのでしょうか。

お酒は通常、もろみから搾ったあとで、「六五度C前後で一〇分間加熱」します。
この加熱のことを“火入れ”といいます。
火入れは、「有害な微生物を殺すとともに、酒の中に残存して活性を保っている麹などの酵素類を破壊して香味を調整し、保存性を高める」ために実施されます(以上※1)。
火入れをすることで、常温で保存しても腐らない状態になるのです。

この火入れは、「しぼり終えた酒を、貯蔵する前瓶詰めする前二回」実施します(※2)。
この二回の火入れをしない酒、すなわち「製成後、一切加熱処理をしない清酒」を、生酒といいます(※3)。
そして、二回の火入れのうち、最初の加熱をしない酒、すなわち「製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した清酒」を、生貯蔵酒といいます(※4)。

では、生詰とはどういうことでしょうか。
これは、生貯蔵酒の逆、すなわち「貯蔵前に火入れを行ない、瓶詰め前に行わない生詰ということになります(※5)。

ここで、以下のような疑問が生じます。
★1:火入れは、なぜ二回実施するのか(一回ではダメなのか)
★2:なぜ、生貯蔵酒や生詰といった酒が登場したのか
私は、これらのことはまだ解明できておりません。
これらの点について明確に書いてある文献に、まだ出会っていないのです。
★2については、「ともに生酒の特徴であるふくよかな香りやフレッシュな飲み口をできるだけ残し、広く流通させることを目的にした酒である。」という記述には出会うことができましたが(※5)、それだけでは、生貯蔵酒と生詰との性質のちがいを理解することはできません。

これらのことを解明するためには、専門誌に当たるしかないかもしれません。
申し訳ございませんが、今後の研究課題とさせていただきます。


☆★☆★【2016/10/23追記】☆★☆★

その後、2回の火入れについて説明している文献の記述に出会うことができました。
それによれば、この記事のコメント欄でhanamuraさんがおっしゃっていたとおりでした。

1度目は発酵を止めるため2度目は殺菌のため
 火入れ前の酒には酵素や微生物が残っています。そのままにしておくと貯蔵期間中に発酵が進んでしまい、糖化で酒が甘くなったり、香味のバランスが悪くなったりといった影響が出ます。そこで貯蔵前にまず一度、火入れを行うのです。
 2度目の火入れはもっぱら殺菌のために行います。出荷の直前に殺菌を行うことで、万全の状態で商品を送り出すのです。」(※6)

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



それでは、この生詰のお酒を、冷蔵庫で冷やしてからいただきます。

一口いただくと、生酒のようなフレッシュな風味がします。

うまみは濃くはありませんが、しっかりしています。
吟醸酒のような、まろやかなうまみです。
酒臭さは全くありません。

酸味がちょっとだけ強いようです。
刺激やピリピリ感はありませんが、お酒の味をキリッと引き締めています。

甘みは、口に含んだ直後は感じますが、スーッと引いていくようです。
甘みが引いた後で、酸味がスッキリさせてくれます。


フレッシュな風味と、キリッとした酸味とが特徴の、淡麗やや辛口のおいしいお酒でした。
スッキリしていて、スイスイいけてしまいます。

また、会津に行きたくなってしまいました。


(※1)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.144(2000.4 柴田書店)
(※2)松崎晴雄『日本酒をまるごと楽しむ!』p.24(2007.1 新風舎)
(※3)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)5(5)
(※4)同5(6)
(※5)※2 p.25
(※6)公益財団法人日本醸造協会/日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)監修『日本酒学』p.119(2016.6 洋泉社)
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あ~酒臭かった! 25

酒くさコメント 4

hanamura

一回目=酵母の活動を止める。二回目=瓶詰め出荷の衛生管理でなかったですか?最近は衛生管理と温度管理がすすんだので、生貯蔵や生詰が一般的に出来るようになったのだと理解しています。
by hanamura (2014-03-03 07:59) 

ちゅんちゅんちゅん

おはようございます!
記事を拝見するたび
日本酒の深さを感じております。
「生」のお酒はお店でしかいただいたことがないので
探して家呑み・・・がいいですね。
呑んだあと すぐ横になってお休みできるので(笑)
by ちゅんちゅんちゅん (2014-03-03 08:11) 

skekhtehuacso

hanamuraさん、コメントありがとうございます。
ひやおろしが二回目の火入れをしない理由(詰めるときは涼しいのでしなくてもいい)から推察すると、hanamuraさんがおっしゃっていることに行き着くと思います。
生貯・生詰登場の経緯については、私は、生酒の歴史から追っていかないと、本当のことはわからないのではないかとにらんでいます。

いずれにせよ、私のつまらない記事に相手をしてくださってありがとうございます。
私は、最初に勤めた会社で報告書を書いたときに、上司から「お前の意見なんて聞いていない。どういう議論があるかまとめればいいだけだ。」と言われたのがトラウマになっているようです。

でも、ブログは報告書とはちがいますね。
反省しております。
by skekhtehuacso (2014-03-03 22:12) 

skekhtehuacso

ちゅんちゅんちゅんさん、コメントありがとうございます。
難しいことを考えてみても、お酒はおいしくならないとわかりました。
一口いただいて「こりゃうまい!」と感じて二杯三杯と続け、最後に「あーうまかった」と思えること、それが正しいいただき方だと思います。
by skekhtehuacso (2014-03-03 22:21) 

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