【お酒】377.鷲の尾 金印カップ [03.岩手県の酒]
株式会社わしの尾
岩手県八幡平市大更第22地割158番地
原材料名 米（国産）・米こうじ（国産米）・醸造アルコール・糖類・酸味料
アルコール度15度
180ml詰
（以上、フタより転記）
このお酒の名前ですが、最初に見たときは、何と読むのかわかりませんでした。
というか、何が書いてあるのかすらわかりませんでした。
どうやら“鷲の尾”と読むらしいのです。
（オマエに字の知識がないだけだよ！）
このお酒は、糖類のみならず、酸味料も添加してある三増酒です。
ですが、蔵元さんは、このお酒に自信をお持ちのようです。
ある文献では、杜氏さんの話のタイトルとして「甘口で喉ごしのいい自慢の味。まずは『金印』をお試しあれ。」と書いています(※1)。
そして、上記のタイトルに続けて、このお酒に関する杜氏さんの話を以下のように紹介しています。
「『金印』は、甘酒四段といわれる方法で仕込まれた、腰のあるしっかりした甘口の酒だ。「かつてこの地方は東洋一の鉱山で栄え、肉体労働者が多かった。そのため塩辛いつまみに合う甘口の酒が好まれたのではないか」と、地域の味を分析する。」(※1)
四段仕込は甘口のお酒を仕込む手法であることは、かつてこちらで紹介しておりますので、ご覧ください。
そして、甘酒は「米の粥に米麹を加えて、十二～二四時間ほど五五～六〇度Ｃで保温して造る甘い飲み物」であって、「米のでんぷんを麹の糖化酵素によって、ぶどう糖や麦芽糖、デキストリンなどの甘味成分に分解したもの」です（※2）。
その甘酒を四段目に仕込めば、もろみの中に残っている糖化酵素と甘酒の糖化酵素との双方がでんぷんの糖化をさらに進め、しかも作り出された糖分のほとんどはアルコールに分解されずに残存するでしょう。
もちろん、甘酒中の糖分もほとんどが残存するでしょうね。
さらに、このお酒は糖類・酸味料添加のお酒ですから、その添加した糖類もまた、アルコール発酵しきれずに残存している可能性すらありますよね。
もしかしたら、このお酒は、ものすごく甘口のお酒なのでしょうか？
また私の悪い癖が出てしまいました。
いただく前からいろいろと詮索していても仕方がありません。
三増酒ですが、おいしいお酒であることを期待しつつ、今日もぬる燗でいただきます。
うまみはやや濃いめで、しっかりしています。
ですが、かもし出された酒臭さではなくて、なんかちょっとクドさを感じるうまみです。
でも、雑味や苦みは感じません。
酸味はやや強めです。
わずかにピリッと感じます。
すっぱさはそれほど感じません。
甘みはやはり強めで、はっきりしています。
やや濃いめのうまみ、やや強めの酸味と、そして甘みのはっきりした、やや濃醇で甘辛口のお酒でした。
甘みははっきりしていますが、酸味が強めなので、両者の調和はうまくとれていると思います。
ですが、このうまみはちょっと…。
もしかしたらこのうまみは、添加された酸味料によるものではないでしょうか？
そういえば、このうまみは、羽前桜川のカップ酒（糖類・酸味料添加）や、東光の精撰カップ（糖類添加なし。酸味料のみ添加）をいただいたときに感じたそれと似ていると思います。
まだまだ漠然とではありますが、酸味料添加のお酒の味がなんとなくわかってきたような気がします。
（どうせ表示されていなけりゃわからないくせに！）
(※1)岩渕公二『岩手の酒蔵』p.142（1998.10 岩手日報出版部）
(※2)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.66（2000.4 柴田書店）
アルコール添加や糖類・酸味料添加酒と無添加酒との関係は、調味料で味の素などの化学調味料の旨さと出汁を取る旨さとの関係に似ていますね。後者が優れていると思いつつ、諸処の事情で前者を否定まではできない、あるいは、しくじった無化調ラーメンより化調たっぷりラーメンのほうが旨いというところでしょうか。
実際、肉体労働やスポーツでへとへとのときは安酒が甘露の如く胃に収まり、高等遊民的日々を過ごしているときは化学調味料の味を否定したくなります。
今の自分に好適なお酒を知るのに、こちらのブログはとても好適と思います。
スポーツでも美食でも過ぎれば身体を壊します。
お酒は、程々で付き合えたら心と身体に優しい伴侶。
コメントは控えるようにいたしますが、日本酒の求道を応援してまいりますので、今後共、健肝・健膵・健筆の程をm(__)m。
by ojioji (2014-11-05 07:08)
ojiojiさん、私がこのブログを書いているときは、私はすでに酒が回った状態ですので、書いた内容をあまり信用なさらないほうがよいと思います。
by skekhtehuacso (2014-11-05 23:05)