【お酒】598.一生幸福 本醸造 300ml [06.山形県の酒]
株式会社鈴木酒造店 長井蔵
山形県長井市四ツ谷1の2の21
アルコール分/15.0度以上16.0度未満
精米歩合/65%
原材料名/米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
酒造好適米100%使用
300ml詰
(以上、ラベルより転記)
今日は、置賜地方で酒集めをした際に、長井の市街地を歩き回って見つけたお酒をいただきます。
鈴木酒造店さんは、かつて福島県浪江町で「磐城壽」というお酒を造っていらっしゃったそうです。
しかし、蔵元さんのWebsiteによれば、浪江町の酒蔵は「東日本大震災にて全建屋流失、蔵はF1から直線距離7㎞で一時警戒区域に指定され、現在休業を余儀なくされています。」とのこと。
それでも酒造りへの情熱は冷めることがなかったようで、平成23年に山形県長井市にあった東洋酒造の全株式を取得して事業を承継し、“株式会社鈴木酒造店 長井蔵”と名称変更して、山形で酒造りを再開したそうです。
福島で被災し山形へ移ってきたわけですが、それを決断したときの状況について、ある雑誌では以下のように紹介していました。
「福島県内で移転先を探し始めたが原発事故の影響で地域が限られる。土地が見つかっても蔵の新築や免許の取得に時間がかかり、酒を造れるのは最短で1年半先とわかる。焦り始めた頃、山形県工業技術センター酒類研究科長の小関敏彦さんから、廃業を考える山形県の酒蔵を紹介された。福島県外に移ると復興支援制度は使えないが、蔵を譲り受ければ、すぐにでも酒を造り始められることに魅力を感じた。」(※1)
今日いただくこのお酒の“一生幸福”という酒銘は、東洋酒造の頃からの銘柄なのだとか。
酒銘の継承は、鈴木酒造店さんが東洋酒造を譲り受ける際の条件だったそうです。
このことについて、上記と同じ雑誌では、以下のように紹介していました。
「「銘柄を引き継ぐことが条件で譲りたいと言う、それが『一生幸福』だと聞いて、初めは僕らの境遇に最もふさわしくないと思いました。ただ、オーナーの気持ちはわかる。祭りや景色と同様、酒は住人の心の支えなんです。そこで、一生幸福は長井市民のため山形の米で造り、磐城壽は全国ちりぢりに暮らす浪江の人のために、なるべく福島の米を使って造る。二つを平行して造ろうと決意したのです。」」(※1)
いつかは浪江に帰りたいとの思いを抱きながら山形で酒造りを続け、しかも継承した伝統を守っていらっしゃる鈴木酒造店さんの心意気に感服いたしました。
お酒もさぞやおいしいだろうと期待しつつ、そろそろいただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ほんの少し着いている程度でしょうか。
うまみはやや淡めですが、しっかりしています。
主にやわらかいうまみですが、醸し出された酒臭さ(←ほめ言葉です)もほんのわずかに感じました。
吟醸酒のような苦みをわずかに感じましたが、雑味はないみたいです。
酸味はかなりはっきりしています。
すっぱさが豊かです。
ですが、刺激やピリピリ感はありません。
甘みはひかえめですが、わずかながらにその存在は感じ取ることができました。
表に出てこなくて、裏でお酒のコクを支えているような甘みです。
酸味がさわやかな、やや淡麗でやや辛口のおいしいお酒でした。
この酸味は、濃い味の料理に合うのではないでしょうか。
しかもクドさがないので、スイスイと行けてしまいます。
飲み飽きしない食中酒だと思います。
(※1)dancyu 2012年4月号 p.84(プレジデント社)
「紋切型社会」という本の話を聞いて(まだ読んでいません。)
辛口、淡麗、スイスイ・・・やっぱ、いいじゃん!飲みたい!
酒蒐集の旅・・・カッケーなぁ!うん!飲みたくなる。
by hanamura (2015-06-28 22:56)
hanamuraさん、省みるに、私の感想も紋切型かもしれません。
ですが、こういう言葉しか思いつかないのです。
利き酒師の勉強でもすれば、もう少し的確な言葉をみつけられるのかもしれませんね。
私の酒集めは、ほとんどビョーキです。
これ以外に、楽しめることがないものですから。
でも、ようやく見つけた趣味ですので、これからも続けていきたいと思います。
by skekhtehuacso (2015-06-28 23:17)
気候、水が変わると、造りも変わってくるでしょうけど・・・
頑張って欲しいですね!
by やなぼー (2015-06-29 06:20)
やなぼーさん、いやーやられました。
鋭いですね。
別の雑誌記事では、そのことに触れていました。
実は、この蔵元さんの普通酒カップ酒が手元にあるので、それをいただく際のネタとしてとっておこうかと思っていたんですよ。
by skekhtehuacso (2015-06-29 17:06)
「磐城壽」は震災前から若手の注目蔵として酒関連の本に掲載されてました。
僕も震災前の磐城壽も呑んだし、後のも呑みました。
東洋酒造時代の「一生幸福」は酒屋のチェーン店で純米酒を見た事が有ったけど買わずじまいで買っておけば良かったと後悔。
by エクスプロイダー (2015-06-29 19:26)
エクスプロイダーさん、浪江で造られた磐城壽と、長井で作られた磐城壽とのそれぞれの味に、なんらかの違いを見出されましたかな。
by skekhtehuacso (2015-06-29 23:32)