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【お酒】755.杉勇(すぎいさみ) 本醸造 出羽きらり 300ml [06.山形県の酒]

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合資会社杉勇蕨岡酒造場
山形県飽海郡遊佐町上蕨岡字御備田47の1

アルコール分 15度以上16度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合65%
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




杉勇蕨岡酒造場さんのお酒は、かつて杉勇の普通酒カップ酒と、杉勇の純米酒 出羽の里とをいただいております。
今日いただくこのお酒は、本醸造です。
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純米酒よりも、精米歩合がやや高めですね。


ところで、このお酒のラベルには、“出羽きらり”と表記されています。
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純米酒をいただいた際には“出羽の里”と書かれていましたが、それはどうやら使用されている酒米の名称のようでした。
ということは、“出羽きらり”というのもお米の名称なのでしょうか?

ところが、手元の文献をいくつか当たっても、出羽きらりというお米に関する記述は全く出てきませんでした。
そこで、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所が開設している“イネ品種・特性データベース”の検索システムで、品種名検索を使って出羽きらりを検索してみたところ、 出羽きらりはもともと“山形100号”という名称で育成されてきたお米であることがわかりました。

この山形100号について紹介した文献によれば「2010年に山形県の奨励品種(認定品種)に採用され」(※1)た比較的新しい品種なのだとか。
新しい酒米であることから、私の手元にある文献には紹介されていなかったのですね。
オマエは蔵書もアタマも古いってことだな。

そして、「試験醸造の評価は、雑味がなくすっきりと淡麗な酒質となり、甘口、辛口など様々なタイプの酒に対応でき、掛米用として醸造適性に優れる。」(※1)とのこと。


おいおい。

山形には、すでに出羽燦々出羽の里といった優れた酒米があることは、これまでにこのブログで紹介してきたとおりです。
それにもかかわらず、さらに新しい酒米を開発する必要があったのでしょうか?

この点について、上記と同じ文献では以下のように紹介していました。

「 これまで、山形県では県オリジナルの酒造好適米として耐倒伏性、耐冷性など栽培特性に優れ、良質で吟醸酒、大吟醸に適する中生の「出羽燦々」心白粒の発現が良く、良質で純米酒に適する「出羽の里」を育成してきた。(中略)
 一方、清酒のうち最も生産量の多い普通酒の原料である掛米用品種は、価格が安いことが求められ、多収品種である東北農業試験場(現東北農業研究センター)で育成した良質の「トヨニシキ」や福島県で酒造用掛米として奨励品種となった「ふくひびき」、本県で育成し、10aあたり1tの玄米収量を記録した「雪化粧」や良質で安定多収の「山形59号」などが利用されてきた。しかし、本県では、これらの品種は収量の不安定性や胴割粒の発生しやすいため精米時に砕米が発生することなどから生産現場、加工現場双方から敬遠され、他の主食用品種の加工用玄米の使用が多くなっている。
 さらに、県内の酒造メーカーからは、もと米用品種である酒造好適米のみならず、掛米用品種も本県オリジナル品種への要望がある。このため、いもち病抵抗性や耐冷性などの栽培特性が優れ、タンパク質含量が低く、精米時の砕米が少ない多収の品種育成に取り組んできた。  その結果、「山形100号」は、2010年、山形県の水稲奨励品種(認定品種)に採用され、2012年より一般作付けの予定である。」(※2)

要するに、こういうことでしょうね。
出羽燦々;吟醸酒向け(特に酛米としての適性が高い)
出羽の里;純米酒向け(心白が大きい故に高精白には向かない)
出羽きらり;普通酒および掛米向け(安価で多収)

上記の記述から、他県産酒米の使用で安易に妥協することなく、山形の風土と酒造りとにとって最適な酒米を開発しつづけるという山形の人々の熱心さを汲みとることができました。
山形にはおいしいお酒がたくさんありますが、影でなされているこういった努力も、良質なお酒の生産を支えているのでしょうね。


大変お待たせいたしました。
そろそろいただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほとんどわからないくらいでした。
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うまみはやや淡めですが、淡めなりにしっかりしています。
これはお米のうまみそのものでしょう。
苦みや雑味はまったくありません。

酸味はややひかえめです。
すっぱさとさわやかさとをちょっと感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
しかし、わずかにあってコクを添えています。


淡めながらもしっかりしていておだやかな味わいの、やや淡麗で旨やや辛口のおいしいお酒でした。
普通酒にはアルコール香がありましたが、こちらではそれを感じませんでした。
一方で、純米酒ほど酸味がはっきりしていなくておだやかなのは、アル添の効果でしょうか。
とてもバランスのよい味わいだと思います。
いままでにいただいた杉勇シリーズでは、この本醸造が一番おいしいと感じました。
これが出羽きらりの実力なのでしょうか。

(※1)中場勝他15名『水稲新品種「山形100号」の育成』p.27(山形県農業研究報告 第3号 2011.3 山形県農業総合研究センター)
(※2)(※1)p.28
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あ~酒臭かった! 54

酒くさコメント 2

タンタン

おはようございます。
さりげなく黄桜カッパの徳利が。間違ってたらスミマセン.m( _ _)m

最近あまりTV見ないんでよく分かりませんけど、黄桜のCMってまだやってるんでしょうか?
by タンタン (2015-12-24 06:16) 

skekhtehuacso

タンタンさん、この徳利の底には黄桜の銘が入っていますので、まちがいなく黄桜のカッパです。
どうやら黄桜の販促品のようです。
日光にある木工細工店に飾ってあったのを見て気に入ってしまい、ヤフオクで入手しました。
by skekhtehuacso (2015-12-24 22:59) 

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