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【お酒】1646.越中懐古 純米酒 カップ [16.富山県の酒]

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本江酒造株式会社
富山県魚津市本江新町6番1号

アルコール分 15度
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
精米歩合 60%
内容量 180ml
(以上、ラベルより転記)




富山湾にほど近い魚津の街に蔵を置く本江酒造さん。
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そのお酒について、文献では以下のように紹介されておりました。
富山県屈指の急流河川・片貝川の伏流水と、地元産五百万石を原料に、四代続く越後杜氏が酒を醸す。淡麗辛口を得意とする越後杜氏らしく、主張する酒というよりもむしろ、新鮮な魚料理に合う“静かな酒”を目指している。」(※1)
特に純米酒は、蔵の個性がよく表れており、滑らかな口当たりとシャープな切れ味が刺身や焼魚などの料理とよく合う。」(※1)

今日いただくこのカップ酒は純米酒ですが、果たして上記の如く魚と合うシャープな味わいなのでしょうか?
それを確かめるべく、いただいてみたいと思います。
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純米酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は濃くはないものの、きれいな金色でした。
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うまみは濃くはないものの、しっかりしています。
米のうまみが広がらずに、舌の上をピンと突く感じがします。
熟成感もありますが、角がなくて穏やかです。
苦みや雑味はありません。
また純米酒なのにキレがよく、スッと引いて行きます。

酸味はややひかえめでしょうか。
すっぱさは弱めですが、弱めなりに鋭さがありますよ。
またスースー感がかすかにあって、それにちょいピリです。

甘みはひかえめです。
存在はわかるものの、かなり弱めです。


キリッと引き締まった、スッキリちょいピリ旨辛口のおいしいお酒でした。
味わいが鋭いですね。
舌を突くうまみやキレのよさ、それに酸味の鋭さに辛口であることが相俟って、かなり引き締まった味わいに仕上がっておりました。
でもけっして物足りなさはなく、飲み応えも十分に感じました。
文献に記載があったとおり、これはたしかに「滑らかな口当たりとシャープな切れ味」(※1)のお酒でしたよ。


ということは、やはり魚と合うのでしょうか?
それをたしかめるべく、いつものさば缶。
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合わせるドレッシングもいつもどおり。
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レモン汁にオリーブオイル、マジックソルト、こしょう、三温糖を合わせたドレッシングで玉ねぎとピーマンとを和え、それをさば缶の上にどっさりと乗せていただきます。
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シャープな味わいのお酒が、さば缶とよく合うよく合う!
お酒が魚の風味をサッと流してくれるだけではなく、むしろさばの風味がお酒の味を引き立ててくれているようにも感じました。
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あー、今日もうまかった!

(※1)北陸の酒蔵編集委員会編『北陸の酒蔵 銘醸50選』p.39(1996.7 能登印刷出版部)

《焼酎》139.秋の露 樽 25度 100ml [9943.熊本県の焼酎]

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常楽酒造株式会社
熊本県球磨郡錦町一武2577-13

本格焼酎
原材料/米(国産)・米麹(国産米)
アルコール分25度
内容量/100ml
(以上、ラベルより転記)




今日は、“秋の露 樽”という名の球磨焼酎をいただきますよ。
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“樽”ということは、おそらく樽で長期熟成された焼酎なのでしょう。
熟成焼酎をお湯割りにするとスースー感が際立ってしまうことがございましたので、今日は全量をロックでいただきますよ。
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一口含むと、最初に熟成感がわかります。
ウィスキーみたいな風味があることから、これは樫樽で貯蔵されいるのではないでしょうか。
それでも風味に重さやクセはなく、後味はさっぱりしています。
そこへ米のうまみが来て、これは厚みを感じます。
苦みや雑味はなく、酸味も感じません。

熟成感しっかりなのにクセのない、おいしい米焼酎でした。
熟成感があるのにしつこくないのがうれしいところでした。
これはうまいね。


これに合わせたのは、わかさぎの佃煮。
2週間ほど前に佃島で入手したものの最後の残りでした。
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これさ、まちがいなくばっちりだぜ!
川魚の風味を焼酎が和らげて、魚のおいしさを引き出してくれましたよ。
佃煮だけをかじった時とでは佃煮の風味がぜんぜんちがうよ!

焼酎も佃煮もおいしかったし、それに楽しかった。
これだから、この趣味はやめられないのですよ!


あ、そういえば、
飲んでいる間だけ、今日の仕事でのイヤなこと、全部忘れていたわ。

【お酒】1645.成政 カップ [16.富山県の酒]

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成政酒造株式会社
富山県南砺市舘418

原材料名/米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分/15度未満
200ml
(以上、ラベルより転記)




医王山の湧き水“槍の先の水”」(※1)
成政が使う“槍の先の水”は、戦国時代の国主・佐々成政が槍で土を突いた折に湧き出たといわれるもので、これにちなみ銘柄にも「成政」の名を冠している。」(※1)
という、成政酒造さん。
かつて@カップ女子 純米吟醸酒 青をいただいております。

今日いただくこの“成政”は、どうやら普通酒のようでした。
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なお、カップの裏にはこんなラベルが貼られておりました。
この写真は後日のために敷いておく伏線です。
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普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、濃くはないものの金色でした。
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うまみはやや濃いめかな。
酒臭さ(←ほめ言葉です)とともに熟成感を少し感じます。
熟成感は強くはないものの、枯れた感じが少しあるみたいです。
苦みはかすかです。
キレはよく、透明感を少し感じます。

酸味はややひかえめかなと思いましたが、冷めると少しはっきりしてきました。
すっぱさは弱めですが、弱めなりに鋭くて、それが冷めるにつれて目立ってくるようです。
スースー感ははっきりしています。
ピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりかと思いましたが、これは冷めるにつれてひかえめになりました。
べとつかないものの、最初は幅を感じました。
それが冷めるにつれて引いていくようでした。


やや濃醇でちょい枯ちょいスー旨やや辛口のお酒でした。
枯れた感じがありましたが、角やしつこさを感じませんでした。
それにキレがよいので、しっかりしているのに軽さを感じました。
透明感やスースー感があったことから察するに、これはどうやらアル添が効いているみたいですね。
それに、あたたかいうちは甘みがあるかなとも思ったのですが、冷めるにつれて甘みが引くとともに酸味が目立ってまいりました。

面白いお酒でしたとさ。

(※1)北陸電力企画『北陸酒紀行』p.63(2002.3 橋本確文堂)

“剣菱 300ml詰”をひさしぶりに飲んでみましたよ~だ! [また飲んでみました]

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剣菱酒造株式会社
神戸市東灘区深江浜町53番地

原材料名:米(国産)・米麹(国産米)醸造アルコール
アルコール分:16.5度
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




《初回記事はこちら》
【お酒】72.剣菱 300ml【補足あり】


今日は、石川島のリンコスで入手した、こちらひさびさの剣菱をいただきます。
剣菱酒造さんの酒造りに対するこだわりについてはかつていただいた際に触れておりますので、上記リンク先をご参照下さい。


ラベルには、“since 1505”と書かれておりました。
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1505年(永正二年)と言えば応仁の乱が一段落したのちに明応の政変(1493年)が起き、室町幕府の箍が緩み始めていよいよ戦国時代に突入かといった時期ですね。
でもこの1505年ってのは、今の蔵元さんが剣菱を造り始めた年ではないのです。
今の蔵元さんが剣菱を造り始めたのは、1928年(昭和3年)なんだってさ。


灘五郷は御影郷に蔵を置く剣菱酒造さんが所有する手印(「メーカーの所有する商標(メーカー・ブランド)」(※1))、“剣菱”
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この“剣菱”はもともとは伊丹の酒で、蔵元が4度変わって現在に落ち着いているのだとか。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。

 「剣菱」は室町時代から続く銘柄だが、蔵元が4回替わり、現在の白樫家が当主となったのは昭和3年。」(※2)

 剣菱は伊丹・大鹿の坂上家の創業。鴻池勝庵が江戸へ海上輸送を始めてからまもなくのころである。」(※3)

 剣菱が有名だったのは、将軍のご膳(ぜん)酒にのぼった元文五年(一七四〇)から山陽(頼山陽のこと:ブログ筆者追記)の死後二、三十年、約一世紀の間。一世を風びしたこの剣菱も弘化二年(一八四五)ごろ、経営難から廃業してしまった。そのご経営者が二代もかわり、剣菱の商標を引き継いだが、これまたいずれも倒産。「どうも、“剣”という字が悪いらしい。引き継がない方が無難」とみんなが敬遠。こうして伊丹では以後、剣菱という名の酒は姿を消した。剣菱創始者は墓の中から「不動尊を信仰していなかったからだ」と、さぞくやしがったことだろう。
 ともあれ、伊丹の剣菱は江戸期に現れたスイ星のような酒だった。さっと光ぼうをはなちあっという間に消えていった。伝説じみたふしぎな酒である。いまは神戸・灘の酒造家が商標を受け継いでいる。大量生産をせず、もっぱら剣菱の名を愛する人たちのための注文酒。品質重点主義の堅実な経営である。“伊丹の剣菱”は消えたが「剣菱」といういかにも男性的な響きを伝える名は、日本酒のつづく限り、だれかに受け継がれていくことだろう。」(※3)

その剣菱のラベルには、“丹醸”の文字が書かれておりました。
これはきっと、剣菱がかつて伊丹のお酒だったことを示しているのでしょうね。
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ところで、上記で創業年を紹介した際に掲載した写真に“瀧水”って書いてありましたね。
(同じ写真です。)
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この意味についてあたしゃずっとわからなかったのですが、今回文献を読んでいて、もしかしたらこれに関係するのではないかと思われる記述を発見しました。
それをここへ紹介しておきたいと思います。

 さて酒屋の坂上家は箕面の不動尊を深く信仰していた。それがこうじて箕面の滝の水で酒造りをしたこともある。ある年井戸の底ざらえをしたとき、小さな不動尊像が出てきた。「わが家の酒には、不動尊の守護があるのだ」と喜び、不動尊の手にする剣を形どり、これに菱をあしらい、商標にしたという。」(※5)
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“瀧水”は箕面の滝に由来し、それは創業家の不動尊信仰と関係していたのでしょうね。
そして剣菱の商標も、その不動尊に由来するのだとか。
察するに、“剣菱”の名は不動尊に守られているからこそ、主が4度変わっても今日まで生き続けているのでしょう。


あー気が済んだ気が済んだ!
それではいただいてみたいと思います。
もちろん、今日もぬる燗でいただきますよ。

お酒の色は、かすかに着いていることがわかる程度でした。
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あー、香りがいいね。
お酒の甘い香りとともに、酒臭い(←ほめ言葉です)香りとがふんわりと漂ってきました。

うまみは濃いめです。
酒臭さ(←あくまでもほめ言葉です)がどっしりとしていていて、米のうまみもしっかりしています。
でも苦みや雑味はまったくありません。
それでいてキレがよく、スッと引いて行きます。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさは少し強めで鋭さも少し感じます。
でも、酸味自体に深みをしっかりと感じます。
スースー感はかすかにありますが、ピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめかな。
弱めですが、幅のある甘みの存在はよくわかります。


どっしりとしているのにキレのよい、濃醇深旨口のおいしいお酒でした。
酒臭さ(←くどいようですが、ほめ言葉です)がどっしりとしていて、飲み応えはバッチリでした。
濃くて深いのに雑味がまったくなく、しかもキレがよくてしつこさを感じませんでした。
味のバランスがとてもよいのではないでしょうか。

これは私の感想ですが、この剣菱は料理を選ぶことなく、塩気そのものに合わせてある味わいだと思いました。
ひさしぶりの剣菱でしたが、やっぱりうまいね。
これも私の感想ですが、あたしゃ黒松剣菱よりもこっちの“ただの剣菱”のほうが好きだな。



その剣菱に合わせたつまみはこちら。

浅漬け。
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焼かなすのごま酢和え。
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しいたけのバターしょうゆ炒め。
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あー、おいしかったおいしかった。
あたしゃ肉よりも魚よりも、野菜が一番好きだなって、つくづく思うわ。

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(友情出演)

(※1)灘酒研究会編『改訂 灘の酒 用語集』p.261(1997.10 灘酒研究会)
(※2)dancyu 2013年3月号 p.25(『剣菱 100年残る味 p.24-27中』 プレジデント社)
(※3)読売新聞阪神支局編『宮水物語-灘五郷の歴史』p.39(1966.12 中外書房)
(※4)(※3)p.44
(※5)(※3)p.40


2022/03/13
三たび飲んでみました。