【お酒】718.千両男山 本醸造 カップ [03.岩手県の酒]
株式会社菱屋酒造店
宮古市鍬ヶ崎下町五番二十四号
原材料：米（国産）・米麹（国産米）・醸造アルコール
精米歩合：65%
アルコール分15度
180ml詰
（以上、ラベルより転記）
岩手県宮古市でお酒を造る蔵元さんのお酒です。
青森や宮城にも“男山”を名乗る蔵元さんはありましたが、岩手にもありました。
20世紀に発行された文献では、菱屋酒造店さんが蔵を構える場所の様子を、以下のように紹介していました。
「陸中海岸国立公園のほぼ中央、リアス式海岸が美しい三陸の風情を彩る宮古市は、藩制時代から漁業と海運のまちとして栄えてきた。市の中心街から景勝地・浄土ヶ浜へと向かう県道沿い、宮古魚市場の程近くに『千両男山(せんりょうおとこやま)』の醸造元・菱屋酒造店がある。」(※1)
どうやら、こんなところのようです。
しかし、別の文献には、以下のような記述がありました。
「2010年の時点で23の酒蔵があった岩手県は、震災と津波で多くの蔵が被害を負った。特に沿岸部の津波による被害は大きく、陸前高田市の酔仙酒造、宮古市の菱屋酒造店、大槌町の赤武酒造など壊滅的な打撃を受けた蔵もある。だが、現在はほとんどの蔵が復興に向け、新たな酒造りに励んでいる。」(※2)
今日では菱屋酒造店さんは酒造りを再開なさっていますが、その道のりは並大抵のものではなかったとお察し申し上げます。
このことは、菱屋酒造店さんのWebsiteのトップページを見ると、「鍬ヶ崎は民家の再建ができないので現状は御覧の通りです」とのコメントと共に、周囲の復興が進んでいない場所に酒蔵だけが立地している様子の写真が掲載されていることからも推測することができます。
また、菱屋酒造店さんが復興の様子を記録したブログでは、津波で仕込タンクが流されてしまったことから、秋田の両関酒造さんから必要なタンクを無料で譲ってもらったことが紹介されていました。
私には、震災について語る資格も知識もありません。
私にできることは、必死の努力で復興を成し遂げた蔵元さんのお酒をおいしくいただくことだけです。
今日いただくお酒がおいしいお酒であることを願いつつ、そろそろいただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は、ちょっと深い色をしていますが、それでも透き通った感じがします。
うまみは濃いめで、かなりしっかりしています。
醸し出された酒臭い（←ほめ言葉です）うまみとともに、熟成感をはっきりと感じます。
しかしキレがよく、スッと引いて行きます。
苦みや雑味はありません。
酸味はややはっきりしています。
すっぱさを感じますが、それ自体に角がありません。
刺激やピリピリ感はありません。
甘みもまた、ややはっきりしています。
ベトつかず、また前に出てこない甘みです。
熟成感が豊かではあるものの、澄んだ味わいの、濃醇旨口のおいしいお酒でした。
濃くて深みがありますが、キレがよくて重くなく、キレイな味わいに仕上がっていると思います。
もしかして、この味わいはアル添の効果でしょうか？
いやいや、それだけではなくて、きっと嘉永五年（1852年）から続く伝統の賜物でしょう。
復興してくれて、こうして私がおいしいお酒をいただくことができたことを、心から感謝いたします。
(※1)岩渕公二『岩手の酒蔵』p.42（1998.10 岩手日報社出版部）
(※2)『日本酒のすべて』p.20（2012.1 株式会社枻出版社）
2023/06/29
また飲んでみました。
「フェニックス」
呑みましたよー(^^)/
旨かったです(*^_^*)
by やなぼー (2015-11-12 05:18)
近くで売ってれば買ってみたいお酒です。自分の好みに合いそうな感じです。
by こいこい (2015-11-12 16:16)
やなぼーさん、フェニックスというお酒のことは、私は全く知りませんでした。
安酒ばっかり飲んでいることの弊害かもしれません。
by skekhtehuacso (2015-11-12 22:37)
こいこいさん、それほど大きくない蔵元さんのようですので、流通している範囲は地元に限られていると思います。
それ故、千葉で探すことは難しいかもしれません。
ですが、偶然に珍しいお酒に出会うこともあるので、確率は低いものの、もしかしたら見つかるかもしれません。
by skekhtehuacso (2015-11-12 22:40)