【お酒】2027.常磐MADE 磐城壽 本醸造 カップ [06.山形県の酒]
製造者 株式会社 鈴木酒造店 長井蔵
山形県長井市四ツ谷一丁目二-二
アルコール分 15度
原材料名 米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
酒造好適米100%使用(契約栽培/長井市)
精米歩合 65%
(以上、ラベルより転記)
今日からは、
“常磐MADE 福島浜通りの地酒呑みくらべ”
なるカップ酒のセットから一つずつを選んでいただきます。
今日いただくのは、磐城壽。
造っているのは、山形県長井市に蔵を置く鈴木酒造店さんです。
鈴木酒造店さんのお酒は、これまでに以下のものをいただいております。
598.一生幸福 本醸造 300ml
602.一生幸福 カップ
おいおい!
山形県の蔵なのに、常磐MADEだとか福島浜通りだとかって、いったいどういうことなんだよ!
実は鈴木酒造店さんは、もともとは福島県浪江町に蔵を置く蔵元さんだったのでした。
文献には、「江戸出しの廻船問屋を営む傍ら、相馬藩から濁り酒製造が許されたことが始まりで、天保年間(1830~1843年)の製造記録が残る。酒蔵の堤防を挟んだ向こうは海で「最も海に近い酒蔵」とも言われた。常に危険と隣り合わせの漁師たちが縁起を重んじたことが代表銘柄「磐城壽」の由来にもなった。」(※1)とありました。
そのような場所に蔵を設けていたわけですから、2011年3月に発生した東日本大震災では蔵が被災し、かつ東電福島第一原発爆発の影響を受けて、浪江町で酒造りを続けることができなくなってしまったのでした。
それでも酒造りへの情熱はけっして冷めることはなかったようで、同年10月に山形県長井市にあった東洋酒造の全株式を取得して事業を承継し、“株式会社鈴木酒造店 長井蔵”と名称変更して、山形で酒造りを再開したそうです。
そんな鈴木酒造店さんですが、震災から10年経過した今年の3月からは、浪江町での酒造りを再開なさったそうです。
このことについて、文献には以下の記述がありました。
「 鈴木酒造店は浪江町役場の近くに誕生した「道の駅なみえ」の中に、この三月一日に新しい酒造りの拠点を構える。蔵人を常駐させ、地元産の米と水を使って酒造りを始める。鈴木兄弟が交代で長井から通って軌道にのせていく計画だ。震災と原発事故で奪われた青い空ときれいな水、稲の良く育つ大地。それらを取り戻したい、と強い気持ちを持って鈴木酒造一家が遠く離れた山里で酒造りを続けて十年がたつ。」(※2)
そんな鈴木酒造店さんの、山形県長井市で造られた磐城寿、いただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。
お酒の色は少し着いている程度で、少し透き通っておりました。
うまみはやや濃いめでしょう。
酒臭さ(ほめ言葉です)がしっかりですが、角や粗さを感じません。
米のうまみは広がらず、舌の上を突くようです。
熟成感もちょっとあるみたいです。
渋みが少しあって、弱めですが鋭さを感じます。
キレはよく、透明感を少し感じます。
酸味はひかえめです。
すっぱさはほとんど感じません。
ちょいスーですが、ピリピリ感はありません。
甘みはややひかえめでしょう。
弱めですが、存在はわかります。
やや濃醇でちょい枯ちょい渋ちょいスースッキリ旨やや辛口のおいしいお酒でした。
味自体はやや濃醇ならがもキレがよく、ちょい枯ちょい渋ちょいスーでキリッと引き締まっておりました。
アル添酒らしい透明感はありましたが、うまみしっかりでけっしてペラペラではありませんでした。
これはまちがいなく、海の物に合わせた造りでしょうね。
山形にいても、浪江の海のことをけっしてお忘れにはなっていないのでしょう。
その岩城壽と合わせたのは、アジフライ。
スーパーで買ってきたものですけど何か?
バッチリ!
磐城壽のキレのよさが、アジの風味や衣の油とよく合いました。
(※1)福島民友新聞社編『ふくしま美酒探訪』p.135(2017.8 福島民友新聞社)
(※2)上野敏彦『震災から十年、人と人とを結ぶ復興の酒 磐城寿』p.066(dancyu 2021年3月号 p.062-066中 プレジデント社)
浪江は帰宅困難地区ですね!
早く全ての困難地区が解除されて欲しいです。
鯵フライは黄金味のフライをお出かけ禁止が解けたら食べたいです。
by ma2ma2 (2021-09-06 22:02)
ma2ma2さん、全域ではなくて、役場や道の駅がある沿岸部は解除されているみたいですよ。
それ故に、私も道の駅なみえに到達できたのでした。
あの忌々しい爆発からもう10年経ったというのに、全面解除はまだまだむずかしいみたいですね。
by skekhtehuacso (2021-09-07 21:19)